コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成19年度コミュニティ・スクール推進フォーラム事例発表(福岡県春日市立春日西中学校)

学校名 福岡県春日市立春日西中学校
所在地 福岡県春日市一の谷5-49
電話番号 092-572-7355

1 なぜ「学校運営協議会」制度を導入したのか

(1)学校経営の方向を確かなものにしたいと思ったから

 学校評議員制度と比べて、学校運営協議会の委員は権限と責任が大きいので、校長の経営構想に対して、より確かで、見通しのある意見をいただけるものと考えた。

(2)学校が「地域」を的確に理解する必要があると思ったから

 今の教育問題は、保護者や地域の協力を得ずに学校だけで解決することが難しくなってきた。地域の実情や保護者の願いを知る上での直接的な機会にしたいと考えた。

(3)「地域との連携」について、具体策をつくりたかったから

 地域行事への参加や大人との交流の仕方、及び、生徒指導に関する問題、安全面に関する対応等、自治会や公民館とどのような連携ができるのか探りたいと考えた。

(4)小中連携を今まで以上に推進したいと思ったから

 現在実施している英語の出前授業、互いの授業公開、部活動体験等の内容を整理して、教育課程に位置づけた連携の在り方を検討したいと考えた。

(5)大規模校における地域運営学校の在り方を研究したいと考えたから

 生徒数900名、25学級、4つの小学校からの入学、7つの自治会組織といった環境の中で、どのような地域運営学校を目指せばよいか究明したいと考えた。

2 本校コミュニティ・スクールの特色

(1)平成18年度(1年目)の取り組みの内容から

ア 「期待できる効果」として考えたこと

1.特色ある学校づくりが推進できる。
2.連携を中心とした意識改革が進む。
3.生徒の「生きる力」を育てることにつながる。
4.中学校及び生徒を中心とした豊かなコミュニティがつくられる。

イ 三者の連携の在り方として考えたこと

1.学校、家庭、地域がそれぞれの役割を明確にし、実践を積み重ねていく。
2.学校、家庭、地域が共同で企画し、実践していく。
3.家庭、地域が参画できるようになるまで学校がリードしていく。

ウ 学校運営協議会の概要

1.月1回程度の実施
2.年次計画(年次目標)
 1年目(平成18年度)
  学校運営協議会の委員の役割を明確にする。
  学校教育の現状の報告(アンケートの実施)
 2年目(平成19年度)
  学校の経営方針策定に積極的に参加する。
  学校、家庭、地域の活動の推進
 3年目(平成20年度)
  地域運営学校としての特色ある学校・地域づくり

(2)平成19年度(2年目)の推進計画から

ア 本年度の重点として

1.地域運営本部(コミュニティル-ム)を設置し、学校開放ゾーンを整備する。
2.「よのなか科」の授業に、保護者や地域の方の参加を得て、協力者を募集する。
 *「よのなか科」とは、東京の和田中の藤原校長が提唱されたネットワーク型の授業
3.4つのプロジェクトを立ち上げ、その事業を推進する。

イ 重点の概要

1.地域運営本部(コミュニティル-ム)は、次のような機能をもっている。
○来校者の控え室としての機能
○自治会や公民館関係者の会議室としての機能
○地域情報の収集や発信の場としての機能
○中学校開放ゾーンとしての機能

2.「よのなか科」の授業は、正解はなく、議論を通じて、納得できる答えを自分で導き出すという考え方を身に付けさせることが目標である。生徒の小さな疑問やつぶやきを参加している大人が拾い上げるところにポイントがある。
テーマの例
 「代理母出産を考える」
 「赤ちゃんポストを考える」
 「中学生はもう大人?まだ子ども?」
 「ホームレス問題を考える」

3.4つのプロジェクトについて

4つのプロジェクトについて

3 過去の課題と克服方法

(1)学校・家庭・地域の課題

ア (学校)「基礎学力」「発展的学力」の育成と「体力」の向上をどのように図るか。
イ (家庭)学びの習慣や規則正しい生活態度はどのようにして育てるのか。
ウ (地域)学校支援ネットワークづくりをどのように進めたらよいか。

(2)克服方法

ア (学校)教職員のよさを生かす組織的活動(教職員の自己申告、評価じっくり週間)
イ (家庭)学校教育(授業)への参観から参加から参画と保護者主催による学習会の開催
ウ (地域)活動の場づくり(子ども居場所づくり、青少年アンビシャス広場の推進)

4 成果と実感

1.協議会で承認を得ながら、学校経営の方向を一層明確にすることができた。

2.協議会の提案資料として、学校の特色を次の6つに分類して計画的に説明したことで「地域との連携」といった視点での「学校の特色」を整理することができた。

◇経営・運営システムの特色化から<抜粋>
・二学期制の実施(成果と課題)
・学校の自己評価の改善
・学校独自の予算編成

◇教育活動(授業)の特色化から
・保護者が参加する授業参観
・選択教科におけるスーパーコースの展開

◇日常指導の特色化から
・放課後、長期休業中の補充学習
・部活動指導の充実

◇学校外活動の特色化から
・資源回収への参加
・子ども居場所づくりの推進

◇校内研修の特色化から
・春日市授業改善研究発表会の実施
・評価じっくり週間とマンツーマン指導

◇校務遂行上の特色化から
・教務主任(法令上の主任1名と他1名)の二人制

3.学校運営協議会で審議した結果、次のことについて、軌道修正することができた。

◇年間の学校行事について、時期、内容等を再検討して改善を図ることができた。
◇学校予算について、光熱費の節約の具体化、備品購入の考え方、他の中学校と合同購入の考え方、価格交渉の努力等を校内予算委員会で再検討することができた。

4.2年前まで中学生の地域参加は皆無であった。平成18年度から地域行事(夏祭りや敬老会)への運営参加を行ったことは、地域の大人の意欲や関心に刺激を与えることができた。まだ一場面ではあるが、豊かでゆるやかな人間関係ができつつある。

5 今後に向けて

1.地域運営本部のソフト面を充実する必要がある。今後、「よのなか科」の授業に参加いただいている保護者や地域の方に、スタッフとして経営参加を依頼する。
 また、PTAの組織にある「おやおやの会」を分離してスタッフとして検討する。

2.学校教育の本質は、学ぶ力を生徒に身に付けさせることである。そのためには、教職員間の連携と研修・研究の充実が必要である。そこで、本年度は、「地域の方への授業公開」と「地域運営学校を啓発するミニフォーラム」を実施する。

校内研究大会の実施 平成19年9月8日(土曜日)

-- 登録:平成23年11月 --