大分県教育委員会からの御意見

所属・現職等

大分県教育委員会 教育委員長 小矢 文則 氏

御意見

1.高校における教育の質的な保障について

(1)問題点
 高校全入時代となったが、近年、生徒の学力等には大きなばらつきがあり、高校卒業時に、すべての生徒に高校教育で身に付けるべき基礎学力が備わっているか疑問である。基礎学力を身に付けているかは、就職や社会生活を順調に営んでいけるかを左右する。また、大学入試で学科試験を課さないAO入試や推薦入試などの導入は、進学を希望する生徒の基礎学力の習得に偏りを生じさせている。このようなことから、高校卒業時の習得学力の保障を行う必要がある。

(2)解決策
 高校卒業までに確実に身に付けさせる基礎学力の水準を明確化し、基礎学力の定着状況を測定する全国レベルでの評価テストの作成と活用を検討すべきである。

2.高校教育の本来の在り方について

(1)問題点
 高校全入時代となり、多様な価値観を持った生徒や保護者が増え、高校教育へのニーズも多様化している。しかし、多様な生徒や保護者のニーズを同じ「高校」という枠内で議論することは、限界だと考える。農家や漁師を目指したり、海外での活動に目を向けたり、社会的な自立を目指したり、生徒は様々な進路を描くようになったが、既存の高校では、多様なニーズに対応しきれなくなっていると思われる。

(2)解決策
 高校教育で何を行うかについて再定義する必要がある。例えば、高校を政治経済、科学技術、教育福祉などの分野別に分ける等の方策が考えられる。

3.高校教育における公費負担範囲の在り方

(1)問題点
 現状では、生徒の進学希望達成のため、高校の教員は始業前、授業終了後、土日など、教育課程外の補習授業を行っている。特に進学校では、保護者・生徒の希望も多く、ほぼ義務的な状況となっている。また、部活動を担当する教員も同様の状況である。このように、それぞれの高校で当然行うべき範囲の業務をPTA会費等の私費負担によりまかなっている状況は疑問である。

(2)解決策
 高校教育のうち、どこまでを公費負担の対象とするのかを高校の在り方全般の見直しと合わせて検討すべき。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --