音声教材に関するQ&A

音声教材に関するよくあるお問い合わせについて、Q&Aを掲載していますので、ご参照ください。

質問一覧

1.利用対象者

2.音声教材の提供について

3.音声教材の使用方法について

4.音声教材需要数調査について

5.その他

1.利用対象者

質問1:音声教材使用の対象となる児童生徒の障害はどのようなものですか。

(回答)
 発達障害等により、通常の検定教科書で一般的に使用される文字や図形等を認識することが困難な児童生徒を対象としています。また、肢体不自由等によりページめくりが困難など、通常の紙の教科書を読むことが困難な児童生徒も対象となります。

質問2:通常学級に在籍する児童生徒も使用することは可能ですか。

(回答)
 発達障害等により通常の検定教科書で一般的に使用される文字や図形等を認識することが困難な状況や肢体不自由等により通常の紙の教科書を読むことが困難な状況があれば、在籍する学級に関わらず、使用することが可能です。

質問3:在籍している学年・学校より上の学年・学校の教科書の音声教材を使用することは可能ですか。

(回答)
 文部科学省の調査研究委託事業で製作されている音声教材は、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(通称教科書バリアフリー法)に基づき、障害のある児童及び生徒の学習の用に供するために作成した教材です。したがって、障害のない児童生徒が教育上の効果を高めることを目的として、現在使用している教科書よりも上の学年や学校の教科書を使用することはできません。

質問4:音声教材を使用するべきかどうかのアセスメントはどのように行えばよいですか。

(回答)
 音声教材普及推進会議(注)において、アセスメントの方法等について、東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫教授により講義いただいた説明動画を文部科学省ホームページに掲載しておりますので、御参照ください。標準化されたアセスメント方法としてSTRAW-R(ストロウ)、URAWSSⅡ(ウラウス)等や、支援への反応から評価する方法について紹介されました。
(注)音声教材普及推進会議…教育委員会、学校関係者等を対象に、音声教材の普及促進を目的として開催する会議。

質問5:音声教材を教員等が使用することはできますか。

(回答)
 障害のある児童及び生徒の学習指導を行う教員についても、法律上は音声教材の提供を受けることが可能です。詳細は令和2年12月22日付事務連絡「障害のある児童及び生徒の学習指導を行う教員への教科用特定図書等の提供について」を御覧ください。
 実際に提供を受けることが可能であるかは、事前に各団体にお問合せください。

質問6:音声教材は外国人児童生徒や帰国児童生徒も使用することは可能ですか。

(回答)
 文部科学省の調査研究委託事業で製作されている音声教材については、教科書バリアフリー法に基づき、障害のある児童及び生徒の学習の用に供するために作成した教材であるため、現時点では障害のない児童生徒については対象とはなりません。
 しかしながら、「外国人児童生徒等における教科用図書の使用上の困難の軽減に関する検討会議報告書」(令和2年3月)において、音声教材を活用して、外国人児童生徒等の学びを充実させるために、関係団体の理解を得た上で制度を見直すことなどが提言されたことを踏まえ、検討が進められているところです。

2.音声教材の提供について

質問7:音声教材を入手するためにはどのような手続が必要ですか。

(回答)
 申請方法や申請先について、文部科学省ホームページに掲載していますので、御参照ください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/1422882_00008.htm

質問8:音声教材の申請には、医師による診断書・意見書は必要ですか。

(回答)
 医師による診断書等も音声教材使用の可否の判断材料のひとつとして考えられますが、申請にあたっては必ずしも必要ではありません。「読み」等に困難がある児童生徒であることについて、教員や特別支援担当者等の判断により申請していただくことも可能です。

質問9:個人の申請の他、市町村教育委員会単位での申請のケースもあるようですが、そのような方法も可能ですか。

(回答)
 個人からの申請の他、学校や市町村教育委員会からの申請のケースも考えられます。そのような希望がある場合は、各製作団体に申請方法について御相談ください。ただし、音声教材は障害のある児童生徒を対象とする教材であるため、学校や市町村教育委員会において、対象となる児童生徒がいることが前提であり、提供をする際の対象の限定等に御留意ください。

質問10:入手するための申請手続は、いつ行えばよいですか。

(回答)
 音声教材の申請の受付は各団体で随時行っております。申請のあった教科書について、すでに団体が作成済みの教科書であれば即時提供が可能ですが、未作成のものである場合は、団体によって異なりますが、ある程度の時間を要します(既に作成済みの音声教材の一覧については、各団体のホームページに掲載されています)。このため、利用の希望をされる場合は早めに申請を行ってください。翌年度に使用される教科書について、前年度から申請受付を開始している団体もあります。なお、翌年度に使用する教科書について、4月の授業開始に間に合わせるためには、いつまでに申請を行えばよいかについては、団体により状況が異なりますので、直接利用を希望する団体にお問い合わせください。

質問11:音声教材の使用に費用はかかりますか。また、準備する機器などはありますか。

(回答)
 文部科学省の調査研究委託事業で製作されている音声教材については、原則として無償で教材の提供を受けることができます。
 ただし、教材を再生するための端末(パソコンやタブレット等)については、個人や学校等において御準備いただく必要があります。また、教材の送料等の負担が必要な場合もあります。

質問12:音声教材の提供を受けた場合でも、検定教科書や拡大教科書の給与は受けられますか。

(回答)
 音声教材は検定教科書や拡大教科書等と併せて使用する教材です。このため、音声教材の提供を受ける場合、検定教科書や拡大教科書の給与を受けた上で、併せて提供を受けることとなります。

質問13:製作団体がいくつかあるが、使用してみて合わないときに、別の音声教材に変更することは可能ですか。また、年度途中からでも使用開始することは可能ですか。

(回答)
 ある音声教材を実際に使用してみて児童生徒のニーズに合わなかった場合は、他の団体が製作する音声教材を申請し、使用することが可能です。また、年度途中からでも随時使用することが可能です。

質問14:音声教材がどのようなものか見てみたいという保護者や学校からの問合せがあった場合、何か閲覧可能なものはありますか。

(回答)
 各団体のホームページに、製作する音声教材のサンプルを公開している場合がありますので、御参照ください。
 また、過去には以下のとおり、音声教材のサンプル集を作成し配布していますので、お近くの市町村教育委員会や教科書センターにお問い合わせください。本サンプル集については、音声教材の普及を目的に保護者や学校関係者等が閲覧可能なものとして作成したものであるため、教員の研修等に使用するなど積極的に御活用いただきますようお願いします。
  ・小学校用サンプル集(平成27年3月)全国の教科書センター
  ・中学校用サンプル集(平成29年1月)全国の都道府県・市町村教育委員会
  ※当時文部科学省の委託事業を受託していた公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会、東京大学先端科学技術研究センター、特定非営利活動法人エッジの音声教材をお試しいただくことができます。

質問15:弱視等の児童生徒にも有効な機能(文字の拡大等)を持つ音声教材はありますか。

(回答)
 文部科学省の調査研究委託事業で製作されている音声教材のうち、日本障害者リハビリテーション協会の「マルチメディアデイジー教科書」、東京大学先端科学技術研究センターの「AccessReading」、広島大学の「文字・画像付き音声教材(UD-Book)」、愛媛大学の「UNLOCK」については、文字のフォントや大きさの調整、行間の調整、反転表示などの機能を使うことができます。ただし、これらの教材が弱視等の児童生徒にも有効であるかどうかは、個々の障害等の状況に応じて異なるため、申請前に音声教材のサンプル等にてお試しいただくようお願いします。
 なお、文部科学省では、高等学校における弱視等の生徒に活用いただけるよう、PDF形式の教科書デジタルデータをタブレット型情報端末等により活用する「PDF版拡大教科書」に関する事業を実施しています。本事業を受託している慶應義塾大学では、高等学校用教科書のほか、小中学校の教科書についても「PDF版拡大図書」を製作されています。
https://psylab.hc.keio.ac.jp/DLP/ 別ウィンドウで開きます

3.音声教材の使用方法について

質問16:音声教材の活用事例や自治体での先進的な取組について知りたいが、何を参考にしたらよいですか。

(回答)
 各団体で作成している音声教材の活用事例については、令和4年度、令和元年度、平成30年度の音声教材普及推進会議において、学校や教育委員会の事例発表を行っています。会議の配布資料については文部科学省ホームページに掲載しておりますので御参照ください。
 そのほか、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所のホームページの「特別支援教育教材ポータルサイト」(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所ウェブサイトへリンク)においても支援機器等の活用事例を掲載しています。
トップページ > 教材・支援機器に関する情報> 音声教材の効率的な製作方法に関する調査研究 >特別支援教育教材ポータルサイト掲載「教材・支援機器」
http://kyozai.nise.go.jp/?page_id=151別ウィンドウで開きます
※上記URLから、▶ 特別支援教育教材ポータルサイト掲載「教材・支援機器」へ

質問17:一斉授業で音声教材を使用する際の留意点等は何ですか。

(回答)
 障害のある児童生徒が使用の対象となるため、例えば通常学級の一斉授業における利用においては、他の児童生徒に音声が邪魔にならないような工夫等が必要になります。過去の音声教材普及推進会議での事例発表等においては、イヤホンの利用等により、他の児童生徒に影響を与えないような工夫や取組が見られました。また、他の児童生徒とは異なる教材を使用することになるため、他の児童生徒や保護者への理解を促すなどの対応も併せて必要となると考えます。

質問18:ある教科書の音声教材を申請しダウンロードした際、その教材は複数の端末(例えば学校のパソコンと自宅のタブレットなど)で使用することは可能ですか。

(回答)
 可能ですが、各団体へダウンロード方法等について御相談ください。
 ただし、音声教材は障害のある児童生徒を対象とする教材であるため、提供をする際の対象の限定等に御留意ください。

質問19:音声教材の長時間使用による身体等への影響はありますか。

(回答)
 電子機器等の長時間使用による影響は、音声教材に限ったことではなく一般的なICT活用における課題であると考えますが、音声教材の使用にあたっては、児童生徒の身体や障害の状況も踏まえつつ、本人の負担のない範囲での利用とする配慮が必要であると考えます。
 なお、一般的なICT機器を活用する際の留意事項等については、「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」(PDF:6753KB)を参照ください。
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/14/1408183_5.pdf

4.音声教材需要数調査について

質問20:音声教材の需要数調査の趣旨はどのようなものですか。

(回答)
 各団体が音声教材を製作する期間は、教科書の内容等により異なりますが、数ヶ月を要する場合があります。このため、あらかじめどの教科書の音声教材の需要が高いのかを把握することで、事前に製作の準備に着手することができ、音声教材を必要とする児童生徒に円滑に提供することが可能となります。また、音声教材の需要数調査を行うことで、学校現場等においてこれらの障害のある児童生徒の把握が進むことも期待しています。

質問21:音声教材需要数調査に需要をあげていなかったが、その後必要となった場合等はどのようにしたらよいですか。

(回答)
 本需要数調査は、拡大教科書のように、需要を報告していなければ提供を受けられないものではありません。使用の必要性が生じた時点で、各団体の所定の申請方法に従い申込みをしてください。また、需要数調査に需要を報告していれば自動的に提供を受けられるものではありませんので、入手のための申請手続は別途行っていただく必要があることに御留意ください。

5.その他

質問22:書字困難のある児童生徒に対する音声教材以外の支援方法がありますか。

(回答)
 令和2年度の音声教材普及推進会議における東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫准教授(当時)によるアセスメントの講義では、書くことの支援について、音声入力やキーボード入力、代筆等の方法による支援が考えられる旨御紹介いただきました。
 また、文部科学省特別支援教育課で実施する「発達障害の可能性のある児童生徒の多様な特性に応じた合理的配慮研究事業」(平成30年度、令和元年度)の成果報告書では、兵庫教育大学から書字困難のある生徒へのICT機器の活用等について事例が報告されていますので御参照ください。
(平成30年度報告書:
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/006/h30/1420879.htm
令和元年度報告書:
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/006/h30/1420879_00001.htm
 そのほか、上記文部科学省事業の成果を含め合理的配慮の実践事例については、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所のホームページの「インクルDB」(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所ウェブサイトへリンク)に掲載されており、障害種や学年等を選択して対象の事例を検索することが可能です。
http://inclusive.nise.go.jp/?page_id=15別ウィンドウで開きます

質問23:読み書き障害のある生徒が定期テストや高校入試でも問題読み上げ等の支援を受けている事例はありますか。

(回答)
 令和5年度の音声教材普及推進会議における東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫教授によるアセスメントの講義では、定期テストや入試での配慮について、事例等を紹介した資料等を御紹介いただいておりますので、御参照ください。
 そのほか、文部科学省が実施する「発達障害の可能性のある児童生徒の多様な特性に応じた合理的配慮研究事業」の成果報告書のうち、平成30年度報告書では福井県と鹿児島県、令和元年度報告書では福井県と山口県、令和2年度報告書では福井県、兵庫教育大学にも事例があります。
(平成30年度報告書(福井県、鹿児島県):
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/006/h30/1420879.htm
令和元年度報告書(福井県、山口県):
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/006/h30/1420879_00001.htm
令和2年度報告書(福井県、兵庫教育大学):
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/006/r01/1420879_00002.htm

お問合せ先

初等中等教育局教科書課

-- 登録:平成28年10月 --