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千葉市教育委員会 「学校改善」を通して確かな学力を‐わかる授業・楽しい教室・夢広がる学校‐

はじめに

 平成19年度は,千葉市検証改善委員会を設置し,全国学力・学習状況調査の結果を分析し,各学校で活用できるよう「学校改善支援プラン」を作成した。
 本年度は,「学校改善支援プラン」で示された課題の改善に向け,実践的な取組を行おうとしている学校を,「調査活用協力校」として指定し,自校の課題改善に向けた取組を推進した。
 一方,調査活用協力校への指導・助言及び支援を行うことを目的として学校改善委員会を設置し,学校改善につながる具体策のとりまとめを行った。

1.千葉市教育委員会における取組

1.事業内容について

(1)事業概要

  • 4月25日に「学校改善事業調査活用協力校会議」を開催し,学校改善推進事業の共通理解を図った。。
  • 7月9日に,学校改善委員会を開催し学校改善委員の役割等について共通理解を図った。
  • 9月30日に,教育委員会指導課において,平成19年度全国学力・学習状況調査結果を改めて見直し,千葉市の子どもたちの学習における課題についてまとめた。
  • 調査活用協力校において,7月から11月にかけて課題の解決につながる実践を進めた。
  • 学校改善委員は,各学校からの要請を受けて2回の訪問指導を行った。1回目は,学校参観,授業参観を通して,授業方法の改善等の指導を行う。2回目は,学校改善に向けた具体的な取組のまとめについて指導,助言を行った。
  • 10月31日に,教育委員会指導課において,平成20年度全国学力・学習状況調査結果の分析を行い,分析結果をまとめる。
  • 11月から2月にかけて,ブロック別教科主任会において,平成20年度全国学力・学習状況調査結果の分析結果を基に,教科主任に指導・助言を行った。
  • 12月12日「学校改善委員・調査活用協力校合同会議‐実践事例報告会‐」を開催し,実践事例について情報交換を図った。。
  • 2月27日に実践事例を「学校改善実践事例集」としてまとめ,各学校へ配布して具体的改善策の普及を図った。

(2)実施体制

○学校改善委員会(11名)

  • 指導課長大学教授(1名)指導主事(5名)元校長(1名)校長(2名)教科指導員(1名)調査活用協力校への,指導・助言及び支援を行う。

○調査活用協力校
(小学校6校中学校4校計10校)

  • 轟町小学校
  • 西小中台小学校
  • 大巌寺小学校
  • 磯辺第一小学校
  • 磯辺第三小学校
  • 扇田小学校
  • 葛城中学校
  • 幕張中学校
  • 川戸中学校
  • 稲毛中学校

 各学校で,平成19年度全国学力・学習状況調査結果等の結果から見られる課題の改善に向けた実践を推進する。

○改善に向けた4つの視点

  • A職員研修の活性化
  • B指導方法の改善
  • C確かな学力を育む教育課程の改善
  • D保護者・地域との連携,小中の連携

(3)研究成果

[総論]

 各学校において,平成19年度全国学力・学習状況調査の結果分析等からみられる課題を設定し,その改善に向けた取組を充実させることができた。特に調査活用協力校においては,先進的な取組を行うことができた。また,国語,算数・数学の学力の向上だけでなく,教職員研修,教育課程の工夫改善,地域家庭との連携といった4つの視点からの学校改善の取組を推進できたことは大きな成果であった。具体的には,教職員研修の活性化に3事例,指導方法の改善に16事例,教育課程の改善に7事例,保護者地域・小中の連携に3事例,計29事例が報告された。どの実践も,各学校が参考にし実践できる内容であった。

[教育委員会における実践研究について]

 学校改善の具体的な進め方について,各教科主任会や教育課程説明会において啓発できた。平成19年度全国学力・学習状況調査結果の分析から見られる,千葉市の子どもたちの学習における課題をまとめ,学校訪問等での指導に役立てることができた。また,平成20年度全国学力・学習状況調査結果の分析を行い,学校改善実践事例集に参考資料としてまとめることができた。

[成果の普及に関する成果について]

 10校の調査活用協力校の校長,研究主任及び学校改善委員で,実践事例の情報交換を行うことができた。また,2月には「学校改善事例集」を刊行し,各学校に3部ずつ配布し普及を図ることができた。

2.普及啓発と今後の取組について

(1)成果の普及啓発に関する取組

・12月12日(金曜日)に,「学校改善委員会・調査活用協力校合同会議‐実践事例報告会‐」を開催した。
 学校改善委員会11名及び調査活用協力校の校長と研究主任が出席し,各調査活用協力校の実践事例について情報交換を行った。10校の調査活用協力校が合わせて29の事例を発表した。10校の調査活用協力校の間でも,参考にし実践してみたい事例が多くあり,成果の交流という観点から大変効果のある報告会であったという意見をいただいた。
・その後,調査活用協力校の実践事例を中心に,「学校改善実践事例集」を作成した。2月末に刊行し,各学校へ3部ずつ配布し,普及を図った。

(2)来年度以降の取組

○「学校改善実践事例集」の活用促進
 各学校に3部「学校改善事例集」を配布しその普及を図ったところであるが,21年度に入ってもその活用を促進する必要がある。各教科主任研修会,教育課程説明会,各種訪問指導の際に,「学校改善事例集」を基に学習を積んでいきたいと考えている。
○平成21年度全国学力・学習状況調査結果の分析と活用
 担当指導主事を中心に,結果分析と課題の改善策についてまとめていく。千葉市独自に行っている「千葉市学力状況調査」の分析結果とをリンクさせていきたい。
 平成21年度全国学力・学習状況調査の結果分析と考察については,「千葉市学力状況調査報告書」に掲載する予定である。

2.調査活用協力校における取組事例

取組事例1.表現力が伸びるノートづくりーデジカメノートからの脱却ー葛城中学校

(1)改善の視点

<本校での「数学科の表現力」とは>

 具体的には,以下のような能力・態度が必要になると考えている。
1.言葉や記号,数式などを用いて考えたことを明確な表現で表すことができる能力
2.友だちの考えを積極的に取り入れ,自分の考えを積極的に表現する態度
このような能力・態度を育成するための本校での試みの1つに,ノート指導がある。

<「デジカメノート」から「育つノート」への変換>

 ノートをとることがデジタルカメラで写すことと同じになっている生徒がいないだろうか。携帯世代の子どもたちである。「ノートすらとれない」のではなく,「ただ億劫」なのである。これは数学の力を伸ばすためのノートの取り方の指導が不十分だからではないだろうか。「小学校ではあれだけ見てくれていたノートを中学校の先生はあまり大事に見てくれない」と多くの生徒は感じていないだろうか。本校では特に「図形」の領域で,改めてノートの記述の指導に力を入れている。

(2)実践

1 デジカメですむようなノートをつくらせないために・・・

☆板書以外のことを必ず1つは書くのがルール。
☆自分の言葉をノートに必ず残させる。
気づいたことでも疑問点でもかまわない。

 図形の論証の授業では,何も書けないまま時間が過ぎて,最後に教師が黒板に書いたものをノートに写すだけになってしまう生徒が増えてしまうことがある。しかし,最初の数時間は,ほとんどの生徒が図をかいたり,矢印などを駆使したりしながら,何とか思いつきをかこうと試みようとしていないだろうか。この最初の数時間が自分の考えを何とか表現しようとする態度を育てる一番のポイントと考えている。

2 自分の考えと他の考えをしっかり分けて書かせるために・・・

 あえて黒板に何も書かない空間をつくる。「自分の考え」とかいて四角で囲んでおく。そして,授業の最後まで黒板のそこには何も書かない。

 こうすることによって,自分の考えと友達の考えをしっかり分けてノートにとるようになる。たとえ思考の筋道が同じだとしても,友達の表現をノートに留めるように助言する。すると,次の時間では友達のよい表現の仕方をまねて,自分の言葉としてノートに書こうとする態度が生まれる。その繰り返しによって数学の用語を用いて適切に記述し,表現するよさを実感させていく。

(最初は少ししかかけなかった生徒が,友達のかき方のヒントで書き始める)

(最初は少ししかかけなかった生徒が,友達のかき方のヒントで書き始める)

3 教師が一人一人のノートをできる限り添削,評価する

 できれば毎日ノートを集めて,赤ペンを必ずいれる。少なくとも週1回は集めよう。

 「黒板をきれいにかいて,プリントもきちんと貼っています。でも,数学は苦手。」という生徒は多い。「こんなに一生懸命きれいにかいているのに・・・」と悩んでいる。教師側はノートをきれいかどうかだけで評価してはいないだろうか。どのように生徒が思考したのか,どこでつまずいたのか,できるようになったことは何か,指導方法に改善点はないかを添削,評価するものでありたい。

 (文章で表現していた生徒。友だちの表現をヒントに式を使えるようになってきた)

(文章で表現していた生徒。友だちの表現をヒントに式を使えるようになってきた)

(3)成果と課題

<成果>

○自分の考えをなんとか表現しようとする生徒が増えてきた。
○ノートの充実が,いきいきとした発表活動にも繋がっていく。

<課題>

○毎時間ノートを添削するための時間の確保が難しい。

取組事例2.語りの活動―地域人材の力を借りて―磯辺第一小学校

(1)改善の視点

 子ども達の読書離れが取りざたされている昨今であるが,子ども達は本当に本が嫌いなのであろうか。本校では,図書委員会による読み聞かせや図書室の本を使った図書クイズ大会などが休み時間に自由参加で行われるが,低学年だけでなく,高学年の児童の参加も多い。また,図書室もよく利用され,週1時間設定されている「読書タイム」を楽しみにしている児童が多い。子ども達は,本の世界に入ることを心地よく感じているに違いない。
 そんな児童に今年は,さらに本の世界を広げてほしいと願い,以下のような実践を行った。

(2)実践

1 みどり文庫の方によるお話の会

《カラスの親子の話を手遊びで》

《カラスの親子の話を手遊びで》

《自分が知っている話とはちがう結末でびっくり》

《自分が知っている話とはちがう結末でびっくり》

 本校では,今年6月26・30日の二日間にわたってみどり文庫の方による第一回目の「お話の会」を開いた。26日は,2・4.5年生,30日は1.3.6年生,各クラスに2~3名ほどの文庫の方が入ってくださり,それぞれの学年に合ったお話をしてくださった。「読み聞かせ」ではなく,読む本を持たずに口頭からお話が流れてくる「かたり」というスタイルだったが,子ども達は読み手の一挙手一投足に注目して,お話の世界に浸っていた。後期に2回目の「お話の会」を開いた。

《1年生の感想から》
・にんじんとごぼうと大根のぺープサートが裏返ったところがびっくりしました。
・お話会で大人の人に読んでもらっておもしろいと思いました。話し方も上手で頭の中にイメージができておもしろかったです。本を読むこと,イメージできることの楽しさを教えてもらいました。

2 5年生によるもみじ幼稚園との交流

 5年生が「総合的な学習の時間」を活用して,近隣の「もみじ幼稚園」の子ども達に読み聞かせを行った。
 児童は,これまでにも図書館指導員の方に読み聞かせをしていただく機会が多かった。今回の「お話の会」をきっかけに,今度は自分達が誰かに読み聞かせをしたいという気持ちを持ち,来年度入学してくる年長さんへ行うことになった。
○本選びの基準
 児童は,それまでに「本をたくさん読もう」という国語学習からの取り組みもあり,自分達も本を読んできていた。そこで,「年長さんが興味をもって聞いてくれる本は」という観点から,自分達の読んできた本を見直したり,図書室の本を改めて探したりして本を選んだ。
○読み聞かせの方法
 本選びだけでなく,紙芝居・ペープサート・パネルシアターなどの読み聞かせの方法にも工夫をこらした。

《児童の感想》
・本を読んでいる最中,しゃべったりしないか心配でした。でも,みんな真剣に話を聞いてくれてびっくりしました。それにつっかえないで,うまく読めたのでよかったです。一人だけ静かな女の子がいたので,話しかけたら名前を教えてくれました。とても楽しんでやってくれたのでよかったです。

(3)成果と課題

<成果>

○どの学年も自分で本を読むだけでなく,耳から入ってくる言葉で想像の世界を広げることの楽しさを感じることができた。

<課題>

○児童の読書傾向を調査することで,ジャンルが偏りがちな児童には他の種類の本へ広げたり,「お話の会」や読書タイムの時間を年間計画や日課表の中に位置づけたりすることで読書する意欲を高めていきたい。

取組事例3.いつでもどこでも算数チャレンジ―算数を楽しむ日常化のために―大巌寺小学校

(1)改善の視点

<ゲーム感覚で算数を楽しむ>

 算数では,学年が進むにつれて学級内の能力差が大きくなり,苦手意識を持つ児童も多くなってくる。本校では,楽しみながら学び,自然に算数的な体験活動ができるようにすることが重要であると考えた。学習の時間だけでなく,それ以外の時間にも楽しみながら活動できるような場を設定することにより,日常的に算数に親しむことができるようにしたいと考えた。

(2)実践

1 「さんすうチャレンジ」について

 校内に全校児童が取り組める「さんすうチャレンジ」コーナーを設置し,休み時間などに自由に活動に取り組めるようにした。廊下や階段踊り場の床面タイルを利用し,面積比べや数を数える活動・パズルなどができるようにした。また,算数資料室には,「ひとふでがき」のコーナーを作った。児童がそれぞれの活動に挑戦しやすいようにルール説明や解答欄のあるチャレンジシートを用意した。教室内にも,市販のパズルを置いたり,穴埋め算数の問題を掲示したりして,いつでも楽しみながら算数に取り組める環境を構成している。

「さんすうチャレンジ」について

2 実践にあたって

○どんな内容で,ねらいはどうするか
 まずは「たのしく取り組めること」がねらいであるので,遊びやクイズの中から,頭をつかって考えられそうな内容を話し合い,教材化した。タイルのマス目を使った面積比べ,一筆がき,パズルなどを用意している。

○いつ,取り組むか
 休み時間や,学習中に自力解決がはやく終わってしまったときなど,身近にすぐ取り組めるように配慮した。活動をコーナーから教室に持ち込み,活用しやすくしている。

3 実践継続への留意点
  • 1回の活動で終了してしまうのではなく,繰り返し挑戦できるような活動内容を用意した。また,活動内容に段階を設け,クリアしたら次のステップに挑戦できるようにした。
  • なるべく多くの児童が取り組めるように学年ごとに活動成果の基準を定め,クリアしたら合格賞や励ましシールなどがもらえるようにした。
  • 一人だけでなく,二人組・三人組でたのしく活動できるような活動を用意した。
  • 低学年の児童は,チャレンジコーナーができるといち早く廊下や床の面積比べや,パズル,ひとふでがきなどに取り組む姿が見られたが,高学年は教師の声かけが重要である。教師もいっしょに取り組み,楽しむ姿勢が必要である。
4 実際の活動

1.広さは何マス?
○ねらいPタイルのマス目を数え,床面に描かれた図形の面積を求める。
○留意点マス目にそった形(キリン)だけでなく,斜めの部分がある図形(ヘビ,カメ)や曲線が含まれる図形(大巌寺の屋根)も用意した。

《ヘビ1マスの半分の三角形があるぞ》

《ヘビ1マスの半分の三角形があるぞ》

《かめ2マスの半分の三角形があるぞ》

《かめ2マスの半分の三角形があるぞ》

2.数えてみよう
 廊下の床面やPタイルを利用し,10までの数や10以上の数を数える。

《Pタイルが三枚あるかな》

《Pタイルが三枚あるかな》

3.ひとふでがきにちょうせん
ひとふでがきの決まりに従って,見通しをもって図形を描く。

《かたつむり,くしだんご》

《かたつむり,くしだんご》

《異学年の子どもたちと一緒にチャレンジ》

《異学年の子どもたちと一緒にチャレンジ》

(3)成果と課題

<成果>

○休み時間になると,さんすうチャレンジのコーナーでいろいろな課題に挑戦する姿が見られ,子どもたちが自然に算数的な活動に親しむことができた。
○友達と協力しながら楽しんで活動する姿が見られた。時にはあれこれ相談しながら問題を解いていて,考えを言葉で表すことへの第一歩ともなった。

<課題>

○活動場所が固定されてしまうと,活動に限りがでてしまうので,活動場所を校内の何カ所かに設定したり,教室にも持ち込めるように工夫したりすることが必要である。
○低学年も高学年も取り組めるような問題をたくさん用意することが必要である。

お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

(初等中等教育局参事官付学力調査室)

-- 登録:平成22年03月 --