中高一貫Q&A:手当・補助・免許に関すること

【Q26】公立中等教育学校の教職員に係る給料や手当について教えてください。

【A26】
 中等教育学校を含む教職員の給料や手当については,教員の職務と責任の特殊性などを考慮しつつ,各都道府県ごとに定められています。
 なお,具体的な手当の種類に関しては,教職調整額,扶養手当,地域手当,住居手当,通勤手当,単身赴任手当,特殊勤務手当,時間外勤務手当,宿日直手当,管理職手当,管理職員特別勤務手当,期末・勤勉手当,義務教育等教員特別手当,寒冷地手当,退職手当等があります。また,へき地手当については,前期課程の教職員が,産業教育手当及び定時制通信教育手当については後期課程の教員が支給対象となります。

【Q27】公立中等教育学校の教職員の任命権,服務監督権について教えてください。

【A27】
 市町村立の中等教育学校においては,校長の他,前期課程の副校長,教頭,主幹教諭,指導教諭,教諭,養護教諭,栄養教諭,助教諭,養護助教諭,寄宿舎指導員,講師,学校栄養職員,事務職員はその給与を都道府県が負担する県費負担教職員です。市町村立小・中学校の県費負担教職員については,任命権を行使する者は都道府県教育委員会,服務の監督権限を有する者は市町村教育委員会とされていますが,中等教育学校についてはこれとは異なります。
 すなわち,中等教育学校の一体的な運営を確保するため学校全体の教職員の任命権を行使する者を同一にするという観点から,前期課程の県費負担教職員の任命権を行使する者は,後期課程の教職員と同様に市町村教育委員会とされています(地教行法第61条第1項)。
 したがって,市町村立の中等教育学校に勤務する教職員の任命権を行使する者と服務の監督権限を有する者は前期課程,後期課程とも市町村教育委員会です。
 ただし,市町村立の中等教育学校で後期課程に定時制の課程のみを置く場合については,前期課程,後期課程の教職員ともに,任命権を行使する者は都道府県教育委員会,服務の監督権限を行使する者が市町村教育委員会です。
 また,都道府県立の中等教育学校においては,前期課程,後期課程とも教職員の任命権を行使する者,服務の監督権限を有する者は都道府県教育委員会です。

【Q28】中高一貫教育校の教員免許について教えてください。

【A28】
 教育職員免許法では,「教育職員は,この法律により授与する各相当の免許状を有する者でなければならない。」(同法第3条第1項)と規定しており,学校種ごとの免許状(中学校の教員であれば中学校教諭の教員免許状)を有していることを原則としています。しかし,中等教育学校については,「中等教育学校の教員(養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭,養護教諭,養護助教諭並びに栄養教諭を除く。)については,第1項の規定にかかわらず,中学校の教員の免許状及び高等学校の教員の免許状を有するものでなければならない。」(同法第3条第4項)と規定しております。これは,中等教育学校は,義務教育として行われる普通教育並びに高度な普通教育及び専門教育を一貫して施すことを目的とするものであることから,中学校及び高等学校両方の免許状を有することを原則としたものです。なお,中等教育学校制度の創設に当たって,中等教育学校教員免許状の創設は行われませんでしたが,これは中等教育学校の教育課程は中学校及び高等学校に準じた取扱いがなされる予定であったことから,免許状についても現行の中学校教諭免許状及び高等学校教諭免許状により対応することとしたものです。また,当分の間の経過措置として,中学校の教諭の免許状又は高等学校の教諭の免許状を有する者については,それぞれ中等教育学校の前期課程又は後期課程における教科の教授を担任する主幹教諭,指導教諭,教諭又は講師となることができるとしています(同法附則第17項)。
 また,併設型及び連携型の場合については,それぞれ独立した中学校及び高等学校であることから,それぞれの免許状を有する者がそれぞれ担当する学校において,担当の教科を担任する教員になることができます。

【Q29】併設型や連携型の中高一貫教育校で,中学校の教員が高等学校の授業を担当できますか。

【A29】
 教育職員免許法により教員は各担当の免許状を有していることを必要としているため,中学校の教員が高等学校の授業を担当する場合,中学校の免許状に加え,担当しようとする高等学校の教科の免許状を有していることが必要になります。したがって,中学校教諭普通免許状しか有していない教員が高等学校で授業を担当することは認められません。高等学校の教諭が中学校の授業を担当する場合についても同様です(ただし,情報,福祉等の高等学校の専門教科等の免許状による中学校の専科指導については,教育職員免許法第16条の5第2項により認められています。)このため,併設型や連携型の場合において中学校の教員が高等学校の授業をする場合には中学校教諭及び高等学校教諭の双方の免許状を持つ者を配置するなど,人事配置上の工夫を講じることが望ましいと考えられます。
 なお,中学校の教員が高等学校の授業においてティームティーチングを行う場合については,高等学校相当免許状を有する教員による年間授業計画及びその指導・助言に基づき行う限りにおいては,他方の教員が相当の免許状を有している必要はありません。

【Q30】 公立の中高一貫教育校の建物の整備に対する国庫負担・補助について教えてください。

【A30】
 中等教育学校において,前期課程は現行の中学校に相当するものであることから,建物の整備にあたり現行の中学校の国庫補助制度と同様の措置が講じられています。(後期課程の建物の整備については,中等教育学校の設置を促進する観点から奨励措置が講じられていましたが,平成18年度から単独事業化されています。)
 その他の中高一貫教育校を含め,具体的には以下のようになります。     

(1) 中等教育学校の前期課程
 中高一貫教育制度の導入に伴い,中等教育学校の前期課程についても国庫補助の対象となる「義務教育諸学校」に含められました。これにより,建物の新増築に要する経費の原則1/2,また,危険建物の改築に要する経費の原則1/3が国庫補助されています(義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律(以下「義務法」という。)第3条第1項2の2号,第12条)。国庫補助額の算定にあたっての基準面積や単価等については現行の中学校と同様の扱いとなります。
 また,過疎地域自立促進特別措置法や離島振興法等の地域振興法令等に基づく国庫補助のかさ上げ措置も適用されます。さらに,大規模改造や耐震補強などの予算措置による国庫補助制度も現行の中学校と同様の扱いとなります。
 以上のように,中等教育学校の前期課程については,基本的には現行の中学校と同様の措置が講じられていますが,その性格上優遇されている点があります。
 まず,寄宿舎の新増築に要する経費の国庫補助ですが,現行の中学校については離島や特別豪雪地域などに限られているのに対し,中等教育学校については通学区域の設定方法が異なっているため,全国一律に国庫補助の対象となります。
 また,中等教育学校では一貫した教育を行うこととなるので,中等教育学校が設置される場合や第1学年の学級数が増加する場合には,学年進行により生徒を受け入れていくこととなります。このため,建物の新増築を行うにあたって,学年進行が終了する以前に,学年進行が終了した時点での学級数または生徒数に基づいた整備ができるような特例が設けられています(義務法5条の2,同法施行規則第2条)。

(2) その他の中高一貫教育校
 中等教育学校以外の中高一貫教育校に対する国庫補助制度については,併設型の中学校(中高一貫教育部分に限る。)については中等教育学校の前期課程と,また,連携型中学校については現行の中学校と同様の扱いとなります。

【Q31】公立の中高一貫教育校の建物の整備に係る地方財政措置について教えてください。

【A31】
 中等教育学校において,前期課程は現行の中学校に相当するものであることから,施設の整備にあたっても中学校の新増築等と同様の地方財政措置となります。また,併設型及び連携型の中学校についても,同様の財政措置となります。

中等教育学校の前期課程の施設整備における財源措置

【例】
○新増改築
 中等教育学校の建物の新増築に要する費用の原則1/2,危険建物の改築に要する費用の原則1/3は国庫補助されます。残りの地方負担額のうち,90%(学校教育施設等整備事業債〔以下,学校施設債〕75%,財源対策債15%)については,地方債を充当することができます。なお,後年度において,地方債の償還をする際に,地方負担額の60%(学校施設債の70%,財源対策債分の50%)が交付税措置されます。
○大規模改造
 現在の建物を中等教育学校に改造するために要する費用の原則1/3を国庫補助します。残りの地方負担額のうち75%(全て学校施設債)について,地方債を充当することができます。ただし,この場合,元利償還費についての地方交付税措置はありません。

【Q32】都道府県が中高一貫教育を行うために市町村立学校の施設を都道府県立中学校とすることは可能ですか。

【A32】
 可能です。例えば,生徒の減少等に伴う統合等により廃校となった市町村立中学校の施設について,都道府県がこの施設を中高一貫教育校として利用するなどの活用を行うことが考えられます。ここで,国庫補助金を受けて整備された学校の場合,市町村において,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき,国庫補助金等に係る財産処分手続を行う必要がありますので,具体的に説明します。
 文部科学省が平成20年6月18日付けの文教施設企画部長通知で示している財産処分手続の取扱いによれば,国庫補助事業完了後10年以上経過した建物並びにこれに付随する建物以外の工作物及び設備について,

    〈1〉無償による譲渡又は貸付の場合は国庫への納付金は必要がありませんが,

    〈2〉有償による譲渡又は貸付の場合には,当該財産の残存価額に対する補助金相当額を財産処分手続により国庫へ納付する必要があることとなります。

 ただし,国庫補助事業完了後10年未満であっても,

    〈3〉耐震補強事業又は大規模改造事業(石綿及びPCB対策工事に限る。)を実施した建物を無償による財産処分

    〈4〉大規模改造(上記〈3〉を除く)で,国庫補助事業完了後10年以上経過した建物と併行してやむを得ず行う無償による財産処分

などのケースにおいて国庫納付金を免除しています。
 また,用地への補助金の交付を受けている場合も,財産処分手続が必要となります。
 なお,都道府県が中高一貫教育校を設置するため,市町村から買収によって建物を取得する場合には,義務法第3条第1項第2号の2(買収等による取得については,第1号を準用)または第12条の規定に基づいて,買収による経費について国庫補助がなされます。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(高等学校担当)付

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)

-- 登録:平成24年02月 --