コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(京都市立高倉小学校)

学校名 京都市立高倉小学校
所在地 京都市中京区高倉通六角下る和久屋町343
電話番号 075-211-8784

1.実践発表のテーマ

「確かな学力」「豊かな心」を求めた高倉教育の創造 -学校・家庭・地域・大学の連携-
 高倉小学校は,平成7年には5校が統合し,開校11年目を迎えている。
 校区は,御池通り以南の元小学校区であった城巽・初音の2学区を含む,5校7学区からなる。統合した5つの小学校は,いずれも明治2年,全国に先駆けて町衆の力で開校した歴史と伝統を誇る番組小学校であり,子どもたちは,このような歴史的・文化的価値に富む7学区を一挙に校区とし,限りなく魅力的な地域を学習と生活の本拠としてはぐくみ育てられている。
 こうした中「スマイル21プラン委員会」は,平成14年度に京都市版「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」の創設のもと,地域学校協議会としてスタートし,平成16年度には,「学校運営協議会を設置する学校」に指定され,これまでの取組を発展継続し現在に至っている。この取組は,新たな高倉教育の創造であり,地域に根ざし地域と共に歩む高倉教育の創造の母体である「スマイル21プラン委員会」をすべての教育活動の根幹に据えて,「確かな学力」と「豊かな心」を育む高倉教育「高倉モデル」の発信を求めた学校・家庭・地域並びに大学とのさらなる連携を目指す取組でもある。
 この制度は,学校運営への参画・支援,学校運営の基本方針の承認,学校裁量権の拡大,幼小中高大連携を視野にいれ,地域ぐるみの教育のさらなる充実を目指す取組であり,まさに「平成の番組小学校づくり」につながるものである。

実践発表のテーマ

2.実践の推進体制

 「スマイル21プラン委員会」は,本校の学校教育目標である
 『 翔 はばたくキラキラえがおの高倉っ子」-「知徳体」にバランスのとれた子ども- 』を名称の由来とし,21世紀を生きる未来に輝く子どもたちの教育プランを実現していきたいと考えて組織されたものである。子どもたちは,スマイル21の取組である多くの事業や学習支援,7学区の人々の織り成す豊かなかかわりの中で育まれ,いきいきとしかも,落ち着いた子どもに育っている。エンジと紺のスクールカラーに託された,学校統合の際の地域の願いである,「一緒に成長できることの喜び・出会い・感動を持ち続けたい」という,変わることのない夢と希望が今に続いている。
 組織(次ページ参照)は,4名の学識経験者の方の指導のもと,7学区の地域代表者,保護者,公募等の委員,教職員で構成され,学校教育活動についての意見や評価をいただくとともに,ボランティアとして教育活動への支援,学校と共同事業の企画・運営を行うなど,学校運営への積極的な参画のもとに活動・取組を行っている。さらには,教員公募や講師公募の実施(代表理事の参画による面接も実施)や予算執行における学校裁量の拡充などにより,地域とともに歩む学校づくりを進めている。学校・家庭・地域がどのような活動を推進すれば目指す子ども像を実現できるのかを協議するとともに,活動や取組のねらいとしては,今,子どもたちに育てたい力・育てなければならない力を「バランスの良い考えができ,様々な課題に直面してもよりよく問題を解決していける力,人と出会い,かかわることで人格を成熟させていけるコミュニケーション能力,新しいものを生み出す独創性と創造性」などとし,将来にわたって豊かに生きていける力をつけたいと考え具体的な取組を計画的に進めている。

平成17年度 スマイル21プラン委員会(学校運営協議会)組織・活動図

平成17年度 スマイル21プラン委員会(学校運営協議会)組織・活動図 

 これらを実現するための推進母体を「教育課程に関する部会」「学習指導に関する部会」「学校運営の在り方に関する部会」の3部会のもとに,7委員会を設置し取組を進めている。
 「教材開発・教材研究推進委員会」は,教育課程全般にかかわって,魅力ある教育を推進する支援の在り方について協議を重ねている。特に,地域教材を取り扱う教科等においては,メンバーの方々に地域の様子や人材についてのご意見を多くいただき授業に生かしている。
 「幼・小・中連携活動推進委員会」は,京都御池中学校と御所南小学校・中京もえぎ幼稚園の生徒・児童・園児との連携の在り方について協議している。また,小中連携のカリキュラムづくりについても取組を進めている。とりわけ,平成18年度から始まる小中一貫教育については,地域ぐるみの連携が大きな成果を生むもととなると考えられる。
 「読書活動推進委員会」は,図書室の蔵書管理や,読書活動推進のための「ワクワクお話会」「ブックトーク」も開校時より計画的に取り組まれている。
 「学習指導方法改善推進委員会」は,京都大学大学院教育学研究科田中耕治研究室の大学院生の方々との授業の共同研究を通して,子どもの学力の質と教員の指導力・授業力の向上をねらいとした連携である。また,地域の方や保護者の方の授業へのかかわりも大切にした授業実践も目指している。
 「スマイル講座委員会」は,地域の幅広い世代の多くの方の参加のもとに高倉の子どもを地域ぐるみで育てていけるよう,子育てやこれからの教育について語り合う場や講座を企画・運営している。
 「スポーツ・文化・福祉・安全推進委員会」は,専門的な知識や技能を持っておられる保護者・地域の方に学校の教育活動に参画していただくことで,児童の活動意欲を高め,地域のすばらしさに気付き,地域への愛着や誇りを育むことをねらいとしている。毎月行われる勤労奉仕的な心を育むトイレ清掃,また,子ども110番の家の増設や防犯対策の充実にも取り組んでいる。
 「評価推進委員会」は,学校の教育活動が教育目標達成に向けた取組になっているかを,保護者や地域の方にアンケートを実施し,修正や改善をすることをねらいとし実施している。

教室内のイメージ画像

3.実践の成果と課題

 このような取組により,教科学習や総合学習における単元開発を地域の方とともに進めることにより総合学習「たかくら」としての特色ある取組が生み出されたり,教育課程が充実するとともに,各委員会の継続的な取組により,子どもたちの課題やつけたい力が明確になり,課題が共有できるようになってきている。また,活動を通して,学校教育への理解が深まり,「コミュニティ・ティーチャー」「スタディ・アドバイザー」がスマイル委員の方の紹介のもとに多く生まれた。さらには,活動の企画・運営を通して,学校教育への評価についても的確に行えるようになってきている。
 何よりも,学習や活動により,子どもたちの考える力や自己肯定感が高まり,力がついてくることが実感できるような笑顔を取組のいたるところ目にすることができるのは大きなよろこびとなっている。

4.今後の取組

 「スマイル21プラン委員会(学校運営協議会)」の組織活動のさらなる充実と再編が今後の取組の課題でもある。目的・指標・機能などの充実と活性化を図り,組織の改革と創生,協働体制づくりにより「知恵と汗と結果を出し合う」ことを目指したい。
 そのためには,学校・家庭・地域の役割がより明確になるような,活動内容にすることや,それぞれの委員会が協働して活動ができるように,年間計画の見直しをすること,さらには,組織の構成員が他の委員会の活動にも参加できるような場と機会づくりをしていくことなどがあげられる。
 例えば,次のような共通のねらいのもとに,部会や委員会を構成していくことなども一つの視点になると考えられる。

教育課程
(まなび)
に関する部会
・第1委員会「地域教材開発による魅力あるまなび」
・第2委員会「幼小中高大連携による地域ぐるみのまなび」
・第3委員会「読書活動によるまなび(生涯学習)」

学習指導
(探求)に関する部会
・第4委員会「京都大学との連携による学習指導の探求」
・第5委員会「スマイル講座のもとに世代をこえた子育て探求」

学校運営の在り方
(活動と評価)に関する部会
・第6委員会「スポーツ・文化・福祉・安全にかかわる活動」
・第7委員会「活動・取組の評価(みとり)

 学校・家庭・地域が互いに力を合わせ,次の時代を生きる子どもたちに夢を託し,共にその夢の実現を目指したいものである。高倉教育の地域ぐるみの取組のより一層の充実により,地域を学びのフィールドにした「確かな学力」を身につけ,また,校種間連携(小小,小中)を行うことで,9年間の学びと育ちを求めての「学習指導」のよりよい方向についても追究していきたい。子どもたちにつけたいコミュニケーション力は,学校・家庭・地域を構成する人の人間関係力そのものでもある。未来に向かって瞳を輝かせることも,地域に根ざし,実生活と関連付け,将来への目的意識の涵養などとともに,家庭の教育との協働歩調が必要とされるところである。
 高倉教育は,「スマイル21プラン委員会」を根幹とし,子どもたちの健やかな育ちを願う多くの方々の期待に応えることの責務と誇りと喜びをもちながら,豊かな地域ぐるみの教育とは何かを求め続けることにより,子どもたちの夢が実現するような実践に情熱を注ぎつつ「夢・希望・感動をつくる学び舎」を目指して,さらなる継続した取組を進めていきたいと考えている。

学校内の掃除 イメージ画像

-- 登録:平成23年11月 --