学校名 高知県立大方高等学校
所在地 高知県幡多郡黒潮町入野5507
電話番号
0880-43-1079
本校は、高知県高校再編計画により、これまでの商業高校が廃止され、平成17年度より多部制(昼間部、夜間部、通信制による定時制課程)・単位制普通科高校としてスタート。学校が廃止されることで、校友会・PTA・地域から大きな反対運動が起こり大混乱を招いた。そこで、地域住民・保護者・教育関係者からなる『学校の未来を語る会』を発足させ、新しい学校の学校像・教育課程・学校システムなどの基本を策定し、開校に取り付けた経緯がある。
『学校の未来を語る会』の提言をもとに、『生徒には夢を 保護者には希望を 地域には信頼を!』をスローガンとし、今、地域参画型の学校として、新しい学びのシステムを作りあげようとしている。そのためには、教育情報のオープン化・学校の説明責任など開かれた学校づくりを推進するとともに、とくに地元黒潮町・企業とのコラボレーションによる人材育成、また、黒潮町唯一の高校として、地域再生計画に基づく『知』のネットワークの中心としての役割を果たしていきたいと考えている。
本校は、新しい学びのシステムとして『これからの学校教育は、単に学校だけでは不十分。保護者・地域の人々の手を借りる』という発想を基本としている。
そのキーワードは、『利益の双方向性』。連携することで双方に利益がなければならない。
平成16年の「学校の未来を語る会」の設置、平成17年度からの「コミュニティ・スクール推進委員会」・「学校運営協議会」において、学校経営方針、実施計画、学校評価、予算審議(学校長裁量予算)など教育活動全般に対し、意見や要望を聞き、学校経営に生かしていこうと考えている。
校内に教頭・教務を中心とする企画推進室を設置し、新しい学校システムづくりの具体的な企画・立案を行い、円滑な実施に心がけている。
必要な経費は、県教育委員会の校長裁量予算『21ハイスクールプラン』を活用している。
新しい学校を立ち上げるに当たって、生徒・保護者・地域の人々に対し、▽100以上の科目から自分の進路にあった時間割づくり ▽e-ラーニング ▽高度な資格取得 ▽わかる授業と学力向上 ▽学校・町・企業とのコラボレーションを5つの挑戦と銘打ってマニフェストとして掲げた。
地域の学校として、もっと学校を知って貰おうと、様々な機会を通じて情報発信に心がけている。主な取組みとしては、『松風』の発行、ホームページ充実、PTAの部屋『集和館』の設置などがある。また、各種会合の会場として使用させることによって、本校を知って貰う機会とする。
平成17年度から、『生徒に夢と希望、そして自信と勇気を』をテーマに、県内外の生き生きと輝いている人材の生き方・生きる術から学ぶために、『おおがたソピア塾』を開講した。(年間11講座)
講座によっては、地元の中学校や町民にも呼びかけ、公開講座として位置づけている。
高知県西部には大学がない。しかし地元の人々の間では「勉強したい」・「学びたい」という学習ニーズがある。本校は地元唯一の高校として、生涯学習の拠点としての役割がある。多部制(昼間部、夜間部、通信制による定時制課程)・単位制高校としての柔軟なシステムを活用し、広く教育活動を県民に公開し、地域の学びの場として機能させたいと考えている。
具体的には、▽年3回、9日間の『夜のパソコン講座』、▽昼間部・通信制の聴講生制度の導入など。将来的には、県立大学のサテライトも視野に入れている。
黒潮町長が、▽あかつき館(文学館)の入場者を10倍にせよ! ▽土居建具店をブランド化せよ! ◇名産「ラッキョウ」を売ろう! 年間売り上げ10億円 ▽道の駅「ビオスおおがた」に集まろう!などの町の課題を15のミッションとして提示。町当局としては、発想のよい企画・アイディアは、町の事業として実現しようとするもの。
一年生60名は、総合的な学習の時間を活用し、班毎にミッションに挑戦する。実際に現地調査に出向き、調査するとともに、高校生らしいアイディアいっぱいの解決策をまとめ発表する。(高知大学・慶応大学ゼミの指導協力)
黒潮町地域再生の一環として、学校内に起業者・事業者支援雇用対策施設として『テレキューブ』を設立。現在4事業者が入居し、企業活動を実施している。校内インターン施設として日常的な活用による教育効果を狙っている。
地域の学校として、地域の人々から親しまれ、愛される学校づくりのために、学校を開放し、いつでも、誰でも学校内で過ごすことのできる空間を作っていきたいと思っている。
生徒・PTA・地域の方々に呼びかけて中庭づくりをはじめる。シンボルとして、高知大学の庭に立っていた彫塑3体の寄贈を受けて設置する。
本校は、敷地内に地域の生活道として長年活用されてきた小さな道がある。私たちは、これを『おおがた青春ロード』と呼んでいる。町の鉄工所でアーチを作って貰いシンボルとした。隣町の会社の駐車場にあった『さつき』を100本ほどいただき植えた。小道の空きスペースには、芝生を根付かせた。ベンチも作った。
地域のお年寄りが、この青春ロードを毎日通っている。
2年間の取組みだが、まだはじまったばかり。実践の成果を実感できるところまでにはいたっていない。しかし周りの人々からは「大方高校は変わった!」・「生徒の活躍が見え始めた」と一定の成果を聞く声は多い。
確かに、生徒たちは、各種の取組みを通して、確実に自信を回復し、夢に向かって努力する姿勢が芽生えようとしているし、利益の双方向性をめざした新しい連携の形が、確実に地域の信頼を回復の方向に向かっているという手応えを感じている。
コミュニティ・スクールとして様々な取組みを行ってきたが課題も多い。運営協議会を通して、各取組みの精度を高め、よりいっそうの学校経営の活性化が求められている。
これまでの取組みを継続するとともに、『生徒には夢を 保護者には希望を 地域には信頼を!』という目標に向かって、英知を結集した取組みをさらに充実させたい。
とくに『地域が元気になり、本校が活性化する』という利益の双方向性をめざすためには、生徒自信に力をつけること。そのためには、まず、学校が、学校としての機能を果たすこと。教職員の教育のプロとしての自覚と責任などモチベーションを高め、生徒・保護者・地域の期待に応えることが大切である。
-- 登録:平成23年11月 --