ここからサイトの主なメニューです

岩手県教育委員会からの御意見

所属・現職等

岩手県教育委員会 教育委員長 八重樫 勝 氏   

御意見

1.現状

(1) 大方の高校生は健全で、高校生活を謳歌している。
(2) 一部無気力な暮らしをしている高校生がいる。

2.課題と対策

(1) 目的意識を持たずに入学している生徒がいるのではないか。

○高校進学率98%(ほぼ全入)の時代であるので、不本意入学をする生徒がいても仕方ないかも知れないが、目的を持って入学させたい。送る側(中学校側)にも課題がある。
 不本意入学、目的意識を持たないまま入学した生徒の中には、無気力な生活をして3年間を送る生徒もいるのではないか。

  • 「高卒」の資格が必要である。
  • ゲーム、遊びに走る。
  • ファッション等にだけ興味を示す。

○高校入学の早い段階(時期)で指導が大事である。

  • なぜ学ぶのか。何を学ぶのか。働くということについて。
  • 将来どういう生き方をするのか。どういう人生を送るのか。
  • 我慢をすることや何かに熱中することの大切さ

 などについて教え込む。
 考えさせることも大事だか、きちんと教え込むことも大事。高校3年間はある程度の制約(校則)の中で生きることが大事である。
 教師の指導力、熱意に期待。
 必要に応じて、地域の人材を活用する。その道のプロ、成功した人、挫折した人等、多彩な人々の力を活用する。3年後(卒業時)の生徒像を明確にして教育に情熱を傾けることが大事。

(2) 高校の格差について

 個々の高校の評価について社会(大人)の意識を変える必要がある。
 高校入学時にすでに得点の上での差が厳然としてある。とはいえ、国公立大学への入学者数や難関大学への合格者数で「高校」を評価するような見方を改善したい(改めたい)。
 「進学校」「底辺校」などという言葉を無くしたい。そういう言葉・見方が生徒の無力感を助長する。
 大学の合格者数などに差があるのは当然だが、それが高校の優劣につながるような見方はしたくない。
 生徒一人一人の将来の夢、希望を実現できるように指導・援助するのが、教育、教師の役目である。
 点数や学(校)歴だけで人間の価値は計れない。

 

所属・現職等

岩手県教育委員会 教育委員(黒石寺住職) 藤波 洋香 氏

御意見   

 高校全入時代を迎えた今日、不登校やいじめ、学力の低下など義務教育である小中学校の抱える問題がそのまま高校に移行してきている。高校の場合これにさらに中退や性の問題などが加わって、昔とは比べものにならないほど問題は複雑化し生徒は多様化してきている。高校の全入化は決して悪いことではなくむしろ望ましいことであるが、そのために教師の負担と教育の困難さは増している。
 解決策のひとつとしては、1学級の人数を30~35人に減らすことが考えられる。義務教育においては35人学級が次第に現実のものとなりつつあるようだが、高校においても同様の措置が必要と考える。高校生は人格のかなりの部分ができあがっており、教師が生徒をひとりの対等な人間として理解し指導するには相当な時間とエネルギーを必要とすると考えられる。特に高校生の場合、進学するにしろ就職するにしろ進路の問題が大きなウエイトを占めることとなるので、生徒の性格や適性、時には家庭環境までも考慮したうえでの進路指導は欠かせない。このようなことを考えると1学級40人というのは教師の負担があまりにも大きすぎるのではあるまいか。もちろん担任ひとりが30~40人の生徒の進路に責任をもつということではなく、学年全体、学校全体での指導体制の構築も必要となるであろう。
 次に学力についてであるが、全入ともなれば学力差が大きいのは当然で、どの高校も一定以上の学力が保証されているというわけではない。そういう場合、教師に求められるのは「わからない子にわかるように教える」という力量ではあるまいか。高校の教師は専門科目については高度な知識を要求されるのは当然であるが、「生徒にわかるように教える」という授業の技術も磨いてもらいたい。進学校が有名大学への進学率を競うのはある意味しかたのないことではあるが、もっと根本的には「学ぶことに興味をもたせる」「わかる喜びを教える」というようなことに意を用いてほしいし、そのことが基礎学力の向上につながるのではあるまいか。自ら知りたいと思い、知る喜びを知っていれば学ぶ意欲はおのずから湧いてくる。それが高校時代には実を結ばなかったとしても、長い人生の間には大きな力になるはずである。
 そして先生方の授業力、指導力について語るとき問題となるのが教師の多忙化である。
 私は早朝の課外授業や放課後の部活動の指導に熱心に取り組んでいる先生方を目の当たりにしてきたので、その努力にはただただ頭が下がるばかりである。しかし先生の熱意に頼ってばかりいたのでは問題は解決しない。教師の多忙化が問題になって久しいが、現状はあまり改善されているようには見えない。会議の効率化や報告文書の簡素化などは当然おこなわれてきたと思うのだが果たしてどの程度の効果があったのだろうか。特に部活動については改善の余地が大きいと思われる。社会体育との連携や地域の指導者の活用など教師の負担を減らす方法をもっと真剣に探るべきである。そして親も教師に過重な期待や負担をかけるような言動は慎むべきである。多忙化の解消によって先生方に自己研鑽のための余裕が生まれ、若い先生方をじっくりと育てていけるような学校風土が醸成されることをのぞみたい。そのために教育委員会の果たす役割は大きい。

 

所属・現職等

岩手県教育委員会 教育委員(弁護士) 村井 三郎 氏   

御意見

1.今日の高校教育が抱える問題点

 今日の高校教育が抱える問題は,コミュニケーション能力の低下・規範意識の低下など高校生の資質に係る問題、少子化の進行に伴う生徒数の減少・学級減・高校の統廃合の進行などハード面に係る問題、卒業生の就職難など卒業後の進路に係る問題、その他複数あり、これら複数の問題が複合的に存在していることが最大の問題であると思います。
 コミュニケーション能力の低下・規範意識の低下は、約96%の高校進学率の下で、ひいては社会人の資質につながっていくものですので、日本社会の構成員の資質の育成という観点から考えていかなければならない問題です。高校教育が、自立した社会人としての資質を有する人材を育成し、社会に送り出すことを目的としていることを考えると、高校教育の段階で適正な資質を身につけさせたいところです。
 少子化の進行に伴う生徒数の減少・学級減・高校の統廃合の進行は、日本の少子化が進む現実を如実に反映した問題です。地域の核となっていた高校が統廃合されれば地域の盛衰に影響するとして、地域の活性化の観点から統廃合に意見を述べられる向きもあります。それはそれで理解できないものではありませんが、この問題についてはあくまでも生徒を主体として、教育の機会の公平確保という大きな視点と通学の便や通学費の援助という個別具体的な視点から検討したいところです。
 卒業生の就職難は、日本社会全体の経済不況を背景に、デフレスパイラルの一環として、新規雇用の受入れが困難になっているというものですので、根本的には、経済構造の改革による物価の安定や企業の生産性の向上が図らなければ解決困難な問題かもしれません。しかし、このような状況の中でも、基本的な生活習慣、勤労意欲,協調性・コミュニケーション能力など企業が求める資質を高校教育の中で身につけさせることで、企業の雇用意欲を刺激したいところです。
 その他、中途退学者の存在,基礎学力の不足など様々な問題がありますが、上記を含め、いずれの問題も社会とのつながりの中で高校教育がその影響を受けていることが明らかであり、複合的に存在する問題も、その実は、社会とのつながりというキーワードで相互に結びついていることがわかります。

2.その解決策

 日本に限らず、世界の戦時・貧困などの歴史をみても、教育においては、社会や経済の影響を受けない、普遍の理念や理想を持つことが望ましいことはいうまでもありません。
 しかし、現実は、特に高校教育においては、現時の社会経済の影響を受けることは避けられず、対処療法的に見えても、その時々の社会経済情勢の変化に応じて個別に発生している問題に的確に対処していくほかないと思います。
 その意味で、私が所属する岩手県教育委員会においては、平成22年3月に策定した「今後の高等学校教育の基本的方向」(特に社会とのつながりをつけるキャリア教育)を着実に履践していくことがその解決策になると思います。

 

所属・現職等

岩手県教育委員会 教育委員(アトリエ野のはな花房店経営) 坂本 ゆり 氏  

御意見

(1) 今日の高校教育が抱える問題点

 21世紀を迎え10年が経ち機械化(特にインターネット、携帯電話など)のあまりのスピードに驚愕する。当たり前だったことがそうでなくなり、一人、一人が自らの生活を選択せざるをえなくなった今、価値観が多様化しNetを通し人々が簡単につながるようになった現在。
 今日の日本はその変化に押し流されようとしている。その発展の為過去を捨て継続を断ち切って終おうとするあまり未来が見えなくなり、自分の立ち居地が分からなくなってしまった。
 団塊の世代として東京で生まれ育った私は、大勢の中で絶えず競争を義務付けられて来た。それは私個人としては決して悪いことではなかったが、現在少子化が加速している日本で、今までの教育システムを変えずそのまま押し付けているのではないか。高校進学率が98%にもなった今、義務教育制度を見直しシステムを再構築するべきではないか。

(2) その解決策

 今年、東京で開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」を観た。人類史上最高の天才といわれる彼の考え方に改めて触れた。「私は実際に行動することの大切さを痛感している。知るだけでではいけない。知識は活用しなければ。意志だけではいけない。行動しなくては」現代の若者は学んだ知識の中だけで世の中を渡ろうとしている。
 その状態で自ら考えることを失い空回りをしているように見える。
 岩手の大自然の中で育ってもその恵みに対処せずにいることが都会で生まれ育った私にとっては勿体無く残念でならない。
 例えば、現在住んでいる岩泉町は本州最大の面積を持ち(東京23区と横浜市を合わせた)私にとっては一周遅れのトップランナーの町で、教育ファームとしてはピッタリの所である。都会の若者たちを招いて是非未来のダ・ヴィンチを育てて欲しい。
  「知識と行動、体験」を通して又地域の住民とのかかわりの中で「生活と知恵」を学び今後のいわて型コミュニティスクールを活かして欲しい。
 多くの世代と交流して「他者との協力の中で見出す自己」を培って欲しい。
 現在全国で進めている中高一貫教育。岩手県でも良い方向に向かっている。
 東京のミッションスクールで実際に体験した私にとっては何より素晴らしい学びを受け、その恩恵に感謝している。
  思春期の大切な6年間を特に精神面、学習面において大切に育って欲しい。
 この変化の時代に教育者、保護者、青少年たちが流され漂流することなく、一人、一人が、これからの日本に、世界にどこに生きる道があるかを選択する力を養い、考える教育が必要であると思う。過去もしっかり見据え未来に期待したい。

 

所属・現職等

岩手県教育委員会 教育委員 小平 忠孝 氏  

御意見

(1) 今日の高校教育が抱える問題点

 高校時代は、生徒一人一人が将来を見通した方向づけをする最も大切な時期である。
 しかし、現状は自分で物事を調べ(読み)・考え・何を選択し、その上で自分はどう生きて行くべきかという事を見出す事の出来ない状況に陥っていると思う。
 夢と希望を持てない人間には『生きる力』を生み出す事は出来ず自己完遂は不可能である。
 さて、本県においても高校生の実情は多くの課題を抱え、その課題解決に向けて県教委を先頭に教育諸団体を含めて県民全体で積極的に取り組んでいるのが現状である。
 その中で私個人が特に憂いていることを二点ほど挙げ、それに対する個人的見解を述べてみたい。
 その一つは、全国的な傾向ではあるが、岩手県内の高校生においても、地方に行くに従って内向的な生徒が多くなる事と、すべての面において気概を持った若者が減少している事(例:留学生の減少)が社会問題となっているが、それはまさに本県の状況と軌を一にしていると言える。
 二つ目は、前途の事と表裏一体の関係にあるが、コミュニケーション能力の著しい低下である。
 多くの諸課題の中であえて取り上げたのは、特にこの問題が無気力・無関心・無感動の源となるからであり、それによって日本人の最も美徳とされる、思いやり(愛情)・責任感・礼節(礼儀)といった基本理念そのものを喪失しかねないからである。
 これは日本人の崇高な教育的文化遺産その物を失うばかりではなく、未来に向けての展望が開けなくなる重要な問題であると捉えているからである。

(2) その解決策

 その解決策には、種々あるが敢えて基本的課題として、家庭教育力の向上と高校教員の資質向上への取り組みについて述べてみたい。
 今日の家庭環境は、少子化と核家族化が顕著となり、それが家庭教育力の著しい低下を招いてきた事を、以前からあらゆる方面で述べられて来たが、現実には何等解決されていないのが現状である。
 保護者が自己体験を通して『自分で自分を教育する』事を我が子に教えるのではなく、『転ばぬ先の杖』のごとく、全ての面において転ばないようにあらゆる手立てを行う過保護の家庭教育が行われており、それが義務教育から高等教育の段階迄に及んでいるのが実態である。
 このような現状を踏まえ、家庭における教育とは何かという原点に立ち返った家庭教育力の復活を図る施策が必要であろう。
 次に、高校の教職員の資質向上に向けての取り組みについてである。
 最も大事な事は、今日の高等学校の現状について根本的な認識の意識改革を求めなければならない。
 それは、現実に高校進学率が90数%以上でほぼ全入に近く、義務教育化している現状を理解すべきであり、旧来の高等学校の存在的発想では、高校生並びにその保護者の理解は得られない。
 次に、全ての教育活動において小・中・高の連携強化の促進である。
 また、教科力・授業力・生徒指導を含めた担任力の資質向上を図る各種研修の促進である。
 なお、教職員の先頭に立つ校長を始め指導者のリーダーとしての明確な目的意識と使命感を高めるための資質向上を図る各種研修の実施は言うまでもない。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年04月 --