平成30年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領

平成29年12月21日
文部科学省

1.調査の目的

  義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から,全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し,教育施策の成果と課題を検証し,その改善を図るとともに,学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。さらに,そのような取組を通じて,教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。

2.調査の名称

平成30年度全国学力・学習状況調査

3.調査の構成

本体調査に加えて,中学校の英語予備調査を実施する。

4.本体調査

(1).調査の対象

1)国・公・私立学校の以下の学年の原則として全児童生徒を対象とする。なお,公立学校には公立大学法人が設置する学校(以下「公立大学附属学校」という。)を含むものとする。

ア 小学校調査
小学校第6学年,義務教育学校前期課程第6学年,特別支援学校小学部第6学年
イ 中学校調査
中学校第3学年,義務教育学校後期課程第3学年,中等教育学校前期課程第3学年,特別支援学校中学部第3学年

2)特別支援学校及び小中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒のうち,調査の対象となる教科について,以下に該当する児童生徒は,調査の対象としないことを原則とする。

ア 下学年の内容などに代替して指導を受けている児童生徒
イ 知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の教科の内容の指導を受けている児童生徒

(2).調査事項

1)児童生徒に対する調査

ア 教科に関する調査
(ア)小学校調査は,国語,算数及び理科とし,中学校調査は,国語,数学及び理科とする。
(イ)出題範囲は,調査する学年の前学年までに含まれる指導事項を原則とし,出題内容は,それぞれの学年・教科に関し,以下のとおりとする。
1 身に付けておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容や,実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能等(主として「知識」に関する問題)を中心とした出題
2 知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力や,様々な課題解決のための構想を立て実践し評価・改善する力等に関わる内容(主として「活用」に関する問題)を中心とした出題
(ウ)出題形式については,記述式の問題を一定割合で導入する。

イ 質問紙調査
  調査する学年の児童生徒を対象に,学習意欲,学習方法,学習環境,生活の諸側面等に関する質問紙調査(以下「児童生徒質問紙調査」という。)を実施する。

2)学校に対する質問紙調査

  学校における指導方法に関する取組や学校における人的・物的な教育条件の整備の状況等に関する質問紙調査(以下「学校質問紙調査」という。)を実施する。

(3).調査実施日等

1)児童生徒に対する調査

  調査の実施日は,平成30年4月17日火曜日とする。
ア 小学校調査
(ア)教科に関する調査は,国語及び算数の主として「知識」に関する問題は合わせて1単位時間,国語及び算数の主として「活用」に関する問題はそれぞれ1単位時間とする。
また,理科の問題については,主として「知識」に関する問題と主として「活用」に関する問題を一体的に問い,1単位時間とする。
(イ)児童生徒質問紙調査は,各学校の状況に応じて適切に実施する。
イ 中学校調査
(ア)教科に関する調査は,国語及び数学の主として「知識」に関する問題はそれぞれ1単位時間,国語及び数学の主として「活用」に関する問題はそれぞれ1単位時間とする。
また,理科の問題については,主として「知識」に関する問題と主として「活用」に関する問題を一体的に問い,1単位時間とする。
(イ)児童生徒質問紙調査は,各学校の状況に応じて適切に実施する。

2)学校に対する質問紙調査

  平成30年4月に実施する。

3)調査実施に関するスケジュール

  別紙1のとおりとする。

(4).調査の実施体制

  調査の実施体制は以下のとおりとする(調査の実施系統図は別紙2・別紙3)。

1)調査は,文部科学省が,学校の設置管理者である都道府県教育委員会,市町村教育委員会,学校法人,国立大学法人,公立大学法人等の協力を得て実施する。

2)都道府県教育委員会は,域内の市町村教育委員会に対して指導・助言・連絡等をするなど調査に協力する。また,自らが設置管理する学校に対して指示・指導・助言等をするなどにより調査に当たる。

3)都道府県知事は,私立学校の所轄庁として調査に協力する。

4)市町村教育委員会,学校法人,国立大学法人,公立大学法人等は,学校の設置管理者として調査に協力し,自らが設置管理する学校に対して指示・指導・助言等をするなどにより調査に当たる。

5)学校は,校長を調査責任者として,設置管理者である市町村教育委員会等の指示・指導・助言等に基づき調査に当たる。

(5).調査結果の取扱い

  文部科学省は,以下のとおり,調査結果を示し,公表するとともに,各教育委員会,学校に対して,調査結果等を提供する。
また,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第21条第17号の規定により,調査の実施,調査結果の活用及び公表等を含め,調査は教育委員会の職務権限である。そのため,教育委員会は,調査結果の活用及び公表等の取扱いについて,主体性と責任を持って当たることとする。

1)調査結果の示し方

文部科学省は,小学校調査及び中学校調査のそれぞれの結果として,以下の事項等を示す。
ア 教科に関する調査の結果として,
(ア)国語,算数・数学のそれぞれ,主として「知識」に関する問題と主として「活用」に関する問題に分けた四つの区分ごとの平均正答数,平均正答率,中央値,標準偏差等
(イ)理科については,
1 理科の問題の全体の平均正答数,平均正答率,中央値,標準偏差等
2 理科の問題のうち,主として「知識」に関する問題と主として「活用」に関する問題に分けた二つの区分ごとの平均正答数,平均正答率,中央値,標準偏差等
(ウ)以下をそれぞれ単位とした平均正答数等の分布等が分かるグラフ
1 都道府県教育委員会
2 都道府県教育委員会(指定都市教育委員会を除く。)
3 指定都市教育委員会
4 教育委員会
5 学校
6 児童生徒
(エ)各教科の設問ごとの正答率等
(オ)各教科の設問ごとの解答類型別児童生徒数の割合
イ 児童生徒質問紙調査及び学校質問紙調査の結果として,
(ア)児童生徒質問紙調査及び学校質問紙調査の回答状況
(イ)児童生徒質問紙調査の回答状況と教科に関する調査の正答率等との相関関係の分析
(ウ)学校質問紙調査の回答状況と教科に関する調査の平均正答率等との相関関係の分析
ウ その他,調査の目的の達成に資する分析

2)調査結果の文部科学省による公表

  文部科学省は,調査の目的を踏まえ,以下の事項等について調査結果を公表する。文部科学省が公表する調査結果については,公表後速やかに,文部科学省ホームページに掲載する(文部科学省による調査結果の公表体系は別紙4)。
ア 以下の(ア)から(オ)までの区分に応じ,上記(1)ア及びイで示した結果
(ア)国全体(国・公・私立学校全体の状況又は国・公・私立学校別の状況)
(イ)都道府県ごと(都道府県教育委員会及び市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況)
(ウ)都道府県(指定都市を除く。)ごと(都道府県教育委員会及び市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況)
(エ)指定都市ごと(指定都市教育委員会が設置管理する学校全体の状況)
(オ)地域の規模等に応じたまとまりごと(「大都市」(指定都市及び東京23区),「中核市」,「その他の市」及び「町村」並びに「へき地」の五つの区分における市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況)
イ 教科に関する調査の解答状況及び質問紙調査の回答状況(一般に公開された場合に,個人,学校,設置管理者等が特定されることのないよう,データの匿名化処理(必要に応じて疑似データ化等の処理を含む。)を行ったもの)
ウ その他,調査の目的の達成に資する分析

3)調査結果等の提供

  各教育委員会,学校及び児童生徒に対する調査結果等の提供は,調査報告書のほか,以下のとおりとする。
ア 文部科学省は,調査の目的の達成に資するため,各教育委員会,学校に対して,以下の調査結果を提供する。
(ア)都道府県教育委員会

1 当該都道府県教育委員会が設置管理する各学校の状況

2 当該都道府県教育委員会における市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況

3 当該都道府県教育委員会(指定都市を除く。)における市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況

4 域内の各市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況

5 域内の市町村教育委員会が設置管理する各学校全体の状況
(イ)市町村教育委員会

1 当該市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況

2 当該市町村教育委員会が設置管理する各学校の状況
(ウ)学校

1 当該学校全体の状況

2 各学級の状況

3 各児童生徒の状況

4 各児童生徒に関する個人票
(エ)その他,調査の目的の達成に資する調査結果
イ 各学校は,各児童生徒に対し,個人票を提供する。

4)調査結果の活用

ア 各教育委員会,学校等及び文部科学省においては,調査の目的を達成するため,以下のような調査結果を活用した取組に努めることとする。
(ア)各教育委員会,学校等においては,多面的な分析を行い,自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握・検証し,保護者や地域住民の理解と協力のもとに適切に連携を図りながら,教育及び教育施策の改善に取り組むこと。
(イ)各学校においては,調査結果を踏まえ,各児童生徒の全般的な学習状況の改善等に努めるとともに,自らの教育指導等の改善に向けて取り組むこと。
(ウ)各教育委員会においては,調査結果を踏まえ,それぞれの役割と責任に応じて,学校における取組等に対して必要な支援等を行うなど,域内の教育及び教育施策の改善に向けた取組を進めること。
(エ)文部科学省は,児童生徒の学力や学習状況をきめ細かく把握・分析することにより,教育及び教育施策の成果と課題を検証し,その改善に取り組むこととする。また,各教育委員会,学校等における取組に対して必要な支援等を行うなど,教育及び教育施策の改善に向けた全国的な取組を進めることとする。
イ 各教育委員会,学校等及び文部科学省においては,調査結果についてより一層多面的な分析や研究が行われるよう,以下のような調査結果を活用した取組を進めることができる。
(ア)文部科学省は,本実施要領及び別に定めるガイドラインに基づき,集計結果データ(児童生徒の解答用紙番号ごとに,三教科五区分の正答数,解答類型等の解答状況及び学校質問紙の回答状況等を一覧にしたもの並びに学校IDごとに,三教科五区分の平均正答数等の解答状況及び学校質問紙の回答状況を一覧にしたもの)について,大学等の研究機関の研究者又は国の行政機関等の職員に貸与し,学術研究の振興,高等教育の振興又は施策の推進のために活用することとする。
(イ)各学校においては,各学校の設置管理者の判断の上,以下のいずれかの方法により,小学校調査の結果等について学校間での情報共有を図り,成果と課題を継続的に把握・検証し,教育の改善・充実に取り組むことができる。

1 児童の保護者の同意を得るなど,法令に基づき必要な措置を講じた上で,児童が進学する学校に小学校調査の結果を送付すること

2 その他各学校の設置管理者の判断による適切な方法
(ウ)各教育委員会においては,平成32年度以降,小学校調査と中学校調査の結果の関係についての継続的な把握・分析結果を踏まえた,教育施策の改善・充実に取り組むことができる。
(エ)文部科学省においては,(イ)のいずれかの方法により学校間での情報共有を図った学校について,平成32年度の中学校調査の実施の際に生徒が平成29年度に受けた小学校調査の個人票コードを回収することにより,同一児童生徒に関する小学校調査と中学校調査の結果の関係についての分析を行い,関係教育委員会及び学校に対し,分析結果を提供することとする。

5)調査結果の取扱いに関する配慮事項

  調査結果については,調査の目的を達成するため,自らの教育及び教育施策の改善,各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し,適切に取り扱うものとする。
  調査結果の公表に関しては,教育委員会や学校が,保護者や地域住民に対して説明責任を果たすことが重要である一方,調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること,学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに,序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要である。
  このことを踏まえ,具体的な公表の手続等は,以下のとおりとする。
ア 教育委員会及び学校による調査結果の公表
(ア)都道府県教育委員会においては,調査の実施主体が国であることや,市町村が基本的な参加主体であることなどに鑑みて,以下のとおり取り扱うこと。

1 自らが設置管理する学校の状況については,それぞれの判断において,(エ)に基づき公表することは可能であること。

2域内の市町村教育委員会が設置管理する学校全体の状況及び各学校の状況については,市町村教育委員会の同意を得た場合は,(エ)に基づき,当該市町村名又は当該市町村教育委員会が設置管理する学校名を明らかにした公表(市町村名又は学校名を特定することが可能な方法による公表を含む。以下同じ。)を行うことは可能であること。
  なお,個々の市町村名・学校名が明らかとならない方法(例えば,教育事務所単位の状況の公表等)で,(エ)に基づき公表することは,都道府県教育委員会の判断において可能であること。

3 1又は2に基づき個々の市町村名・学校名を明らかにした公表を行うことについては,その教育上の影響等を踏まえ,必要性について慎重に判断すること。

4 自らが設置管理する学校に自校の結果を公表するよう指示する場合も,自らが個々の学校名を明らかにした公表を行う場合に準じて取り扱うこと。
(イ)市町村教育委員会においては,以下のとおり取り扱うこと。

1 当該市町村教育委員会が設置管理する学校全体の結果について,それぞれの判断において,(エ)に基づき公表することは可能であること。

2 自らが設置管理する学校の状況について,それぞれの判断において,(エ)に基づき公表することは可能であること。この場合,個々の学校名を明らかにした公表を行うことについては,その教育上の影響等を踏まえ,必要性について慎重に判断すること。

3 自らが設置管理する学校に自校の結果を公表するよう指示する場合も,自らが個々の学校名を明らかにした公表を行う場合に準じて取り扱うこと。
(ウ)学校においては,自校の結果について,それぞれの判断において,(エ)に基づき公表することは可能であること。
(エ)調査結果の公表に当たっては,以下の1から6までにより行うこと。

1 公表する内容や方法等については,教育上の効果や影響等を考慮して適切なものとなるよう判断すること。

2 調査結果の公表を行う教育委員会又は学校においては,単に平均正答数や平均正答率などの数値のみの公表は行わず,調査結果について分析を行い,その分析結果を併せて公表すること。さらに,調査結果の分析を踏まえた今後の改善方策も速やかに示すこと。

3 (ア)1又は(イ)2に基づき教育委員会が個々の学校名を明らかにした公表を行う場合,又は(ア)2において市町村教育委員会が学校名を明らかにした公表に同意する場合は,当該学校と公表する内容や方法等について事前に十分相談するとともに,公表を行う教育委員会は,当該調査結果を踏まえて自らが実施する改善方策を調査結果の公表の際に併せて示すこと。
  また,教育委員会において自らが設置管理する学校に自校の結果を公表するよう指示する場合は,教育委員会は自らが実施する改善方策を速やかに示すとともに,公表する内容等について学校に指示する場合は,教育委員会は当該学校とそれらについて事前に十分相談すること。
  なお,平均正答数や平均正答率等の数値について一覧での公表やそれらの数値により順位を付した公表等は行わないこと。

4 調査の目的や,調査結果は学力の特定の一部分であること,学校における教育活動の一側面であることなどを明示すること。

5 児童生徒個人の結果が特定されるおそれがある場合は公表しないなど,児童生徒の個人情報の保護を図ること。

6 学校や地域の実情に応じて,個別の学校や地域の結果を公表しないなど,必要な配慮を行うこと。
(オ)教育委員会が独自に実施する学力調査の公表の取扱いについては,もとよりそれぞれの教育委員会の判断に委ねられること。
イ 文部科学省が公表する内容以外の調査結果の取扱い
(ア)文部科学省は,調査結果のうち,自らが公表する内容及び別に定めるガイドラインに基づき利用・公表された内容を除くものについて,これが一般に公開されることになると,序列化や過度な競争が生じるおそれや学校の設置管理者等の実施への協力及び国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり,全国的な状況を把握できなくなるなど調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられるため,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第5条第6号の規定を根拠として,同法における不開示情報として取り扱うこととする。
(イ)教育委員会等は,文部科学省から提供を受けた調査結果のうち公表する内容を除くものについて,上記(ア)を参考に,それぞれの地方公共団体が定める情報公開条例に基づく同様の規定を根拠として,情報の開示により調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう,本実施要領の趣旨,特に(5).5)ア(エ)を十分踏まえ,適切に対応する必要があること。

(6).調査実施に当たっての相談体制

1)学校の設置管理者である市町村教育委員会等においては,所管の学校からの相談に対応するなど適切な指導・助言を行う。
2)調査実施に当たっての市町村教育委員会,学校等からの問合せや調査問題の配送・回収状況の把握・確認等に対応するため,文部科学省が民間機関に委託して,コールセンターを設置する。

(7).留意事項

1)各教育委員会,学校等における調査の実施及び調査結果の活用等

ア 調査の目的に鑑み,各教育委員会,学校等においては,調査結果を直接又は間接に入学者選抜に関して用いることはできないこと。
イ 調査を実施するとともに,調査結果等を活用するに当たり,以下の体制を整備することとする。
(ア)各教育委員会等においては,調査責任者及び担当者を指名するとともに,所管の学校からの相談に対応するなど,適切に実施体制を整備すること。
(イ)各学校においては,調査責任者及び担当者を指名し,適切に実施体制を整備すること。
(ウ)教育委員会,学校等においては,調査の実施に当たって,調査の目的や内容,調査結果の取扱い等を児童生徒,保護者等の関係者に周知すること。
(エ)各教育委員会,学校等において,調査問題等の調査に関して知り得た秘密については,その保持を徹底すること。
(オ)各教育委員会,学校等においては,提供された調査結果等について,本実施要領に基づいて適切に利用するとともに,管理を徹底するために,必要な措置を講ずること。
(カ)各教育委員会,学校等は,調査の目的の達成に資するよう,調査結果等の活用を図るため,調査結果等の提供を受ける機関等において,本実施要領の趣旨が遵守されることが確認できた場合に限り,関係機関等に対して調査結果等を提供することは可能であること。
(キ)各教育委員会,学校等においては,調査結果の分析やこれを活用して教育及び教育施策の改善等に向けた取組等を進めるための体制を整備すること。

2)個人情報の保護

ア 文部科学省及び文部科学省が委託した民間機関は,調査に使用する解答用紙等について,児童生徒及び保護者の氏名を取得しない形式を用いることとする。
イ 文部科学省及び文部科学省が委託した民間機関は,個々の児童生徒を識別することを目的として,各設置管理者及び各学校等に対して,氏名を取得しない形式での実施方法(匿名加工)に関する情報その他の情報を取得し,調査結果等と照合しない。
ウ 各教育委員会,学校等においては,調査に関して知り得た個人情報について,それぞれが遵守すべき個人情報保護関係法令及び地方公共団体の定める条例に基づき,適切に取り扱うこと。

3)調査日程の変更等

  調査の実施日に,特定の学校において調査を実施できないやむを得ない事情が生じた場合は,教育委員会,学校等の判断により,1当該学校について調査の実施そのものを見合わせること,又は2当該学校における調査実施日を後日に変更することができる。なお,2の場合,全体の集計からは除外することとするが,教育委員会,学校等の求めに応じて,文部科学省は,採点及び調査結果の提供を行うこととする。

4)教育課程上の位置付け

  調査の教育課程上の位置付けについては,教育委員会及び学校の判断により,以下のとおり取り扱うことを可能とする。
ア 教科に関する調査については,以下のとおり,当該教科の授業時数の一部として取り扱うことを可能とする。
(ア)小学校調査
1 国語及び算数:それぞれ1.5単位時間相当
2 理科    :1単位時間相当
(イ)中学校調査
1 国語及び数学:それぞれ2単位時間相当
2 理科    :1単位時間相当
イ 児童生徒質問紙調査については,特別活動(学級活動)の一部として取り扱うことを可能とする。

5)障害のある児童生徒に対する配慮

  障害のある児童生徒については,各学校の判断により,当該児童生徒の障害の種類や程度に応じて,調査時間の延長,点字・拡大文字・ルビ振り問題用紙の使用,別室の設定などの配慮を可能とする。

6)日本語指導が必要な児童生徒に対する配慮

  日本語指導が必要な児童生徒については,原則として,他の児童生徒と同様の授業を受けている児童生徒について,調査の対象とする。ただし,例えば,国語,算数・数学,理科の時間に取り出し指導を受けているなどの事情がある場合は,当該教科を調査の対象としないことを可能とする。
  なお,調査を行うに当たっては,各学校の判断により,調査時間の延長,ルビ振り問題用紙の使用などの配慮を可能とする。

7)調査問題等の公表

  文部科学省は,調査の実施後,速やかに,調査問題,正答例,問題趣旨,解答類型を公表する。

8)調査マニュアルの作成・配付

  調査の具体的な実施方法等については,平成30年2月頃に作成・配付する予定の調査マニュアルで示す。

5.中学校の英語予備調査

(1).調査の目的

  平成31年度全国学力・学習状況調査の中学校調査における英語調査の確実かつ円滑な実施に資することを目的とする。

(2).調査の対象

1)文部科学省が調査対象として抽出した,都道府県教育委員会及び市町村教育委員会が設置管理する学校の中学校第3学年,義務教育学校後期課程第3学年,中等教育学校前期課程第3学年及び特別支援学校中学部第3学年の原則として全生徒を対象とする。

2)調査の対象としない生徒

ア 特別支援学校中学部及び中学校の特別支援学級に在籍している生徒のうち,調査の対象となる教科について,以下に該当する生徒は,調査の対象としないことを原則とする。
(ア)下学年の内容などに代替して指導を受けている生徒
(イ)知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の教科の内容の指導を受けている生徒
イ 教科に関する調査のうち,「聞くこと」及び「話すこと」が必要となる問題について,右耳・左耳それぞれの平均聴力レベルが60デシベル以上の生徒は,調査の対象としないこととすることができる。

(3).調査事項

1)生徒に対する調査

ア 教科に関する調査
(ア)教科は,英語とし,出題範囲は,「4.本体調査 (2).1ア(イ)」と同様とする。
(イ)出題形式については,「聞くこと」,「読むこと」,「話すこと」,「書くこと」を問う問題を出題し,記述式の問題を一定割合で導入するとともに,「話すこと」を問う問題の解答は原則として口述式によるものとする。
イ 質問紙調査
調査する学年の生徒を対象に,学習意欲等に関する質問紙調査(以下「生徒質問紙調査」という。)を実施する。

2)学校に対する質問紙調査

  学校質問紙調査を実施する。

(4).調査実施日等

1)調査実施日等

  調査の実施日は,平成30年5月1日火曜日から5月31日木曜日の期間中,調査の対象となった学校が実施可能な1日とする。
調査時間は,「聞くこと」,「読むこと」,「書くこと」を問う問題を1単位時間,「話すこと」を問う問題を生徒1人当たり15分程度(準備や移動に要する時間を含む。)で実施する。

2)調査実施に関するスケジュール

  別紙5のとおりとする。

(5).調査の実施体制

  調査の実施体制は,以下のとおりとする(調査の実施系統図は,別紙6)。

1)調査は,文部科学省が,学校の設置管理者である都道府県教育委員会,市町村教育委員会の協力を得て実施する。

2)都道府県教育委員会は,域内の市町村教育委員会に対して指導・助言・連絡等をするなど調査に協力する。また,自らが設置管理する学校に対して指示・指導・助言等をするなどにより調査に当たる。

3)市町村教育委員会は,学校の設置管理者として調査に協力し,自らが設置管理する学校に対して指示・指導・助言等をするなどにより調査に当たる。

4)学校は,校長を調査責任者として,設置管理者である教育委員会の指示・指導・助言等に基づき調査に当たる。

(6).調査結果の取扱い

  文部科学省は,以下のとおり,調査の結果を公表するとともに,調査の対象となった学校(以下「対象学校」という。)及び当該対象学校を設置管理する教育委員会(以下「対象教育委員会」という。)に対して,調査結果等を提供する。
  また,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第21条第17号の規定により,調査の実施,調査結果の活用及び公表等を含め,調査は教育委員会の職務権限である。そのため,教育委員会は,調査結果の活用及び公表等の取扱いについて,主体性と責任を持って当たることとする。

1)調査結果の公表

   文部科学省は,調査の実施後,調査問題,正答例,問題趣旨,解答類型,調査の実施状況を公表する。

2)調査結果の提供

   文部科学省は,対象教育委員会及び対象学校に対して,以下のとおり調査結果を提供する。
(ア)対象教育委員会に対しては,その設置管理する対象学校の状況に関する調査結果
(イ)対象学校に対しては,当該対象学校の状況に関する調査結果

3)調査結果の取扱いに関する配慮事項

  「4.本体調査 5.(5)」と同様とする。

(7).調査実施に当たっての相談体制

  「4.本体調査 6.」と同様とする。

(8).留意事項

1)教育委員会及び学校における調査の実施に関する体制等

  調査を実施するとともに,調査結果等を取り扱うに当たり,以下の体制を整備することとする。
ア 各対象教育委員会においては,調査責任者及び担当者を指名するとともに,所管の対象学校からの相談に対応するなど,適切に実施体制を整備すること。
イ 各対象学校においては,調査責任者及び担当者を指名し,適切に実施体制を整備すること。
ウ 各対象学校においては,調査の実施に当たって,調査の目的や内容,調査結果の取扱い等を生徒,保護者等の関係者に周知すること。
エ 各対象教育委員会,対象学校等において,調査問題等の調査に関して知り得た秘密については,その保持を徹底すること。
オ 各対象教育委員会及び対象学校においては,提供された調査結果等について,本実施要領に基づいて適切に取り扱うとともに,管理を徹底するために,必要な措置を講ずること。
カ 各都道府県・指定都市教育委員会においては,本実施要領の趣旨を踏まえ,必要に応じ,近隣の都道府県・指定都市教育委員会と情報共有又は視察等を行い,様々な学校種等における実施状況を把握するよう努めるとともに,域内の市町村教育委員会及び学校に対し,本調査の実施後,その概要等について適切に周知を図ること。

2)個人情報の保護

  「4.本体調査 7.(2)」と同様とする。

3)教育課程上の位置付け

  調査の教育課程上の位置付けについては,対象教育委員会及び対象学校の判断により,以下のとおり取り扱うことを可能とする。
ア 教科に関する調査については,以下のとおり,当該教科の授業時数の一部として取り扱うことを可能とする。
外国語   :1.3単位時間相当
イ 生徒質問紙調査については,特別活動(学級活動)の一部として取り扱うことを可能とする。

4)障害のある生徒に対する配慮

  障害のある生徒については,対象学校の判断により,当該生徒の障害の種類や程度に応じて,調査時間の延長,拡大文字・ルビ振り問題用紙の使用,代筆解答用紙の使用,別室の設定,イヤホンの使用等の配慮を可能とする。

5)日本語指導が必要な生徒に対する配慮

  日本語指導が必要な生徒については,原則として,他の生徒と同様の授業を受けている生徒について,調査の対象とする。ただし,例えば,英語の時間に取り出し指導を受けているなどの事情がある場合は,当該教科を調査の対象としないことを可能とする。なお,調査を行うに当たっては,各対象学校の判断により,調査時間の延長,ルビ振り問題用紙の使用等の配慮を可能とする。

6)調査問題等の公表

  文部科学省は,調査の実施後,速やかに,調査問題,正答例,問題趣旨,解答類型を公表する。

7)調査マニュアルの作成・配付

  調査の具体的な実施方法等については,平成30年4月頃に作成・配付する予定の調査マニュアルで示す。




お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

電話番号:03-5253-4111(代表)内線3726

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(初等中等教育局参事官付学力調査室)