コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(三春町立三春小学校)

学校名 三春町立三春小学校
所在地 福島県田村郡三春町字大町157
電話番号 0247-62-3101

○学級数・児童数・教職員数 20学級・441名・26名(平成18年1月1日)

学年 1 2 3 4 5 6 養護学級
学級数 3 3 3 3 3 3 2 20
児童数 70 66 87 72 67 73 6 441

1  研究課題

地域と連携した学校運営のあり方について

学校と地域の協力体制をいかに構築していくか?

(1)研究課題設定にあたって

1.時代の要請‥‥社会構造の急激な変化や国民の意識や価値観の多様化に伴う学校教育に対する要請、期待の高まりに応えることが求められるようになってきた。

2.学校は地域社会を基盤として存在するものであり、充実した学校教育の実現には学校、家庭、地域社会三者の連携・協力が不可欠である。

3.平成16年6月の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正に伴い、教育委員会の判断により、地域や保護者が合議制の機関である「学校運営協議会」を通じて、「一定の権限」をもって学校経営に参画できるようになった。
実施要項の1 趣旨から・初中局長決定) <保護者や地域が一定の権限と責任をもって学校運営に参画することを通じて地域に開かれた信頼される学校づくりを進める。>

4.三春小学校は、三春町教育委員会指定の学校として、地域や児童の実態を踏まえ、目指す学校像として下記の内容を踏まえながら調査・研究にあたる。
○三春町は、落ち着きのある城下町で、家庭・地域は学校に対して協力的である。
○三春小学校は、今まで、地域の教育力を生かした実践を行ってきた。
 「三春小学校学習支援ボランティアコーディネーター」通称「サンボラ」と略称。
 これは、総合的学習を中心とする「学習支援のためのボランティア組織」であるが、このサンボラを通し、地域の方々に「学校への支援と協力」を求め、多くの地域の方々に学習活動に参加していただいてきた経緯がある。
その経緯を踏まえ、「学校運営協議会」制度の指定を受けることにより、下記の事を目指して実践していきたい。
(ア) 開かれた学校を目指す。説明責任を果たせる学校作り。
(イ) 児童の学ぶ機会を最大限に多くするため、地域の教育力・保護者の教育力を生かしていただくことをねらいとする。
(ウ) 学校から地域・保護者への意見要望と、地域・保護者から学校への意見要望と、教育活動充実のための双方向の関係の構築を目指す。保護者や地域のニーズに応えたい。

(2)コミュニティ・スクール指定の経緯等

1.県教育委員会と町教育委員会との5月20日の協議により、三春町教育委員会が
「コミュニティ・スクール」推進事業の指定を受けることとなった。

2.三春町教育委員会では、6月3日「三春町学校運営協議会設置規則」を策定し公布した。

3.三春町教育委員会では、6月3日付けで、三春小学校を「コミュニティ・スクール」として指定した。

4.三春町教育委員会では、規則により委員数を、8~19名以内とした。
「地域代表」「保護者代表」「関係行政機関代表」「学校代表」「学識経験者」「その他教育委員会が適当と認める者」とし、町内の広範な領域から参加いただくこととした。

5.三春小学校では、保護者に対して三春小学校が「コミュニティ・スクール」に指定された事を、各種会合や広報により周知するように努めている。

(3)調査・研究を進めるにあたって

1.教育が、学校だけできるものではなく、家庭や地域社会の協力・連携を得る必要があることを認識しその連携・協力の方策を探る。

2.学校運営協議会と学校との望ましいあり方を検討する。

3.学校の実態・願いと家庭・地域社会のニーズとの調和を図る方策の検討をする。
 ○アンケートによる「家庭・地域社会のニーズ」を調査する。
 ○より一層の家庭の協力を得るための方策を検討する。例えば学力向上のための家庭学習のあり方、健全な「食と健康の指導」のあり方等。
 ○児童の安全対策への連携・協力のあり方。 

4.外部評価機関としての「学校運営協議会」のあり方について調査・研究を行う。

2 構成・組織

(1)協議会委員の組織(8~19名以内)

<構成>

  1. 地域代表委員‥‥区長会、町作り協会、民生児童委員等々から。
  2. 保護者代表委員‥‥PTA会長他。
  3. 行政関係機関‥‥教育委員会、役場など。
  4. 学校代表委員‥‥校長・教員。
  5. 学識経験者‥‥各種委員等。
  6. その他教育委員会が適当と認めた者。

◎可能な限り、広範囲な領域の中から委員を選任していただき、色々な立場から、意見を集約していくことになった

(2)組織

1.会長
○降矢 由美子(町社会教育委員長)

2.副会長
 ○小澤 聡(PTA会長)

3.地域代表委員
○幕田 勝寿(三春町づくり協議会会長)  ○佐藤 勝夫(八幡町3区長)
○菅井 善雄(三春町作り協議会青少年育成部長)  ○鴫原 徳子(町保護士会長)
○久保 ツヤノ(民生児童委員)    

4.保護者代表委員
○小澤 聡(PTA会長) ○白石 文夫(PTA副会長) ○高橋 仁子(PTA庶務)

5.教委代表委員
○有賀 仁一(主幹兼指導主事)

6.学校代表委員
○三輪 幹治(校長)○吉田 美智生(教頭)○安生 昌弘(教務主任)
○増子 健二(担当主任)○柳沼 富美子・武田 由美子(学校担当者)

<研究組織>

<研究組織>

※(三春小学校学習支援ボランティアコーディネーター)

3 調査・研究の内容

(1)総合学習部‥‥地域に根ざした学校教育の創造、総合的学習に関する活動の充実をねらいとする。

  1. 総合的な学習‥‥  地域の教育力を生かした教育活動の実践(地域活用人材の確保)をメインにしたい。三春ならではの活動があれば‥‥「三春盆踊り・太鼓」等。
  2. 保護者や地域住民の参画による学校教育活動の充実
  3. 運営組織の構築(サンボラとの連携のありかた)

(2)学力向上部‥‥確かな学力定着のため学習活動のさらなる充実をねらいとする。

  1. 授業研究  本校は、年間に一人2回の自主公開授業を実施している。HPにも公開予定で校外のどなたでも参観可能。その際の授業などへのボランティア・ティーチャーを依頼する。
    また、協議会委員にも参観いただき、評価と意見をいただくこととする。
  2. 家庭学習、家庭での読書などの啓蒙による学力向上対策についての意見などを求める。
  3. 地域教材の開発

(3)食と健康指導部‥‥ 食の指導を通して、子ども達の健康増進と偏食や生活習慣病への対応並びに楽しく正しい食事の習慣と保護者への啓蒙を図ることをねらいとする。

  1. 調理講習会、お花見給食、バイキング給食、テーブルマナー給食、家庭科でのTT授業のボランティア活動などを通して、望ましい食のあり方を児童・保護者とともに考えていく。

(4)児童の安全関係部‥‥ 現在、大きな問題となっている、登校・下校をはじめとする「児童の安全」を学校・家庭・地域全体で考えていくことをねらいとする。

  1. 各字区長会・老人会などの協力を得て、児童の登校下校の安全を図る。
  2. この活動を通して「あいさつや礼儀の指導」「地域の方々との理解・交流」「非行等の未然防止」などの波及効果が期待できるよう工夫する。

4 具体的な実践(案)

(1)保護者や地域住民の参画による学校教育活動の充実

  1. お花見給食(紅葉給食など)による「食の指導」への地域・保護者の協力
  2. 2年生活科「町探検」における地域・保護者の協力

(2)地域教材の開発

  1. 盆太鼓の継承‥‥毎年5学年の全児童が、地域保存会の方々の指導による伝統の継承と発表を行う。(運動会、町の各種行事への協力、学校行事での演奏)
  2. 職人の方々のしごとの理解
  3. 生活科の地域教材開発

(3)生活科・総合的な学習

  1. 年生活‥‥昔遊びや草花の栽培についての協力
  2. 年生活‥‥「町探検」における地域・保護者の協力
  3. 年総合‥‥「三春町の宝探し」地域学習、地域の民話、地域の歴史学習への協力
  4. 年総合‥‥国際理解教育についての協力(町国際協力協会)
  5. 年総合‥‥「環境」に関して、三春観察ステーションなど地域の専門家の指導・協力を得る。
    特に「水環境について」、水環境の研究についての研究発表
    学校田のモチ米栽培についての、ボランティア(伊藤さん)の協力
  6. 年総合‥‥「夢を探す」自分の興味ある、各職業について調べることへの協力。

(4)授業研究を通して

  1. 多くの単元で保護者の協力を得たい。ゲストティチャーを募りたい。
    ○ 「丸付けボランティア」や「読み聞かせ」「家庭学習への理解と協力」

(5)児童の奉仕的活動への指導援助

  1. 地域クリーンアップ作戦
  2. 合唱部・合奏部の老人ホームへの慰問演奏会等への支援

(6)その他

  1. 児童の登校・下校時の安全確保への援助‥‥区長会、老人会の協力
  2. 学年活動への支援

5 協議会の開催について

(1)開催計画‥‥定例会年間6回 月の第4週の金曜日に実施。必要に応じ臨時協議会を開催。

  1. 5月20日(金曜日)本庁、町教委、学校との協議・打ち合わせ
  2. 6月3日(金曜日)教育委員会規則制定、三春小学校が指定される。
  3. 8月4日(木曜日)第1回協議会(趣旨説明、組織作り、今後の見通しなど)
  4. 10月11日(火曜日)第2回協議会(夏季休業後の推進について、他)
  5. 11月25日(金曜日)第3回協議会(8月以降の実践状況に並びに今後の推進について、他)
  6. 12月12日(月曜日)第4回協議会(児童の安全を守るための臨時協議会)
  7. 12月21日(水曜日)第5回協議会(17年度の反省と18年度の教育課程編成の基本方針の説明と各委員からの意見集約,他)
  8. 1月27日(金曜日)第6回協議会(教育課程編成の中間報告・意見聴取、他)
  9. 3月3日(金曜日)第7回協議会(18年度教育課程編成の完成に向けて最終検討、18年度の本協議会のあり方並びに今後の推進について、他)

(2)開催場所・時間 18時30分から20時30分 プレイルームにて開催

6 実践の足跡

(1)総合学習部

  1. 4月25日~ 「盆太鼓指導」ボランティアPTA会長他6名
  2. 5月2日~ 「学校田」の田起ロータリーかけのボランティア(伊藤氏)
  3. 5月29日「運動会盆太鼓・踊り」指導ボランティア多数
  4. 6月20日「3年校外学習」ボランティア数名
  5. 9月30日「学校田の稲刈りボランティア」5名
  6. 10月24日、25日「シルバー人材センター剪定作業」ボランティア多数
  7. 10月30日「学びの森1年生へのボランティア」多数

(2)学力向上部

  1. 5月11日「丸付けボランティア」開始13名(定期的に毎週の水・木曜日15時5分~)
  2. 7月28日休業中数日「図書館ボランティア」田部さん、永井さん、大内さん
  3. 8月5日「合奏部指導ボランティア」井上氏
  4. 8月8日「音楽部夏季練習」保護者ボランティア多数
  5. 12月20日「3年生の語り部」ボランティア、田部さん

(3)食と健康部

  1. 4月21日「お花見給食」ボランティア23名
  2. 6月22日「4年生バイキング給食」ボランティア7名
  3. 7月6日「テーブルマナー給食」ボランティア6名
  4. 7月8日「テーブルマナー給食」ボランティア8名
  5. 7月12日「テーブルマナー給食」ボランティア4名
  6. 7月15日「4年生バイキング給食」ボランティア7名
  7. 9月22日「1年給食試食会」ボランティア数名

(4)安全部

  1. 10月5日「入学時対象の子育て講座の託児ボランティア」3名
  2. 11月8日~「スクールガードリーダー」活動開始、赤井氏
  3. 12月7日~「下校時の安全確保のための一斉下校」のボランティア多数
  4. 12月19日「安全確保のための区長・字委員長合同会議」区長、PTA、学校30名 

7 今後の中心的課題

  1.  「保護者や地域が一定の権限と責任をもって学校運営に参画すること」
  2.  「地域に開かれた、信頼される学校づくりを進めること」

課題1 1.と2.の理念を、各委員が理解し、真に機能する協議会となるようにすること。
課題2 保護者・地域の皆様が、趣旨・内容を周知、理解し協力していただくようにすること。
課題3 三春小学校を町民の方々に関心をもっていただける存在にすること。
課題4 三春町を愛する(郷土愛)児童の育成をはかることができるようにすること。

8 三春小学校学校運営協議会のキーワード

  1. 協議会は一定の権限と責任をもつ。
  2. 協議会は積極的に学校運営に参画する。
  3. 協議会は「児童の学ぶ機会を多くする実践」を支援する。
  4. 協議会は保護者・地域のニーズに応える運営をする。
  5. 協議会は地域に開かれた学校を目指す運営をする。
  6. 協議会は地域から信頼される学校を目指す運営をする。

-- 登録:平成23年11月 --