コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(和歌山県新宮市立光洋中学校)

学校名 和歌山県新宮市立光洋中学校
所在地 和歌山県新宮市三輪崎1199-2
電話番号 0735-31-7034

1.実践発表のテーマ

 「社会の信頼に応える生徒の育成」

2.実践の推進体制

(1)学校運営協議会

学校代表5名、保護者代表5名、地域代表5名から成る組織で、学校経営に対する意見を述べ、学校を支援し、独自の地域の教育啓蒙を目指した活動もしている。学校改革推進の大きな力となっている。

学校代表
 中学校教頭 中瀬古 友夫   中学校教務主任 松本 潤   中学校教員 福田 哲也
 小学校校長 山口 史朗   小学校教員 西口 琢也    

保護者代表
 PTA会長 田岡 実千年   藤岡 克英 畑中 暢子   田中 幸人 二村 宏美

地域代表
 木の川区代表 道阪 耕一   蜂伏区代表 西 泰人   三輪崎区代表 梶田 祐行
 三輪崎区代表 浜口 仁史   佐野区代表 丸本 裕久    

(2)研究部
(3)PTA(育友会)
(4)新宮市教育委員会
(5)和歌山県教育委員会

3.実践の成果と課題

(1)学校と地域との連携について

1.保護者や地域住民の参加による協議会の活用について

 1)学校運営協議会の構成
 平成14年度年度は、人数を27名と大所帯とし、又、地域住民代表を過剰に配置したため、あまりよく機能しなかった。そのため、平成15年度以降、学校教職員・保護者・地域代表の三者をそれぞれ三分の一ずつと配分し、人数も約15名とした。その理由の一つとして、議決の場合、三つのグループのどれも単独では過半数に達せず、他の者の賛同が必要となる。
 又、選出については、学校長が教職員を選出し、PTA会長が保護者代表を選出し、各地域の区長がそれぞれ区の代表を選出している。そのため、必ずしも校長や協議会会長の意見に賛同するものだけが集まらず、より民主的な組織と言える。

2)協議会の役割
 1)教育方針の決議、学校への意見や評価を出し、学校がより地域のニーズに応えていけるように助言する。
 2)学校の行事をPTA組織と共同して、支え協力していく。
 3)地域の文化振興・教育促進・交流に貢献していく活動をする。
 4)人事に関して意見を述べる。
 5)市教育委員会より頂いた特別予算の運用について話し合う。

3)開催回数及び協議内容
 協議会は毎月、1回開催。最終金曜日。時間は午後7時~9時。
 又、内容は、上記の役割を考えて、まず、学校の取組みを話した後に意見を求め、次に、各地域から様々な情報をいただき、学校が取り組めるものがないかを検討する。更に、地域に対する活動・取組みの意見をいただき、議論していく。実際に、本校の学校運営協議会がに決議し、実施した活動は下記のとおりである。
 1)学校長の学校運営計画の承認と学校運営に対する評価
 2)学校のカリキュラムに対する意見
 3)学校行事への協力・援助(文化祭・体育祭の中でのイベント補助・行事のビデオ作成)
 4)地域の文化振興活動(教育講演会の開催・劇団を招聘しての観劇会の開催・カルチャー講座の開講・シンガポールに生徒派遣)
 5)学校の教育環境整備
 6)生徒指導への助言・協力(不登校問題、日曜参観、ボランティア活動の推進・挨拶運動)
 7)地域住民の交流活動(地域の交流綱引大会を実施)
 8)地域の情報を学校に提供し、合同の取組みを支援(区民展とのスタンプラリー・老人会との交流等)
 9)独自の広報新聞を発行・ホームページ開設
 10)人事の要求(海外交流があるため会話能力の高い英語教員と、小中一貫を考慮して小学校勤務経験のある社会科教員)

4)学校運営・教育活動への成果
 1)地域の情報がよく入り、それをボランティア活動や交流活動にうまく利用している。
 2)学校運営協議会のメンバーは意見を述べるだけでなく、自らよく活動してくれる。
 3)ボランティア活動への協力で、生徒達も地域住民と仲よくなっている。
 4)学校に対する評価で貴重な意見をいただいている。
 5)保護者にも学校行事をよりわかりやすく伝えようとビデオを作成し上映している。
 6)保護者も協議会への理解者が増え、その活動に賛同している。
 7)教職員も人的・経済的な支援を歓迎している。
 8)地域住民もカルチャー講座の開催を歓迎しており、参加者が多い。
 9)学校を訪れる地域住民が増えてきている。
 10)地域の芸能に関心を持つ生徒が増えている。

2.地域人材の活用について
 本校には、ボランティアとして数多くの地域住民が参加している。その種類に関しては、下記にまとめているが、このボランティアの学校への参加を進める活動として次の2点がある。

1)校区の地域住民に対して、町内会の協力を得て、町内会の回覧板で、学校が「広報 光洋」を発行・回覧している。これにより、学校の活動がわかり、理解者が増え、又、ボランティア等の募集も行っており、それを見て協力してくれる方も増えている。

2)新宮市には大学がないため、ボランティアをできるような若者がいないが、それを補うために、ボランティアの育成を行っている。これは、英会話とコンピューターの補助ボランティア募集に際して、事前に講習等を行い、自信をつけてから実際の授業の補助をお願いしている。

〈 ボランティアの種類 〉

○教科授業の補助
 英会話・数学・コンピューターの授業に、毎週入っていただいている。

○総合的な学習の地域学における補助
 総合的な学習の時間に行う日本舞踊・茶道・着付け・地域の鯨踊りの時には来校し、教えていただいている。

○図書ボランティア
 本校は、図書室を地域に開放している。そのため、その貸出業務を手伝って頂いており、そのおかげで、平日は午前9時から午後4時半まで、開館している。

○受付けボランティア
 学校行事等で受付が必要な場合、随時募集して受付をして頂く。

3.その他
 本校は、地域からの協力を得るために、「学校は地域のために何ができるか」をテーマに努力してきたが、生徒会が、地域のクリーン作戦等の清掃活動を行う折に、ボランティアを募って、参加している。生徒達は、学校が配付したボランティアカードもうまく使いながら、自主的に参加している。又、地域のJRの無人駅も、月に一度、早朝清掃をボランティアで行っている。

(2)その他の取組み

1.他校との交流
 海外の学校との姉妹校提携や、プロジェクトの共同研究を実施。平成17年6月には、シンガポールの交流校の生徒が来校、12月に本校生徒が交流校を訪問。

2.読書運動を展開
 図書室を整備、デジタル化して、利用しやすくし、又、生徒を対象に「児童文学を読む会」を発足して定例会を開いている。新宮市図書館と連携し、本を500冊お借りしている。これらの本は、3~4ヶ月で交換している。

3.近隣の高校とクラブ活動の合同練習をしている

4.今後の取組

(1)学校運営協議会の在り方の改善
 1.事務局は学校で行っているが、いつまでもそれでよいのか。
 2.学校運営協議会のメンバーの研修会の持ち方。
 3.学校運営協議会の審議内容をどのように報告するか。
 4.学校運営協議会自体に対する評価はどのようにするか。

(2)小中一貫への取り組み
 1.和歌山県指定の「小中一貫教育の研究校」になる可能性が出てきている。
 2.一貫教育を行う小学校も「地域運営学校」の指定を受ける必要があるかどうか。
 3.本校の学校運営協議会のメンバーが、小学校の状況にも精通していく必要があるか。
 4.今後、一貫した授業・カリキュラムの持ち方や人事交流に関しての検討課題が出てくる。

-- 登録:平成23年11月 --