平成22年度全国学力・学習状況調査の実施について(通知)

21文科初第381号
平成21年12月28日

各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事
各構造改革特別区域法第12条第1項
 の認定を受けた地方公共団体の長
附属学校を置く各国立大学法人学長  殿

 文部科学副大臣
鈴木 寛

 
 文部科学省は,平成22年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領を別紙のとおり決定しましたので通知します。
 ついては,都道府県教育委員会におかれては域内の市町村教育委員会及び調査に関係する所管の学校に対して,市町村教育委員会におかれては調査に関係する所管の学校に対して,都道府県知事におかれては調査に関係する域内の私立学校及びそれを設置する学校法人に対して,構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては調査に関係する域内の学校設置会社等に対して,国立大学法人学長におかれては調査に関係する附属学校に対して,速やかに,御周知いただくとともに,本実施要領を踏まえて,調査を円滑かつ確実に実施するため,特段の御理解と御協力をお願いします。 

 

(別紙)平成22年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領

平成21年12月28日
文部科学副大臣決定

1.調査の目的

   義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から,全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し,教育施策の成果と課題を検証し,その改善を図るとともに,そのような取組を通じて,教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。また,学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。

2.調査の名称

「平成22年度全国学力・学習状況調査」(以下「本調査」という。)

3.調査の対象とする児童生徒

(1)国・公・私立学校の以下の学年の児童生徒を対象とする。
ア  小学校調査
 小学校第6学年,特別支援学校小学部第6学年
イ  中学校調査
 中学校第3学年,中等教育学校第3学年,特別支援学校中学部第3学年

(2)特別支援学校及び小中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒のうち,調査の対象となる教科について,以下に該当する児童生徒は,調査の対象としないことを原則とする。
ア 下学年の内容などに代替して指導を受けている児童生徒
イ 知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の教科の内容の指導を受けている児童生徒

4.調査事項

(1)児童生徒に対する調査
 ア 教科に関する調査
(ア)小学校調査は,国語・算数とし,中学校調査は,国語・数学とすること。
(イ)出題範囲は,調査する学年の前学年までに含まれる指導事項を原則とし,出題内容は,それぞれの学年・教科に関し,以下のとおりとすること。
(ⅰ)身に付けておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容や,実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能など(主として「知識」に関する問題)を中心とした出題
(ⅱ)知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力や,様々な課題解決のための構想を立て実践し評価・改善する力などにかかわる内容(主として「活用」に関する問題)を中心とした出題
(ウ)出題形式については,記述式の問題を一定割合で導入すること。
 イ  質問紙調査
   調査する学年の児童生徒を対象に,学習意欲,学習方法,学習環境,生活の諸側面等に関する質問紙調査(以下「児童生徒質問紙調査」という。)を実施すること。

(2)学校に対する質問紙調査
    学校における指導方法に関する取組や学校における人的・物的な教育条件の整備の状況等に関する質問紙調査(以下「学校質問紙調査」という。)を実施する。

5.調査の方式

(1)文部科学省が調査対象として抽出した学校における前述3.の学年の全児童生徒を対象として全国的な抽出調査を行う。

(2)抽出調査の対象となった学校以外の学校については,学校の設置管理者の希望により,抽出調査と同一の問題の提供を受け,調査を利用すること(以下「希望利用」という。)ができることとする。この場合においては,問題の提供後の採点等は,学校の設置管理者の責任の下で行うこととし,希望利用による調査の結果は,抽出調査の集計には用いない。 

6.調査実施日等

(1)児童生徒に対する調査
   調査の実施日は,平成22年4月20日火曜日とすること。なお,希望利用による調査は,学校の設置管理者の判断に基づきこの日以降に実施することも可能とする。
 ア 小学校調査
(ア)教科に関する調査は,国語・算数の主として「知識」に関する問題は合わせて1単位時間,国語・算数の主として「活用」に関する問題はそれぞれ1単位時間とすること。
(イ)児童質問紙調査は,各学校の状況に応じて適切に実施すること。
 イ 中学校調査
(ア)教科に関する調査は,国語・数学の主として「知識」に関する問題はそれぞれ1単位時間,国語・数学の主として「活用」に関する問題はそれぞれ1単位時間とすること。
(イ)生徒質問紙調査は,各学校の状況に応じて適切に実施すること。

(2) 学校に対する質問紙調査
   平成22年4月に実施する。

(3) 調査実施に関するスケジュール
   別紙1のとおりとする。

7.調査の実施体制

  本調査の実施体制は,以下のとおりとする(公立学校,私立学校,国立学校における調査の実施系統図は,それぞれ,別紙2,別紙3,別紙4)。
(1)本調査は,文部科学省が,学校の設置管理者である都道府県教育委員会,市町村教育委員会,学校法人,国立大学法人等の協力を得て実施する。

(2)都道府県教育委員会は,域内の市町村教育委員会に対して指導・助言・連絡等をするなど調査に協力する。また,自らが設置管理する学校に対して指示・指導・助言等をするなどにより調査にあたる。

(3)都道府県知事は,私立学校の所轄庁として調査に協力する。

(4)市町村教育委員会,学校法人,国立大学法人等は,学校の設置管理者として調査に協力し,自らが設置管理する学校に対して指示・指導・助言等をするなどにより調査にあたる。

(5)学校は,校長を調査責任者として,設置管理者である市町村教育委員会等の指示・指導・助言等に基づき調査にあたる。

8.調査結果の取扱い

(1)抽出調査の結果の示し方
   文部科学省は,小学校調査及び中学校調査のそれぞれについて,国全体の状況,国・公・私立学校別の状況及び都道府県ごとの域内の公立学校全体の状況に関し,以下の事項等を示す。
ア  教科に関する調査の結果について,国語,算数・数学のそれぞれ,主として「知識」に関する問題と,主 として「活用」に関する問題に分けた四つの区分ごとの平均正答数,平均正答率,中央値,標準偏差
イ  児童生徒の学力に関する分布の形状等が分かるグラフ
ウ 各教科の設問ごとの正答率等
エ 児童生徒質問紙調査及び学校質問紙調査の結果について,
(ア)児童生徒質問紙調査及び学校質問紙調査の回答状況
(イ)児童生徒質問紙調査の回答状況と教科に関する調査の正答率等との相関関係の分析
(ウ)学校質問紙調査の回答状況と教科に関する調査の平均正答率等との相関関係の分析
(オ)その他,本調査の目的の達成に資する分析結果

(2)抽出調査の結果の文部科学省による公表
 文部科学省は,本調査の目的を踏まえ,(1)に基づき示した抽出調査の結果を公表し,教育委員会及び学校に情報提供を行う。

(3)抽出調査の対象となった学校の各児童生徒の調査結果等の提供
 抽出調査の対象となった学校に在籍する各児童生徒に関する調査結果及び学校質問紙に関する調査結果等の提供は,以下のとおりとする。
ア 文部科学省は,都道府県教育委員会に対し,当該都道府県教育委員会の設置管理する学校で抽出調査の対象となった学校に在籍する各児童生徒に関する調査結果及び学校質問紙に関する調査結果について提供する。
イ 文部科学省は,市町村教育委員会に対し,当該市町村教育委員会の設置管理する学校で抽出調査の対象となった学校に在籍する各児童生徒に関する調査結果及び学校質問紙に関する調査結果について提供する。
ウ 文部科学省は,抽出調査の対象となった学校に対し,抽出対象となった各児童生徒に関する調査結果及び個人票を提供する。
エ 抽出対象となった児童生徒の在籍する学校は,当該児童生徒に対し,個人票を提供する。

(4)抽出調査の対象となった学校の各児童生徒の調査結果等の取扱いについての配慮事項
 抽出調査の対象となった学校に在籍する各児童生徒に関する調査結果及び学校質問紙に関する調査結果等の取扱いについての配慮事項は,以下のとおりとする。
ア 文部科学省は,抽出調査の対象となった学校に在籍する各児童生徒に関する調査結果及び学校質問紙に関する調査結果等について,これが一般に公開されることになると,序列化や過度な競争が生じるおそれや参加主体からの協力及び国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり,全国的な状況を把握できなくなるなど調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられるため,行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第6号の規定を根拠として,同法における不開示情報として取り扱うこととする。
イ 教育委員会等は,文部科学省から提供を受けた抽出調査の対象となった学校に在籍する各児童生徒に関する調査結果及び学校質問紙に関する調査結果等について,アを参考に,それぞれの地方公共団体が定める情報公開条例に基づく同様の規定を根拠として,情報の開示により調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう,本実施要領の趣旨を十分踏まえ,適切に対応する必要がある。
ウ   抽出調査の対象となった学校に在籍する児童生徒に関する調査結果及び学校質問紙に関する調査結果の提供を受けた教育委員会又は学校が,自らの教育及び教育施策の改善,各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげる趣旨で,調査結果を独自に集計する場合,集計結果の公表又は情報公開請求における開示については,本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること,学校における教育活動の一側面に過ぎないことなどを踏まえるととも,以下の点に十分配慮する。
(ア)教育委員会や学校は,保護者や地域住民に対して域内の教育及び当該学校の状況について説明責任を有していること
(イ)情報公開条例等との関係
(ウ)序列化や過度の競争につながらないようにすること
(エ)各児童生徒の個人情報の保護との関係

(5)抽出調査の結果の活用
   各教育委員会,学校等並びに文部科学省においては,本調査の目的を達成するため,以下のような抽出調査の結果を活用した取組に努めることとする。
ア 各教育委員会,学校等においては,自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握・検証し,教育及び教育施策の改善,各児童生徒の全般的な学習状況の改善等に取り組むにあたり,抽出調査の結果を活用すること。その際,各教育委員会においては,それぞれの役割と責任に応じて,学校における取組等に対して必要な支援を行うこと。
イ 文部科学省においては,抽出調査の結果を活用して,多面的な分析を行い,教育及び教育施策の成果と課題を検証し,その改善に取り組むこと。また,教育及び教育施策の改善に向けた全国的な取組を進めること。

(6)希望利用による調査の結果の取扱い
   希望利用による調査の結果の示し方,公表,提供,取扱いの配慮事項,活用については,学校の設置管理者において判断することとする。
 特に,(4)ウに記載の点については,希望利用による調査においても十分配慮すること。

9.調査実施にあたっての相談体制

(1)学校の設置管理者である市町村教育委員会等においては,所管の学校からの相談に対応するなど適切な指導・助言を行う。
 
(2)調査実施にあたっての市町村教育委員会,学校等からの問い合わせや調査問題の配送・回収状況の把握・確認等に対応するため,文部科学省が民間機関に委託して,コールセンターを設置する。

10.留意事項  

(1)各教育委員会,学校等における実施・活用体制等
   本調査を実施するとともに,調査結果等を活用するにあたり,以下の体制を整備することとする。
ア 各教育委員会等においては,調査責任者及び担当者を指名するとともに,所管の学校からの相談に対応するなど,適切に実施体制を整備すること。また,希望利用による調査を行う場合は調査の実施前までにあらかじめ作業方法等を定めるとともに,必要な措置を講じること。
イ 各学校においては,調査責任者及び担当者を指名し,適切に実施体制を整備すること。
ウ 教育委員会,学校等においては, 本調査の実施にあたって,本調査の目的や内容,調査結果の取扱い等を児童生徒,保護者等の関係者に周知すること。
エ 各教育委員会,学校等において,調査問題等の調査に関して知り得た秘密については,その保持を徹底すること。
オ 各教育委員会,学校等においては,提供された調査結果等について,本実施要領に基づいて適切に利用するとともに,管理を徹底するために,必要な措置を講ずること。また,関係機関等に対して調査結果等を提供する場合には,提供を受ける機関等において本実施要領の趣旨が遵守されることを前提とするとともに,本実施要領の趣旨に基づいた取扱いが行われるよう必要な措置を講ずること。
カ 各教育委員会,学校等においては,調査結果等の分析やこれを活用して教育及び教育施策の改善等に向けた取組等を進めるための体制を整備すること。

(2)個人情報の保護
ア 文部科学省及び文部科学省が委託した民間機関は,抽出調査に使用する解答用紙等について,児童生徒の氏名を取得しない形式を用いること。
イ 各教育委員会,学校等においては,調査に関して知り得た個人情報について,それぞれが遵守すべき個人情報保護関係法令又は地方公共団体の定める条例に基づき,適切に取り扱うこと。

(3)調査日程の変更等
   抽出調査は,各教育委員会,学校等の協力を得て実施するものである。抽出調査の実施日に,特定の学校において調査を実施できないやむを得ない事情が生じた場合は,教育委員会,学校等の判断により,当該学校について抽出調査の (ⅰ)実施そのものを見合わせること,又は (ⅱ)当該学校における調査実施日を後日に変更することができる。なお,(ⅱ)の場合,抽出調査の集計からは除外することとするが,教育委員会,学校等の求めに応じて,文部科学省は,採点及び調査結果の提供を行うこととする。
 希望利用による調査の実施日を後日に変更することについては,学校の設置管理者が判断する。

(4)教育課程上の位置付け
 教育課程上の位置付けについては,教育委員会及び学校の判断により,以下のとおり取り扱うことを可能とする。
 ア 教科に関する調査については,以下のとおり,当該教科の授業時数の一部として取り扱うことを可能とすること。
  ・小学校調査 国語及び算数:それぞれ1.5単位時間相当
  ・中学校調査 国語及び数学:それぞれ  2単位時間相当
 イ 児童生徒質問紙調査については,特別活動(学級活動)の一部として取り扱うことを可能とすること。

(5)障害のある児童生徒に対する配慮
 障害のある児童生徒については,各学校の判断により,当該児童生徒の障害の種類や程度に応じて,調査時間の延長,点字・拡大文字問題用紙の使用,別室の設定などの配慮を可能とする。

(6)日本語指導が必要な児童生徒に対する配慮
 日本語指導が必要な児童生徒については,原則として,他の児童生徒と同様の授業を受けている児童生徒について,調査の対象とする。ただし,例えば,国語,算数・数学の時間に取出し指導を受けているなどの事情がある場合は,当該教科を調査の対象としないことを可能とする。なお,調査を行うにあたっては,各学校の判断により,調査時間の延長,ルビ振り問題用紙の使用などの配慮を可能とする。

(7)調査問題等の公開
   文部科学省は,抽出調査の実施後,速やかに,調査問題,正答例,問題趣旨,解答類型を公開することとする。

(8)調査マニュアルの作成・配布
   本調査の具体的な実施方法等については,平成22年2月に作成・配布を予定している調査マニュアルで示す予定である。調査マニュアルの主な記載項目は,以下のとおりとする。
ア 調査の日程,時間割
イ 調査の実施体制
ウ 調査実施時における具体的な作業手順
エ 特別な配慮が必要な児童生徒への対応
オ 不測の事態への対応

お問合せ先

初等中等教育局学力調査室

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線3726)
ファクシミリ番号:03-6734-3727

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-- 登録:平成21年以前 --