新しい教育課程の実施に対応した教科書検定制度の改善等について

 平成10年11月13日に教科用図書検定調査審議会建議「新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善について」が提出されました。また、平成10年12月14日に 小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領並びに平成11年3月29日に高等学校学習指導要領が告示されました。
 文部省では、これらを踏まえ、検定手続きをより一層簡素かつ柔軟なものとするとともに、教育内容の厳選や自ら学び自ら考える力の育成の重視など新しい学習指導要領の趣旨を適切に踏まえた教科書が発行されることを目指し、平成11年1月25日文部省令第2号をもって教科用図書検定規則 の一部を改正するとともに、同年1月25日文部省告示第15号及び4月16日文部省告示第96号をもって新しい「義務教育諸学校教科用図書検定基準」及び「高等学校教科用図書検定基準」を告示しました。さらに、同年9月29日付をもって「教科用図書検定規則実施細則」(文部大臣裁定)を改正しました。
 これらの規則、基準等は、新しい学習指導要領に基づき、平成14年度以降使用される教科用図書の検定から適用されます。
 主な改正内容は、以下のとおりです。

1.教科用図書検定規則の主な改正内容 社会の変化に柔軟に対応するため、より一層簡素かつ柔軟な仕組みとすることとした。また、検定意見の文書化を含む教科書検定の一層の透明化を図った。

[具体的方策]

  • 従来行われてきた手続冒頭の誤記、誤植または脱字に関する審査を廃止した。
  • 文書により検定意見を通知することとした。
  • 検定意見に従った修正以外の修正を検定済図書の訂正に一本化した。
  • 検定済図書について、更新を行うことが適切な事実の記載があることを発見したときは、文部大臣の承認を受けて訂正を行うことができるよう、訂正申請の要件を緩和した。
  • 検定済図書の訂正が、客観的に明白な誤記、誤植若しくは脱字に係るものまたは同一性をもった資料により統計資料の記載の更新を行うものであって、内容の同一性を失わない範囲のものであるときは、届け出ることによりこれを行うことができることとした。

2.教科用図書検定基準の主な改正内容

教科書の内容が基礎的・基本的な内容に厳選され、児童生徒がゆとりをもって学習することができるようにするなどの観点を配慮した。

[具体的方策]

  • 総則に教科書の基本的性格を明記し、検定審査の趣旨を明らかにした。
  • 次のような改正により、教科書に記述される内容が基礎的・基本的内容に厳選されるようにした。
    • 統計図表、参考記事といった資料を含め、教科書の内容の全般にわたって、学習指導要領に照らして不必要な内容が扱われず、基礎的・基本的な内容の習得のために厳選されるようにした。
    • 複数の教科等に関連する内容の取り扱いについて、不必要に他の教科等の内容と重複した内容が扱われないようにした。
    • 説明文、注、資料などについて、その性格にかんがみ、過度に詳細なものとならず、本文等との関連が図られ、当該内容の的確な理解に資する程度となるようにした。
  • 自ら学び自ら考える力の育成を重視する観点から、児童生徒自らが実験、観察、実習、調べる活動等を積極的に行うことができるよう適切な配慮がなされるようにした。
  • 教科書に引用、掲載される著作物について、信頼性のある適切なものが選ばれ、必要な出所等が示されるようにした。
  • 教科書の表現について、児童生徒にとってより分かりやすいものとなるようにした。

文部省では、新しい教育課程の実施に対応した教科書検定制度の改善とともに、今後ともよりよい教科書の作成に向けて取り組みを行うこととしています。

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初等中等教育局教科書課

-- 登録:平成21年以前 --