第2章 普通教育に関する各教科 第7節 芸術

第1款 目標

 芸術の幅広い活動を通して、生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、芸術の諸能力を伸ばし、豊かな情操を養う。

第2款 各科目

第1 音楽Ⅰ

1 目標

 音楽の幅広い活動を通して、音楽を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばす。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)歌唱
 ア 曲種に応じた発声の工夫
 イ 視唱力の伸長
 ウ 歌詞及び曲想の把握と表現の工夫
 エ 合唱における表現の工夫

(2)器楽
 ア いろいろな楽器の体験と奏法の工夫
 イ 視奏力の伸長
 ウ 曲の構成及び曲想の把握と表現の工夫
 エ 合奏における表現の工夫

(3)創作
 ア いろいろな音階による旋律の創作
 イ 旋律に対する和音の工夫
 ウ 音楽の組み立て方の把握
 エ いろいろな音素材を生かした即興的表現

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。
 ア 声や楽器の特性と表現上の効果
 イ 楽曲の歴史的背景
 ウ 我が国の伝統音楽の種類と特徴
 エ 世界の諸民族の音楽の種類と特徴

3 内容の取扱い

(1)内容のA及びBの指導に当たっては、中学校音楽との関連を十分に考慮し、それぞれ特定の活動のみに偏らないようにするとともに、相互の関連を図るものとする。また、Aについては、生徒の特性や学校の実態を考慮し、表現方法や表現形態を適宜選択して扱うことができる。

(2)音楽についての総合的な理解を深め、主体的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。

(3)内容のA及びBの教材については、地域や学校の実態を考慮し、郷土の伝統音楽を含めて扱うよう配慮するものとする。

(4)内容のAの(1)のア及び(2)のアについては、我が国の伝統的な歌唱及び和楽器を含めて扱うようにする。

(5)内容のAの(1)のイ及び(2)のイについては、単なる技術の練習に偏ることなく、他の事項との関連において総合的に扱うよう配慮するものとする。

(6)内容のBのウについては、主として箏曲、三味線音楽(歌い物)、尺八音楽などを扱うようにする。

(7)内容のBのエについては、アジア地域の諸民族の音楽を含めて扱うようにする。

第2 音楽Ⅱ

1 目標

 音楽の諸活動を通して、音楽を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、音楽文化についての理解を深め、個性豊かな表現の能力と主体的な鑑賞の能力を伸ばす。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)歌唱
 ア 声域の拡張と曲種に応じた豊かな発声
 イ 視唱力の充実
 ウ 歌詞及び曲想の理解と個性豊かな表現
 エ 重唱・合唱における豊かな表現

(2)器楽
 ア 楽器に応じた奏法の習熟
 イ 視奏力の充実
 ウ 曲の構成及び曲想の把握と個性豊かな表現
 エ 重奏・合奏における豊かな表現

(3)創作
 ア 歌詞の内容を生かした声楽曲の創作
 イ 楽器の特性を生かした器楽曲の創作
 ウ 編曲に関する基礎的知識の理解
 エ いろいろな音素材を生かした創作

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 楽曲の構造
 イ 音楽の歴史的背景
 ウ 文化的背景に基づく我が国の伝統音楽の特徴
 エ 文化的背景に基づく世界の諸民族の音楽の特徴

3 内容の取扱い

(1)内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るものとする。また、Aについては、生徒の特性や学校の実態を考慮し、(1)、(2)又は(3)のうち一つ以上を選択して扱うことができる。

(2)内容の取扱いに当たっては、「音楽Ⅰ」の3の(2)から(5)まで及び(7)と同様に取り扱うものとする。

(3)内容のBのウについては、主として三味線音楽(語り物)、能楽、琵琶楽などを扱うようにする。

第3 音楽Ⅲ

1 目標

 音楽の諸活動を通して、生涯にわたり音楽を愛好する心情と音楽文化を尊重する態度を育てるとともに、感性を磨き、個性豊かな音楽の能力を高める。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)歌唱
 ア 表現内容に応じた個性豊かな発声の工夫
 イ 歌詞及び曲想を生かした個性的、創造的な表現
 ウ 独唱・重唱・合唱における充実した表現

(2)器楽
 ア 表現内容に応じた個性豊かな奏法の工夫
 イ 曲の構成及び曲想を生かした創造的な表現
 ウ 独奏・重奏・合奏における充実した表現

(3)創作
 ア いろいろな様式や演奏形態による楽曲の創作
 イ 個性的な表現を生かした自由な創作

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 音楽の美しさと構造とのかかわり
 イ 音楽と他の芸術とのかかわり
 ウ 音楽と社会及び文化などとのかかわり
 エ 現代の我が国と世界の音楽

3 内容の取扱い

(1)生徒の特性や学校の実態を考慮し、内容のAの(1)、(2)、(3)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。

(2)内容の取扱いに当たっては、「音楽Ⅰ」の3の(2)及び(3)と同様に取り扱うものとする。

(3)内容のBについては、我が国の伝統音楽及び世界の諸民族の音楽を含めて扱うようにする。アについては、音楽に対するイメージや感情を表現する能力の育成にも配慮するものとする。

第4 美術Ⅰ

1 目標

 美術の幅広い創造活動を通して、美的体験を豊かにし美術を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばす。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)絵画・彫刻
 ア 感じ取ったこと、自己の考え、夢や想像などを基にした主題の生成
 イ 表現形式の選択と創造的な表現の構想
 ウ デッサン、色彩、構成、材料や用具の生かし方などの技能
 エ 意図に応じた多様な表現方法の工夫

(2)デザイン
 ア 機能と美しさや楽しさを考えた主題の生成
 イ 造形要素の理解と創造的な表現の構想
 ウ 表現形式の選択、色彩、材料や用具の生かし方などの技能
 エ 意図に応じた多様な表現方法の工夫

(3)映像メディア表現
 ア 映像メディアの特質を生かした心豊かな主題の生成
 イ 視覚的な伝達効果を考えた表現の構想
 ウ 色光、機材等の基本的な使い方と活用
 エ 意図に応じた表現方法や編集の工夫

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 美術作品のよさや美しさ
 イ 作者の心情や意図と表現の工夫
 ウ 生活や自然と美術との関連
 エ 日本の美術の歴史と表現の特質
 オ 映像メディア表現の特質と交流

3 内容の取扱い

(1)内容のA及びBの指導に当たっては、中学校美術との関連を十分考慮し、A及びB相互の関連を図るとともに、鑑賞の指導については、適切かつ十分な授業時数を配当するものとする。

(2)内容のAの(1)については、生徒の特性、学校や地域の実態を考慮し、絵画と彫刻のいずれかを選択したり一体的に扱ったりすることができる。また、(2)及び(3)についてはいずれかを選択して扱うことができる。

(3)内容のAの指導に当たっては、主題の生成から表現の確認及び完成に至る全過程を通して、自分のよさを発見し喜びを味わい自己実現を果たしていく態度の形成を図るよう配慮するものとする。

(4)内容のBについては、日本の美術も重視して扱うとともに、アジアの文化遺産などについても扱うようにする。また、指導に当たっては、作品について互いに批評し合う学習を取り入れることにも配慮するものとする。

(5)美術についての総合的な理解を深め、創造的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。

第5 美術Ⅱ

1 目標

 美術の創造的な諸活動を通して、美的体験を豊かにし美術を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、美術文化についての理解を深め、個性豊かな美術の能力を高める。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)絵画・彫刻
 ア 自然、自己、社会などを深く見つめた主題の生成
 イ 心豊かな表現の構想と表現形式や材料・技法の活用
 ウ 創造的な表現の追求

(2)デザイン
 ア 生活を心豊かに創造する主題の生成
 イ 美的・効果的な表現の構想と材料・技法の活用
 ウ 創造的な表現の追求

(3)映像メディア表現
 ア 自然、自己、社会などを深く見つめた主題の生成
 イ 独創性、時間表現、物語性などを考えた表現の構想と多様な機材の活用
 ウ 創造的な表現の追求

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 作品や作者の個性などについての多様な見方
 イ 心豊かな生き方の創造にかかわる美術の働き
 ウ 時代、民族、風土などによる表現の相違や共通性と美術文化
 エ 映像メディア表現における造形性と伝達性

3 内容の取扱い

(1)生徒の特性、地域や学校の実態を考慮し、内容のAの(1)、(2)、(3)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。また、Aの(1)については、絵画と彫刻のいずれかを選択したり一体的に扱ったりすることができる。

(2)内容の取扱いに当たっては、「美術Ⅰ」の3の(3)、(4)及び(5)と同様に取り扱うものとする。

第6 美術Ⅲ

1 目標

 美術の創造的な諸活動を通して、生涯にわたり美術を愛好する心情と美術文化を尊重する態度を育てるとともに、感性と美意識を磨き、個性豊かな美術の能力を高める。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)絵画・彫刻
 ア 独創的な主題の生成と表現形式の選択
 イ 個性を生かす創造的な表現の追求

(2)デザイン
 ア デザイン効果を考えた独創的な主題の生成と表現方法の選択
 イ 個性を生かす創造的な表現の追求

(3)映像メディア表現
 ア 独創的な表現の構想と総合的な表現効果を考えた機材の活用
 イ 個性を生かす創造的な表現の追求

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 作者の生き方や主張と作品
 イ 美術が国際間の理解や協調に果たす役割
 ウ 文化遺産としての美術の特色と文化遺産等の保存の意義
 エ 映像メディアが人間の生き方や文化に果たす役割

3 内容の取扱い

 内容の取扱いに当たっては、「美術Ⅰ」の3の(3)、(4)及び(5)並びに「美術Ⅱ」の3の(1)と同様に取り扱うものとする。

第7 工芸Ⅰ

1 目標

 工芸の幅広い創造活動を通して、美的体験を豊かにし工芸を愛好する心情と生活を心豊かにするために工夫する態度を育てるとともに、感性を高め、創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばす。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)工芸制作
 ア 自然や身近な生活、使う者の心情、夢などを基にした心豊かな発想
 イ 用途と美しさ、日本の伝統的な表現のよさを生かした制作の構想
 ウ 材料や用具の活用と制作方法の理解
 エ 制作過程における吟味と創意工夫

(2)プロダクト制作
 ア 社会生活や身近な環境を心豊かにするための創造的な発想
 イ 用途や機能、生産性を考えた制作の構想
 ウ 材料や用具の活用と制作方法の理解
 エ 制作過程における吟味と創意工夫

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 工芸作品のよさや美しさ
 イ 作者の心情や意図と表現の工夫
 ウ 生活の中に生かされている工芸
 エ 作品に見る美意識や手づくりのよさ
 オ 日本の工芸の歴史と表現の特質

3 内容の取扱い

(1)内容のA及びBの指導に当たっては、中学校美術との関連を十分に考慮し、A及びB相互の関連を図るとともに、鑑賞の指導については、適切かつ十分な授業時数を配当するものとする。

(2)内容のAについては、生徒の特性、学校や地域の実態を考慮し、(1)又は(2)のうちいずれかを選択して扱うことができる。

(3)内容のAの材料や表現方法などについては、地域の材料及び伝統的な工芸の表現などを取り入れることにも配慮するものとする。また、主題の発想から表現の確認及び完成に至る全過程を通して、自分のよさを発見し喜びを味わい自己実現を果たしていく態度の形成を図るよう配慮するものとする。

(4)内容のBについては、日本の工芸も重視して扱うとともに、アジアの文化遺産などについても扱うようにする。また、指導に当たっては、作品について互いに批評し合う学習を取り入れることにも配慮するものとする。

(5)工芸についての総合的な理解を深め、創造的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。

第8 工芸Ⅱ

1 目標

 工芸の創造的な諸活動を通して、美的体験を豊かにし工芸を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、美術文化についての理解を深め、個性豊かな工芸の能力を高める。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)工芸制作
 ア 用途や機能と美しさ、体験や夢などを基にした創造的な発想
 イ 美的秩序を意図したデザインの構想
 ウ 材料、技法、用具、手順などを考えた制作
 エ 制作の吟味と創造的な改善

(2)プロダクト制作
 ア 生活を心豊かに改善するための創造的な発想
 イ 有用性と美しさとの調和、生産性などを考えた制作の構想
 ウ 材料・技法、用具、構造、手順などを考えた制作
 エ 制作の吟味と創造的な改善

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 作品や作者の個性などについての多様な見方
 イ 工芸と自然及び生活環境の構成とのかかわり
 ウ 心豊かな生き方の創造にかかわる工芸の働き
 エ 時代、民族、風土などによる表現の相違や共通性と美術文化

3 内容の取扱い

(1)生徒の特性、学校や地域の実態を考慮し、内容のAの(1)、(2)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。

(2)内容の取扱いに当たっては、「工芸Ⅰ」の3の(3)、(4)及び(5)と同様に取り扱うものとする。

第9 工芸Ⅲ

1 目標

 工芸の創造的な諸活動を通して、生涯にわたり工芸を愛好する心情と美術文化を尊重する態度を育てるとともに、感性と美意識を磨き、個性豊かな工芸の能力を高める。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)工芸制作
 ア 生活環境の美的構成を意図した独創的な発想
 イ 個性を生かす創造的な制作の追求

(2)プロダクト制作
 ア 生活環境の美的構成と生産性を意図した独創的な発想
 イ 用途と機能に基づき、個性を生かす創造的な制作の追求

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 作者の生き方や生活文化と作品
 イ 工芸が国際間の理解や協調に果たす役割
 ウ 文化遺産としての工芸の特色と文化遺産等の保存の意義

3 内容の取扱い

 内容の取扱いに当たっては、「工芸Ⅰ」の3の(3)、(4)及び(5)並びに「工芸Ⅱ」の3の(1)と同様に取り扱うものとする。

第10 書道Ⅰ

1 目標

 書道の幅広い活動を通して、書を愛好する心情を育てるとともに、感性を豊かにし、書写能力を高め、表現と鑑賞の基礎的な能力を伸ばす。

2 内容

A 表現

 表現に関して次の事項を指導する。

(1)漢字仮名交じりの書
 ア 表現と用具・用材との基本的な関係
 イ 漢字と仮名の調和した線質の表し方
 ウ 字形、文字の大きさと全体の構成
 エ 目的や用途に即した形式と表し方
 オ 意図に基づく表現の構想と工夫

(2)漢字の書
 ア 古典に基づく基本的な点画や線質の表し方と用筆・運筆との関係
 イ 字形の構成、全体の構成
 ウ 意図に基づく表現の構想と工夫

(3)仮名の書
 ア 古典に基づく基本的な線質の表し方と用筆・運筆との関係
 イ 単体、連綿と全体の構成
 ウ 意図に基づく表現の構想と工夫

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 日常生活における書への関心と効用
 イ 書の美しさと表現効果
 ウ 日本及び中国等の書の文化

3 内容の取扱い

(1)内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るものとする。

(2)内容のAの(2)及び(3)については、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、いずれかを選択して扱うことができる。また、(1)の漢字は楷書及び行書、仮名は平仮名及び片仮名、(2)は楷書及び行書、(3)は平仮名、片仮名及び変体仮名を扱うものとし、(2)については、生徒の特性等を考慮して、平易な隷書を加えることもできる。

(3)内容のAについては、日常生活における目的や用途に応じて硬筆も取り上げるものとし、生徒の特性等を考慮して、篆刻等を加えることもできる。また、名筆を取り扱う場合は、目的に応じて精選して活用するよう配慮するものとし、(2)及び(3)については臨書及び創作を通して指導するものとする。

(4)内容のAの(1)のオ、(2)のウ及び(3)のウについては、表現の構想から完成の喜びに至る過程の指導を通して、主体的に自己実現を果たしていく態度の形成を図るよう配慮するものとする。

第11 書道Ⅱ

1 目標

 書道の創造的な諸活動を通して、書を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、書の文化や伝統についての理解を深め、個性豊かな表現と鑑賞の能力を伸ばす。

2 内容

A 表現

 表現に関して次の事項を指導する。

(1)漢字仮名交じりの書
 ア 意図に即した表現と用具・用材の工夫
 イ 名筆の鑑賞に基づく表現の工夫と個性的な表現
 ウ 表現形式に応じた全体の構成
 エ 感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と工夫

(2)漢字の書
 ア 書体や書風に即した用筆・運筆
 イ 古典に基づく表現の工夫と個性的な表現
 ウ 表現形式に応じた全体の構成
 エ 感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と工夫

(3)仮名の書
 ア 書風に即した用筆・運筆
 イ 古典に基づく表現の工夫と個性的な表現
 ウ 連綿や散らし書きによる全体の構成
 エ 感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と工夫

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 書の美の諸要素の把握と表現効果
 イ 書の美と時代、風土、筆者の個性などとの関連
 ウ 日本及び中国等の書の歴史・文化と書の現代的意義

3 内容の取扱い

(1)内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るものとする。

(2)書についての総合的な理解や技能を高め、主体的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。

(3)内容のAについては、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、(1)、(2)又は(3)のうち一つ以上を選択して扱うことができる。(1)の漢字は楷書、行書及び草書、仮名は平仮名及び片仮名、(2)は楷書、行書、草書、隷書及び篆書、(3)は平仮名、片仮名及び変体仮名を扱うものとする。

(4)内容のAについては、篆刻も扱うものとし、刻字等を加えることもできる。また、(2)及び(3)については、臨書及び創作を通して指導するものとする。

(5)内容のAの(1)のエ、(2)のエ及び(3)のエについては、素材の選定から完成の喜びに至る過程の指導を通して、主体的に自己実現を果たしていく態度の形成を図るよう配慮するものとする。

第12 書道Ⅲ

1 目標

 書道の創造的な諸活動を通して、生涯にわたり書を愛好する心情と書の文化や伝統を尊重する態度を育てるとともに、感性を磨き、個性豊かな書の能力を高める。

2 内容

A 表現

 表現に関して、次の事項を指導する。

(1)漢字仮名交じりの書
 ア 素材を生かした効果的な表現方法の工夫
 イ 主体的な構想に基づく個性的、創造的な表現

(2)漢字の書
 ア 古典による書の伝統の理解と書体の特色を生かした表現への深化
 イ 主体的な構想に基づく個性的、創造的な表現

(3)仮名の書
 ア 古典による仮名の書の伝統の理解と表現への深化
 イ 主体的な構想に基づく個性的、創造的な表現

B 鑑賞

 鑑賞に関して、次の事項を指導する。

 ア 書の美の多様性と作品の特徴
 イ 書論による書の理解と鑑賞の深化
 ウ 日本及び中国等の書の伝統と諸文化との関連

3 内容の取扱い

(1)生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、内容Aの(1)、(2)、(3)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。

(2)内容のAの(2)及び(3)の指導に当たっては、臨書又は創作のいずれかを目的に応じて重点的に扱うことができる。

(3)書についての総合的な理解や技能を高め、主体的な学習態度を育てるため、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)Ⅱを付した科目はそれぞれに対応するⅠを付した科目を履修した後に、Ⅲを付した科目はそれぞれに対応するⅡを付した科目を履修した後に履修させることを原則とすること。
(2)生徒が興味・関心等に応じ、選択履修や発展的な学習をすることができるよう留意すること。

2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の特質を踏まえ、学校の実態に応じて学校図書館を活用するとともに、コンピュータや情報通信ネットワークなどを指導に生かすこと。
(2)各科目の特質を踏まえ、地域や学校の実態に応じて、地域の文化財、文化施設、社会教育施設等の活用を図ったり、地域の人材の協力を求めたりすること。

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --