花松正彦氏(音威子府村立北海道おといねっぷ美術工芸高等学校長)意見発表

 【花松氏】  

 おといねっぷ美術工芸高校の花松でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料ですけれども、これは学校経営について簡単にまとめた資料ということで、本日持ってまいりました。これと、こういった「夢を創造する」という学校案内パンフレット、うちの学校で制作しているものと、DVDのビデオということでまとめて持ってまいりました。簡単にご説明して、日常の教育活動を行いながら私が普段感じていること、今まで教員生活を過ごしてきて感じてきたことを整理して簡単にお話しして、今後の高校教育の課題、改善事項について考えることをお話ししたいと思います。
 まず、学校経営資料、裏表印刷のものですけれども、実は、本村は人口が900人を切って、800人台です。そこに、村立の全日制の工芸科の高校、単置校であります。非常に珍しい学校と言えるかなと思います。
 生徒は今119名とほぼ定員を満たしている状況です。道内各地、全国各地から入学しているといった現状にあります。
 裏ですけれども、今、3つの事業を推進しております。1つは、国立教育政策研究所の教育課程研究指定校事業をやっております。これは4年間やらせていただきました。2年間ずつということで、最初が美術、そして今年が4年目ということで工芸Ⅰと、最終年度のまとめに入っているところです。
 あとは、高大連携教育。これは大学と連携して授業をやっていただいている。年間8回ほど大学の先生の授業を受ける。1年生から3年生まで2、3回ずつ、本校あるいは旭川の東海大学に行きまして、授業を受けさせていただいていると。
 それから、国際理解教育です。スウェーデンの学校と今、交流しております。
 また、うちの学校は非常に地域の支援を受けている、地域とともに歩んでいる学校ということで、非常に地域に結びついて、地域の行事にも積極的に参加させていただいております。
 本校の課題ですが、美術工芸教育の質的な向上と、特色ある魅力ある学校づくりを進めていくことととらえております。
 パンフレットですけれども、最初のページをめくっていただくと、椅子などの作品が出てきますけれども、これは生徒が各作品展あるいは卒業制作で制作したものということになります。2枚目をめくっていただくと、これも同じものです。これは卒業生、在校生のものです。
 本校は2年生のときから工芸コース、美術コースと2つのコースに分かれて教育しております。卒業するときには、工芸コースの子は、左側に載っていますけれども、工芸作品を1人2点つくる。美術コースの子は、右側にありますけれども、絵です。基本的にはF100号ですから、はがき100枚分という大きさです。かなり大きなものです。この絵を1枚と工芸作品を1点つくって卒業制作とするということになっています。生徒にとっては、卒業するときにも大変苦労して卒業していくということが言えるかなと。
 それでは、本校の教育内容の活動状況をまとめてきましたので、それをご覧いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 これはホールに飾ってあるものです。卒業制作の作品です。これは絵です。
 1年生のうちはかんなの使い方を徹底的に教えます。かんなだとかのみです。こういった自分の工具を大切に使わなければならないという安全教育からずっと教えます。
 最後に、こういうふうに削ることができたらよしということになります。
 1年生のうちは模写をさせます。一生懸命模写をしている様子です。
 これはできた作品です。あとは、木を削って、動物をモチーフにした作品を作っているところです。
 生徒は、授業に非常に活気があるというか、取り組みがよくて、これができたものです。
 これはスケッチをしているところです。村内のいろいろな施設に行ってスケッチをするわけです。
 これは、チェストを制作しているところです。2年生ぐらいになると、生徒は自分で考えて、材料を切って、削って、積極的に自分で作業できるという段階になります。
 これは、素描、デッサン力をつけるための授業です。この部屋は結構寒かったんですけれども、よく頑張っていました。
 これは卒業制作です。かんな盤や何か他にも大きな機械を使うので、教諭が必ずああいうふうにつきます。こういうふうに自分で考えて形にしていくということが、3年生になったら十分できます。
 これは絵をかいている様子です。あの大きさの絵をかくわけです。
 これは卒業制作です。こういったものができてくるわけです。
 学校に見学させてほしいということでたくさんの方が来校されますけれども、まず僕の話よりも学校の中を見てくださいということで、学校の中を案内します。
 これは夜のデッサン講習。月水金の夜にこういう形でやるわけです。
 これは国際理解教育とは言っていますけれども、スウェーデンに派遣して交流していると。向こうの方からも先日2人来て、そして帰ったところです。毎年こういう事業を19年度からやっています。
 これは先ほどお話ししました高大連携教育です。大学の先生の授業を受ける。生徒は非常にいい刺激になるということで、喜んで授業を受けています。
 どうもありがとうございました。
 本校は、現在の教育課題に正面から向き合っている。そして、地域とともにその解決に取り組む教育活動の一つの例になっているのかなと思っています。
 元来、本村のような小さな自治体が一つの高等学校を維持運営していくということについては、私自身も少なからず驚いているわけです。私は去年の春、ここに赴任しまして、そういう驚いた面もあったということです。そういったいろいろな課題はありますけれども、その課題を、全部ではないにしろ解決しているかなというふうな学校だなと見ています。
 ただ、倍率が最近ございます。それから、授業も生徒が非常に積極的によく取り組むという状況で、寮だとか学校生活も非常に充実感を持って送っているわけですけれども、本校としても問題がないわけではないです。今後も学校側が組織として解決に取り組んでいかなければならないという問題もございます。
 1つに不登校の問題です。こういったものは、過去に受け入れたことがございます。そして、成功していった例が多い。どうしてかというと、生活環境、人間関係が一新できる。現状を打開したいという意志が子供にある。それから、学業に対する興味、関心、意欲といったものがある。そういったものがうまく機能すれば、成功している例が多いです。
 それから、今、私がすごく気になっていることがあるんですけれども、心の悩みを抱える生徒が増えてきている。心の悩みでも、ひどい生徒になりますと、医療的な措置が必要になるという子供も増えてきています。
 この間、研修会でも、6%ですか、いると。だから、1クラスに2人から3人ぐらいいるわけです。その生徒が悩みを表に出しますと、うちの学校のような小さな学校は、教員が1人なり2人につきっきりになるわけです。そうすると、学校運営上でも非常に大変な面が出てくるということが言えます。ですから、そういった心の悩みを抱える生徒については、何としても対応していかなければならない問題だと。
 高等学校に、できればコーディネーターのような先生を、予算絡みになるのですけれども、実は今の定数の枠以外で配置していただけないかと。前任校でも大変苦労していました。あとは、教員の意欲的な姿勢がどうしても必要かなと思います。
 そういったことで、本校の教育活動を通して、日常感じていることを申し上げましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

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-- 登録:平成23年01月 --