学校名 京都市立御所南小学校
所在地 京都市中京区柳馬場通夷川上る五町目242
電話番号
075-223-0148
夢がひろがる地域の学校
―確かな力・豊かな心をもつ子どもの育成と新たな地域コミュニティの創造を目指して―
本校は,京都市中心部の児童数減少に伴い,百年以上の歴史をもつ5校が統合して,平成7年に開校し,11年目を迎えている。本校の地域は,明治2年,全国に先駆け,京都の町衆が教育に情熱を傾け,「番組小学校」として学校を創設した歴史がある。また,町衆の教育に対する思いが強く感じられる地域である。また,地域には,伝統文化や伝統工芸に携わっておられる方が多数おられ,その力を生かして学習へも積極的に協力していただいている。
私たちはこの地域の人々の絆を大切にし,地域の自然,伝統,文化を生かし,子ども,地域の方,保護者,教職員の夢を実現する新しい「夢がひろがる地域の学校」を創造していきたいと考えている。
御所南小学校は9つの学区が統合した学校であり,地域の団体代表者も9人ずつおられる。このような豊富な人材を生かし,具体的な活動を中心として取り組んでいけるように,平成14年9月,地域学校協議会「御所南コミュニティ」を創設した。
平成16年11月,京都市教育委員会は,「学校運営協議会を設置する学校」として指定をした。本校ではこれを受けてこれまでの地域学校協議会「御所南コミュニティ」と「学校運営協議会」の関係を次のように考えた。
地域学校協議会「御所南コミュニティ」の理事会を「学校運営協議会」として,京都市教育委員会規則に沿って,取組みを進めることにした。また,理事会以外のメンバーを「企画推進委員」とすることにした。
これにより,今までの成果を生かしながら,学校運営に参画できる組織ができるのではないかと考えた。
地域学校協議会「御所南コミュニティ」は,児童をどのように育てていけばいいのかという視点から,12の「コミュニティ」(小グループ)に分かれて活動している。
御所南小学校は,統合した学校であるということから,いくつかの課題をもっている。1つめの課題は,地域と学校との新しい結びつきをつくるということである。2つめは,この地域に京都御池中学校新校舎・複合施設の建設が予定されていることから,幼小中連携の必要性という課題である。3つ目は,保護者と学校との結びつきを強めるという課題である。
そこで,地域学校協議会「御所南コミュニティ」をこれら学校の課題ごとに3つの委員会に分け,上記の「コミュニティ」(小グループ)をそれぞれに位置づけた。
12の「コミュニティ」(小グループ)の部長は,3つの委員会の委員長(1名)と副委員長(3名)をそれぞれ兼ねている。この委員長・副委員長と学校長・学校代表5名を合わせて18名で理事会を構成している。理事会では,委員会や「コミュニティ」(小グループ)の企画を行い,活動や学校教育の評価を行うようにしている。この「理事会」12名の委員を「学校運営協議会」の委員として校長が推薦し,教育委員会の任命のもと学校運営の在り方について話し合う。
「御所南コミュニティ」の委員は,地域代表やPTA代表などから選出するとともに,地域全体を対象に公募することにした。(現在の公募委員21名)これは,地域や保護者とのつながりを深めるとともに,より積極的に「御所南コミュニティ」の活動が進められるようにしたいと考えたからである。
なお,「学校運営協議会委員」以外のメンバーである「企画推進委員」は,校長の委嘱により,「学校運営協議会」と一体となって,共同授業・共同事業の企画・運営を行なっている。
「御所南コミュニティ」の活動は委員だけで行うのではなく,御所南小学校の教職員と委員が一体となって進めるようにした。これにより,学校教育と「御所南コミュニティ」,「学校運営協議会」の活動の連携が,より密になると考えた。現在,委員と学校の比率は,ほぼ「地域1:保護者1:学校1」となっており,バランスのとれた運営ができている。
「学校運営協議会」は,「御所南コミュニティ」の会議の前に開き,学校教育目標及び経営方針,予算の編成に関する基本方針などを承認したり,「御所南コミュニティ」の企画を行ったりしている。
「学校運営協議会」及び「御所南コミュニティ」の会議は,月に1回程度,2時間の時間設定で行っている。前半は「コミュニティ」(小グループ)の部会,後半は委員会としている。
学校運営協議会の会議の様子
共同授業としては,これまで出会えなかったような方を招いて授業をしている。「御所南コミュニティ」がコーディネートすることにより,人との出会いの幅が広がった。また,算数ボランティアを募集しての授業支援など,学校からの働きかけでは難しかったことにも取り組めるようになった。
共同事業としては,児童とボランティアの方を合わせて1,200名にもなる「御所南子ども体験ランド」などがある。共同事業で,これまでとは違うかかわり方で児童に接してもらうことにより,地域の方により深く児童を理解していただくことができるようになった。
御所南コミュニティの会議の様子
「御所南コミュニティ」と「学校運営協議会」では,書類や説明から学校教育を理解するだけでなく,実際の活動を通して学校教育への理解を深めてもらえるようになった。たくさんのボランティアも集まり,「御所南コミュニティ」のメンバーだけでなくボランティアの方にも,活動を通して学校に対する理解を深めていただけるようになった。
平成16年度の共同事業が年間20回,児童の参加延べ人数は2,100人で,1事業参加平均は100名となった。子どもがさまざまな事業を楽しみにして参加している姿は,子どもたちの学校大好きな姿であると考えている。また,これらの活動を企画・運営している委員の皆さんも子どもたちの様子をみて,充実感をもっていただき,積極的に取り組んでもらっている。これは,委員の方々の学校大好きな姿であると考えている。学校が好きな保護者,地域は,学校大好きな子どもを育てる。
地域コミュニティ委員会「ふれあい」の取組
活動を通して子どもの様子を把握し,学校教育をよく理解してもらった上で,御所南教育についての意見をいただく。それをもとに「学校運営協議会」において,教育目標及び経営方針,教育課程の編成に関する基本方針,予算の編成に関する基本方針を学校長が提案し,承認をもらうようにしている。子どもの活動にかかわっていただいているので具体的で適切な意見が多い。
活動を通して学校教育をよく理解してもらった上で,年度末に「御所南コミュニティ」による評価ワークショップを行った。「コミュニティ」(小グループ)の視点ごとに,教職員と共に児童の実態を話し合いながら評価していくようにしたので,具体的な学校評価を行うことができた。
学校に対する深い理解は,共に学校の方向を探るという姿勢や,これからの学校教育への責任感にもつながった。この将来展望と責任感の上で,公募教員,公募非常勤講師の面接を行った。「学校運営協議会」の委員の方の質問事項は,学校を共につくっている自覚を感じさせるものだった。
「御所南コミュニティ」ができて,ほぼ4年間が過ぎようとしている。この間,各組織の代表者の変更や公募者の追加などで,いくらかのメンバー変更があった。しかし,基本的には同じメンバーで過ごしてきた。今後は,このメンバーをある程度継続し,また効果的に更新しながら,「学校運営協議会」,「御所南コミュニティ」の活動を続けていけるようにしていくことが課題である。
「御所南コミュニティ」の活動は4年目を迎えており,ほぼ安定したものになりつつある。しかし,同じ活動で終わってしまうようになると活動が停滞していくことも考えられる。「継続と更新のシステム」を確立しておくことが課題である。
京都市の指定により,隣接する高倉小学校及び本校を含む2小学校の卒業生が進学する京都御池中学校にも「学校運営協議会」が設置されている。それぞれの学校運営協議会の構造や置かれている部会は違うものの,同じように地域・保護者との連携・協働を目指した組織である。したがって,小中連携を考えた上で,これらの組織が有機的に連携できるようにと考えている。
2小1中学校の学校運営協議会の働きとそれぞれの関係を整理して,よりよい継続と更新ができるようにしたい。
御所南コミュニティの活動が,より一層活発になり,子どもたちを支える活動になるためにも,御所南コミュニティ・ファンドの取組を進めていきたいと考えている。
-- 登録:平成23年11月 --