コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(京都市立新町小学校)

学校名 京都市立新町小学校
所在地 京都市上京区中立売通室町西入る三丁町457
電話番号 075-432-4190

1.実践発表のテーマ

子どもたちに生きる力を育む学校運営と地域との連帯

2.実践の推進体制

 学校と地域が連帯を図り,理事会(学校運営協議会)を中核としながら各企画推進委員会が円滑に活動を実施している。

(1) 理事会は,「学校運営協議会」全体の企画・立案・連絡調整をする。理事は,各企画推進委員長を兼務する。
(2) 理事会の下に各企画推進委員会を設置する。各企画推進委員会は,決められた目標の具現化を図る。各委員会の構成メンバーは,委員だけでなく保護者や地域から幅広くボランティアを募り,協力を得る。
(3) 理事会・各企画推進委員会に教員が委員として参画し,保護者・地域・学校が協働体制で事業を推進する。
(4) 理事会に広報部と財務をつかさどる事業部を置く。

実践の推進体制

3.実践の成果と課題

 子どもたちに「確かな学力」「豊かな人間性」「たくましい心と体」を育むなど「生きる力」を培い,よりよい教育の実現のためには,学校・家庭・地域が三位一体となって「地域の子どもは地域で育てる」取組を進めることが大切である。また,地域の創意工夫を生かした特色ある学校作りを進めることで,家庭や地域が学校を高めたり,学校が地域の活性化を図ったりすることも期待できる。
 そこで本校では「学校運営協議会」を平成17年5月に設置し,保護者や地域住民が一定の権限と責任をもって学校運営に参画することにより,地域に潜在する大きな教育力を学校運営に吸収し,学校と家庭と地域が互いに協力しながら教育活動を進める,「地域ぐるみの学校作り」を目指す取組を推進してきた。

〈実践の成果〉

(1)生きる力の具現化が取り組まれ,教育の充実がより図れた。

 本校では,子どもたち一人ひとりを徹底的に大切にしながら確かな学力の定着を図るため,様々な個性の伸長を図る教育方法の研究をしてきた。また,地域や保護者の授業協力者や学校支援ボランティアの支援・協力を得て,充実した教育の展開を求めてきたが,今年度は「学校運営協議会」の設置に伴い地域や保護者の支援により,幅広い教育活動を行うことができた。  

おもしろ理科実験教室

【おもしろ理科実験教室】

チャレンジ教室

【チャレンジ教室】

英語活動

【英語活動】

(2)今までの教職員だけでは出来なかった教育活動が幅広く出来るようになった。

 これまでは学校における教育活動は教職員が中心となって行ってきた。指導者が教職員に限定されていたため活動の範囲も限定されていたが,今年度は広く地域住民や保護者の支援を得ることができたので,学校の教職員だけではできなかった教育活動が新たに展開できるようになった。

文化教室(茶道)

【文化教室(茶道)】

食育(栽培活動)

【食育(栽培活動)】

部活動(音楽部)

【部活動(音楽部)】

(3)子どもと保護者,保護者と地域住民の円満な交流の輪が広がった。

 本校の校区では都市化により新しく転入される方も多い。住民同士の結びつきは年々弱まり,保護者や地域住民の中にも互いに顔を知らなかったり,地域の行事にあまり参加しなかったりするケースも増えてきた。本年度より「学校運営協議会」が設置され,保護者と地域住民が様々な行事や事業に協働して参加することが増えた結果,地域の住民同士や保護者と住民の結びつきが強まり風通しもよくなった。特に,保護者の中で積極的に地域の行事に参加してくださる方が増えてきた。
 さらに学区内の日本語学校と子どもたちや地域の方々との交流会が今年初めて実現したり,地域の高齢者と子どもたちの「ふれあい給食会」などが実現したりするなど人的交流の輪が広がった。

(4)それぞれの学区独自の事業であったものが,新町学区の共通の事業として組み替えられるものが出てくるようになり,各学区の垣根が低くなった。

 本校には3学区の地域があるが,これまでは学区の行事はその学区の独自の事業として実施され,学区間の交流はあまり行われていなかった。子どもたちも自分の住む地域で区分され,他の学区の行事には参加しにくい傾向にあった。
 「学校運営協議会」が設置され,地域の住民間の交流が深まった結果,
 地域の事業を学区の垣根を越えて計画したり,実施したりすることが昨年度より大幅に増加した。例えば夏に実施した「夏祭り」や冬に実施した「もちつき大会」では,子どもたちは学区の壁を越えて参加できるようになり,学校キャンプのように学区の合同事業も増えてきた。

お年寄りと子どもの交流会

【お年寄りと子どもの交流会】

学校キャンプ

【学校キャンプ】

〈課題〉

(1)各企画推進委員会の連携のあり方

 各企画推進委員会は,それぞれの事業計画に従い委員長を中心に活動を行ってきたが,各企画推進委員会間の横の連絡が不十分で互いの意思疎通に欠ける部分があった。そこで,各企画運営委員会の連絡調整は,理事会が中心となって行うようにし,それぞれの取組や事業計画については必ず委員長が理事会に報告するようにしたい。また理事会での決定事項なども委員長が各委員に責任をもって知らせるなど,より強固な連絡体制を構築したい。さらに「学校運営協議会だより」などの広報紙の発行を積極的に行い,互いの連携を深めながら広く地域に活動を知ってもらうようにしたい。

(2)学校主導型から地域主導型へのさらなる転換

 今年度は,「学校運営協議会」が発足した初年度であるため,それぞれの事業が学校主導となる場合も少なくなかった。来年度以降については,学校主導型から地域主導型の転換を目指し,事業の企画立案や実施についてもより一層,地域住民や保護者が中心となって実施するようにしたい。

(3)新しい地域人材の補充と育成

 各企画推進委員会のメンバー募集は,ボランティアとして保護者や地域住民に対し行った。今年度はそれぞれの分野で活躍しておられる多数の保護者や地域の方々に協力していただいたが,今後さらなる地域人材の発掘に努めるようにしたい。

(4)各企画推進委員会の取組の充実

 各企画推進委員会の取組については,それぞれ創意工夫をした充実したものであったが今後より一層充実を図りたい。特にPTA活動と「学校運営協議会」との連携を深めるようにしたい。

4.今後の取組

(1) 教科学習への地域人材の導入など,学力向上に向けた積極的な人材活用の推進。
(2) 学校行事等についても地域や保護者との積極的な連携を図り,地域と一体化する事業の展開。
(3) 各企画推進委員会の取組の一層の充実と新たな事業展開。
(4) 財政基盤の確立に向けた事業部と広報部の効果的な活用。

-- 登録:平成23年11月 --