調査結果の公表・情報公開に関する国会での主な質疑内容

別添2

1.平成18年3月1日(水曜日)予算委員会第四分科会(抜粋)

○丹羽秀樹議員

 …さらには、各自治体や学校間での競争が激化してしまい、その辺でも問題が生じ、…と思っております。

(略)

○小坂文部科学大臣

(略)

 過去にあった学力調査における意見として、自校の成績を上げるために学力の差のある生徒に対して受けさせないというような事例が生じたりという弊害が過去指摘をされたこともあります。そういったことに十分配慮をいたしまして、それぞれに積極的にお取り組みいただけるようにするためには、調査の趣旨や、それから私どもが考えている配慮を十分にお伝えして、理解を得て、そして自主的に、積極的に参加していただく、そういう環境づくりが非常に重要だと思っております。
 そのことにまず心を砕きながら、今専門家の検討会議を組織して検討していただいておりまして、具体的な実施の枠組みについてはそこの結論を待っていきたいと思っております。
 全国的に、学力、生徒の学習理解度などを十分把握できる、そして検証できるということ、それから各学校における教育指導や児童生徒の学習の改善に役立つようなものにすること、そういった意味で、調査の実施方法、結果の取り扱い、公表の仕方、ここが非常にポイントだと思っているんです。
  特に公表の仕方、どこへどう戻すのかというフィードバックのレベルについては、私どもも、少なくとも学校の公表に当たっては、全国的に見た中で大まかな感覚がつかめるように、余り個別的なものを公表するということになりますと弊害が生じることも懸念されますので、専門家の御意見を聞きながら、その辺には十分に配慮をしたい。
 それから、知識だけでなくて実生活での活用力をはかるような方式にする、それから序列化につながらないように配慮をすること、こういった点を検討して、実施要項に向かって詰めていきたい、こう考えております。
 各教育委員会においてこの考え方を御理解いただいて、漏れなく参加していただけるように努力をしてまいりたいと存じます。

2.平成18年3月15日(水曜日)衆・文部科学委員会(抜粋)

○池坊保子議員

(略)

 私は学力テストが全国レベルで二位だ三位だなんということに一喜一憂する必要はないと思うんですね。低学年では伸びなくたって、基礎、基本をしっかりと身につけていれば高等学校でその能力を伸ばすこともできますから、学力テストだけがすべてみたいなことは考える必要はないので、…。
 文部科学大臣には、これから国はどういうことをやるべきと考えていらっしゃるのか、そのお考えとともに、地方にどういうことをしてほしいと願っていらっしゃるのか。それから、あわせて、今の学力テスト、そういうことについてもお考えをお伺いしたいと存じます。

○小坂文部科学大臣

(略)

 その位置づけをしっかり把握して、それがもし最初のプランとずれているようであれば、それを今度は是正するため、あるいはさらに前向きに前進させるためのアクションをとっていくということでございますので、それぞれの教育現場において、自分たちがどのような位置づけになっているのか、また、自分たちがやってきたことがどのように前進をしているのか、あるいは停滞をしているのか、そういったことについての正しい認識を持っていただくことが必要でございまして、これは国の立場から行うものではなくて、現場の皆さんに対しても、自分たちが行ったことに対する自己評価といいますか、自分たちでこれを確認していただくための材料を提供するといった意味での効果は十分にあるものだと思っております。その意味で、この全国学力調査については、結果の公表の仕方というものを私どもは十分に配慮をしていかなきゃいかぬと思っております。
  すなわち、個別の個人あるいは学校あるいは市町村の位置づけを公表するのではなくて、まずもって大きなブロック単位でそれぞれの位置づけがどのようになっているのか。また、その中において、それぞれの市町村は、その県の中で一体自分はどういう位置づけになっているかということが把握できるように、都道府県のブロックあるいは市町村のうちの市の、政令指定都市を含めた、中核市、政令市、そういった大くくりのあり方、町村というくくりのあり方、あるいは過疎の町村というものもまた別につくる必要があるかもしれません。
 そういったそれぞれのレベルの段階で比較をして、そして、それぞれの都市部、大都市部ではどうなのか、あるいは地方都市ではどうなのかというような、大くくりでまず位置づけを見ていただくというようなことができるような配慮もしながら、こういったことを現場で十分御理解いただければ、自分たちの町村に対して直接的な位置づけをして公表されるようなものに参加はしたくないというような間違った理解のないように、十分にその意義とやり方、方法等を周知して取り組んでいきたい
、このように考えているところでございます。

3.平成18年3月16日(木曜日)参・文教科学委員会(抜粋)

○北岡秀二議員

(略)

 所信の中にも入っておるようでございますが、全国的な学力調査の実施にも大臣は触れておられます。学力低下が危惧されている中、大臣自身、今までゆとり教育の是非云々いろいろ言われておりました。…今後、学力の向上に対して文科省としてどういうふうに取り組んでいかれるのか、大臣のお考えも含めて、お伺いをさしていただきたいと思います。

○有村大臣政務官

 北岡先生から御質問がありました学力調査のことだけ私が担当させていただきます。
 全国的な学力調査については、児童生徒の学習到達度を全国的に把握して国として一定以上の教育水準の確保を図ること、また、各教育委員会、学校に対して広い視野で教育指導の改善充実を図るための機会を提供することを目的として、十九年度の早い時期に小学六年生の国語、算数、中学三年生の国語、数学について原則として全児童生徒を対象に行いたいと考えております。
  中教審、昨年10月の答申においても、学校間の序列や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要と指摘されておりまして、これはしっかりと課題として踏まえた上で、問題作成や公表の在り方、フィードバックの仕方など、心して取り組んでまいりたい。特に具体的な実施方法については、専門家による討論、会議において議論を進めていただいておりまして、来月、4月をめどに取りまとめを行う予定であります。
 その上で、市町村、それから実施していただく児童生徒、学校現場の先生方、また保護者の方々にも理解をしていただくような努力を重ねてまいりたいと考えております。

(略)

○井上哲士議員

(略)

 …市区町村ごとに、市区町ごとに公表が、発表されて、おまえの学校は成績最下位だとかあんたの市は最悪だといってからかわれたとか、それから、もうそういうことを言われるので引っ越ししたいと親に言ったとか、もうみんなに迷惑掛けるからテストの日休んだとか、こういう子どもの声もたくさんあるんです。現にこういうことになっているわけですから、私は見直すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○小坂文部科学大臣

  委員の御懸念は、過去の学力調査の弊害部分という点を十分注視する必要があると。私も指示をしているところでございまして、そういった意味で、悉皆的な調査をいたしますと、それをそのまま公表するような形を取るとそういった弊害というものが指摘されます。例えば市町村の各学校ごとの状況を順位付けして発表するというようなことをいたしますとそういう状況になってくると思います。
  そういったものをそれじゃどうやって緩和していくかということになりますと、公表の仕方を十分に検討する必要があると私は思っているわけでございます。例えば、大都会あるいは都市部、町村部、市町村部と。市部もいろいろな区分けがあるかもしれません。それから、いわゆる過疎市町村と呼ばれるような地域、こういったものを全体的に一くくりにして、そしてどういうレベルにあるかという検証をし、適宜必要に応じた公表をするというようなことも考えられますし、また、各教育委員会に対してその管轄の全体的な像を提示するということも一つの方法だと思います。
  こういった方法を今十分に検討を重ねて、そういった弊害的な、御指摘に当たるようなことがミニマイズされるような、最小限化されるような方法を策定をして実施をしてまいりたい、そして、そういった方式を公表することによって、今委員が御指摘になったような懸念が払拭されるように努めてまいりたいと存じます。

4.平成18年3月22日(水曜日)参・文教科学委員会(抜粋)

○神本美恵子議員

(略)

 悉皆でやることの問題については、日本もこれまで、過去、学テというのがありまして、学力テストがあって、途中で中止せざるを得なくなったのは、この悉皆でやったために過度な競争や、それからテストのための準備授業になってしまうというような、それから低得点しか取れない子供や学校に対して過度なストレス、プレッシャーを与えてしまって、教育そのものがゆがんでいったという経験の中であれは中止に追い込まれたと思うんですね。

(略)

○小坂文部科学大臣

 委員から各種の御指摘がございました。
 全国学力調査に関しましては、ゆとり教育に対するいろいろな御意見、またPISAの調査に現れている読解力及び理数系の学力の低下という指摘、こういったものを踏まえながら、現状がどこにあるのかということをしっかり把握する意味で、是非とも実施させていただきたいと、こう考えております。
 その実施に当たりましては、専門家による検討会議を設けてそこで検討していただいておりますけれども、単にその検討結果を踏まえて実施するだけでなく、中央教育審議会における答申の意向、そしてまたこの検討会議の結論、それから市町村等の意見を十分に聞いて、そしてそういった上で、今御指摘のありましたいわゆる弊害と言われるようなものの除去に努めて、この確実な実施と、そして悉皆調査によるいわゆる御指摘のあったような単なる個別の競争を起こすような、過度の競争に入るような、そういった弊害が生じないような方法を講じて、公表等についても十分に配慮して、そういった点を配慮した上で公表の方式等も考えて、各市町村、学校現場の皆さんの理解が十分に得られるような方法を模索してまいりたい、その上での実施を心掛けたいと思っております。

5.平成18年10月26日(木曜日)参・文教科学委員会(抜粋)

○井上哲士議員

 もう1点、大変危惧をもっておりますのは、いわゆる競争と選別、そのもとでの格差が拡大するのではないかということなんです。
 文部科学省は、来年の4月から全国一斉に、小学校6年生と中学校3年生の、すべての子どもたちを対象に学力テストを行います。私は、今年の3月の委員会でも、これには反対だということを申し上げました。非常に弊害が大きいと。その際にですね、文部科学省としても、この学力テストの実施が、過度の競争をまねいたり、学校間の序列化を招来したりすることはあってはならないと答弁をされ、そして、結果の公表については弊害的な部分を最小限化すると。これは前の大臣が答弁をされました。
 その後、色々な公表方法について検討があったと思いますが、どういう形で公表されるんでしょうか。

○銭谷初等中等教育局長

  来年の4月に行います全国学力・学習状況調査の結果の公表についてでございますが、まず1つは、国全体の状況を公表いたします。2つには、都道府県単位の状況を公表する予定にいたしております。3点目には、地域の規模等のまとまりごとの状況-ちょっとわかりにくいのでございますが、大都市、中核市、その他の市、町村等に分けまして、それぞれの状況を公表する予定にいたしております。
 私どもといたしましては、公表するデータの読み取り方と合わせ示すなど、序列化や過度な競争につながらないよう、十分配慮することを基本的な視点といたしております。

○井上哲士議員

 国としてはそういう公表ですが、都道府県の教育委員会、それから市町村の教育委員会での結果の取扱いはどの様にお考えでしょうか。

○銭谷初等中等教育局長

  各教育委員会における、全国学力・学習状況調査の結果の取扱いにつきましては、これも序列化や過度の競争につながらない取扱いを求めているところでございます。すなわち、都道府県の教育委員会に対しましては、域内の市町村や学校の状況について、個々の市町村名、学校名を明らかにした公表は行わないこと。市町村の教育委員会に対しましては、同様に、域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表を行わないことを求めているところでございます。

(略)

○井上哲士議員

 そうしますと、前大臣がですね、いわゆる学校ごと、市町村ごとなど公表すると弊害的な部分があると、こういうことも言われていたわけですが、伊吹大臣も同じ考えだと、ということでよろしいですか。

○伊吹文部科学大臣

  学力調査とのは何のためにやるかというと、やはり最低限の学力が全国的についているかどうかということを調べるわけですからね。いま政府参考人が申しましたように、文部科学省としては1つ1つの学校の成績を公表するというようなことは考えないと、こう言ってるわけですから。それで私はいいんだと思います。

6.平成18年11月22日(水曜日)参・教育基本法に関する特別委員会(抜粋)

○井上哲士議員

 …既にこの学力テストと学校選択制が併せて行われている自治体で一体どういうことが起きているのかと。
 要するに、学校同士の点数競争が激しくなって、例えば点数を上げるために過去の問題を何回も何回もやらせるとか、そのためにできない子は学校に来づらい雰囲気をつくられている。実際に自分が学校の平均点を下げることを苦にして休む子もいると、こういうことが起きています。
 …そういう学校間のテストの点数教育でこういうゆがみが起きているという事態についてはどうお考えか、お願いします。

○伊吹文部科学大臣

 …全国の学力テストというのは、文科省の実施する学力テストというのは習熟度がどこまでかということを確認するためにやっているわけでして、…それによって学校の格付をするという気持ちは、私たちはありません。
 ただ問題は、先ほど来も議論が出ておりますが、進学率が高いから補助金を増やすとか、そういうことは私はやっぱり余り感心しないと。競争はやっぱり学校間でしてもらわなければいけないんですよ。競争という言葉はいろいろな意味がありますが、国民の税金を使ってやっているわけですから、競争という言葉はともかく、国民の税金を効率的に使うということだけはやっぱりこれは避けて通れないんですね。そのことと進学率によって補助金を分けるなどということは、私はちょっと別の観点からやっぱり深く考えるべきだと思います。

7.平成19年4月20日(金曜日)衆・教育再生特別委員会(抜粋)

○石井郁子議員

 この学力テストの結果は公表し、また、学校に順位をつけたり、ランクをつけることになるのではありませんか。

○安倍内閣総理大臣

  全国の学力・学習状況調査においては、個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行いません。そして、学校間の序列化や過度の競争をあおらないように十分我々は配慮しなければならないと考えています。
 一方、教育再生会議の第一次答申で提言をされておりますとおり、各学校が説明責任を果たすため、保護者に対して、自校の学力や学習状況とその成果や改善計画を説明することは重要であろうと思いますし、また、規制改革・民間開放の推進に関する第三次答申においては、調査結果については、学校ごとの教育施策や教員自身の指導方法の改善に資する資料として活用すべき、としているとこであります。
 これらの答申の趣旨を踏まえまして、調査結果による学校のランク付けではなくて、それぞれの学校が自校の学力等の状況を把握し向上させることを促していく必要があると考えています。

○石井郁子議員

 調査結果の公表は行わないということは御答弁されたと思います。ところで、総理は御自身の著書「美しい国へ」の中で全国的な学力調査を実施し、その結果を公表するべきであると書かれています。結果を公表するということが総理のお考えではありませんか。

○安倍内閣総理大臣

 私が申し上げましたように、学力テストは全国の学力の水準を把握をし、そしてまた、改善を図っていくためのものであって、ただ調査をやるだけでは何の意味もなさない訳でありますから、その調査の結果を各学校に伝えていくということは当然大切でしょうし、また、父兄の皆さんが、一体自分の子どもが通っている学校はどうであろうということになれば当然知ることができるということになるのではないかと。しかし、最初に申し上げましたように、ランク付け等々をするのはふさわしくないとこういうことでございます。私が公表と申しましたのは、結果がどうであったかということを学校あるいは父兄が知ることができるということは重要ではないかと考えているところでございます。

○石井郁子議員

 ランク付けをしないということですが、公表するということはランク付けにつながるということなんですよね。ですから、総理がこの中でお書きになっているということは今の取組みと違っているというふうにはなりませんか。これは撤回すべきではないでしょうか。

○安倍内閣総理大臣

 国全体と都道府県では公表しておりますから、そういう意味では私の趣旨に則って公表、つまり、都道府県がどうなっているかということについては公表している訳でございまして、ですから、個々の学校においてはランク付けは行っていない。要は、最初に申し上げましたように、御両親が自分のお子さんが通っている学校がどういう状況にあるのかを知ることができるということは大きなことであって、であるならば工夫をしてまいりたいということにつながっていく、そして、皆で改善の努力も行っていくということは十分可能ではないかと考えている。

○石井郁子議員

 都道府県や市町村がどのように行うかということと国がどうするかということは自ずから別のことでありまして、今は、国の対応をお聞きしているところでございます。なぜそのことをお尋ねするかと申しますと、2005年12月の規制改革・民間開放推進会議の第二次答申では、このように述べております、「全国的な学力到達度調査について検討が進められているが、教員評価に資するなど同調査を実効あるものとするためには悉皆的に実施し、学校に関する情報公開の一環として学校ごとに結果を公表する必要がある。」ということを明確に述べてますね。先ほども総理がお触れになりましたけれども、教育再生会議でも、そういう議論をしているところであります。結果を公表するということと学校選択制ということとがリンクされて議論されている訳でございますので、お尋ねしている訳でありまして、総理は、この答申部分は否定されるんでしょうか。国として、結果は公表しないということは断言できますか。

○安倍内閣総理大臣

 先ほど申し上げましたのは、国として国全体と都道府県の状況については公表するということで申し上げた訳でございます。都道府県の状況については、個々の学校がどうなっているかということではなくて、たとえば、神奈川県はこういう状況になっていますよ、神奈川県全体については公表する、あるいは、国全体についてはどういう状況になっているかということは公表する訳でありますが、学校ごとのランク付けはしないということでございます。これも申し上げておかなければならない。しかし、何のためにこの学力テストを全国でやっているかといえば、それぞれの学校で学力の状況が落ちていれば改善の努力をする、良い学校があれば良い学校でやっていることをそのような学校にさらに活用してもらうということは十分に可能であろうと思うところでございます。また、規制改革・民間開放の推進に関する第三次答申においては、調査結果については学校ごとの教育施策や教員自身の指導方法の改善に資する資料として活用すべき、とされているところでございます。

○石井郁子議員

 確認したいのですけれど、個々の学校がどうかということをお知らせすることは当然なのですが、最初の御答弁では市町村名、学校名を明らかにした結果の公表は行わないとだったと思うが、そこははっきりしていますよね。

○安倍内閣総理大臣

  それははっきりしておりまして、個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行わない。しかし、先ほども申し上げましたとおり、国全体と都道府県の状況については発表するということでございます。

8.平成19年4月26日(木曜日)参・文教科学委員会(抜粋)

○水岡俊一議員

 昨日の朝日新聞の社説に載っておりました、「全国学力調査格差を広げないように」というそういう題で出ておりますが、その中に私が申し上げたいことが正に書いてありました。「文科省は結果を都道府県ごとに公表するのにとどめる。しかし、学校ごとの成績を含む詳しい結果は、市町村の教育委員会と学校に伝えられる。それを市町村や学校が公表するかどうかは、それぞれの判断にゆだねられた。」、こういうふうに書いてあります。
 これは、これまでの当委員会でのお話の中でもそういったことについては確認をされてきているところでありますが、学校ごとあるいは市町村ごとの成績が発表されるということについての懸念は今の段階においてどういうふうにとらえておられるか、ちょっとお聞きをしたいと思いますが。

○伊吹文部科学大臣

(略)

 率直なところ、この調査を実施するに当たっては、各都道府県教育委員会と文部科学省の中で、今先生が御懸念になっているようなことも踏まえて、私はきちっと話をさせております。その話の内容は、これはあるがままの児童生徒の学力を把握をして、これからの教育行政あるいは教科書の在り方、教育課程の在り方等の参考にするためにやるものですから、作って点数を上げる性格のものじゃないということをまずはっきりとさせておくようにと、そしてその上で、国としては全体の数字と都道府県の状況は公表いたしますと、で、各々の市町村、学校の名前は公表を、明らかにするというような公表はしないでおこうという約束で都道府県教育委員会と我々の間の約束が行われて、都道府県教育委員会はそれを受け入れてやっておられるわけですよ。
 ですから、もう先生のお手元に行っていると思いますが、18年の6月の事務次官通知ということがありまして、この中にそのことはもうかねてから明記されているわけですね。で、この取扱いを前提として各教育委員会は当然参加をしているわけですから、個々の市町村名とか学校名というものは、市町村にゆだねられているというは、私は必ずしも正しい記述ではないと思いますね。

○水岡俊一議員

 大臣、そこで、大臣のお気持ち、それから文科省の考え方、私なりに理解をしているつもりなんですが、今教育界で心配をされていることは、ある議会でこの情報について公開をするようにという請求がなされたり、あるいは情報公開制度によって請求がなされたり、あるいは公開をするように訴訟が起こされたりとか、こういうことが今起こっているわけですね。このテストが正に行われた今、こういった公開請求に堪え得ることができるのかということについて私はちょっと心配をしているんですが、その点についてはいかがでしょう、大臣。

○伊吹文部科学大臣

 今申し上げたような、この実施のかなり詳細な、先生のお手元にも行っていると思いますが、これずっと詳しく読んでいただくと、そういう前提で教育委員会と文部科学省がこれをやって、この全国統一の学力テストをやるという合意にはなっていないんですよ、個別の学校名を出すというようなことはね。
  ですから、仮にそういう請求が行われたとしても、まず私たちとしては、情報公開法5条の6号ですか、の規定からこれはお断りをするというのが当然の筋なんであって、もちろん司法の場で争われるかも分かりませんよ。しかし、そのときには、お手元にいっている我々と都道府県教育委員会とのその合意の内容、これを実施するに当たっての、それがやはり公判の有力な私は資料になると思います。

9.平成19年5月29日(火曜日)参・文教科学委員会(抜粋)

○佐藤泰介議員

(略)

 やっぱり成績順に出るんじゃないかと、やっぱり序列化するんじゃないかと、そういうことがあるいは教員評価をされるんじゃないかと、悉皆テストにする、悉皆調査にするとそういう状況が起こりますよということを私は強く言いたいと思うんですね。

(略)

○伊吹文部科学大臣

 先ほど来私が申し上げましたように、これは全国的な学力の状況を把握をして、今後の教育政策の判断材料にするためにやらせていただいているわけでございまして、私が就任いたします前の、昨年の6月に事務次官通知というものを文部科学省では出しておるようでございます。これによりますと、文部科学省は全国、国全体及び都道府県の状況は公表すると。しかし、学校間の序列化や過度な競争が生じないよう、個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行わない。都道府県教育委員会には当然その結果が行きますので、各教育委員会等も個々の市町村名や学校名を明らかにしないということを前提にして調査に参加をしておられますから、今回の調査に関しては学校が順番で公表されるなどということはありえません…。

○銭谷初等中等教育局長

 全国学力・学習状況調査の実施にあたりましては、いろいろなご意見があったわけでございますけれども、基本的には閣議等の決定その他を踏まえましても、私どもが今回実施をしましたやり方、公表の仕方というのが、今回の学力・学習状況調査において確定をしているものでございます。国は、国全体及び都道府県の状況は公表すると。しかし、学校間の序列化や過度の競争が生じないように、個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行わない。このことは、本調査の実施要領、昨年6月の事務次官通知におきまして明記をしております。この実施要領に基づき、各教育委員会等が個々の市町村名や学校名を明らかにしないことを前提として調査に参加をしております。今回の調査は、冒頭、大臣からもご答弁ございましたように、普段の学習の状況というものを把握をして、その結果を分析することによりましてそれぞれの学校の指導改善、それから私ども全国的な教育指導の改善のための諸施策に反映をさせていくというものでございます。

-- 登録:平成21年以前 --