採択
教科書の採択とは、学校で使用する教科書を決定することです。その権限は、公立学校で使用される教科書については、その学校を設置する市町村や都道府県の教育委員会にあります。また、国・私立学校で使用される教科書の決定の権限は校長にあります。
採択の方法は義務教育である小学校、中学校、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の小・中学部の教科書については「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」によって定められています。
高等学校の教科書の採択方法については法令上、具体的な定めはありませんが、各学校の実態に即して、公立の高等学校については、採択の権限を有する所管の教育委員会が採択を行っています。
義務教育諸学校の教科書の採択方法は次のとおりです(図3参照)。
図3 義務教育諸学校用教科書の採択の仕組み

主な根拠法令
また、都道府県教育委員会は、学校の校長及び教員、採択関係者の調査・研究のため毎年、6月から7月にかけて一定期間、教科書展示会を行っています。この展示会は、各都道府県が学校の教員や住民の教科書研究のために設置している教科書の常設展示場(教科書センター)等で行われています。なお、教科書センターは昭和31年以来設置されているもので、平成21年4月現在全国に857箇所あります(
、表3)。さらに、国民の教科書に対する高い関心に応えるため、近年では、公立図書館や学校図書館における教科書の整備も進められています。
市町村立の小・中学校で使用される教科書の採択の権限は市町村教育委員会にありますが、無償措置法により、採択に当たっては「市若しくは郡の区域又はこれらの区域をあわせた地域」を採択地区として設定し、地区内の市町村が共同して種目ごとに同一の教科書を採択することになっています。
採択地区は、その地域内で同一の教科書を使用することが適当と考えられる地域であり、都道府県教育委員会が自然的、経済的、文化的条件を考慮して決定することとなっています。
採択地区は、平成21年4月現在全国で593地区あり、1県平均13地区となっています。また、1地区は平均して約2つの市又は郡で構成されています(表3参照)。
なお、採択地区内の市町村は、通常、共同採択を行うため採択地区協議会を設け、ここに学校の教員等からなる調査員を置くなどして共同調査・研究を行っています。
採択の時期は、義務教育諸学校用教科書については、使用年度の前年度の8月31日までに行わなければならないこととなっています。高等学校用教科書については、法令上定めはありませんが、需要数報告期限との関係で、ほぼ同じ時期に採択が行われます。
教科書採択に関しては、保護者や国民により開かれたものにしていくことが重要です。具体的には、教科用図書選定審議会や採択地区協議会等の委員に保護者代表等を加えていくなど、保護者等の意見がよりよく反映されるような工夫をするとともに、採択結果等の周知・公表などの方策を一層推進していくことが求められています。
より良い教科書を児童生徒に提供するため、平成14年7月、教科用図書検定調査審議会は、「教科書制度の改善について(検討のまとめ)」を取りまとめました。
文部科学省は、この「検討のまとめ」を踏まえ、教育委員会など各採択権者における採択改善に向けた取組を促進するため、平成14年8月に各都道府県教育委員会に対して、調査研究のための資料の充実、市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化、静ひつな採択環境の確保など、採択のより一層の改善に努めるよう通知しました。さらに、平成15年3月には、これまで8月15日までとしていた義務教育諸学校用教科書の採択期限を8月31日までに延長するとともに、教科書見本の送付部数制限の見直しを行いました。
このたび、教科用図書検定調査審議会において、教科書制度に関する改善について、別添1の「教科書制度の改善について(検討のまとめ)」(以下「検討のまとめ」という。)が取りまとめられました。
「検討のまとめ」においては、教科書の検定及び採択に関し種々の改善方策が提言されており、教科書採択については、調査研究の充実に向けた条件整備及び採択手続の改善の観点から、十分な調査研究期間の確保や調査研究のための資料の充実、市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化などの改善方策が提言されています。
各都道府県教育委員会におかれては、「検討のまとめ」を参考に、下記の事項についてより一層の改善を図るとともに、併せて域内の市町村教育委員会及び国立・私立の義務教育諸学校に対しても、同様の指導をお願いします。
記
保護者や地域住民の教科書に対する関心応えるとともに、教員による教材研究や児童生徒による学習の深化・発展に資する観点から、各学校の図書館や公立図書館に教科書を整備するよう努めること。
表3 都道府県別採択地区数及び教科書センター数
(平成21年4月)
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