富山県教育委員会からの御意見

所属・現職等

富山県教育委員会 教育委員長 村井 和 氏

御意見

1 今日の高校教育が抱える問題点(課題等)

  変化の激しい時代にあって、これからの富山や我が国を担う若者をしっかりと育てていくため、次のような課題等への対応が必要であると考えている。

(1)自らの将来を切り拓く力と国際人としての資質、社会貢献への意欲・態度の育成

(2)いじめや不登校等への対応

(3)優秀な教員の確保、育成

(4)学校施設の老朽化対策(本県における築30年以上経過した建物は全体の56.58%)

2 その解決策

<県としての対応>

 県教委では、上記の課題等に対し、次のように対応している。

(1)自らの将来を切り拓く力と国際人としての資質、社会貢献への意欲・態度の育成
ア.全ての県立高校での中長期視点に立った教育改革の推進
 各校においては、それぞれの現状や課題を踏まえ、中長期のビジョンを策定し、教育充実に向け実効性のある改善・改革に努めており、教育委員会としても、積極的に支援している。
イ.探究科学科の開設
 理系と文系の両分野において、科学的な思考力や課題解決能力、表現力等の育成を目指す探究科学科を、平成23年度3校に開設することとしている。
ウ.ふるさと教育の推進
 すべての高校生が郷土や近現代の日本の歴史、文化を「世界史」や「現代社会」の中で、無理なく学ぶことができるよう、補助教材の作成やモデル校での試行に取り組んでいる。
エ.ものづくり教育の充実
 県立高校の再編統合により、平成22年度に、ものづくりの中核となる総合的な工業科高校を県東部・県西部に各1校開設し、職業意識の高いものづくり人材の育成に努めている。

(2)いじめ・不登校等への対応
 学校全体で未然防止、早期発見・早期対応の体制をつくるとともに、スクールカウンセラー等専門家を活用し、生徒が抱える多様で複雑な問題の解決に努めている。
 また、ネットの安全・安心な使い方について、生徒・保護者・教職員を対象とした研修会を開催するとともに、ネットパトロールで問題の早期発見に努めている。

(3)優秀な教員の確保、育成
 本県出身の教員養成系の大学生に教育委員長の手紙を送付したり、県外大学を訪問したりして、本県の優れた教育環境や教職の魅力をPRするなど、受検者の確保に取り組んでいる。
 また、教育実践に優れた授業力向上アドバイザーや退職教員等を活用しながら、熟達教員の持つ優れた指導技術を、研修等を通じて若手教員に伝承する機会を増やしている。

(4)学校施設の老朽化対策
 修繕予算を確保するとともに、壊れてから修繕する対処的修繕ではなく、予防的な修繕への転換を図るため、建物の修繕履歴の整理を進めている。今後、建物の改築を計画的に行うための年次計画の策定につなげていきたい。

<国への要望>

 国においては、このような地域の実情に応じた先導的な教育活動が円滑に推進できるよう、魅力ある学校づくりのための加配教員等の人的措置を含めた支援、学習指導要領の運用の弾力化や教育施設等の環境整備などについて、格段の配慮をお願いしたい。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年05月 --