コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成19年度コミュニティ・スクール推進フォーラム事例発表(長野県阿智村立阿智第三小学校)

学校名 長野県阿智村立阿智第三小学校
所在地 長野県下伊那郡阿智村智里747
電話番号 0265-43-2014

1.なぜ「学校運営協議会」制度を導入したのか

(1)阿智村教育委員会の強い願い

○村の子どもの未来に責任を持つ教育環境を築きたい。
・学校・家庭・地域・村教委が一体となり、協働して進める教育の実現
・「学校運営協議会」制度の活用(ツールとして)
・優秀な教職員を村の学校により多く(人事に関する意見の申出)

(2)25年の歴史を持つ「智里東協育の会」(育成会的組織)の存在

○阿智村や智里地区の将来を担う青少年が、健やかに成長するために、地域住民が心を寄せ合い、協力して対処していくために生まれた会。(昭和57年7月 設立準備会)
・「地域の子どもは地域で育てる」という気風
・「教育」ではなく「協育」
・学区の全戸(約250軒、約1,000人)が会員
・主な活動
 ニジマス飼育活動への支援、あいさつ運動(標語・ポスター募集)、縄文キャンプ、サツマイモ栽培、協育の会だよりの発行(毎月20日)、おやす・しめ縄・幣束作り、小正月飾り作り 等

2.自校のコミュニティ・スクールの特色

(1)既存の組織を活かし、地域住民と共に歩みながら、学校と地域の関係を徐々に整えていく地域型コミュニティ・スクール

○「智里東協育の会」を軸とした横の連携の強化(地域力の統合)
・学校・家庭・地域ののりしろを厚く
・学校運営協議会の地域代表委員10名中6名を協育の会に委嘱

○学校・地域を支える自発的組織との連携
・(注)プレイパーク、ボランティアちさと、トーチャンズ、…
 (注)子どもたちの休日の居場所作りを考える有志で活動しているグループ。今年度が5年目。基本的に毎週土曜日の9時~16時に開催。よもぎ団子作り、かるた大会、ぼたもち会等のイベントも企画。

(2)めざすは「地域を支える智里っ子」の育成

○学校運営の二本柱
《ニジマス飼育活動-地域の豊かな自然の活用-》
・学校近くの池(約600平方メートル)で毎年1,000匹余を飼育
・全校児童が交代で飼育当番
・20年の歴史(冬場はスケート場として活用)
・夏休み親子釣り大会、秋の燻製作り
・発眼卵からの飼育(平成18年度より)
・ニジマスの生態や命の尊さ、感謝の心等を学ぶ
・地域の憩いの場としてのマス池
 横の連携の中心的活動

《学力向上-地域を支える子としての確かな学力の育成-》
・学校支援ボランティア(地域講師)の積極的活用
・ドリルタイムの特設(毎朝10分間)
・読書の充実(朝読書、月1回の読み聞かせの会)

(3)高齢者パワーの活用

○ボランティアちさと(会員約30名)
・学校安全パトロール(下校時の安全指導(不審者・サル・クマへの対応))
・マス池整備作業(不要樹木の伐採、ベンチ作り等)
・学校整備(樹木の剪定)

○高齢者クラブ(会員約60名)
・地域講師として
おやす・しめ縄・幣束作り、小正月飾り(繭玉)作り、俳句、菊作り、郷土料理 等

○生きがいづくりの場としての学校
・孫がいなくとも 父母に遠慮することなく いつでも動ける
・合言葉は「コミュニティ・スクールだでな」

(4)特別な活動(事業)を新設しない

○基本的なスタンス
・自校の特色は、“今現在”の教育活動の中に存在する。
・“今現在”の教育活動を見つめ直し、改善・充実を図っていく。
・コミュニティ・スクールを難しく考えず、できること、できそうなことを軽いフットワークでやっていく。

3.過去の課題と克服方法

(1)コミュニティ・スクールの地域への浸透をいかに図るか

○推進事業校指定1年次 全戸配付アンケートの実施
・中学生以上の全員対象の意識調査(自校の教職員も対象)
・地域の子どものとらえや学校教育への願い等の把握
・約60パーセントの回収

○学校だよりの充実
・写真を入れて子どもたちの活動をよりわかりやすく

○地域の教育懇談会や公民館、自治会等の会合に出向いての説明会
・地域に数多く足を運ぶ

○コミュニティ・スクール推進シンポジウムの開催(地教委主催)
・学区だけでなく村(地域)全体への浸透を図る

(2)コミュニティ・スクールとして何をしたらよいか

○推進委員(平成17,18年度)、学校運営協議会委員(平成18年度)の研修
・先進校視察(平成17年度 京都市立御所南小学校)
・文科省主催コミュニティ・スクール推進フォーラムへの参加
 (平成17年度 東京、名古屋会場 平成18年度 岡山会場への参加)
・結果として 2(4)の方向に

(3)コミュニティ・スクールの安定的運営のための環境整備(人的措置)

○県教委への「人事に関する意見の申出」(平成18年度)
→ 学校運営研究指定校として1年の継続加配の実現

4.コミュニティ・スクールによる成果と携わっている者としての実感(手応え)

(1)地域住民の学校教育への関心の高まり

○学校支援ボランティアとしての授業協力

○学校支援活動の増加
・学校安全パトロールの立ち上げ、不要樹木の伐採 等

(2)学校・地域、双方の活性化

《学校》

○教育活動の見返しによる子どもたちの学びの深まり
・ニジマス学習
 発眼卵からの飼育に挑戦、マス池改造計画 等
・専門分野への地域講師依頼(本物に触れるよさ)

○適度な緊張感

《地域》

○マンネリ化からの脱却
・協育の会事業の活性化、トーチャンズの新設

○学校職員が地域行事の講師に
・春祭り 科学実験コーナー

(3)学校と地域の風通しの向上

○保護者や地域住民が気軽に足を運べる学校
・職員室でのコーヒーブレイク
・気軽に授業(行事)参加(子どもとともに楽しむ)

5.今後に向けて(検討課題、取組予定等)

(1)少人数でも継続できるシステムの確立

○学校として
加配教員がなくても運営できるシステムの確立

○地域として
同じ人がいくつもの役を受けている現状の打開
(組織のスリム化)

(2)地域への広報活動

ホームページの定期的更新(夏休み中にリニューアル予定)
学校だよりの充実

(3)全戸アンケートの実施(二学期中)

○スタートして3年目
地域からの評価を仰いでさらなる発展を

(4)学力向上に向けての取り組み

○家庭と連携した《宿題》のあり方の研究
保護者の意識の向上をめざす

-- 登録:平成23年11月 --