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飯山昌幸氏(東京都立新宿山吹高等学校長)意見発表

【飯山氏】

 初めまして。新宿山吹高校校長の飯山と申します。よろしくお願いします。資料を使ってお話しさせていただきたいと思います。本校は定時制、通信制の専門高校ですので、その視点からお話しさせていただきたいと思っております。
 資料1を御覧ください。今回、提言をということでしたので、一つの視点ということで、定通の立場からお話しさせていただければと思っています。
 1枚めくっていただきまして、その裏側になるのですが、まさにこの10年、高校改革がいろいろ進みまして、東京都にあっても多くの都立高校の改革が進んでおります。そして、特色ある学校が誕生しています。
 本校もその先駆けとして、定時制の単独校ということで、学年がない無学年・単位制高校として東京都で初めてできた高校です。これまで、全日制と言えば一般的な生徒、定時制、通信制は勤労青年を対象にした学校ということで位置づけられてきたのですが、この10年の高校改革の中で、現実的には全日制の中にもいろいろなタイプの学校がつくられ、定時制の中にもチャレンジスクールですとか、本校のような昼夜間定時制と呼ばれるような学校ができまして、結果としては、全日制、定時制、通信制という単純な分け方はできなくなってきています。むしろ、全日制、定時制、通信制の中で進学に対応した学校、それから中堅の生徒対応、そして多様な生徒に対応する学校というような分け方になりつつあるという状況にあります。
 今まで、全日制と言えば昼間、定時制ですと夜間、そして通信制ですと休日にスクーリングを行っていくという形で学校が運営されてきました。そして、定時制は原則的には全日制の校舎をそのまま使いますので、全日制と併置という形で学校がつくられてきたわけです。しかし、現状から言いますと、昼夜間定時制もしくは定時制単独校がつくられるようになってきて、必ずしもそういう分類ではなくなってきています。定時制と言いながら、昼間から学校が行われている、生徒が通っているという状況が生まれてきています。通信制も単独校が生まれていますので、スクーリングは休日ですけれども、平日、子供たちの面倒を見ているというような学校も地方には生まれてきています。
 例えば、本校の事例を見ていただきますと、ページをめくっていただいて、5ページ目ですが、本校は無学年・単位制の昼夜間定時制というジャンルになります。生徒は1部、2部、3部、4部とそれぞれの時間帯に所属してもらって、そこを中心にして授業を受ける。土曜日は、学校としては通信制があり、日曜日は一般の方を対象にした生涯学習の講座が置かれています。
 定時制の生徒は、例えば2部に所属しても3部だとか1部の授業がとれますので、そこで自分の時間割がつくれる。さらに通信制の授業もとることができます。自分で時間割が作れるのです。
 そうすると、従来の学校ですと水曜日1日あけるということはあり得ませんけれども、本校では1日丸々あけてしまうことも可能になり、自由に時間割が組めます。昼から夜まで、子供たちが勉強する気になれば、全日制と同じように――本校は74単位をとれば卒業できますので――昼間から夜まで授業さえ受けてくれれば3年で卒業できるということで、従来の定時制の概念とは合わない学校です。
 本校だけではなくて、都立の例をとっても、昼夜間定時制というのはかなり数が増えてきていますので、定時制という従来のイメージとは随分違ってきています。
 そこで、私としては、一つの提言として今ここでお話ししたいのは、全日制、定時制、通信制という分類が何とかならないだろうかと言うことです。現実的には、全日制から定時制にかわってくるお子さんがかなりいます。不登校であったり、学力的な問題があったりして、なかなか全日制が続かないということで、限られた時間帯なら通えるということで定時制にかわってくる。もしくは、通信制で週1回なら通えるということでかわってくるお子さんもいます。
 確かにそういう現実があるのですけれども、今の社会を考えたときに、つまづきをしてもまたやり直しができるという柔軟な社会が求められている中で、実は教育界は全日制から定時制への流れのみで、いったん定時制に入ると全日制にかわるのは非常に難しい状況にあります。東京都では1度だけ試験があって、1年生の夏に試験が受けられて、そこで全日制にかわることはできます。ですが、それ以外は、定時制から全日制を受けることはできませんし、逆に全日制から定時制を受ける道はずっとあるわけですので、流れが一方的になります。
 これが、ある面では学校の序列になっています。全日制高校の中でも序列がありますけれども、全日制、定時制、通信制という形で序列はでき上がっていて、子供たちは全日制から定時制に、定時制が続かないとまた通信制にという形で流れていくというような現実が今あります。
 私としては、そうではなくて、むしろ学校の在り方として、全・定・通という言い方ではなくて、学校の特色によって学校が分類されることが必要だと思います。全から定への移動ではなくて、学校間の移動ができるような仕組みに変えていかないと、子供たちの中に不必要な劣等感というものが生まれます。
 卒業証書に通信制とか定時制とは書かれていませんけれども、就職等も、定時制も厳しいのですが、通信制に至ってはさらに厳しい現実もあます。
 ですので、全・定・通という大きな分類ではなくて、学校の特色によって分類され、その中で自由に、子供たちが自分の置かれた状況に応じて学校をかわっていけるという仕組みにならないと、せっかく制度があっても、その制度が要らぬ偏見や子供たちの屈折した意識を作り出していく結果になっているのではないかと思っています。
 補助金だとかいろいろな援助を定時制、通信制は得ていますので、簡単に全・定・通を廃止するということにはならないと思うのですが、少なくとも全日制はこういうもの、定時制はこういうものというような大きな縛りではなくて、全・定・通の在り方そのものを考え直していく必要があるのではないか。
 全だの、定だの、通だのという形で選ぶのではなくて、学校の特色で子供たちが選べるような制度の在り方を、新しい教育制度が生まれるときには、そちらの方向にかわっていって欲しいと思います。全日制、定時制、通信制という言い方は、あまりにも古い分類ではないだろうかと考えております。
 私の提言は以上です。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年01月 --