日本人若手英語教員米国派遣事業 研修成果活用事例7(高等学校)

(1)Jigsaw Reading

一つの題材を分担して読むことでinformation gapを作り、Speakingによって伝え合う言語活動である。中学2年生から高校2年生まで授業内で取り組んだ。中学では300語程度のリーディング教材や120語程度の新聞記事や料理のレシピを題材とした。内容をより速く理解でき、達成感を与えられる一方で、要約して英語で伝えることが難しく、文をそのまま引用して伝えてしまう生徒が少なくなかったが、生徒には人気がある取組である。高校では、4月から教科書の各レッスンの始めの言語活動として取り組んできた。初見の英文に対して、辞書の使用も視野に入れた語彙の導入方法や、Speakingさせる前の準備時間をどのくらいとるか等、運用面では、まだ試行錯誤が続いている。教科書をJigsaw Readingの教材として使用するのは難しいのではないか、との懸念もあるが、最初にキーワードや発音の間違いが多いものを選び、スライドを使用して導入することで、生徒のスキーマを活性化させる工夫をし、改善を図ってきた。難しいながらも Speaking力養成の活動として生徒の中でも定着してきており、生徒が楽しんで達成感を感じることができる活動である。

(2)Learning style診断

高校では全学年で実施した。生徒たちは簡単なアンケートに答えることで、新情報に対する自分の認知傾向について知り、それを高校1・2年生では自分の日頃の学習スタイルの再考を促すきっかけとして使用した。高校1年生は、4月の学習合宿でポスター発表のトピックとして取り組み、自分に合った学習法として最善のものを検討し、合宿中の自習時間に実験検証を行いポスター発表をした。また高校1・2年生共通の取組として、小テストの成績を記録していたスコアシートを「Learning Log」に変更し、小テストのための学習方法を記録させ、テストの成績との関連を考えさせ、学習方法の改善に努めさせてきた。最初は、自分の認知傾向のタイプに依存しすぎて、バランスを欠く学習方法に頼る生徒も見られたが、経験を重ねるにつれ自分で修正を行うことができるようになった。

(3)Rubric

高校のwritingの授業内で自由英作文の活動で導入した。RubistarというWebサイトを利用して作成したひな形を、本校の実情に合うように改訂して使用している。先日行った1年生のSpeaking Performance評価でも試作を作り、使用した。今後も活動内容や生徒の実情に合わせて改訂を進めていく必要があるが、生徒にゴールをあらかじめ示したうえで評価をしていくという指導手順はとても教育効果が高いので、今後も継続して使用していきたい。

(4)1 minute Speech

各学年の授業内において共通で実施している。過去に扱った題材や関連するトピックについて、ペアでChatをさせるものである。聞いた内容を英語でまとめてコメントをつけたり、Rubricで評価させたり、運用方法はChatの長さや交流の仕方も含め、試行錯誤を繰り返しながら、随時変更を加えている。

(5)Creative Dialogue

授業で扱った題材に、生徒が自ら考えて内容を付け足し、口頭発表をするもの。モノローグの文章だったものを、登場人物を複数登場させる会話文に作りかえてSkitにしたり、会話文であれば状況設定を少し変えたり、話の続きを作らせたりしている。

(6)Portfolio

夏休みの課題として導入した。「音楽」「映画」「ニュース記事」「ドラマ」「読書」など、様々な英語の題材を使用した学習法を紹介し、その成果を記録し蓄積していくためのフォーマットを作成し、Portfolioの使用法として生徒に示した。その後の活用は各担当者の裁量に任されているが、生徒自身の英語学習の記録として非常に有効であり、習慣として継続使用ができるように働きかけを行っている。

(7)Performance 評価

ECC・EECでは10年間継続して行われてきた。新学習指導要領に合わせ、授業内での生徒の発表も増えてきたので、IECの授業内でも実施を始めたが、まだ試行の段階にとどまっている。

(8)Teaching Proficiency through Story-telling  (TPRS)

アメリカの教育学者Blaine Rayにより提唱され、アメリカの外国語教育では広く研修も行われ普及している教授法である。Readingで使用する題材を元に、生徒と共に創造的に話を膨らませ、口頭で説明させることにより語彙の定着や流暢さを鍛えていく。校内の研究大会における研究授業で実践を行った。話を膨らませて行く際には、必ず何か「問題」が起こり、それを「解決」するというという要素が必ず盛り込まれ、Problem-Solving Skillの向上が期待されるものである。最後はExtended Writingまで行うのがこの教授法のやり方だが、そこまではなかなか時間が取れていないのが現状である。

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-- 登録:平成26年04月 --