宮城県教育委員会からの御意見

所属・現職等

宮城県教育委員会 教育長 小林 伸一 氏

御意見

1.今日の高校教育が抱える問題点(県教育委員会「新県立高校将来構想(H22.3策定)」から)

  • 高校全入時代における生徒の多様化の中、すべての高校生に一定水準の学力等を身につけさせるとともに、知識基盤社会の到来を見据え、大学進学率の向上等高等教育機関につなぐ教育の充実。
  • 次代の社会人・職業人の育成に向けた勤労観・職業観の涵養、産業経済の動向を踏まえた専門的知識・技能の獲得、郷土愛を持った地域リーダー養成等といった社会の要請に対する適切な対応。
  • さらなる中卒者数減少に対応した適切な教育環境の確保。

 2.その解決策~本県としての取組(県教育委員会「新県立高校将来構想(H22.3策定)」他から)

(本県高校教育における人づくりの方向性)
 本県では、上記の高校教育を取り巻く課題等を踏まえ、平成23年度から平成32年度までの県立高校の在り方を示す「新県立高校将来構想」を平成22年3月に策定。その中で、今後の本県高校教育における人づくりの方向性として「主体的に生き抜く力の育成」と「人と関わる力の育成」の2点に焦点を当てながら、下記に重点を置いて取り組むことにしている。

(1) 学力の向上

  • 習熟度別授業・少人数授業等による学習内容の定着率向上、日々の適切な課題提供による家庭学習習慣の定着等。
  • 高校教育が義務教育からの積み重ねであることなども踏まえ、平成25年度から、より教育効果の高い入学者選抜方法を導入(推薦入試の廃止等)。
  • これまで工業高校や商業高校などの専門高校を中心に行われてきたインターンシップなど学校外の教育資源を活用した取組を、今後は学科を問わずすべての高校で実施。

(2) キャリア教育の充実(「志教育」の推進)

  • 自己の適性等と社会の中で果たすべき役割の自覚を通して、学ぶことの意義の理解を促しながら、勤労観や職業観の涵養、主体的に進路を選択する能力や態度の育成を、小・中・高等学校を通した系統的な教育活動の中で推進。(本県では、平成22年度から「志教育」と位置づけて実践。各県立高校では、現在「キャリア教育推進計画」を策定中。)

(3) 地域のニーズに応える高校づくりの推進

  • 地域社会における人材育成拠点としての役割を踏まえ、学科バランスや学校規模、学科設置等に関し、地域のニーズを踏まえた学校づくりを推進。
  • 積極的な学校情報の発信、学校施設の地域開放等、開かれた学校づくりの一層の推進。

(4) 教育環境の充実、学校経営の改善

  • 授業力向上を目指した県教育委員会主催の研修会や校内研修の充実等による教員の資質向上。
  • 生徒や保護者の意見を十分参考にした学校による自己評価に加え、学校評議員などを活用した学校関係者評価の定着による学校経営の「改善の循環」を促進。

(5) 社会の変化に的確に対応した学科編成・学校配置

  • 普通教育及び専門教育を学べる基本的な体制を確保しながら、本県の産業構造・就業状況の変化、各地区の学校配置、産業構造の違いなどを踏まえた各種学科を配置。
  • 地域との関わりや教育の機会均等、活力維持や教育機能を十分発揮し得る学校規模といった視点に配慮しながら、生徒数減少の動向を的確に踏まえた学級数の削減と再編整備。

3.国への要望事項

(1) 教職員の定数改善

  • 特色ある学科づくりや学校経営機能の強化を図るための加配措置を拡充すること。

(2) 問題を抱える生徒等への支援の拡充

  • 中途退学、不登校、障害のある生徒など多様な生徒、保護者に対応するためスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの学校への配置に係る支援を拡充すること。

(3) キャリア教育の充実

  • 望ましい勤労観・職業観を育むための体験型学習の機会を確保するために、インターンシップやデュアルシステムで生徒を受け入れる企業等への支援策を講じること。
  • 進路指導等の充実を図るため、高等学校へのキャリアアドバイザーの配置について、財源措置を講じること。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年04月 --