教科書デジタルデータの提供に関する実施要項

平成21年2月10日
文部科学大臣決定
平成21年4月1日改正
平成22年3月18日改正
平成25年8月21日改正
平成31年4月3日改正

1.趣旨

本要項は、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(平成20年法律第81号。以下「法」という。)第5条並びに同法施行規則(平成20年文部科学省令第29号)第1条及び第2条に基づき、教科用図書発行者が発行する教科用図書に係る電磁的記録(以下「教科書デジタルデータ」という。)について、これを教科用図書発行者がデータ管理機関(文部科学大臣又は文部科学大臣が指定する者をいう。以下同じ。)に対して提供する手続及びデータ管理機関が教科用特定図書等の発行をする者に対して提供する手続について定めるものである。

2.対象

  本要項に定める手続の対象となる提供すべき教科書デジタルデータの種目及び範囲は、以下のとおりとする。

(1)種目

  学校教育法(昭和22年法律第26号)第34条第1項(同法第49条、第62条及び第70条第1項において準用する場合を含む。)に基づき小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校において使用される教科用図書の教科に係るすべての種目

(2)範囲

    教科用図書の本文、図・写真、脚注、表紙など、教科用図書に掲載されているものすべての教科書デジタルデータ

3.具体的手続

教科書デジタルデータの提供に係る具体的手続は、以下のとおりとする。

(1)提供希望データの届出

  (ア)教科用特定図書等の発行をする者で次のいずれかに該当する者は、データ管理機関に対し、使用(教科用特定図書等を発行するための使用に限る。)を希望する教科書デジタルデータの種類について、別に定める様式により届出を行う。
    1 教科用拡大図書を製作する者
    2  教科用点字図書を製作する者
    3  音声読み上げのコンピュータソフトを利用した教材(教科用図書に準ずるものと認められるものに限る。)を、障害のある児童生徒に向けて製作する者
    4 教科用拡大図書を製作する高等学校及び特別支援学校(視覚障害等)高等部(以下「高等学校等」という。)
  (イ)3.(1)(ア)4は、データ管理機関へ届出を行った際、公立の高等学校等については当該高等学校等を設置する教育委員会、私立の高等学校等については当該高等学校等を設置する学校法人の理事長、国立大学法人に附属して設置される高等学校等については当該国立大学の学長(以下、「設置者」という。)に対して、別に定める様式により報告を行う。

(2)高等学校等における教科用拡大図書の発行

  高等学校等における教科用拡大図書の発行には、授業の進捗状況や一人一人の生徒の見え方等に応じた対応をするため、一単元毎の製作や、データの一部分の拡大複製も含まれるものとする。

(3)要提供データの通知

 データ管理機関は、(1)の届出又は教科書デジタルデータに対する需要の状況その他の事情を踏まえ、教科用図書発行者に対して、提供を要する教科書デジタルデータの種類について、別に定める様式により通知する。


(4)教科用図書発行者からデータ管理機関へのデータ提供

  教科用図書発行者は、データ管理機関に対し、(3)により通知された種類の教科書デジタルデータを提供する。
    この場合において、データの提供はPDF形式のファイル(別に定める仕様に基づくものとする。)により行うほか、可能な限りテキスト形式のデータも提供することとする。また、正しく表現されず、適切な活用ができない図や写真等の画像データについては、必要に応じ、JPEG形式のファイルを併せて提供する。
    なお、当該ファイルを提供する際には、教科用図書の内容が正しく表示されるかを、責任をもって確認すること。ただし、データ管理機関がその業務を円滑に遂行するため必要があると認めて当該確認を要しない旨を指示したときは、この限りでない。


(5)データ管理機関から教科用特定図書等の発行をする者へのデータ提供

  データ管理機関は、(4)により提供された教科書デジタルデータについて、教科用特定図書等の発行をする者の要望に応じ、教科用特定図書等の製作上必要な範囲においてデータ形式の変換を行った上で、(1)の届出を行った者に対し、当該届出のあった種類の教科書デジタルデータを提供する。
  なお、高等学校等へデータを提供した際には、別に定める様式により、設置者に対して、提供した教科書デジタルデータの情報等を報告する。

(6)使用制限承諾書の提出

  他の用途への流用や第三者への流出を防止するため、(5)により教科書デジタルデータの提供を受ける者は、データ管理機関に対し、別に定める様式により、教科書デジタルデータの使用制限承諾書を提出する。

(7)発行完了報告書の提出

  データの利用状況を明らかにするため、教科書デジタルデータの提供を受けて、教科用特定図書等(法第10条及び義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律(昭和37年法律第60号)第3条の規定に基づき無償給付の対象となるものを除く。)を発行した者は、データ管理機関に対し、別に定める様式により、発行完了報告書を提出する。

4.その他

(1)施行期日

  この要項は、決定の日から施行する。

(2)データ管理機関

    文部科学大臣が本要項に基づくデータ管理機関の業務(データの受領、提供、変換、廃棄及び活用に関する助言など)を行う場合は、必要な事務は文部科学省初等中等教育局教科書課において行うものとする。
    なお、文部科学大臣は、データ管理機関における業務を、第三者に委託して実施することができるものとする。

(3)費用

  (ア)教科用特定図書等の発行をする者が、教科書デジタルデータの提供を受けるにあたっては、3.(1)、(6)及び(7)の書類の提出に係る通信費用のみを負担するものとする。
  (イ)3.(4)の教科用図書発行者からデータ管理機関への教科書デジタルデータの提出に係る通信費用は、教科用図書発行者の負担とする。

(4)高等学校等への指導、助言

  (ア)データ管理機関は、教科書デジタルデータの提供を受けた高等学校等に対して、データ提供情報を把握し、データの活用方法や他目的への流用防止等に関する助言等を行う。
        また、高等学校等が提出した3.(6)の使用制限承諾書の他の用途への流用及び第三者への流出に該当する疑いがあると認められるときは、設置者との連携のもと、その利用状況について調査をできるものとする。
  (イ)データ管理機関は、設置者に対して、データの活用方法や他目的への流用防止等に関する助言等を行う。
  (ウ)設置者は、報告を受けた高等学校等に対するデータ提供情報を把握し、データの活用方法や他目的への流用防止等に関する指導、助言を行う。
        また、高等学校等が提出した3.(6)の使用制限承諾書の他の用途への流用及び第三者への流出に該当する疑いがあると認められるときは、その利用状況について調査を行う。
  (エ)データ提供を受ける高等学校等は、データ管理機関及び設置者からデータの活用方法や他目的への流用防止等に関する助言等を受けるものとする。

お問合せ先

初等中等教育局教科書課

-- 登録:平成21年以前 --