岡山県教育委員会からの御意見

所属・現職等

岡山県教育委員会 教育委員長(株式会社マルイ代表取締役社長) 松田 欣也 氏

御意見

  少子高齢化や国際化など、社会状況がめまぐるしく変化する中、柔軟でたくましく対応できる人づくりを進めなければならない。
 次代を担う人材を育成するため、高校教育において何が必要かという観点から教育内容を考えるべきである。

1 生徒数減少に対する教育環境の維持・確保

  平成14年度から県立高校の再編整備を実施し、生徒募集する県立全日制高等学校は、68校から平成23年度には52校になった。本県の中学校卒業見込者数は平成元年の約32,500人をピークに減少に転じ、平成22年には約19,400人となった。今後、平成30年度まで19,000人前後で推移し、それ以降、さらなる減少に転じると見込まれている。
   高校が地域社会に果たす役割、生徒の広域的な通学の便や、通学等に係る家庭の教育費負担への考慮とともに、各地域における高校教育を受ける機会の確保と教育水準の維持・向上を図っていくことが重要である。そのためには、地域の状況を踏まえ、学校規模や生徒募集定員を弾力的に考え、さらなる再編整備を極力回避し、小規模校化する中で一定の教育環境を維持していくことが重要であり、教員の加配や通学費補助等、国としての支援施策を希望するところである。

2 職業系専門学科の意義

  進路意識や目的意識が希薄な傾向や、他の学科に比べ厳しい就職状況にある普通科の在り方が全国的な課題とされている。
  本県では全国に比べて、普通系学科の割合が低く、職業系学科の割合が高いという特徴があり、また、職業系学科の志願倍率は普通系学科よりも高い。職業系学科では、実践的、体験的な活動を通して学習意欲や自己肯定感を高めるとともに、勤労観・職業観を養う教育がなされており、今後とも、職業系の学科比率が高いという本県の特徴を活かし、キャリア教育・職業教育の実践を工夫していきたい。

3 キャリア教育の充実

  産業や経済がグローバル化する中で、常に問題意識を持って課題を発見し、その解決に向け他者と協働して粘り強く取り組むことができる、国際競争力のある人材の育成が不可欠である。そのためには、基礎・基本の習得はもとより、それらを活用・探究する学習をしっかりすべきであるが、卒業後に必要な資格の取得や、大学の入試科目に対応した教科・科目の修得等を考えると、教育課程の編成は硬直化している現状がある。
  必履修教科・科目のさらなる精選により教育課程の編成を一層弾力化するとともに、高等学校と大学の接続の在り方、学校教育と社会の接続の在り方など、中等教育や高等教育において十分な学習環境を担保できる仕組みづくりを社会全体で考えていくことが必要である。

4 高等学校における特別支援教育の課題

   高等学校でも幼稚園、小・中学校と同様に、発達障害を含む特別な支援を必要とする生徒が在籍しており、校内支援体制の整備等に努めているところである。しかし、支援の必要な生徒に対する授業中の学習のサポートや予測できない行動への対応など、教員一人だけでは必要な支援が困難な状況がある。このことから高等学校にも、特別支援教育支援員が配置できるよう、十分な地方財政措置を講ずる必要がある。
  さらに、一人一人の障害の特性に配慮し、必要に応じた指導・支援ができるよう、少人数指導を行うための教員の加配や、特別な教育課程を編成しての特別支援学級や通級指導教室の設置も視野に入れた制度面の検討が必要である。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --