コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成19年度コミュニティ・スクール推進フォーラム事例発表(京都市立洛西中学校)

学校名 京都市立洛西中学校
所在地 京都市西京区大原野西境谷町2-8
電話番号 075-331-6131

1.本校の概要

 本校は,京都西部,国道9号線ぞいの丘陵地に,昭和51年より開発された洛西ニュータウンのほぼ中央に位置し,昭和53年4月,樫原中学校西分校として発足し,翌年4月洛西中学校として開校された29年目を迎える学校である。
 その後,ニュータウンの人口増加にともない,昭和55年に本校の分校がつくられて,西陵中学校となり,平成7年には本校と西陵中学校の分校として,大原野中学校が開校された。
 現在,本校の校区は,ニュータウン内の新林小学校,境谷小学校の2小学校区からなり,生徒数379名,13学級の普通学級と2学級の育成学級を要する学校である。
 洛西ニュータウンも,早や30数年の年輪を刻み,多少の流出入はあるものの,人口の急増期を終え,近年,人口の流動はあまり見られない。むしろ全国的な少子高齢化の流れを受け,若年層,とりわけ小中学生の児童・生徒数は激減している。
 本校においても,昭和63年の生徒数1,504名を上限に年々減少し続け,校区の3分の1が大原野中学校に移転したとはいえ,今年の生徒数379名は今昔の感がある。

2.本校における学校運営協議会設立のねらい

 先に述べたように,本校の校区である洛西ニュータウンも,他のニュータウン同様少子高齢化が進み,人口減に伴うさまざまな問題を抱えており,多くの地元住民がゴーストタウン化への危惧を持っている。このような問題意識から,昨年行政の主導で「洛西ニュータウン街づくり検討会」が発足されている。
 孟母三遷を持ち出すまでもなく,良質の教育内容(学力面の充実・人間的な成長の両面で)を保障する学校には,転居してでも子どもを入学させたいという思いをもつ保護者はいるものである。
 であるなら,本校の取組を通して,他の「効果のある学校」「力のある学校」に遜色ない成果を上げることができるなら,そしてその成果を効率的に宣伝できるなら,本校へ入学するために,他地域から洛西地域へ転居してくる家庭が増えるのではないか。そうすれば,本校の活性化にとどまらず,洛西地域の活性化に寄与・貢献できるのではないか,と考えている。「公立学校の教育活動を核とした地域活性運動」とも言うべき取組である。
 本校の教育活動が洛西地域全体の活性化に寄与する。また,地域の各種団体の取組が公立学校の教育活動に貢献する。学校と保護者・地域が,双方から協力・支援体制を構築し,子どもたちの育ちと学びを保障する。そのための学校運営協議会の立ち上げである。

学校運営協議会発足式

学校運営協議会発足式

3.本校における学校運営協議会の役割

1)「学力向上アクションプラン-洛西方式-」における学校運営協議会の役割。

 本校では,「学力水準の向上と学力格差の解消を実現するための5つの柱」を掲げ,「確かな学力育成」の実践研究をすすめてきた。
 「学力水準の向上と学力格差の解消を実現するための5つの柱」とは,以下の通りである。

  1. 授業時数確保の取組(量的な学力向上プラン)
  2. 「わかる授業」をつくる,授業改善の取組(質的な学力向上プラン)
  3. 家庭学習習慣化のための宿題の取組(家庭との連携による学力向上プラン)
  4. 異校種連携の取組(地域の小中高連携による学力向上プラン)
  5. 土曜スクールの取組(地域との連携による学力向上プラン)

 「学力向上アクションプラン-洛西方式2-」の取組のうち,1.2.については,主に学校主体の取組であるが,放課後や長期休業期間中の補充あるいは発展学習などの派遣講師を学校運営協議会に発掘していただく。
  3.の家庭学習習慣化の取組については,単に宿題を課す取組ではなく,早寝早起き朝ごはん・読書習慣など生活確立の取組を地域全体として進める。学校運営協議会に地域発信を依頼する。
  4.の異校種連携の取組については,校区2小学校への中学校教員の計画的な出前授業に加えて地域からの講師派遣により義務教育9ヵ年かけて学力低下の克服を図る。また,校区内にある府立高校と私立高校と授業交流,部活動交流,進路保障など連携を深める。学校運営協議会にその連携母体となっていただく。
  5.の土曜スクールについては,英語検定・漢字検定学習に特化して希望者を募り,英検・漢検合格を目指す。地域住民に対しても生涯学習の場として学ぶ人も教える人も募る。派遣講師を学校運営協議会に発掘していただく。

土曜スクールの様子

土曜スクールの様子

2)「人間力向上アクションプラン-洛西方式-」における学校運営協議会の役割。

 本校では,学校教育目標を「よりよい社会の実現に貢献しようとする人間性の育成」とし,道徳や総合的な学習の時間などを利用し,ボランティア活動を含むさまざまな体験活動を推進している。環境教育,福祉教育,人権教育,国際交流教育,キャリア教育,職業教育など,地域ボランティアの人に指導していただいている。これら地域ボランティアを学校運営協議会の企画推進委員とし,より一層連携を深める。

全校道徳の様子 

全校道徳の様子

4.4つの部会組織

企画推進委員(4つの部会)

5.今後の取組と課題

 本校の学校運営協議会は,今年の3月27日に産声を上げた生後2ヶ月の乳飲み子であり,今後どのように進化・成長していくか当事者としても,とても楽しみである。本校運営協議会設立のねらい「公立中学校の教育活動を核とした地域活性運動」とも言うべき取組が本校のねらい通り軌道に乗れば,京都市の洛西地域における,またわが国のニュータウンにおけるモデル事業となりうるとともに,昨今教育再生会議等で議論されているわが国の教育再生,学校改善への大きなビジョン・筋道を発信・提供できる取組であると確信している。
 学力向上・学力格差の課題・何のための学力向上なのかという価値観の模索・人間力向上の課題など,学校が地域の方々とどう関わることによって,解決の足がかりをつかめるのか。前途の視界は良好ではないかもしれないけれども,地域の心ある方々と思いを共有しながら取組をすすめていきたいと考えている。

-- 登録:平成23年11月 --