平成23年1月 杉並総合高校 始業式での校長挨拶(三橋信也氏発表資料)

平成23年1月11日

平成23年1月 杉並総合高校 始業式での校長挨拶

(ホームページに掲載)

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 皆、思い思いの正月を向かえ、新年にあたり気持ちを新たにしたことと思います。

 昨年末の終業式でもお話しましたが、目標の持てる人は幸せであるとともに、目標があるからこそ毎日、前に進むことができるのです。皆、今年一年の目標を持っていると思いますが、その目標に向かって力強く前進して欲しいと思います。

 さて、私は、これからの日本人は海外に出ていかなくていけないということをよく話しますが、今日はそのことについて話したいと思います。

 去年の秋でしたが、ある新聞の記事で、新宿西口の一流ホテルの外国人シェフが、東京で働く理由を聞かれて、日本には高級な食材・料理を味わい評価する市場がある(市場があるというのは、日本人は高くてもおいしいものを食べてくれるということですが)ことと、物が豊かで町にあふれていることを揚げておりました。又、これはもう随分昔のことですが、フランスのルイヴィトンの社長が日本に来て、日本の女性が皆、ルイヴィトンのバッグを持っており、町にルイヴィトンがあふれていることにびっくりしました。又、中国の最先端の町といえば上海ですが、上海の金持ちは最新流行の品物を買うときには、香港か東京に来ます。新宿の一流ホテルのシェフ、ルイヴィトンの社長、上海の金持ちの話は、東京が豊かでものがあふれていることを示しています。何故、そんなに豊かで物があふれているのでしょうか。それは、それを買う日本人がいるからです。その日本人はどうしてそういう高級なものを買うお金をもっているのでしょうか。勿論、日本全体から見れば、そういう高級品を買える人は一部のお金持ちや給料の高い会社の社員なのですが、それでも、豊かな人も貧しい人もひっくるめた日本の国としては、他の多くの国に比べ豊かなのです。何故、豊かなのでしょうか。皆さんもよく知っているように、日本は天然資源が少ないので、原料を輸入してよい製品を作って海外に輸出してお金を稼ぎ、そのお金で輸入しているのです。そういう製品として、すぐ思いうかぶのは自動車や電気製品、会社の名前で言うと、トヨタやソニー、パナソニックなどですね。

 これはわかりやすい製品ですが、それだけではありません。鉄鋼や各種の部品、機械などでも日本にしか作れない製品はたくさんあります。

 今は、わかりやすいように、高級ブランド品の輸入の話をしましたが、我々がスーパーで買う食材も同じことです。つまり、日本という国は品物を外国に売って、その代金で色々なものを買って豊かな生活をしているのです。

 ところが、今、そうした日本の企業が海外に出ていくようになりました。日本で物を作っても、少子高齢化で買う人が少ない、つまり日本と言う市場が小さいので、海外で人を雇い海外で物を作り海外で売るようになってきているのです。パナソニックは今年1390人の社員を採用するそうですが、うち1100人は外国人だそうです。つまり、パナソニックがよい製品を開発してもそれは海外で作られ海外で売られ海外で働く人の給料になるのです。パナソニックという会社自体では海外で得た儲けは日本に送られてきますが、日本人社員の給料が増えるわけではありません。例えば、皆さんが日本の国内でパナソニックの電気製品やトヨタや日産の自動車の販売店に勤めたとしましょう。日本では、もう皆テレビや車を持っているし、少子高齢化で若いひとが少なくなって、売れる量は知れています。小さな市場で、皆が競争して売ろうとしますから、値段は下がります。つまり、売れる量は少ないし値段は安いとなったら、販売員である皆さんの給料もあがるわけはありません。ものの値段が下がり、給料が下がり、再び、ものの値段が下がります。日本にいても給料の高いよい仕事は少ないし、いつまでたっても生活は苦しいということになります。

 一方で、海外には常に毎年大きく成長している国々があります。BRICsと称される国々、ブラジル、ロシア、インド、チャイナのほかにもベトナム、インドネシア、トルコ、タイ、アルゼンチン、南アフリカ共和国、メキシコ、イラン、イラク、ナイジェリアなどは平均年齢が25歳から30歳くらいと若く、人口は5000万人以上、経済成長率は年8%もあります。日本始め先進国の経済成長率は高くて3%くらいですから、これらの国々の成長率が如何に高いかわかります。これらの国々に行けば、ビジネスチャンスは非常に大きいのです。只、一人でこれらの国々に行って働いても、その国のレベルの給料しか取れませんから、余程、成功しない限り、仕事はあっても豊かになれるとは限りません。日本の企業に勤めて、その企業の駐在員としていくのがよいでしょう。これからは、大企業だけではなく、中小企業も、それも色々な分野の産業が日本の強みを生かして海外に出ていくでしょう。例えば、ホテルやレストラン、美容院、各種の学校も海外に出ていくところが出てきます。大学に進学する人のみならず、シェフや美容師、服飾関連に進もうと考えている人も海外に目を向けて欲しいと思います。杉総の皆さんには是非、海外に雄飛して欲しいと願っています。その為に、自分の希望する進路とその進路の先に海外があることも考えて、語学をはじめ日々の学習をしっかりやり、充実した一年にして欲しいと思います。

以上

 

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年06月 --