中高一貫教育Q&A:種類・制度・入学に関すること

【Q5】 どういう種類の学校で中高一貫教育を行うのですか。

【A5】
 中高一貫教育の実施形態については,次の三つがあります。それぞれの特色を生かしながら,生徒や保護者のニーズ,地域の実情等に応じて,地方公共団体や学校法人等の設置者において判断・決定されることになります。

    <1>中等教育学校
     一つの学校として,一体的に中高一貫教育を行うものです。

    <2>併設型の中学校・高等学校
     <1>よりも緩やかな形態であり,高等学校入学者選抜を行わずに,同一の設置者による中学校と高等学校を接続します。例えば,県が県立中学校と県立高等学校を,市が市立中学校と市立高等学校を,学校法人が私立中学校と私立高等学校を併設する場合等が該当します。

    <3>連携型の中学校・高等学校
     設置者の異なる場合であっても実施することができるように<2>よりも更に緩やかな形態で実施するものです。中学校と高等学校が,教育課程の編成や教員・生徒間交流等の連携を深めるかたちで中高一貫教育を実施します。<2>の場合と異なり,例えば,市と県,市と学校法人,異なる二つの学校法人などで実施することが考えられますが,同一の設置者が実施することも可能です。

 それぞれの具体的制度は次のようになっています。

(1) 中等教育学校

    <1>中高一貫教育を実施することを目的とする新しい学校種として設けられたものであり,学校教育法において,その目的,目標,修業年限,前期課程と後期課程の区分等について規定しています。

    <2>中等教育学校の教育課程については,前期課程は中学校の基準を,後期課程は高等学校の基準をそれぞれ準用するとともに,中高一貫教育校として特色ある教育課程を編成することができるよう教育課程の基準の特例を設けています(特例についてはQ15を参照)。

    <3>中等教育学校への入学については,設置者の定めるところにより校長がこれを許可することとし,この場合,公立の中等教育学校においては学力検査を行わないこととしています。

(2) 併設型の中学校・高等学校

    <1>学校教育法において,中等教育学校に準じて,同一の設置者が設置する中学校及び高等学校において中高一貫教育を行うことができることを規定しています。

    <2>併設型の中学校・高等学校の教育課程については,中学校の基準及び高等学校の基準をそれぞれ適用するとともに,中等教育学校と同様の教育課程の基準の特例を設けております。

    <3>併設型中学校への入学については,設置者の定めるところにより校長がこれを許可することとし,この場合,公立の併設型中学校においては,学力検査を行わないこととしています。また,併設型高等学校においては,当該高等学校に係る併設型中学校の生徒については入学者の選抜を行わないこととしています。

(3) 連携型の中学校・高等学校

    <1>学校教育法施行規則において,中学校及び高等学校においては,高等学校又は中学校における教育との一貫性に配慮した教育を施すため,当該学校の設置者が設置者間の協議に基づき定めるところ(設置者が同一の場合には設置者の定めるところ)により,教育課程を編成することができるとともに,当該中学校及び高等学校は,両者が連携してそれぞれの教育課程を実施することを規定しています。また,中高一貫教育校として特色ある教育課程を編成することができるよう,教育課程の基準の特例を設けています(特例についてはQ15を参照)。

    <2>連携型高等学校における入学者の選抜は,設置者間の協議に基づき、編成する教育課程に係る連携型中学校の生徒については,調査書及び学力検査の成績以外の資料により行うことができるとしています。

【Q6】 以前から中学校及び高等学校を設置し,独自の一貫教育を行っていますが,必ず中等教育学校,併設型の中学校・高等学校又は連携型の中学校・高等学校になる必要があるのですか。

【A6】
 中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領の範囲内で一貫教育を実施する場合には,その必要はありませんが,中高一貫教育制度における教育課程の基準の特例を活用し,学習指導要領の範囲を超えた一貫教育を実施する場合には,いずれかの形態を選択していただき,届出等の必要な手続を行っていただく必要があります。

【Q7】 誰が中高一貫教育校を作るのですか。

【A7】
 中等教育学校における設置者については,学校教育法第2条に定める学校の設置者と同じであり,その規模と能力に応じて設置することができます。併設型の中学校・高等学校についても同じです。
 連携型の中学校・高等学校による中高一貫教育についても,基本的に考え方は同じですが,異なる設置者間でも実施することができます。

【Q8】 市町村が中等教育学校や併設型中学校を設置した場合の中学校の設置義務との関係について教えてください。

【A8】
 学校教育法第38条(第49条で中学校に準用)により,市町村には中学校の設置義務が課されていますが,中等教育学校や併設型中学校はこのような設置義務とは直接関係なく,設置者の判断により設置されるものです。したがって,市町村は中等教育学校や併設型中学校を設置した場合でも,中学校の設置義務がなくなることはありませんので,別途,中学校を設置する等の措置が求められます。

【Q9】 中高一貫教育校への入学者はどのようにして決めるのですか。

【A9】
 中高一貫教育の選択的導入の趣旨は,現行の中学校・高等学校に加えて6年間の一貫した教育課程や学習環境の下で学ぶ機会を選択できるようすることにより,中等教育の多様化を一層進めようとするものです。したがって,中高一貫教育校が受験準備に偏した教育を行う,いわゆる「受験エリート校」になったり,受験競争の低年齢化が生じたりするようなことは,教育改革に逆行するものであり,あってはならないことです。中高一貫教育校の設置と運営に際しては,これらの点に十分に留意がなされる必要があります。
 特に,公立の中等教育学校及び併設型中学校では,学校教育法施行規則により,入学者の決定に当たって,学力検査を行わないこととしています。

中高一貫教育校の入学者の決定

【Q10】 中等教育学校及び併設型中学校への就学手続について教えてください。

【A10】
 中等教育学校及び併設型中学校は,設置者の定めるところにより,校長が入学を許可することとされています。このため,市町村教育委員会が就学すべき学校を指定する一般の中学校への入学とは異なる取扱いとなります。
 具体的には,中等教育学校及び併設型中学校への入学を希望する生徒については,従来の国立・私立中学校等への入学手続と同様に,当該学校の実施する入学者の決定を経た後,学校教育法施行令第9条第1項に規定する就学手続を行うことになります。なお,市町村が設置する中等教育学校又は併設型中学校に他の市町村に住所のある生徒を入学させようとする場合については,中等教育学校や併設型中学校への入学は選抜を経て決定されるものであるため,当該学校を設置する市町村教育委員会は当該生徒の住所のある市町村教育委員会との事前協議(学校教育法施行令第9条第2項)を行う必要はありません。

【Q11】 中高一貫教育校の通学区域について教えてください。

【A11】
 中等教育学校や併設型の中学校は,就学指定の対象となる通常の市町村立中学校とは別に設置されるものです。したがって,その通学区域も別に定められることになります。具体的に通学区域をどう定めるかは,それぞれの設置者が,設置しようとする学校の数や特色を踏まえて判断することになります。

【Q12】 中等教育学校の授業料について教えてください。

【A12】
 中等教育学校は,前期課程については中学校と同様に義務教育段階に当たるので,公立の中等教育学校の前期課程においては,中学校と同様に,授業料を徴収することはできません。後期課程については,高等学校と同様に,公立学校については授業料不徴収,公立高校以外の学校については就学支援金支給の対象となります。

【Q13】 併設型中高一貫校である高等学校が、併設される中学校から進学してくる生徒から、通常の高等学校と同様に入学金や維持費等を徴収することは認められますか。

【A13】
 併設型については、中学校と高等学校は別々の学校であり、設置者が併設型中学校から併設型高等学校に進学してくる生徒から入学金等を徴収することは可能です。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(高等学校担当)付

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)

-- 登録:平成24年02月 --