コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成19年度コミュニティ・スクール推進フォーラム事例発表(秋田県大館市立城西小学校)

学校名 大館市立城西小学校
所在地 秋田県大館市城西町8-1
電話番号 0186-42-3238

 1 「学校運営協議会」制度を導入したポイント(平成19年4月指定)

(1)研究実践の成果から(平成17、18年度文部科学省研究指定)

1.コミュニティを運営するシステムが機能し,校内外の活動が充実した。
2.開かれた学校づくりが推進され,地域の協力がより得られやすくなった。

(2)地域性,学校施設の面から

1.統合してできた学校(来年度創立50周年)で,地域で学校を創ってきた思いが強い。
2.新校舎は児童センターとの複合施設であり,学社融合事業,人材の往来がしやすい。

(3)制度そのもののメリットから

・学校の経営課題や保護者・地域の声がダイレクトに教育委員会に届くようになった。

2 城西スタイルのコミュニティ・スクール

(1)本校の大きな特徴

1.学校変革を図るコミュニティ・スクールのコンセプト

○コンセプトは「共につくる豊かな未来『城西100年教育』」
 城西スタイルのコミュニティ・スクール
 特別なことを求めるのでなく,学校と地域がお互いのよさを生かし合い,永く続くように組織や活動の再構築を図った。

学校変革を図るコミュニティ・スクールのコンセプト

○“共につくる”ためのキーワードは「共感・共働・共育」

2.地域の教育力を生かし,学校の教育課題に対応する新しい組織

-JASS(JYOSEI ADMINISTRATE SYSTEM & STAFF)-

・経営組織に地域の教育力を取り込むスタイルを採用。地域委員会が機能し,授業や子どもの活動への人材配置,環境支援ができるように組織化を図った。
・運営全般の企画立案・推進・まとめ・評価を行うシンクタンクを置いた。
・コミュニティ主任が地域委員会と連携しながら,地域のニーズを取り入れ,各活動をコーディネートするようにした。
・プロジェクトで教育課題を明らかにし,目標である「かなえよう夢 育てようやさしさ」を具現化する取組を実施できるようにした。
・ペアを基本にしたムーヴィングスタッフで校内の日々の指導・管理をするようにした。

地域の教育力を生かし,学校の教育課題に対応する新しい組織 

3.経営改善につなげる学校評価システム

・義務教育の質を保証し,かつ学校像の実現状況を評価する仕組み
・経営改善のP-D-C-A-Cサイクルに位置づけた評価
・協議会から教育委員会への意見具申の基礎資料となる評価

(2)他の学校や地域においても汎用性がある点

1.保護者・地域住民が学校運営に円滑に参加・参画できる学校運営システム

ア 地域委員会(公募・推薦により保護者及び保護者OB,地域の方で組織)の活動
・月1回会議を開催し,学校と一緒になった諸活動を企画・運営,人材募集,環境支援,自主企画事業,情報の収集と広報活動などを実施している。

イ 教育課題に対応するプロジェクトの実施(平成18年度)
・「豊かな学びプロジェクト」
 ○夢に向かう学習
 ○なかよしコミュニケーション
 ○学習チャレンジ
・「こころハートふれあいプロジェクト」
 ○城西ふれあいフラワーデー
 ○城西ふれあいフェスティバル
・「げんきプロジェクト」
 ○いきいき生活リズム
 ○もりもり食習慣
 ○わくわく運動

ウ めざす子ども像へ向かう学年経営の実践
・学年の行事,学校行事,学年で計画する授業,各プロジェクトの活動に地域のニーズを取り入れ,指導・支援の形態によりMT(メインティーチャー),AT(アシスタントティーチャー),H(ヘルパー)と地域人材を位置づけた学年年間経営計画を作成し,実践している。

エ 学校支援ボランティアと地域活動
○「お話宅急便」
○外部講師による正課クラブ
○「学校安全ガードボランティア隊」

2.学校公開と情報発信

ア 学校公開
・「みんなの登校日」(年2回10日間程度)

地域の方とぞうきん縫い「みんなの登校日」

-地域の方とぞうきん縫い「みんなの登校日」-

イ 情報発信
・街をイメージしたホームページ
・経営計画,コミュニティ理解促進ポスターの全世帯配付と地域配付・回覧
・地域向けおたより「COMUNITA(コムニタ)」や学校報「城西の風」の発行と回覧

3 過去の課題とその克服方法

(1)開かれた学校づくりとコミュニティ・スクールの理解

・学校の敷居は依然として高かったことから学校公開と情報発信を心がけ,各種組織・団体とのつながりを生かした活動で広がりが見られるようになった。その中でコミュニティ・スクールについて紹介する機会を設け,周知を図った。

(2)保護者や地域住民の声や意見の取り入れと活動の充実

・人数の多寡にかかわらず地域委員会を立ち上げ,その方を核にし,定期的な会議を設け,意見をいただくことで焦点化した活動が展開できるようになった。

(3)外部人材が授業や活動に入ることへの教師の煩雑さ意識

・研修の実施と実践による子どもたちへの成果・TTのよさの積み上げにより,外部人材が入ることへの抵抗感がなくなってきた。また,コミュニティ担当が人材の橋渡しをすることで連絡調整や折衝の負担が軽減できた。

4 コミュニティ・スクールによる成果や手応え

(1)開かれた学校づくり

・保護者,地域住民の学校への関心が非常に高まり,開かれた学校づくりの一層の推進につながっている。学校には毎日何かしら子どものための活動をする方が訪れている。

(2)授業や活動の充実

・保護者,地域住民の願いや意見が学校の経営に反映されることで,学校だけではできない取組,豊かなアイディアの活動が行われている。子どもにとっても興味・関心・意欲が高まり,ダイナミックな授業や活動が展開されている。

(3)指導法の改善とふるさと教育の充実

・人材を活用した授業の構築を図ることで,TTや少人数学習などの指導法の改善につながっている。子どもたちは地域と関わる機会が増え,地域のことをより深く,広く知ることができている。

郷土の音楽「民謡教室」

-郷土の音楽「民謡教室」-

(4)生涯学習の基盤づくり

・大人たちの様々な支援,地域人材による授業などから大人の姿を見て生き様を学んだり,将来に対する視野が広がったりしている。

5 今後に向けての課題と取組の方向

(1)子どもから地域に発信する取組,地域の教育力を向上させる活動の充実

・子どもの問題意識やアイディアを生かし,地域に発信したり,地域に貢献する活動を充実させたい。

(2)地域委員会の充実による教育参画システムの構築

・学校の課題をとらえ,子どもの考えや願いを生かすための地域委員会の組織や構成がどうあればよいかを検討し,自立した取組による教育参画システムを築きたい。

(3)学校評価と運営協議会の機能による経営改善システムの構築

・保護者,地域住民の声を運営協議会がどのように収集し,学校評価に生かしながらP-D-C-A-Cシステムとして機能させるかを検討したい。

(4)協議会を自立的に運営するための費用の捻出

・現在は,学校のPTA予算からボランティア活動費として地域委員会や各事業の運営費を捻出しているが,学校予算の中への位置づけや自主財源確保の手段を講じたい。

-- 登録:平成23年11月 --