学校名 尾道市立土堂小学校
所在地 広島県尾道市西土堂町6-44
電話番号 0848-23-3921
ミッションステートメントの具現化に向けて
これは平成14年度から16年度までの「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」並びに「新しいタイプの学校運営の在り方に関する研究開発」そして、平成17年度現在の「コミュニティスクール推進事業指定校」としての4年間の推進体制を表した図である。
図のように「土堂小学校地域運営協議会(平成17年度より・学校運営協議会)」は運営指導委員会や教育委員会の指導助言を受けつつ、学校に対して目標である「ミッションステートメント」を設定し、その目標が達成できているかどうか評価を行い、学校はその目標達成のために、具体案を示して教育活動を行っているのである。
平成14年度土堂小学校地域学校協議会が建議したミッションステートメントは以下に示す5点である。
このミッションステートメントを実現するために、まず学校長を全国公募した。次に、ミッションステートメント及び校長の具体案である方針に賛同する教職員を県内に公募した。最後に、学校選択を自由化し、ミッションステートメントに賛同する保護者を市内全域に公募して転入学児童を受け入れたのである。
このように、土堂小学校には校長も教職員も保護者もミッションステートメントに賛同して集っていることになり、同一の方向性で教育活動の推進体制が整っているといえるのである。
5項目のミッションステートメントを具現化していくためにどのような実践を行い、どのような成果や課題が出てきているかを以下ミッションステートメントの順番に沿って説明する。
学校長の経営理念に従い、表のように毎週火・水・木曜日の1校時をモジュールタイムとして設定し、基礎基本の徹底反復による学習を行っている。
モジュールタイムとは、45分間を15分間単位の3つのモジュールに分割して、国語的な内容15分間、算数的な内容15分間、その他学級裁量として15分間をテンポ良く高速で反復学習する時間である。
具体的なモジュールタイムの内容は図に挙げているようなものであり、これらを学年別の系統表にして示し、計画的に行っている。
このモジュールタイムの成果としては、基礎学力の定着だけではなく、短時間に集中する能力や他人の意見を集中して聞く態度の育成、及び脳の活性化にもその効果は大きく、各種学力検査に現れた児童の学力の結果は大きく伸びてきていることを証明している。
ミッションステートメントの2.と3.に挙げられたキーワードから、その具現化に向けて本校独自に特設3教科を設置した。つまり、「国際化」のキーワードからは「英語科」を設置し、「尾道のアイデンティティー」のキーワードから「郷土科」を設置し、「コミュニケーション能力」のキーワードから「情報科」を設置した。
これらの特設教科の時間を確保するためには、1・2年生は「生活科」、3年生以上は「総合的な学習の時間」を充てている。このように特別な教育課程の編成が可能になっているのは、文科省の「教育研究開発」の指定を受けているためである。
成果としては、郷土科においては郷土について児童の関心が高まり、知識も豊かになってきている。また、英語の聞き取り能力、英文暗唱能力、情報機器の活用能力などが育成されてきているという手応えを感じてきている。
「コミュニケーション能力」については、先に述べた情報科だけではなく、英語科においては英語を介して、郷土科においては人との交流を通してミッションステートメントの「コミュニケーション能力を育てる学校」の具現化に向けて取り組んでいるのである。
ミッションステートメントの「4.学ぶ力と遊ぶ力」については、「早寝・早起き・朝ご飯」を合い言葉に、児童の基本的な生活習慣の確立を目指して取り組みを進めている。
具体的には、生活アンケートを実施して児童の生活習慣について実態把握をし、あらゆる場面で具体的なデータを示しながら家庭での協力を呼びかけているのである。
本校は保護者がミッションステートメントに賛同して本校を選択して来ている経緯もあり、これらの取り組みに対する大きな理解と協力を得ている。その結果、多くの児童が朝6時30分までには起床し、ほぼ100パーセントの児童が朝食を採り、夜も早く就寝して、テレビの視聴時間も県内平均に比較してかなり低い数字になっている。
この実践により「心も体も元気な子ども」が育ってきており、早朝から登校する児童は多く、登校した児童から順に落ち葉拾いなどのそうじや、サッカー・バスケットなどのスポーツに汗を流している。
また、心と体の安定は学習への集中力や忍耐力にも繋がり、先に示した基礎基本の徹底反復学習に対して意欲的に取り組む活力にもなっている。
これについては、児童と保護者、地域の方が一緒に学ぶ場面をできるだけ多く設定して、学校の教育活動を地域に開くようにしている。
具体的には、郷土科で学習した内容を児童が観光ガイドになって保護者に解説しながら地域を歩くフィールドワークを行ったり、地域の方や地元の大学生をゲストティチャーとして招き、教えていただくだけでなく、児童とともに学習活動を行ったりしている。
また、年間に数回講師を招いて教育講演会を実施し、これには児童とともに保護者や地域の方も参加していただいている。
以上の通り、平成14年度土堂小学校地域学校協議会が建議したミッションステートメントをどのように具現化してきたか土堂小学校の取り組みの一端を述べた。今後は以下の点についてポイントをおいて実践を進める必要があると考える。
1.モジュールタイムによって児童がつけてきた学力を更に深化させていくため、モジュールタイム以外の各教科における指導の在り方の検討。
2.情報機器を活用した授業により授業の効率化と具体化。
3.相互関連を持った特設3教科の在り方と学習内容の整理。
今後も具体的な実践を通して、土堂小学校ミッションステートメントの実現を目指して取り組みを進めていきたいと考えている。
-- 登録:平成23年11月 --