コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

基調講演資料(東京会場)「今後のコミュニティ・スクールに求められるもの」

早稲田大学教育学部教授 安彦 忠彦氏

はじめに-研究者としての個人的見解。
・コミュニティ・スクールの位置づけ:保護者の教育権の直接行使を体験できる場。

1.コミュニティ・スクールの基本的性格

(1)「学校運営協議会制度」のねらい=「自由化」と「民主化」が主眼。

(2)各教育委員会の見識が問われる!=「民主化」は手段。目的をどう決められるか!

(3)保護者・地域住民と学校・教職員との関係の質が問われる!=学校・教職員が教育の専門職者として、一定の敬意を受けられる見識と力量を示すこと。

(4)学校にとって「地域社会=コミュニティ」とはどのような性格のものかが問題
 =保護者・地域住民は「学校教育」については実際上はサブの立場。

(5)中央の行政当局はあくまでもサポート役=国としての基準は示すが、後は条件整備。

2.コミュニティ・スクールの現状

(1)保護者・地域住民の教育への意識・情熱の高さが基本=独善的にならない工夫必要。

(2)保護者・地域住民の大人の都合が優先される傾向:「公教育」=「社会のための教育」
 ←→「出藍の誉れ」=「子どもの未来決定の自由」

(3) 「保護者」(家庭)・「地域住民」(地域)・「教職員」(学校)の三者のうち、「保護者」と「地域住民」の扱いの問題。

(4)保護者・地域への「開放性」=情報公開の必要とその「公開の仕方」の吟味。

(5)学校の教職員人事・教育課程等への関与=特定の社会的政治的圧力の介入の危険。

3.今後のコミュニティ・スクールに求められるもの:望ましい発展のために。

(1)子どもの教育は三者の「協働=分担と協力」によることの自覚・意識の徹底。(土堂小)

(2)「コミュニティ」を「地域」中心でとらえるか、「保護者」中心でとらえるか。
 → 「地域立」(五反野小)による「公共性」(一貫性)と「保護者の教育権」との関係

(3)「下から」の学校づくりとして:保護者・地域の自己責任の明確化=外部評価の導入。(京都市)→ 原点に帰り「可能な限り」「子どものための公教育」を具体化する方向。

(4)コミュニティの閉鎖性に留意=日本の伝統的な「地域」は閉鎖的である。
 → 「新しいコミュニティづくり」も兼ねた学校づくりであれ!

(5)教職員の教育専門家(専門職者)としての対社会的な見識と力量の向上が不可欠!

おわりに-「社会全体の教育の構造改革」を図るコミュニティ・スクール構想を!

-- 登録:平成23年11月 --