コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(世田谷区立山崎中学校)

校名 世田谷区立山崎中学校
所在地 世田谷区梅丘3-8-1
電話番号 03-3420-3286

1.実践発表のテーマ

 本校が昨年4月にコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進校の指定を受けて活動を始めてからまだ10ヶ月に充たない。その成果を報告する時期ではないと思うがこれまでの経過を中心に纏めてみる。
 世田谷区では全国に先駈けて平成8年に全区の小中学校96校に「学校協議会」を立ち上げた。この組織は地域の学校、PTA、町会、自治会、青少年地区委員会、民生・児童委員、青少年委員、行政関係者等によって組織され、年に数回の会議が行われる。地域の意見・要望を取り入れながら「健全育成・地域防災・教育活動の充実」について討議、企画・立案、実施されて来た。多くの関係者が一堂に会し、学校について、地域について意見を出し合い、行動に移している。また各学校協議会のメンバーが集まる「学校協議会地域フォーラム」も年一度開催され、各学校協議会の実践報告や新たな取り組みについて意見の交換がなされており、世田谷の教育の大きな潮流となっている。既にコミュニティ・スクールの基盤は確立されていると言える。
 また本校では平成14・15年度に世田谷区教育委員会の研究課題校の指定をうけ「コミュニティ・スクールをめざして-地域と連携した教育活動-」の研究を進めてきた。これは「地域と学校が理念を共通し教育活動や地域活動を積極的にすすめる学校」「地域住民や保護者が教育活動に参画し、教育活動の充実を図り、生徒の生きる力を育む学校」「生徒が地域の中でいきいきと活動することを支援する学校」を目指した研究であった。この研究課題への取り組みが、現在の本校の教育の基盤となっている。関係諸機関との連携も含め普段の教育活動のなかに多くの地域の教育力を取り入れている。
 このような世田谷区や本校の現状を基盤として本校のコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)はスタートしている。これまでの区や本校の取り組みを更に発展させていくことがコミュニティ・スクールとしての使命と考えている。

2.実践の推進体制

 これまで世田谷区で進められて来た「学校協議会」の運営が学校運営の基盤としてあるため、本校でのコミュニティ・スクール推進に取り組む体制は教職員にも地域にも比較的容易に受け入れられた。
 世田谷区でのコミュニティ・スクール推進体制は下図で示されている通りであり、本校でもほぼこの体制で取り組んでいる。
 本校では「学校運営委員会」を2ヶ月に1~2回開催しているが、運営委員は以下の通りであり、男性3名女性5名で構成されている。
  地域住民代表2名、保護者代表2名(内1名委員長職務代理者)、卒業生代表1名、
  小学校保護者代表1名、学識経験者1名(委員長)、学校長
 この運営委員会構成メンバーの特徴は卒業生の代表を加えていることであり、若い世代の意見も積極的に学校運営に反映させようと試みている。
 事務局として副校長と担当主幹が当たり、必要に応じて他の主幹が参加する体制である。また説明が必要な場合はその都度担当者が出席している。

 実践の推進体制

3.実践の成果と課題

 本校は、コミュニティ・スクールとして既に部分的に機能していると考えられる。それは研究課題校として「コミュニティ・スクールをめざして-地域と連携した教育活動-」の研究・実践に地域と共に取り組んで来た成果であり、地域と共に歩む開かれた学校作りが継続して進められている。

□開かれた施設
・積極的な学校施設の開放(総合型地域スポーツクラブの会場等)
・土曜講座の実施(地域の協力により6講座開設)
・地域運動会の開催
・地域防災避難所訓練等の実施

□開かれた情報
・学校だより、学年だよりの発行
・学校協議会、外部評価委員会の運営
・三校学校協議会の運営(学区域の小学校2校との拡大学校協議会)
・道徳授業地区公開講座の実践
・公開授業の実施(各学期1週間)

□開かれた学習活動
・年間を通してのゲストティーチャーの導入(年間延べ約50人)
・地域と連携した職場体験(30事業所)、福祉体験(24事業所)、地域学習(保育実習等)、進路学習(ハローワーク、高校との連携)等の実践
・企業、行政、学校間連携による授業実践
・小学生のための体験学習

□地域社会への参画
・地区委員会との連携(放置自転車クリーンキャンペーン、防犯パトロール、小学校の子ども祭り、地域防災訓練等)
・地域商店会との連携

以上の活動は学校が地域社会の協力を得て、地域の教育力を活用し継続的に実践されているものである。今後はコミュニティ・スクールの学校運営委員会での討議を中心に合意形成を図りつつ、コミュニティ・スクールとしての学校運営の改革を進めるべきであると考える。外部評価委員会の評価結果を踏まえながら、学校運営のより本質的な部分での討議、提言がなされるべきである。そのためには運営委員が先ず学校の全てに亘り理解を深めることが必要であるし、高い見地からの討議が重要となる。

4.今後の取組

 これからは学校が単に地域の力を活用するだけでなく、学校がコミュニティの核となる機能を持つ必要がある。「学校の地域」ではなく「地域の学校」でなければならない。それにはコミュニティ・スクールとして学校運営委員会の討議、提言を受け入れ、地域のニーズに応える学校運営を進めることが重要である。

□総合型地域スポーツクラブ
 文科省が全国的に展開している地域住民主導型の総合型地域スポーツクラブを立ち上げる。学校施設の開放をさらに進め、スポーツ活動や文化活動を通して地域の活性化やコミュニティ作りを積極的に進める必要がある。

□地域教育基盤の構築
 東京都や世田谷区が進めている地域教育基盤(プラットホーム構想)の構築を学区域の小学校二校と進める。

-- 登録:平成23年11月 --