調査結果の公表・情報公開に関する中央教育審議会の答申等の記述

別添3

1.新しい時代の義務教育を創造する(答申)(抜粋)(平成17年10月26日中央教育審議会)

第1章 教育の目標を明確にして結果を検証し質を保証する-義務教育の使命の明確化及び教育内容の改善-

(2)教育内容の改善

ウ 学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施
  •  各教科の到達目標を明確にし、その確実な修得のための指導を充実していく上で、子どもたちの学習の到達度・理解度を把握し検証することは極めて重要である。客観的なデータを得ることにより、指導方法の改善に向けた手がかりを得ることが可能となり、子どもたちの学習に還元できることとなる。このような観点から、子どもたちの学習到達度・理解度についての全国的な学力調査を実施することが適当である。なお、実施に当たっては、子どもたちに学習意欲の向上に向けた動機付けを与える観点も考慮しながら、学校間の序列化や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要である。
  •  具体的な実施の方法、実施体制、結果の扱い等について更に検討する必要がある。その際には、自治体や学校が全国的な学力状況との関係でそれぞれの学力状況を把握することにより、教育の充実への取組の動機付けとなることが重要な視点であると考えられる。
  •  また、併せて、収集・把握する調査データの取扱いに慎重な配慮をしつつ地域性、指導方法・指導形態などによる学力状況との関係が分析可能となる方法を検討する必要がある。なお、学力調査の調査内容に関しては、知識・技能を実生活の様々な場面などに活用するために必要な思考力・判断力・表現力などを含めた幅広い学力を対象とすることが重要である。

2.全国的な学力調査の具体的な実施方法等について(抜粋)(平成18年4月25日全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議)

5.調査結果の公表及び返却について

(略)

(2)調査結果の公表の具体的方法

  •  昨年10月の中央教育審議会答申においては,「実施に当たっては,子どもたちに学習意欲の向上に向けた動機付けを与える観点も考慮しながら,学校間の序列化や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要である」との指摘がなされている。
  •  国が公表する調査結果については,都道府県は,教職員の給与費を負担するとともに広域で人事を行うなどの役割と責任を有していることなどにかんがみ,国全体の状況に加えて,基本的に都道府県単位の状況とする。
  •  市区町村の状況については,現在都道府県において独自に実施されている学力調査においても市区町村単位まで調査結果を公表する自治体数が8にとどまっていることや,現時点において個々の単位の状況まで公表すると序列化や過度な競争につながるおそれがありその影響は大きいと予想されることなどを考慮し,個々の市区町村単位の状況を公表するのではなく,地域の規模等に応じたまとまりごとに,例えば,大都市(政令指定都市及び東京23区),中核市,その他の市,町村の状況を公表する。また,へき地における学校全体の状況を公表する。

(略)

  •  また、公表に当たっては、全国的な学力調査により測定できるのは学力の特定の一部分であることを示すことや、数値により示される調査結果についての解釈を併せて示すことなどの配慮が必要である。

(3)調査結果の返却の具体的方法

(略)

  •  また、返却に当たっては、以下のような留意点を併せて示すなどの配慮が必要である。
    • 全国的な学力調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること。
    • 数値による示される調査結果については、分かりやすい反面、一面的な解釈がなされるおそれがあるため、その数値の解釈と併せて返却すること。
    • 学校評価や児童生徒の学習状況の評価など学校教育にかかわる評価に際して、この調査結果を有用な情報の一つとして活用できるものの、この調査結果は多面的な評価のための一側面にすぎないこと。

(略)

  •  都道府県が国から返却された調査結果を独自に公表することについては,国としては都道府県に対して一定の考え方を示して都道府県等の判断にゆだねるべきとの意見もあったが,都道府県が域内の市区町村等の状況を個々の市区町村名等を出して公表することになると序列化や過度な競争につながるおそれは払拭できないと考えられる。また,全国的な学力調査の実施主体が国であることや市区町村が基本的な参加主体であることなどにかんがみると,都道府県に対して,原則として,国における公表レベルや内容と同様の対応を求めることが適当である。
  •  一方,全国的な学力調査において,都道府県等が,域内における学力に関する分布の状況を明らかにするために,個々の市区町村名等を出さないで市区町村,学校,児童生徒の分布の状態を示すことはあり得るものと考えられる。
  •  現在,都道府県が独自に実施する学力調査において,域内の市区町村の状況を個々の市区町村名等を出して公表している都県があるが,これについてはそれぞれの都道府県の判断にゆだねられるべきである。
  •  国が市区町村や学校に調査結果を返却することのねらいは,それぞれが全国の中でどのような状況であるか認識し,その上で指導改善等に生かすことにある。各市区町村や学校が自己の結果を公表することは,それぞれの判断にゆだねることが適当であるが,公表する場合も,全国的な学力調査の結果に基づいて順位付けがなされることや過度な競争をあおらないよう細心の配慮を払う必要がある。
  •  市区町村,学校が地域や保護者等に説明責任を果たすために自己の結果を公表する場合には,例えば,この調査により測定できる学力は特定の一部分であることや,学校評価の中で体力なども含めた教育活動の取組の状況等を示し,調査結果の分析を踏まえた今後の改善方策等を併せて示すなど,序列化や過度な競争をあおらないような工夫や取組が必要である。

-- 登録:平成21年以前 --