第3章 専門教育に関する各教科 第5節 家庭

第1款 目標

 家庭の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、生活産業の社会的な意義や役割を理解させるとともに、家庭の各分野に関する諸課題を主体的、合理的に解決し、社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。

第2款 各科目

第1 生活産業基礎

1 目標

 生活と産業とのかかわりについて理解させ、生活に関連する職業などへの関心を高めるとともに、必要な知識と技術を進んで習得しようとする意欲と態度を育てる。

2 内容

(1)生活と産業
(2)社会の変化と生活産業

 ア 社会の変化と価値観の多様化
 イ 産業構造の変化と生活産業の発展

(3)生活産業と職業

 ア 食生活関連分野
 イ 衣生活関連分野
 ウ 住生活関連分野
 エ ヒューマンサービス関連分野

(4)職業生活と自己実現

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(3)については、学科の特色や生徒の実態等に応じて、アからエまでの中から選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、食生活、衣生活、住生活、家庭経営、保育などの生活と、それらを支える産業とのかかわりを扱うこと。
 イ 内容の(2)については、社会の変化に伴う生活に関する価値観の多様化や消費者の多様なニーズにこたえるための生活産業の発展に関する基礎的な内容を扱うこと。
 ウ 内容の(3)については、各学科に関連した分野を取り上げて、産業の種類や特徴及び関連する職業について、具体的な事例を通して理解を深めさせること。
 エ 内容の(4)については、専門科目の学習と職業生活とのかかわりを扱うこと。また、職業と職業資格について触れること。

第2 課題研究

1 目標

 家庭の各分野に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2 内容

(1)調査、研究、実験
(2)作品製作
(3)産業現場等における実習
(4)職業資格の取得
(5)学校家庭クラブ活動

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、内容の(1)から(5)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお、課題は内容の(1)から(5)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
 イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。

第3 家庭情報処理

1 目標

 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに、情報処理に関する知識と技術を習得させ、生活産業の各分野で情報及び情報手段を活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)高度情報通信社会と生活産業

 ア 高度情報通信社会
 イ 生活産業とコンピュータ
 ウ 情報モラルとセキュリティ

(2)コンピュータの仕組みと情報処理

 ア コンピュータの仕組み
 イ コンピュータによる情報処理

(3)生活産業におけるコンピュータの活用

 ア 情報の収集、処理、発信
 イ コンピュータシステムの活用

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)及び(3)については、実習を中心として扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、高度情報通信社会における産業や生活の変化について理解させること。イについては、生活産業におけるコンピュータの役割や利用状況について理解させること。ウについては、個人のプライバシーや著作権の保護、収集した情報の管理、発信する情報に対する責任などの情報モラル及び情報通信ネットワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について理解させること。
 イ 内容の(2)のイについては、オペレーティングシステムの概要について理解させるとともに、生徒の実態等に応じてアプリケーションソフトウェアを選択し、その基本操作を扱うこと。
 ウ 内容の(3)のアについては、情報機器や情報通信ネットワークを利用した情報の収集、処理、発信ができるようにすること。イについては、CAD/CAMシステム、シミュレーションシステム、データベースシステム、生産管理システムなど、学科に関連するコンピュータシステムを取り上げて、実習を通して具体的に理解させること。

第4 消費生活

1 目標

 財・サービスの選択と意思決定、消費者の権利と責任など消費生活に関する知識と技術を習得させ、環境保全に配慮した消費生活に寄与する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)経済の発展と消費生活

 ア 国民経済の動向と家庭生活
 イ 社会の変化と消費生活

(2)財・サービスの選択と意思決定

 ア 多様化する流通・販売方法と消費者
 イ 生活情報の活用
 ウ 金銭管理と消費者信用
 エ 契約と消費者

(3)消費者の権利と責任

 ア 消費者問題
 イ 消費者の保護と関係法規
 ウ 消費行動と環境保全

(4)消費生活演習

 ア 商品研究
 イ 事例研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)については、身近な財・サービスを取り上げ、アからエまでの学習を通して適切な意思決定ができるようにすること。
 イ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)までと関連させて、ア又はイのいずれかを取り上げて、個人又はグループで適切な課題を設定させること。
 ウ 消費生活関連機関等との連携を図って指導の充実を図るよう努めること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、市場経済の仕組み、産業構造・就業構造の変化と家庭経済への影響、企業のマーケティング活動などと消費生活とのかかわりを扱うこと。イについては、国際化、情報化、高齢化などの進展による消費生活の変化について、身近な事例を通して理解させること。
 イ 内容の(2)のアについては、流通や販売方法が複雑化、多様化している現状について理解させ、消費者が留意すべき事柄などを扱うこと。イについては、各種の生活情報を適切に判断できるようにすること。ウについては、生涯賃金、収入と支出、預貯金、保険などを扱うこと。また、消費者信用を扱い、多重債務や自己破産にも触れること。エについては、契約の意味と重要性について理解させること。
 ウ 内容の(3)のアについては、これまでの代表的な消費者問題を取り上げ、その背景と問題点について理解させること。イについては、国及び地方の消費者保護行政と消費者保護に関する基本的な法律の趣旨と概要を扱うこと。また、企業の社会的責任についても触れること。ウについては、消費行動と環境とのかかわりについて理解させ、環境保全に配慮した生活の在り方について考えさせること。

第5 発達と保育

1 目標

 乳幼児の発達の特徴、乳幼児の生活と保育などに関する知識と技術を習得させ、子どもの健全な成長を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)人間としての発達

 ア 人間発達の中の乳幼児期
 イ 発達観・児童観の変遷

(2)乳幼児の発育・発達

 ア 乳幼児の生理的特徴
 イ 身体発育
 ウ 精神発達と心の健康
 エ 人間関係の発達
 オ 発達の共通性と個別性

(3)乳幼児の生活

 ア 乳幼児の生活の特徴と養護
 イ 生活習慣の形成
 ウ 乳幼児の生活と環境
 エ 乳幼児の健康管理と事故防止

(4)乳幼児の保育

 ア 保育の必要性と意義
 イ 保育の目標と指導の原理
 ウ 家庭保育と集団保育

(5)乳幼児の福祉

 ア 児童福祉の理念と法律・制度
 イ 児童家庭福祉

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 実際に乳幼児と触れ合う学習ができるよう、幼稚園や保育所等との連携を十分に図ること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、乳幼児期が人間の発達の基礎を培う時期であることを理解させること。イについては、発達観・児童観の変遷の概要を扱うこと。
 イ 内容の(2)のエについては、乳幼児期は、特に、基本的人間関係の樹立のために「愛着」が重要であることを、具体的な事例を通して理解させること。
 ウ 内容の(3)のアについては、乳幼児の発育・発達に応じた適切な養護に重点を置いて扱うこと。
 エ 内容の(4)のイについては、乳幼児の基本的要求や社会的要求に着目させ、心身の発達に応じた保育について具体的に考えさせること。ウについては、家庭保育と幼稚園や保育所における集団保育の特徴について理解させること。また、家庭保育については、乳幼児の虐待とその予防にも触れること。
 オ 内容の(5)のアについては、児童福祉に関する基本的な法律と制度の趣旨と概要を扱うこと。イについては、子育て家庭への支援に関する施策の概要を扱うこと。

第6 児童文化

1 目標

 子どもと遊び、子どもの表現活動、児童文化財などに関する知識と技術を習得させ、児童文化の充実を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)児童文化の意義
(2)子どもと遊び

 ア 遊びと発達
 イ 遊びと遊具

(3)子どもの表現活動と児童文化財

 ア 造形表現活動
 イ 言語表現活動
 ウ 音楽・身体表現活動
 エ 情報手段などを活用した活動

(4)児童文化施設
(5)児童文化実習

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)、(3)及び(5)については、実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(5)については、内容の(3)の表現活動や関連する児童文化財の中からいずれかを取り上げて実習させること。また、児童福祉施設、社会教育施設等との連携を図り、子どもとの交流を体験させるよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、子どものための文化活動、児童文化財、児童文化施設などの重要性について理解させること。
 イ 内容の(2)のアについては、子どもの遊びの意義と重要性及び遊びの種類と発達とのかかわりについて理解させること。また、伝承遊びも扱うこと。イについては、遊びと遊具とのかかわり、遊具の選び方や与え方などを扱うこと。
 ウ 内容の(3)については、子どもの表現活動の意義とそれを支える児童文化財の重要性について、事例を通して具体的に理解させること。
 エ 内容の(4)については、子どもの健全な遊びや表現活動を支える代表的な施設を取り上げ、その意義と活用について考えさせること。

第7 家庭看護・福祉

1 目標

 病気の予防と家庭看護、高齢者の介護などに関する知識と技術を習得させ、家族や高齢者の健康管理とともに、家庭看護や高齢者介護の充実を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)健康と病気
(2)病気の予防と家庭看護の基礎

 ア 家族の健康管理
 イ 病気の予防
 ウ 家庭看護の基礎

(3)高齢者福祉の制度とサービス

 ア 高齢化の進展と社会福祉
 イ 高齢者福祉の法律と制度
 ウ 保健・医療・福祉サービス

(4)高齢者の自立生活支援と介護

 ア 高齢者の心身の特徴
 イ 自立生活支援の考え方
 ウ 高齢者介護の基礎

(5)家庭看護と介護の実習

 ア 家庭看護の実習
 イ 介護の実習

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)、(4)及び(5)については、実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(5)については、校内での実習のみでなく、高齢者と接する機会を設けたり、医療機関や福祉施設等の見学や実習を取り入れたりするよう留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、健康の概念と病気やけがの基礎的な知識を扱うこと。
 イ 内容の(2)のアについては、ライフステージごとの健康問題の特徴を踏まえて、健康管理の方法について考えさせること。イについては、日常的にかかりやすい病気や生活習慣病を取り上げ、それらの予防について、具体的な事例を通して理解させること。ウについては、病室の環境整備、体温測定や応急手当の基礎的事項を扱うこと。
 ウ 内容の(3)のイについては、高齢者福祉に関する法律や制度の趣旨と概要を扱うこと。ウについては、高齢者に関する保健・医療・福祉サービスについて、具体的な事例を通して理解させること。
 エ 内容の(4)のイについては、高齢者の生活の質を重視し、高齢者の自己決定に基づく自立生活を支援することが重要であることを理解させること。ウについては、介護の意義と役割について理解させるとともに、内容の(5)と関連を図り、高齢者介護に関する基礎的な技術を習得させること。

第8 リビングデザイン

1 目標

 生活と住居、住居の設計、インテリアなどに関する知識と技術を習得させ、快適な住空間をデザインする能力と態度を育てる。

2 内容

(1)生活と住居

 ア 住生活と住居の変遷
 イ 家族の生活と住居
 ウ 住生活と環境

(2)住空間の形態と構成

 ア 生活行為と寸法
 イ 各室の構成
 ウ 建物の構造と材料

(3)住居の平面計画

 ア 平面計画の方法
 イ 平面計画の実習

(4)インテリアデザイン

 ア インテリアのデザイン要素
 イ インテリアの構成要素
 ウ インテリアの表現技法
 エ インテリアデザイン実習

(5)住生活関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)から(4)までについては、実験・実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(3)のイ及び(4)のエについては、個人又はグループで適切な課題を設定させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、各時代の特徴的な住居様式、気候風土と住居とのかかわり、生活様式と住居とのかかわりなどを扱うこと。イについては、家族の生活と住意識や住要求とのかかわりなどについて理解させること。また、住居の維持管理を扱うこと。ウについては、健康で安全な室内環境の条件、住居と自然環境や社会環境とのかかわりなどを扱うこと。
 イ 内容の(2)のアについては、人体寸法、動作寸法、作業寸法などを扱い、空間の広さと高さなどを把握させること。イについては、ゾーニング、動線、各室の配置と位置関係など間取りの基本について理解させること。ウについては、住居の構造と材料に関する基礎的事項を扱うこと。
 ウ 内容の(3)のアについては、平面計画に当たって配慮する事項や、平面表示記号などを扱うこと。
 エ 内容の(4)のアについては、色彩、形態、材質感などを扱うこと。イについては、床、壁、天井、家具、カーテンなどを扱うこと。ウについては、インテリア計画の手順と表現技法を扱うこと。
 オ 内容の(5)については、建築基準法、消防法など健康・安全にかかわる法規の趣旨と概要を扱うこと。また、住宅取得、維持管理などに関する法規の趣旨と概要にも触れること。

第9 服飾文化

1 目標

 被服の基本型と文化、着装などに関する知識と技術を習得させ、服飾文化の伝承と創造に寄与する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)被服の基本型と文化

 ア 被服の基本型
 イ 服飾の変遷

(2)服飾と流行

 ア 流行
 イ 個性の表現と服飾

(3)着装

 ア 着装の基本
 イ 洋服の着装
 ウ 和服の着装

(4)服飾文化の伝承と創造

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(3)及び(4)については、実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(4)については、(1)から(3)までの学習とかかわらせて個人又はグループで適切な課題を設定させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、被服の起源を取り上げ、被服の基本型について理解させること。イについては、洋服と和服を中心として取り上げ、その変遷の歴史的背景、気候、風土、文化などとのかかわりを扱うこと。
 イ 内容の(2)のアについては、流行と人間の欲求や産業界とのかかわりを扱うこと。
 ウ 内容の(3)については、洋服と和服の基本的な着装ができるようにすること。また、トータルコーディネートを扱い、社会生活上の着装のマナーにも触れること。

第10 被服製作

1 目標

 被服構成の基礎、構成技法、被服材料の特徴などに関する知識と技術を習得させ、被服を創造的に製作する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)被服構成の基礎

 ア 人体と被服
 イ 立体構成と平面構成

(2)被服の構成技法

 ア 立体裁断
 イ 平面製図

(3)被服材料の種類と特徴

 ア 被服材料の種類
 イ 被服材料の特徴

(4)洋服の製作

 ア 洋服の種類と特徴
 イ デザインと材料の選定
 ウ パターンメーキング
 エ 裁断
 オ 仮縫い、補正
 カ 縫製
 キ 仕上げ

(5)和服の製作

 ア 和服の種類と特徴
 イ 和服の構成と名称
 ウ 材料の選定
 エ 裁断
 オ 縫製
 カ 仕上げ

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)、(4)及び(5)については、実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(4)及び(5)については、学科の特色や生徒の実態等に応じて、いずれかを選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、人体と被服とのかかわり、人体を覆う被服の形や動作による変化などについて理解させること。イについては、立体構成と平面構成の特徴について理解させること。
 イ 内容の(2)については、立体裁断と平面製図の特徴や方法について、具体的な事例を通して理解させること。
 ウ 内容の(3)については、目的に応じた被服材料の選択と取扱いができるようにすること。

第11 ファッションデザイン

1 目標

 ファッションデザインの基礎、発想と表現法などに関する知識と技術を習得させ、ファッションを創造的にデザインする能力と態度を育てる。

2 内容

(1)ファッションデザインの基礎

 ア 形態
 イ 色彩
 ウ 文様
 エ 材質感
 オ 要素の統一

(2)ファッションデザインの発想と表現法

 ア デザインの発想
 イ ファッション画
 ウ 各種材料による表現
 エ ファッションデザイン実習

(3)ファッション産業

 ア ファッション産業の仕組み
 イ ファッション産業の動向

(4)商品企画

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)及び(4)については、実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(3)及び(4)については、学科の特色や生徒の実態等に応じて、いずれかを選択して扱うことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、ファッションデザインの造形的要素の基礎的事項を、ファッションイメージとかかわらせて扱うこと。
 イ 内容の(2)のイについては、基本プロポーションなど基礎的な表現手法から、素材表現などの発展的な表現手法へと段階的に扱うこと。ウについては、布などの材料を使ったピンワークやディスプレイなどを扱うこと。
 ウ 内容の(3)については、ファッション産業の仕組みや動向の概要、業務内容と職種との関連などを扱うこと。
 エ 内容の(4)については、ファッションに関する情報収集から、商品を提案するまでの各段階の商品企画を扱うこと。

第12 服飾手芸

1 目標

 手芸の種類と変遷、各種手芸の技法などに関する知識と技術を習得させ、手芸品を創造的に製作し、服飾に活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)手芸の種類と変遷
(2)服飾材料としての各種手芸の技法
(3)手芸品の製作

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)及び(3)については、実験・実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(3)については、計画を立てて作品の製作ができるようにすること。その際、用具や器具、薬品、染料などの取扱いについては、安全に十分留意すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、刺しゅう、編物、染色、織物及びその他の手芸を、地域の伝統文化や歴史などともかかわらせて扱うこと。
 イ 内容の(2)については、刺しゅう、編物、染色、織物及びその他の手芸の中から選択して、基礎的な技法を習得させること。

第13 フードデザイン

1 目標

 栄養、食品、献立、調理、テーブルコーディネートなどに関する知識と技術を習得させ、食事を総合的にデザインする能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食事の意義と役割
(2)フードデザインの構成要素

 ア 栄養
 イ 食品
 ウ 調理
 エ 料理様式と献立
 オ テーブルコーディネート

(3)フードデザイン実習

 ア 食事テーマの設定と献立作成
 イ 食品の選択と調理
 ウ テーブルコーディネートとサービスの実習

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)のウ及びオ並びに(3)については、実習を中心として扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、現代の食生活の問題点にも触れること。
 イ 内容の(2)のア及びイについては、ウの内容と関連付けて理解させること。
 ウ 内容の(3)のウについては、日本料理、西洋料理及び中国料理の基本的なテーブルセッティング、テーマにふさわしいテーブルコーディネート及びサービスの方法を扱うこと。

第14 食文化

1 目標

 食生活の変遷と文化、日本と世界の食文化などに関する知識と技術を習得させ、食文化の伝承と創造に寄与する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食生活の変遷と文化
(2)日本の食文化

 ア 日常食、行事食、郷土料理
 イ 料理様式の発展

(3)世界の食文化

 ア 世界の料理の特徴と文化
 イ 食生活の国際化

(4)食文化の伝承と創造

 ア 食文化の伝承と創造
 イ 調理師の業務と社会的役割

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(4)のアについては、内容の(2)のア及び(3)のアとかかわらせて実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(4)のイについては、学科の特色や生徒の実態等に応じて、扱わないことができること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、日本の食生活の変遷について各時代ごとの特徴を概観させ、食生活の文化的な側面に着目させること。
 イ 内容の(2)のアについては、日常の食事と地域に伝わる行事食や郷土料理を取り上げ、食のもつ文化的、歴史的な側面について考えさせること。イについては、伝統的な料理様式を取り上げ、その特徴や食卓作法を扱うこと。
 ウ 内容の(3)のアについては、世界の主な食文化圏とその料理の特徴の概要について理解させること。
 エ 内容の(4)のアについては、食文化の伝承の重要性について理解させるとともに、新たな食文化を創造しようとする意欲や態度を育成すること。

第15 調理

1 目標

 様式別調理、集団調理などに関する知識と技術を習得させ、食生活の充実向上を図るとともに、創造的に調理する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)調理の基礎

 ア 調理の目的
 イ 食品の性質
 ウ 調理の種類と基本操作

(2)様式別の献立と調理

 ア 日本料理
 イ 西洋料理
 ウ 中国料理
 エ その他の料理

(3)目的別・対象別の献立と調理

 ア 行事食・供応食
 イ 病人食
 ウ 幼児と高齢者の食事

(4)集団調理の管理と運営

 ア 集団調理の種類と特徴
 イ 献立作成と調理
 ウ 調理用施設・設備、熱源及び調理機器
 エ 集団調理の管理

(5)食事環境とサービス

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(2)から(5)までについては、実験・実習を中心として扱うこと。
 イ 内容の(5)については、内容の(2)から(4)までとの関連を図って、サービス実習をさせること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイについては、代表的な食品の調理上の性質について理解させること。ウについては、加熱操作、非加熱操作及び調味の方法と特徴について理解させること。
 イ 内容の(2)については、代表的な献立を取り上げて実習させること。また、様式別の食器、食卓構成、食卓作法などにも触れること。
 ウ 内容の(3)のアについては、代表的な行事を取り上げて、供応の目的に合った献立と調理ができるようにすること。イについては、一般治療食の流動食、軟食及び常食を扱うこと。ウについては、幼児と高齢者の食事に関する留意事項を扱うこと。
 エ 内容の(4)のアについては、各種給食を扱うこと。イについては、集団調理に当たっての留意事項に重点を置いて実習させること。ウについては、厨(ちゅう)房設備と調理機器の安全で衛生的な取扱いに重点を置くこと。エについては、集団調理の組織と運営、食品の保管、調理作業管理、衛生管理などを扱い、集団調理を担当する者としての自覚をもたせるようにすること。

第16 栄養

1 目標

 栄養素の機能と代謝、ライフステージや労働、スポーツと栄養などに関する知識を習得させ、健康の保持増進を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)栄養素の機能と代謝

 ア 炭水化物
 イ 脂質
 ウ たんぱく質
 エ 無機質
 オ ビタミン
 カ 食物の消化と吸収

(2)栄養摂取の基準と栄養状態の評価

 ア エネルギー代謝
 イ 栄養摂取に関する基準
 ウ 栄養状態の評価

(3)ライフステージと栄養
(4)生理と栄養

 ア 労働、スポーツと栄養
 イ 妊娠、授乳期の栄養

(5)病態と栄養

 ア 栄養障害と食事
 イ 病態時の栄養

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、食物繊維の栄養的意義についても触れること。オについては、炭水化物、脂質及びたんぱく質の代謝と関連させて理解させること。カについては、食物の物理的消化、栄養素の化学的消化、吸収及び排泄(せつ)などの仕組みの概要について理解させること。
 イ 内容の(2)のアについては、エネルギー代謝の基礎的事項を扱うこと。イについては、栄養摂取に関する代表的な基準を扱うこと。ウについては、個人及び集団の栄養状態の評価の意義と方法について扱うこと。
 ウ 内容の(3)については、乳幼児期、青少年期、成年期及び高齢期を取り上げ、各期の栄養の特徴と、それを満たす食事構成の概要を扱うこと。
 エ 内容の(4)のアについては、生活活動強度や活動時間の差による生理的特徴、栄養上の配慮事項及び食事構成の概要を扱うこと。イについては、妊娠、授乳期の生理的特徴、栄養上の配慮事項及び食事構成の概要を扱うこと。
 オ 内容の(5)については、栄養の過不足による病気と食事療法及び胃腸疾患、高血圧、糖尿病などの病態に応じた栄養と食事構成の概要を扱うこと。

第17 食品

1 目標

 食品の分類とその特徴、加工と貯蔵などに関する知識と技術を習得させ、食品を適切に活用して食生活の充実向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食品の分類とその特質

 ア 食品の成分と分類
 イ 植物性食品とその加工品
 ウ 動物性食品とその加工品
 エ 油脂
 オ 調味料、甘味料、香辛料及び嗜(し)好品

(2)食品の加工と貯蔵

 ア 食品の加工
 イ 食品の貯蔵

(3)食品の生産と流通

 ア 食品の生産と食料需給
 イ 食品の流通機構

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のアについては、食品の成分の特徴による分類方法である食品群と、「日本食品標準成分表」を扱うこと。イ、ウ及びオについては、代表的な食品を扱うこと。エについては、加工油脂を含めて代表的な食品を扱うこと。オについては、使用目的とその役割、性質、利用法などを扱うこと。また、イからオまでのそれぞれにおいて、食品の表示についても触れること。
 イ 内容の(2)のアについては、物理的加工、化学的加工及び微生物や酵素による加工の目的、方法及び成分の変化を扱うこと。イについては、代表的な貯蔵の方法についてその原理と特徴の概要を扱うこと。
 ウ 内容の(3)のアについては、多様化する食品の生産と食料需給の概要を扱うこと。イについては、代表的な食品の流通機構の概要を扱うこと。

第18 食品衛生

1 目標

 食生活の安全と食品衛生対策など食品衛生に関する知識と技術を習得させ、安全で衛生的な食生活に寄与する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食生活の安全と食品衛生対策
(2)食品の変質とその防止

 ア 微生物による変質とその防止
 イ 化学的作用による変質とその防止

(3)食品添加物と表示

 ア 食品添加物の使用目的と用途
 イ 食品添加物の使用基準と表示

(4)食中毒とその予防

 ア 細菌性食中毒とその予防
 イ 化学物質による食中毒とその予防
 ウ 自然毒による食中毒とその予防

(5)食品の汚染、寄生虫

 ア 有害物質による食品の汚染とその予防
 イ 寄生虫病とその予防

(6)衛生管理と食品衛生関係法規

 ア 衛生管理の方法
 イ 食品衛生関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(6)のアについては、実験・実習を通して具体的に扱うこと。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)については、飲食における食品衛生対策を中心として扱い、食品の生産、加工、流通及び消費における衛生対策についても触れること。
 イ 内容の(2)については、食品の変質とその防止に関する基礎的事項を扱うこと。
 ウ 内容の(3)については、食品添加物に関する法規とかかわらせて扱うこと。
 エ 内容の(4)については、具体的な事例を取り上げて、食中毒の特徴、症状、発生状況と汚染源、予防などを扱うこと。
 オ 内容の(6)のイについては、食品衛生に関する法規の趣旨と概要を扱うこと。

第19 公衆衛生

1 目標

 環境衛生、母子保健、学校保健など、集団の健康と公衆衛生に関する知識を習得させ、疾病の予防と健康づくりに寄与する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)集団の健康と公衆衛生

 ア 公衆衛生の意義
 イ 衛生統計

(2)環境衛生

 ア 現代の環境問題
 イ 生活環境の保全

(3)疾病の予防と健康管理

 ア 生活習慣病と高齢者の健康管理
 イ 感染症の予防
 ウ 精神保健

(4)母子保健

 ア 母性の保護と保健指導
 イ 乳幼児の保健指導

(5)学校保健、労働保健

 ア 学校保健管理と健康教育
 イ 労働環境の整備と健康

(6)公衆衛生関係法規

3 内容の取扱い

(1)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。

 ア 内容の(1)のイについては、人口動態統計、疾病統計及び栄養統計などを取り上げ、集団の健康状態について理解させること。
 イ 内容の(2)については、現代の生活と自然環境とのかかわりについて具体的な事例を通して理解させ、生活環境の保全のための方策について考えさせること。
 ウ 内容の(3)のアについては、生活習慣病の実態とその予防及び高齢者の健康管理について、具体的な事例を通して理解させること。イについては、感染症の発生要因、予防対策、消毒法などの基礎的事項を扱うこと。ウについては、精神の健康を左右する要因と精神保健活動に関する基礎的事項を扱うこと。
 エ 内容の(4)については、母性保健指導及び乳幼児保健指導について、具体的な事例を通して理解させること。
 オ 内容の(5)のアについては、学校における保健管理と健康教育の意義と目的を扱うこと。イについては、職場の環境や作業条件と健康とのかかわりを扱うこと。
 カ 内容の(6)については、公衆衛生に関する法規の趣旨と概要を扱うこと。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)家庭に関する各学科においては、「生活産業基礎」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2)家庭に関する各学科においては、原則として家庭に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。また、実験・実習に当たっては、ホームプロジェクトを取り入れることもできること。
(3)地域や産業界との連携を図り、就業体験を積極的に取り入れるとともに、社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

2 各科目の指導に当たっては、コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り、学習の効果を高めるよう配慮するものとする。

3 各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は、当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり、学校において必要がある場合には、この事項にかかわらず指導することができること。

4 実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意するものとする。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --