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きむらゆういちさん

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「Sカルマ氏の犯罪ー壁」 

きむらゆういち

 安部公房著

きむらゆういち


 「Sカルマ氏の犯罪ー壁」は、ボクに衝撃を与えた一冊だ。
 奇想天外、荒唐無稽、支離滅裂、とも思えるこの本は、ボクの今までの小説というイメージを思いっきりぶち壊した。
 発想の出発点はまるで童話のようで、マンガを読んでいる感覚で大笑したり、なーるほどと頷いたり、手を叩いたりしながら読み進めるが、ファンタジーのように非日常に入り込み、その先の展開があまりにも意外性の連続で見当もつかない。
 しかし、いつの間にかこの摩訶不思議な世界にボクは馴染んでいく。そして、その奥の深さが押しつけでなく、さり気なくしみ込んでくる。
 この作品に出会うきっかけは、なんと高校の国語の教科書だった。「赤い繭」という短編が2年生の時に載っていたのだが、それがあまりに奇想天外でおもしろく、同じ安倍公房という作者の作品を読み始めたのだった。
 今まで、国語の教科書から好きな作家に出会うなんて思いもよらなかったのだが、この安倍公房だけは特別だった。まさに時代を越えて、このとんでる作品は思わぬ角度からボクの日常に切り込んできたのだ。そして何よりもスゴイのは、読んでいて肩を張らずにただただ楽しいことだ。

〈子供達への読書メッセージ〉

 ボクも絵本を書いていますが、読者からお手紙をもらうと本当に嬉しくて、これからももっともっとがんばっていい本を書こうという意欲が湧いてきます。読んで面白かったときは、どんどんお手紙を書いてみましょう。
 
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