多様な学習を支援する高等学校の推進事業 採択事業一覧(平成27年度)

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団体名

 調査研究課題名

調査研究概要 

1

青森県教育委員会 

ICTを活用した高等学校における遠隔教育の普及・推進 

青森県は構成市町村の約70%が過疎地であり、そのような地域においても活力ある教育活動の維持を図るため、県立高等学校の計画的な統合を進めてきたところであるが、地理的要因による通学困難などを配慮した結果、1~2学級の小規模校が点在化している。
それに伴い、小規模校においては教科・科目の開設に制約を受ける状況にあり、過疎地に居住する生徒の教育機会の確保は喫緊の課題である。
このような課題を解決する方策として、ICTを活用した遠隔教育に関する研究を実施し、ICTに関する知識やスキルの蓄積を図り、本県高校教育の機会と質の確保及び教員の指導力向上を目指す。
具体的には、同じ総合学科である木造高校の教育資源を深浦校舎へ提供することで、生徒の能力・適性、興味・関心、進路志望に応じた教科・科目を開設し、小規模校での高校教育の質の確保・向上につながる先進的な事例として、同様の課題を抱える県内の高等学校へ示す。

[調査研究校:青森県立木造高等学校、木造高等学校深浦校舎] 

2

山形県教育委員会

定時制通信制課程における支援・相談体制の構築(外部機関の教育力を活用した学校と生徒の社会力の向上) 

外部機関との連携と協働により、定時制通信制高等学校の組織的な問題解決力の向上を図ることを目指す。
山形県立霞城学園高等学校を本県定時制・通信制課程の拠点校とし、県内5校の定時制・通信制課程を持つ県立高等学校を連携校とする。
拠点校にソーシャルワーカーを配置し、家庭等に問題を抱える生徒への相談活動など直接的な支援を行うとともに、外部機関との連携の推進やライフスキルアップセミナーの開催などを、教職員との協働のもと実施する。また、キャリアカウンセラーを配置し、生徒の就職先の開拓や外部との連携による進路実現の拡大を図る。
また、連携校には、ソーシャルワーカー及びキャリアカウンセラーを必要に応じて派遣するなどして、連携を密にしながら成果を共有する。
年2回、有識者や県教委、関係機関による構成される会議を開催し、上記取組の検証及び成果の普及を図る。

[調査研究校:山形県立霞城学園高等学校] 

3

神奈川県教育委員会 

定時制・通信制課程における支援相談体制の構築 -外部機関とのネットワークづくりや重層的支援の充実を通して-

横浜修悠館高等学校では、外部機関と連携し、専門相談員が常駐する「修悠館サテライト」の校内外の相談センター化を目指す。
また、スクールソーシャルワーカーを相談員とともに「修悠館サテライト」に配置することで、登校が難しい生徒等に対する相談支援体制も整える。「修悠館サテライト」を中心に、校内「支援連絡会議」を通して情報を共有し、重層的支援によって得られる相談・支援のデータベース化を図るとともに、生徒一人一人の学習や生活にとってより良い効果が得られるシステムを構築する。
さらに、校内外への周知方法等の工夫改善を図る。
厚木清南高等学校では、発達障害等の生徒や外国につながる生徒など、きめ細やかな支援を必要とする生徒に対して、支援を提供する体制を構築し、その効果を検証する。校内においては、定時制・通信制だけでなく、全日制の協力も得ながら、学校全体として取り組んでいく。

[調査研究校:神奈川県立横浜修悠館高等学校、厚木清南高等学校]

4

福井県教育委員会 

通信制高校生徒の不登校状態を防ぐ支援体制の構築をめざして 

調査研究校は定時制併設の県下唯一の公立通信制高校であるため、小中学校・全日制・定時制高校で不適応を起こした生徒たちが、最後にたどり着く受皿的役割を持つ。
また、入学したものの登校できない生徒、途中で登校しなくなる生徒も存在している。
本研究では生徒たちと学校のつながりを維持するため、「より学習しやすい環境づくり」と「不登校状態の未然防止」を目標とし、不登校状態生徒の状況把握、欠席生徒への初期対応を重視し、それを踏まえた支援体制の構築を目指す。
具体的には、相談室のおたよりをもとにした欠席初期段階の現状を検討・支援する組織、学校とのつながりを保つため、授業を含めた多方面からの支援方法を検討する組織など、どのような組織を作り、校内の組織と外部の専門者組織をどう連携させていくのかを検討し、実践しながら修正を加え、更によりよい未然防止策を研究していく。

[調査研究校:福井県立道守高等学校] 

5

長野県教育委員会

遠隔教育による多様な学習の支援とICTによる確かな学力の育成

少子化に伴う専門高校の規模の縮小化に対応して、平成27年度に農業科、工業科、総合学科を持つ2キャンパス制の佐久平総合技術高等学校が開校した。
この2キャンパス(浅間キャンパス、臼田キャンパス、両キャンパス間10km)に遠隔教育システムを導入し、通常授業の同時双方向展開によるきめ細かな指導を行うことにより教育水準の向上を図る。
また、実習等を伴う専門教科における実用性の検証、思考力・判断力・表現力の育成に資するアクティブ・ラーニングの学習形態の研究など、高校教育の新たな可能性を探る。
さらに、学科の枠を超えた科目設定や学科連携授業を通じた学習のニーズや進路実現に対応した新たな学習方法及び評価について研究開発する。

[調査研究校:長野県佐久平総合技術高等学校] 

6

静岡県教育委員会

単位制の定時制高等学校におけるソーシャルワーカーによる支援体制の構築 ~単位制・定時制高等学校における生徒の社会的包摂~

本県では、これまで県立高等学校にソーシャルワーカーを配置していないため、本県の実態を踏まえた活用方法が定まっていない。
ソーシャルワーカーの位置付けや有効的な活用法を研究するとともに、ソーシャルワーカーの専門的知見を取り込み、教職員が学校組織における生徒対応力を高めたり、外部専門機関との連携を積極的に進めたりしていく力を身に付けることで、家庭や精神疾患等に起因する不登校や学業不適応に有効的な対策を採り、学び直しの継続や中途退学に歯止めをかける。
これら一連の過程をまとめ、単位制による定時制の課程を設置する高等学校にソーシャルワーカーを導入する方法や対応事例等を示した手引きを作成し、研究成果を広く活用する。

[調査研究校:静岡県立静岡中央高等学校] 

7

徳島県教育委員会

「つなぐ」徳島 プロジェクト ~「支援・相談」でつなぐ生徒の未来~

徳島県内の定時制・通信制課程で学ぶ全ての高校生が自己有用感を持ち,社会における自己の役割を自覚し,職業人として活躍できる人材として成長するため,徳島中央高等学校を拠点校とし,初年度は近隣2校を協力校とした支援・相談体制を確立し,次年度以降は支援・相談体制の対象を県内全定時制高校へ拡充する。
前提として,平成26年3月に策定された「徳島県キャリア教育推進方針」にのっとり,社会的・職業的自立に向け必要な基盤としての基礎的・汎用的能力の育成を図るための,入学時から卒業までを見通したキャリア教育全体計画をふまえ,特別な支援を必要とする生徒に対する支援,ソーシャルスキル向上支援,学力向上支援,就労支援の各支援を有機的に構成し,支援・相談体制の確立に取り組む。
各学校各課程それぞれの独自性を生かしつつ,支援の汎用化の可能性についても検証する。

[調査研究校:徳島県立徳島中央高等学校]

8

徳島県教育委員会 

過疎地の高校における遠隔授業の導入に関する調査研究
~総合教育センターを配信拠点とする体制の構築について~

少子高齢化の急速な進行により,高校が小規模化し近隣高校との統廃合が進んでいる。
しかし,統廃合により誕生した高校でも,特に過疎地域を中心として,今後,小規模化が確実視される学校も現れている。このような過疎地の高校において多様な教育活動,特に魅力的な授業の展開を維持し,生徒の学習ニーズに対応した授業を実施する方策として,ICTを活用したテレビ会議システムによる遠隔授業に取り組む。

具体的には,

  1. 総合教育センターからの配信方式における遠隔授業実施体制の研究
  2. 効果的な遠隔授業を実施するための環境についての研究
  3. 遠隔授業における評価手法の研究

などの調査研究を踏まえ,小規模でも多様な授業を展開できる学校の在り方についての実践研究を行う。

[調査研究校:徳島県立海部高等学校] 

9

高知県教育委員会 

遠隔教育における学校体制の構築と生徒の能動的な学習を支援する汎用的な学習指導方法の研究 

遠隔教育による単位認定に向けて、配信校・受信校の教育課程の開発を行う。
また、そのための教務内規の改正や配信校及び受信校の教職員の配置条件等についても検討を行う。
授業形態としては、有効な手段として、講義形式の授業からアクティブ・ラーニング型の授業への転換を目指し研究する。
なお、遠隔教育では、生徒の意欲や活動の状況などの観察方法が直接授業とは異なるので、より適切な評価を行うことができるように形成的な評価の在り方等についても研究する。
これらの取組については、有識者による多様な学習支援推進事業に関する検討会議を立ち上げ、遠隔教育に関する生徒や教員へのアンケート分析もあわせて、遠隔教育の有効性を実証する。

[調査研究校:高知県立高知追手前高等学校(本校)、吾北分校]

10

長崎県教育委員会

高等学校における遠隔教育の普及推進に関する調査研究 ~Web会議システムを用いた遠隔授業による教育効果について~

Web会議システムを用いた遠隔授業を実施した場合の教育効果等についての実証研究を行う。
遠隔授業で教育効果が得られる教科は何か、また、教育効果が得られる実施時数など、様々な観点から諸問題を整理し、改善策等を研究する。
平成27年度は、「音楽」と「家庭」の2科目で、遠隔授業に適した教材や授業方法を研究するとともに遠隔授業と対面授業での学習理解度の差について検証する。
さらに、遠隔授業における著作権の例外規定の問題点整理と遠隔授業での教科書使用手続を整理する。
また、生徒の論理的な思考力を高めるために、遠隔授業システムを活用したメディア学習を「総合的な学習の時間」を用いて実施し、受信側が複数学級になった場合の機器構成や課題を整理する。
以上の研究を踏まえ安価なシステムを利用した遠隔授業の授業モデルを提案する。

[調査研究校:長崎県立対馬高校、豊玉高校、上対馬高校、島原高校] 

11

学校法人科学技術学園
(東京都)

定時制・通信制高校が可能な学習支援の構築についての調査・研究 =学び直し学習による学習支援と特別な対象者への学習支援についての調査研究=

定時制・通信制高校は働きながら学ぶ生徒、遠隔地で通学できない生徒などを対象とした課程としてスタートした。
現在でも働きながら学ぶ生徒、高齢者などの学習の場にはなっているが、不登校生や全日制高校の退学者などが多くなり制度がスタートしたときとは異なる状況になっている。
また、通信制高校においては一部ではあるが、単に「高校卒業資格」を得る場所になっている。
この現状の中で定時制・通信制の教育をポジティヴにとらえ前向きに学習している生徒、真剣に学び直しを望んでいる生徒も多くいる。
本研究では 学び直し、学習意欲の回復は定時制課程を中心に実施する。通信制課程においては学び直し・学習意欲の回復の効果的な方法と可能な学習支援の方法について調査研究をしたい。
さらに、通信制課程では不登校への学習支援の在り方についても調査研究する。

[調査研究校:科学技術学園高等学校] 

12

学校法人国際学園
(神奈川県) 

通信制高等学校における多様な生徒への個別支援システムの研究・開発

本調査研究は、調査研究校に在籍する生徒の状態像を調査・研究・分析して、より充実した生徒支援・相談体制を構築し、多様な生徒の学習ニーズに応じた通信制高校の在り方やそれに基づく新たな取り組みを推進し提言するものである。
上記事項を達成するために、在籍している生徒の中学時若しくは前籍校時の状況、入学時から卒業時までの状況を調査するとともに、入学時から卒業時までにどのようなアプローチを行ったか調査し、生徒の状況とアプローチを類型化し、生徒全員の指導計画を作成するシステムの構築に関して研究する。
これらの調査研究の結果、生徒本人の状況にあった目標の設定、教育環境の確保、生徒個々に応じた対応を実現し、学習意欲の向上・継続が図られ、生徒が次代を創る主体としての社会的自立を果たす自己実現ができるよう指導するための支援計画を作成するシステム(キャリアガイドシステム(仮称))を構築する。

[調査研究校:星槎国際高等学校] 

13

学校法人太平洋学園
(高知県)

定時制・通信制課程における生徒の自立を促す支援・相談体制の構築 ~「自立支援プログラム」「地域連携プログラム」の作成と実践を通して~

昼間の定時制課程と狭域の通信制課程を併設する本校には、不登校や発達障害など個別の教育的支援を必要とする生徒、ネグレクトや経済的に困難な家庭環境の中にいる生徒など、多様な課題を抱える生徒が多く在籍している。
そこで、本校の教育活動を「生徒の自立」の視点で再点検し、学校全体としての教育活動として、また個々の生徒の課題に応じたものとしての「自立支援プログラム」を作成・実践し、その成果を検証する。
次に、生徒のキャリア形成につなぐために社会性を育むための「地域連携プログラム」を作成・実践し、その成果を検証する。
さらに、地域の福祉や医療、NPOなどの支援機関と学校(教職員やスクールカウンセラーなど)との連携を、校内に常駐するスクールソーシャルワーカーを軸として実践・推進することによって、中途退学者の未然防止、及び生徒個人に対してだけでなくその環境調整をも含めた自立支援の、より円滑で効果的な在り方を探る。

[調査研究校:太平洋学園高等学校]

14

岩手県教育委員会

教育の質保障を目指し小規模校が連携する遠隔授業の実証的調査研究

本県は、広大な県土を有し、地理的条件から今後の中学校卒業予定者の減少に伴い、多くの高校において小規模校化が進むことが見込まれている。小規模校においては、生徒一人ひとりに対して、きめ細かい指導が可能なメリットがある一方で、教員定数の関係から各教科・科目等の専門知識を有する教員が十分に確保できず、生徒の多岐にわたる進路希望に応じた教育課程の編成に制約が生じることがデメリットとなっている。このようなデメリットに対しては、教員の相互派遣や校舎制の導入などが考えられるが、ICTを活用した遠隔授業も有効な解決策として期待されているところである。そこで、本調査研究では、調査研究校を指定し遠隔授業を実施するためのシステム構築や遠隔授業の効果的な活用方法等について実証的な調査研究を行い、複数の小規模校が不足する教員を補完し合うことで教育の機会と質の確保を目指すものである。

[調査研究校:岩泉高等学校、西和賀高等学校]

15

学校法人白百合学園
(宮城県)

通信制を活(い)かした支援体制の構築とアセスメント方法の開発
~一人ひとりの個性・能力を活かすための支援体制を設計し、それをアセスメントによってより効果的な取り組みに改善する試み~

宮城県ではここ数年、東日本大震災の影響もあり、中学生の不登校率ワースト1の状態が続いている。不登校状態にある生徒に自己有用感を育み将来への展望を持たせるためには、通信制における効果的な支援体制の設計が急がれる。この調査研究では、まず生徒一人ひとりの個性・能力を伸ばし、自分を社会に役立てようとする志を育てるための学習プログラムを設計し実践する。それを独自に開発したアセスメント方法によって検証し、学習プログラムの内容や運営組織などの改善を通して、外部機関とも連携した総体的な支援体制の構築を目指す。アセスメントによる支援体制の改善の過程と、それに伴う生徒の資質向上の過程を追跡調査する研究である。
(なお、本調査研究の「支援体制」とは、学校と外部機関が連携する「運営組織」と、その組織を通して生徒を支援する「学習プログラム」の両者を指す。)

[調査研究校:仙台白百合学園高等学校]

お問合せ先

初等中等教育教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成27年08月 --