コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成19年度コミュニティ・スクール推進フォーラム事例発表(福岡県朝倉市立秋月中学校)

学校名 朝倉市立秋月中学校
所在地 朝倉市秋月野鳥663
電話番号 0946-25-0456 

1.なぜ、「学校運営協議会」制度を導入したのか

 本校は秋月城址にあり、校地に隣接した梅園、杉の馬場など豊かな自然環境にも恵まれている。本校は、昭和22年に開校し、地域の豊かな自然や伝統文化を教育活動に生かしながら特色ある学校づくりを行ってきている。しかし、近年、過疎化や少子化が進み、生徒数が減少している。
 このような中で、地域や保護者の本校教育に対する期待は大きく、学校行事やPTA活動等に対して、積極的に参加してもらっている。特に、保護者や地域の人々は「秋月の豊かな自然や伝統文化を生かして、一人一人の生徒に確かな学力と豊かな心を育んでほしい」と願っている。また、国の財政再建と構造改革に伴い、国庫補助等の教育予算が削減されるなか、本校においては、毎年、PTAはもとより、学校後援会、校区育成会、城址会(同窓会)等から教育活動費の補助を受けている。
 そこで、地域に信頼される学校づくりを徹底するために、「学校運営協議会」制度を導入して、地域や学校の活性化を図るとともに、地域の声を的確に学校運営や教育活動に反映できるようにした。 

2.自校のコミュニティ・スクールの特色

 コミュニティ・スクール推進事業の目玉として位置づけている取組が秋月ルネッサンス構想である。秋月ルネッサンスとは、真に、秋月の文芸復興を意味し、城下町が栄えた江戸時代にもまして学問や文化を盛んにしようとするものである。本校においては、この取組をとおして、確かな学力や豊かな心を育むことをねらつている。秋月ルネッサンス構想は、秋中稽古館の取組と温故知新隊の取組、秋月コミュニティの取組の三つの柱から構想立てを行った。
 まず、秋中稽古館の取組については、本校の卒業生を中心とした大学生による学習支援ボランティア「秋月党」を組織して、本校生徒に学習指導や適応指導、生き方指導などを行うものである。通常の活動としては、3年生を対象に放課後学習として「はげみ学習」の時間を設定し、秋月党を活用して、学力の補充・発展の時間に充てている。
 また、夏季休業や冬季休業期間中に、質問教室や勉強合宿を行い学習指導や適応指導を行っている。

 秋月ルネッサンス構想

秋月ルネッサンス構想

 次に、温故知新隊の取組については、学校の施設を地域住民に開放し、秋月の歴史、文化、伝統を学んでもらい、その成果を中学生に還元することをねらっている。
 城下町、秋月には秋月郷土館があり、藩政時代の古文書や美術工芸品など貴重な文化財が所蔵されている。そこで、学校施設を開放して古文書講読会を立ち上げ、文化の掘り起こしに努めている。一学期には、秋月郷土館に所蔵されていた「御館御献立」を解読して、藩政時代の御膳料理を家庭科教師を中心に地域の人々や生徒が再現することができた。
 さらに、秋月コミュニティの取組は、小中連携、学社融合的な視点で伝統文化の発掘や地域おこし、健全育成などを行うものである。学校と家庭、地域、小学校が一体となって観月会や防犯駅伝大会などを行うことができた。

御膳料理の再現

御膳料理の再現

3.過去の課題と克服方法

 本校は、小中連携教育の研究指定(福岡県教育委員会重点課題 平成15年~平成17年)を受け、実践的な研究に取り組んできた。その中で、9年間を見通した教育課程の編成のあり方や指導方法の工夫改善、地域のひと、もの、ことを活用した教育活動の展開、小中間の情報の共有化等一定の成果を得ることができた。
 しかし、地域に信頼される学校づくりを推進していく上で、克服しなければならない課題として、次のようなことも明らかになった。

  •  一人一人の生徒に確かな学力と豊かな心を育成すること
  •  学校の自己評価・自己点検と説明責任のあり方を具体化すること
  •  外部評価を生かした学校運営のあり方を究明すること

 以上の課題を克服するために、学校運営協議会を立ち上げ、学校のミッションを明らかにし、学校評価システムを構築して、意図的、計画的な学校の自己評価・自己点検を実施していくことにした。また、学校運営協議会を定例化させて、学校評価システムを効果的に運用し、秋月中学校の実態や学校運営状況を的確に把握して、説明責任や結果責任を果たしていきたい。

4.コミュニティ・スクールによる成果と携わっているものとしての実感

 秋月コミュニティ・スクール推進事業に取り組む中で、学校を地域に開き、地域の「ひと、もの、こと」を生かした学習活動を幅広く展開できるようになった。また、学校運営協議会の中で、学校運営に関する様々な意見や考えを聴取し、その内容を学校運営や教育活動に反映していくことで学校の信頼度を高めることができた。特に、確かな学力や豊かな心の育成については、学力が大幅な伸びを示すとともに、不登校の問題を克服(2名が0名に)することができた。

5.今後に向けて(検討課題、取組予定等)

 学校、地域、保護者が一体となって、地域立学校をつくろうと学校運営協議会を設置した。学校運営協議会では、秋月の特色を生かした教育活動の展開や地域ボランティアを活用した生徒の健全育成、安全確保の取組等を行っている。今後も、学校運営協議会の意見を反映しながら、息の長い取組にしていく必要がある。
 また、本年度は、コミュニティ・スクール調査研究事業の最終年度にあたることから10月19日(金曜日)に、コミュニティ・スクールの研究発表会を予定している。

 

-- 登録:平成23年11月 --