コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(津市立南が丘小学校)

学校名 津市立南が丘小学校
所在地 三重県津市垂水2538-1
電話番号 059-229-2761

平成17年度コミュニティ・スクール推進フォーラム:第3分科会
「地域の歴史を創るコミュニティ・スクールの構築をめざして」

1.テーマ

 子どもたちの成長は、学校・保護者・地域が、ぞれぞれの役割を果たしながらも、互いに連携し支援し合ってこそ、豊かに育まれていくものだと考えます。
 そこで、本校では、南が丘地域教育委員会(学校運営協議会)と協働して、「保護者・地域が学校運営に参画する学校」「保護者・地域の願いやニーズに応える、地域に根ざした学校」(コミュニティ・スクール)をめざして活動を進めています。
 また、南が丘地域教育委員会は、学校・保護者・地域が一体となって子どもの成長支援をしていけるよう、常に、保護者・地域の願いや課題を的確につかみ、総合的にまとめ、意見反映していく「地域のオピニオンリーダー」をめざして活動を進めています。
 このような中、特色あるコミュニティ・スクールを学校・保護者・地域の協働によって構築していくため、以下のテーマを設定しました。

(1)学校と南が丘地域教育委員会との協働体制の確立と保護者・地域住民の学校運営への積極的参画
(2)保護者・地域住民の意向を学校運営に反映させる効果的な方法と学校評価のシステム構築(学校自己評価←→外部評価)
(3)地域づくりにおける南が丘地域教育委員会の役割

2.推進体制

 推進体制の図

3.実践

(1)南が丘小学校の「開かれた学校づくり」の取り組み

 コミュニティ・スクールは、学校が保護者・地域とともに創りあげていくものですが、そのためには、まず学校が教育理念・目標を明確にし、その具体的な実践と成果を常に情報発信していくこと、そして保護者・地域に開かれていることが大切と考えます。
 本校では、5月の学校説明会、11月の中間報告会、学年・学級懇談会等さまざまな場で、学校の運営方針、具体的な実践内容やその成果などを、保護者・地域に説明するとともに、学校・学年・学級レベルの通信やHP等で学校の中での子どもたちの学習や生活の姿を積極的に情報発信し、保護者・地域とのコミュニケーションを図り、そのニーズに応えられるよう取り組んでいます。
 また、今年度は特に、スクールボランティアやスクールサポーター、ゲストティーチャーなどの地域人材バンクの充実や防犯対策として学校と「南が丘地区安全パトロールの会」との連携をさらに強化しています。

(2)地域のオピニオンリーダー「南が丘地域教育委員会」の取り組み

地域のオピニオンリーダー「南が丘地域教育委員会」の取り組み

○学校協働部会
 まず年度当初は、学校から提案される学校教育計画・実践目標など学校運営の基本方針についての協議、中間期は、学校自己評価の中間評価、そして年度末には、外部評価のためのアンケート実施と学校への「提言」作成を行い、学校教育活動に対する地域・保護者の意見反映に取り組んでいます。また、年2回程度、地域・保護者と教職員との情報交換の場を設定し、相互理解を図っています。

○地域連携部会
 毎年夏休みには、地域・保護者・学校の協力を得ながら、「夏休み子ども教室」(17年度実施状況:5教室・約230人参加)を開催し、普段体験できない自然体験や物づくり体験などの豊かな内容の講座を工夫し子どもたちに提供しています。
 また例年、地域関係団体や、南が丘地区のスポーツ団体、文化団体、サークル等の参加のもと「地域の子どもを語る会」を開催し、「地域の子どもを地域の力でどう育んでいくのか」をテーマに、子どもたちにつけたい力やその具体的方策について熱心な意見交換が行われました。
 核になるのが唯一学校という地域性から、学校を中心として、地域の人と人とが出会い、つながり、協力しあう場として、南が丘「ふれあいまつり」を初めて企画・実行しました。(参加者約2,500人)来年度以降も継続して、発展させていく予定です。

○安全推進部
 近年、不審者等による事件が続発しており、子どもたちの安全を守ることが、学校・保護者・地域にとって、何よりも重要な課題となっています。そのために、昨年「南が丘地区安全パトロールの会」を結成し、学校と連携して、子どもたちの安全確保にあたっています。約60名の保護者・地域の方々がボランティアとして参加し、日常的な巡回にご尽力いただいています。

(3)コミュニティ・ファンド事業部
 南が丘小学校が特色あるコミュニティスクールとして発展していくことを支援し、かつ学校の自主的な特色ある教育活動、地域の教育力の向上と地域活動の活性化を図るため、コミュニティファンド事業に取り組んでいます。
 17年度から本格的に運用を開始しており、英語や選択教科、情報教育等など様々な教育活動に活用され、教育効果をあげています。

コミュニティ・ファンド事業部

(4)「学校評価システム」の構築

 学校と南が丘地域教育委員会が協働して「学校評価システム」(学校自己評価←→外部評価のサイクル)を構築しています。南が丘地域教育委員会は、学校自らが行う学校自己評価を受けて、保護者・地域住民による「学校教育活動に関するアンケート」(対象保護者650名・地域住民等250名)を実施し、学校自己評価とあわせて分析・考察し、学校運営への具体的「提言」としてまとめ、学校長に提出します。学校は、この南が丘地域教育委員会からの「提言」を、次年度の学校運営の具体的な施策に反映するよう努め、この評価サイクルをくり返す中で、「保護者・地域に対する説明責任を果たす学校運営」「保護者・地域の学校運営への参画」を推進しています。

「学校評価システム」の構築

4.成果と今後の課題

○本校は、研究テーマを「個性豊かに子どもが活きるコミュニティ・スクールの創造と小中一貫教育の構築」とし、特色あるコミュニティ・スクールをめざし、学校運営システムの改善、英語や選択教科など特色ある教育活動、9年間の子どもの成長を見通した小中一貫教育、地域全体の課題である子どもの安全対策等を重要課題として取り組みを進めており、これらの研究をより一層発展させることが引き続き課題であると考えます。

○学校と南が丘地域教育委員会との協働によって、日常及び緊急時の安全パトロール活動、人材バンクの整備等の活動が一段と活発化されました。また、「教職員との懇談会」も回を重ねる中で、相互の信頼関係が深まってきているように思われます。そのような中、安全パトロール、図書館整備、英語の JT(Japanese Teacher:英語のできる日本人ボランティア)、清掃指導等のボランティアに協力する保護者・地域住民が増え、学校運営への参画意識の高まりも見られます。

○学校評価のサイクルも今年度で4年目になります。「学校教育活動に関するアンケート」の実施によって、学校の実践や南が丘地域教育委員会の取り組みが保護者・地域に浸透し、保護者・地域住民の意向を学校運営に反映させる一つの方法としての「学校評価システム」への理解が深まってきています。
 また本校では、年度末に提出される南が丘地域教育委員会からの「提言」を、次年度の学校教育目標や教育計画等に生かして教育活動をすすめる態勢ができあがっていることも大きな前進と受け止めています。

○南が丘小学校は、住宅団地の新設と同時に旧学校区の一部を併せて平成4年に創設された新しい学校です。そのため、地域住民同士の新たなつながりをつくっていくことが課題であり、学校を核としたコミュニティ感あふれる地域づくりが求められるところとなっています。そのような中、今年度初めて開催した南が丘「ふれあいまつり」は、地域住民同士をはじめ、さまざまな団体・サークルのつながりを強め、地域づくりに貢献した意義ある取り組みとなりました。

○14年度の南が丘地域教育委員会発足当時から、学校と南が丘地域教育委員会の関係をどう考え築いていくかを重要な課題とし取り組んできました。現在、学校と南が丘地域教育委員会は、互いの主体性を尊重しあい、それぞれの役割を担いつつ協働して子どもたちを育んでいくという共通認識が広く定着してきており、そのことが、この4年間の大きな成果であると考えます。
 今後の課題としては、南が丘地域教育委員会を含め地域での活動に積極的に参画する人材をどのように拡充していくか、事務局体制への地域住民・保護者の参画をどう進め、地域・保護者の自律的な運営へどう移行させていくか等が挙げられます。

 以上の成果や課題をふまえ、今後もさらに地域・保護者とともに特色ある学校づくりを推進し、地域の歴史を創るコミュニティ・スクールを築いていきたいと考えます。

-- 登録:平成23年11月 --