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沖縄県教育委員会 「確かな活用力」の育成を目指して‐「わかる授業」の構築のために‐

はじめに

 本県の児童生徒の学力・学習の状況を踏まえ,学力向上対策を機能的かつ効果的に推進するために,県教育委員会,市町村教育委員会,学校,家庭,地域が役割を明確にするとともに,RV‐PDCAマネジメントサイクルに基づいた「確かな学力の向上」の取組を推進してきた。具体的には,学校改善支援プランとして,「確かな学力の向上」支援プラン(「わかる授業」のヒント集)を作成した。本プランは,学校における授業の改善を主眼に置いてまとめており,学力向上主要施策『夢・にぬふぁ星プラン2.』を補完するものと位置付けている。
 本プランでは,授業実践の方針や多様な資料を活用する授業,児童が課題を解決する授業,一人一人の児童生徒が自分の考えがもてる授業の在り方などを提示している。また,「学習を支える力」として1.家庭学習の習慣化と質の向上,2.学習準備の習慣化,3.授業の開始時刻の徹底などを示し,保護者と連携協力を図る手だても示している。
 更に,各学校における授業の改善の支援や家庭における学習習慣の確立を図るために,「授業実践事例集」や「家庭学習の手引き」を配布し活用を図っている。

1.都道府県・指定都市教育委員会における取組

1.事業内容について

(1)事業概要

 本県は,全国学力・学習状況調査「教科に関する調査」の結果から,小学校・中学校ともに国語,算数・数学の各教科において,平均正答率が全国平均を大きく下回っている。基礎的・基本的な知識・技能やこれを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等が十分身に付いているとはいえない状況である。また,「児童(生徒)の質問紙調査の結果から,児童生徒の学習意欲やねばり強く課題に取り組む態度に個人差が生じていることや家庭学習も含めた学習習慣の確立に課題が認められた。
 そこで,学校におけるRV‐PDCAマネジメントサイクル(実態調査,課題の明確化及び分析,推進方針等の確立,対応策,検証など)に基づいた「確かな学力の向上」のための「わかる授業」の構築を目指して次のような長期的・継続的な取組を行った。
○学校や地域の実態に応じた実践的研究
○各教科及び総合的な学習の時間における指導方法,教材の工夫
○学習習慣の確立を図るために,学校,家庭が連携協力した取組
○成果発表会の開催や実践事例集の作成などの取組を必要に応じて実施し,課題の見られる学校の取組を支援し,教員の指導力の向上,研究情報の共有化及び研究の成果等の普及
○学校改善推進実践研究連絡協議会を開 催し,本事業の趣旨の理解及び実践研 究の推進,調査活用協力校の取組の報 告等による地区教育事務所及び市町村 教育委員会の指導・助言体制の確立
以下は教育委員会等の取組の内容である。

1.県・市町村が連携した推進構想及び推進計画の作成・推進について

ア) 県学力向上主要施策『夢・にぬふぁ星プラン2.』及び学校改善支援プラン(「確かな学力の向上」支援プラン)に基づく学力向上対策を推進した。
イ) 地区教育事務所及び市町村教育委員会の指導・助言体制を確立した。
ウ) 成果発表会の開催や協力校毎の報告書の作成,インターネットによる情報提供などの取組を通して,課題の見られる学校の取組を支援し,教員の指導力の向上,研究情報の共有化及び研究の成果等を普及した。
エ) 実践研究の成果と課題,推進計画等を検証した。

2.調査活用協力校の取組について

○諸調査等の結果から見られる課題の改善を図るために,各学校において研究課題を設定し,実践研究を行った。
 多くの研究校が,研究課題として基礎・基本の定着を設定し,改善の手だてとして形成的評価を取り入れた個別指導や幼小中連携,読解力向上をめざした授業づくり等,学校の課題を踏まえた研究を行い各学校で具体的な成果を上げた。
 また,研究実践報告会を開催し,成果や取組について情報発信を行った。

3.学力向上推進プロジェクトチームの設置について

ア) 全国学力・学習状況調査の結果等についての分析・検討及び『「確かな学力の向上」支援プラン』の見直しを図った。
イ) 本事業を県教育委員会及び市町村教育委員会,学校における共同研究として位置付け,調査活用協力校での授業研究会等へ指導主事等(学力調査官)を派遣した。

4.学校改善推進実践研究連絡協議会の取組について

○学校改善推進実践研究連絡協議会を開催し,調査活用協力校の取組を報告するととともに,情報交換及び指導・助言を行った。(参加者:調査活用協力校,市町村教育委員会,教育事務所担当等)

(2)実施体制

 実施体制

○調査活用協力校の選定基準
 全国学力・学習状況調査等の分析結果から,明らかになった学力や学習状況等の課題を把握し,その改善に向けた具体的な取組が示されていること。
 更に,本県の教育課題である教科の枠を超えた小・中学校の授業力の向上や小中連携による学力向上,組織的な校内研修のあり方等について,具体的なビジョンが示されていること。

(3)研究成果

[教育委員会における実践研究について]
1.学校改善・授業改善の取組

○諸調査結果の集計・分析ソフトの作成・配布
○授業改善プラン作成の手引きの作成・配布
○学力向上対策学校計画訪問の実施
○学力向上支援加配教員の配置による少人数指導等の充実

2.教師の指導力(授業力)向上の取組

○文部科学省学力調査官の派遣(文部科学省)
・国語,算数・数学の授業研究会の実施及び指導助言
・全国学力・学習状況調査の活用の在り方についての指導助言

2.普及啓発と今後の取組について

(1)成果の普及啓発に関する取組

1.調査活用協力校は,実践報告書を作成し,研究実践報告会を開催するとおともに,研究成果を広く情報発信してその共有化を図った。

(2)来年度以降の取組

○授業支援プロジェクトの実施(県費)
・全国学力・学習状況調査等から明らかになった課題(単元,領域)について,各学年及び内容の系統性を踏まえた形成確認問題を作成し,学校へ冊子で配布する。また,web上にも掲載して,各学校における授業改善に生かす。

○授業改善プロジェクトの実施
・中学校の国語及び数学の担当教員の授業力の向上及び授業改善を目指し,各教育事務所において効果的な研修を実施する。

○「わかる授業」モデルの提示
・ 質問紙調査から見える学力が向上する学校像,児童生徒像,授業像等を具体的に示す事で「わかる授業」構築の一助とする。

○琉球大学教育学部との連携協力
・全国学力・学習状況調査の分析・考察を大学と連携協力して行う。
・大学と共同して教材開発及び教員の授業力向上の取組を行う。
・教育実践ボランティアの派遣(琉球大学)についてその効果性を検証し,今後の活用に生かす。

2. 調査活用協力校における取組事例

取組事例1.「授業の工夫・改善」に重点をおいた取組 宮古島市立平良中学校

(1)学校の状況について

 平成19年度の全国学力・学習状況調査において,各教科で全国平均を下回るるなど,県と同様の結果となった。中でも国語の活用(国語B)においては,県平均を下回っていた。また,県教育委員会が実施している学力到達度調査においても,数学,英語,総合の得点が前々年度を下回るなど,学力の向上が本校の大きな課題となっている。
 そこで,生徒の確かな学力を身につけさせるために,学習指導方法の工夫・改善・充実に努め,わかる授業の実践に全職員で取り組むことが必要である。

(2)全国学力・学習状況調査の結果等を活用した取組について

 研究実践の主な内容として1.~6.に取り組んだ。

  1. 数学と英語の指導方法等工夫改善の実践
  2. マネジメントサイクルを確立した授業づくりへの理論研究・授業研究会の実施
  3. 単元シラバス作成とその実施に関わる工夫・改善
  4. 「学習カード」の工夫・改善と活用の充実
  5. 「事前・事後テスト」「単元テスト」の実施
  6. 単元テスト,定期テスト後の再指導の取組(単元テスト70点,定期テスト50点に満たない生徒への再指導)
【数学】の取組

1.指導体制や集団編成の方法等の工夫
ア) 平成19年度の全国学力・学習状況調査結果から2学年で習う等式の変形の部分に落ち込みが見られた。そのため,1学年で関連のある方程式の等式の性質から移項にかけて,指導方法の工夫・改善に取り組んだ。
イ) 新しい単元に入る前にレディネステストを行い,その結果をもとに異質少人数編成を行った。
ウ) 単元シラバスを作成し,毎時間,授業の目標を確認させ,その反省を授業の終わりに書かせることによって理解を図った。
エ) 単元テストや定期テスト前には,希望者を対象に放課後の補習を実施した。

2.指導方法の工夫・改善点
ア) 本時の授業内容に入る前に,正負の数の加法と乗法の25マス計算を1分30秒の時間制限を決めて実施した。
イ) 単元シラバスによって目標の確認を行った。
ウ) 等式の性質の関係を,分銅やおもりを手作りし,天秤に乗せているような形で視覚に訴えた。
エ) プリントを準備し,グループワークの時間をとり,グループごとに発表させた。
オ) 単元シラバスによって自己評価を行い,授業の理解度を把握させ,次の授業につなげた。
カ) 単元テストや定期テストの後,誤答集計を行い,正答率6割以下の問題は重点的に復習した。さらに,間違った問題については誤答レポートを提出させた。

【英語】の取組

1.指導体制や集団編成の方法等の工夫
 平成19年度県教育委員会実施の達成度テストの本校での落ち込み部分は,文型を問う並べ替えの問題で,正答率は全体の16パーセントと低かった。
 その改善策としてワークシートを工夫し,日本語と英語の語順の違いに注目させ,ドリル的課題を設定することを考えた。さらに英語学習の課題解決のために,一人一人の生徒の習熟度に即した指導が行えるよう18人程度の少人数クラスを実施した。
 また,英語学習に主体的に取り組めない生徒がいるという反省を踏まえ,異質編成での指導を試みた。下位群が上位群の発言,ノートの取り方などを見て,学び合いが生まれ英語学習に意欲的に取り組めるようにした。

2.指導方法の工夫・改善点
ア) 単元シラバス,学習カードの活用
 単元ごとに生徒用の単元シラバスを作成し,単元の目標や学習の内容と全体的な流れを予め生徒自身に確認させ,その単元での生徒個々の目標を具体的に記入させることで,自主的に学習に取り組ませるようにした。
 単元終了時には,自ら設定した目標を達成することができたか等を確認する学習カードの記入も行った。
イ) オリジナルノートの活用,ワークブックの取組
 「書く力」を確実に身に付けさせるための取組である。授業での重要な部分を書きとり,語句や文型の練習,自己表現の作成など,学習ノートの併用も可能とし,定期的に提出・点検を行いノートの使い方の指導を行う。新文法の学習において,重要で基本的な知識を,反復練習するためにワークブックを用いて基礎・基本の定着を図った。
ウ) ワークシートの工夫
 単語や本文の反復練習を目的とした新出語句練習シート,本文シートを活用し,書く機会を増やした。
エ) 音読テストの実施
 生徒一人一人の評価表を用いて教師と生徒がマンツーマンで音読テストを行った。時間を基準に点数を設定し,読めない単語や読み違い,発音をチェックして,達成できていない部分をその場で指導し,再テストを行った。下位群だけが音読の力を伸ばすのではなく,上位群もよりネイティブに近い発音を身に付けることができ,両者とも英語学習に意欲的に取り組むことを目的とした。
オ) 評価の工夫
 メリットポイントカードを活用し,生徒のコミュニケーションへの意欲を高める工夫をした。カードは生徒の英語学習の活動につき,1ポイントずつ与えられ,1枚のカードで10ポイント貯めることでき,2枚,3枚と増やしていく。カードの得点は,学期末の観点別評価「コミュニケーションの関心・意欲・態度」へ加算した。
カ) 再指導,再テストの実施
 校内研と連動し,単元テストや中間テスト・期末テストにおいて,目標とする点数に達しない生徒に対して実施した。

(3)成果について

  1. 校内研修に位置付けて研究授業・授業研究会を持つことができた。
  2. 2学期の期末テストにおいて,1年で2教科,3年で3教科が平均70点を達成した。
  3. 単元テスト,定期テスト後の再テスト・再指導の取組ができた。

(4)来年度以降の課題について

  1. 指導方法の工夫・改善・充実
  2. 再テスト・再指導の強化
  3. 各種調査等から見える生徒の実態把握

取組事例2.「基礎的な知識・技能の定着」に重点をおいた取組 本部町立本部小学校

(1)学校の状況について

 全国学力・学習状況調査の結果から国語A「主として知識に関する内容」では,全児童(81人)の半数以上が8問以下の正答数であった。国語B「主として活用に関する内容」では,全児童の半数以上が4問以下の正答数であった。算数Aと算数Bの結果も全児童の半数以上が4問以下の正答数であった。
 国語では,基礎的な読み・書き,話の内容を聞き取る力,算数では文章問題を解く力,図形の概念や弁別,作図する力等に課題がみられた。なかでも活用に大きな課題があるのは,子どもたちに基礎的・基本的な学習内容が確実に身に付いていないことがあげられる。

(2)全国学力・学習状況調査の結果等を活用した取組について

 課題を改善するための取組として,学習集団の編成,教材教具開発,資料の活用等,少人数指導の展開を工夫した。

1.国語
「学級を2分割した単純分割」の取組
ア) 自分をアピールしよう
 スピーチの目的をはっきりさせ,自分のよさや頑張っていること,伝えたいことがらを「初め」「中」「終わり」の組み立てを意識させ,作文に書かせ,自信を持って発表できるように場を設定した。
イ) 放送原稿を書こう
・伝えたい事柄をはっきりさせ,身近なことをテーマに構成や書き方を工夫して,調べたことや自分の考えをまとめ,発表できるように声の大きさや間の取り方などを指導し,放送機器を利用してみんなの前で発表する場を設定した。
・音読活動を毎時間取り入れ,音読集の詩を1ヶ月に四つ練習し,声の大きさ間の取り方などを工夫させ,月末に好きな詩を選んで発表させた。
ウ) 漢字の広場
・漢字の成り立ち,同じ読みの漢字等,毎時間辞典を使って意味調べ,使い方,例文などをノートにまとめさせた。
・漢字のクイズ作りに取り組み,クイズカードに書き込み,問題を出し合ったり教室に掲示したりして,漢字への興味・関心を高めた。
・新聞の見出しを切り取り,見出しの漢字の使われ方や工夫について,辞典で調べたり,感想を発表したりした。

2.算数
 「単元ごとにレディネステストを行い,習熟度に分け,3クラスで対応」
ア) 小数のかけ算
・6,7,8の段でつまずきがみられたため,かけ算九九カードを使って九九を確認した。
・小数をかける計算の仕方の手順を掲示板とノート用に作成し,小数点の位置など確認して,繰り返し反復練習をした。
・計算の検定を実施し,計算の習熟を図った。
イ) 小数のわり算
・数直線や図,言葉の式を押さえ,具体的な操作活動を入れ,検算で答えを確かめる作業を取り入れた。
・落ち込みのある部分を朝のドリルの時間を使い,反復練習をした。
ウ) 平行四辺形と三角形の面積
・タングダム(パズル)を取り入れ,正方形を7枚の図形に分割し,いろいろな形を作る操作活動を行った。7枚を使ってできあがる図形は面積が等しいことなどから,図形や面積に対する興味・関心が高められるようにした。
・面積を求める場合は,根拠に基づいて自分の考えを図に表したり,言葉で表現させたりした。
・活用力スキルのテストを利用し,粘り強く,問題を解く力を付けた。

(3)成果について

  • 漢字や計算の検定テストを学校統一して取り組むことで,家庭でも漢字,計算の学習に力を入れるようになった。
  • 文章をすらすら読むことや文章の読み取り,発表力を付けることができた。
  • 辞典の引き方が速くできるようになり,意味理解が深まり,短文作りもできるようになった。
  • 四則計算の問題が速く解けるようになった
  • 問題解決的な学習が充実した。
  • 家庭学習の習慣化につながった。

(4)来年度以降の課題について

  1. 国語の勉強に対して苦手意識を持っている児童がまだいるので,国語科における少人数指導の仕方を一層工夫する。
  2. 筋道を立てて問題を解く自力解決の力がまだ不十分なので,問題解決的な学習を工夫する。

お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

(初等中等教育局参事官付学力調査室)

-- 登録:平成22年03月 --