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(議事要旨)日本語指導が必要な児童生徒を対象とした指導の在り方に関する検討会議(第3回)

1.日時

平成24年12月27日(木曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省東館6階3会議室

3.議題

日本語指導が必要な児童生徒に対する「特別の教育課程」の在り方について

(追加検討課題)

 ・「特別の教育課程」による指導の場所について

(検討課題)

 ・公立学校における日本語指導の標準授業時数について

 ・指導計画及び指導目標について

4.出席者

委員
 佐藤座長、臼井委員、大藏委員、佐々木委員、築樋委員、松本委員

協力者
 近田委員、三好視学官

文部科学省
 神代国際教育課長、河村課長補佐 外

5.議事要旨

【1】「特別の教育課程」による指導の場所について

【文部科学省】 (配付資料1 P1~19について説明)

【座長】 第2回の検討会議で,指導場所について議論した。今回,追加検討課題として,学校外の施設を指導場所とすることができるための「一定の条件」について提案されたが,どうか。

【委員】 指導場所についてのパターン1~3では,「学校の教員又は巡回指導等の教員により」という表記があるが,教員と補助者が共に指導を行っている実態に鑑みれば,「教員が」と言い切るのは難しい。「指導補助者とともに」という表現があるとよい。

【座長】 「一定の条件」についてかなり具体的に記されているが,どうか。

【協力者】 学校が教育課程について責任を持ち,指導計画を立てるということが,条件に表れており,妥当ではないか。


【2】公立学校における日本語指導の授業時数について

【委員】 P16に都道府県別平均単位時数の資料が示されている。生徒数総計を見ると,集住地域か散在地域かなどを想像することができる。一方,年間授業時数について都道府県ごとの平均値にすると,同じ県内でも集住地域や散在地域などの違いにより,実態が異なることが読み取りにくい。

【文部科学省】 集計の仕方はいろいろ考えられるが,今回は短期間で実施した調査であり,日本語指導の年間指導時数の傾向を概観するという視点から,都道府県別の集計とした。結果として,対象人数が多い地域,少ない地域での傾向というものがなく,全体的にばらつきがあるということが分かった。

【委員】 例えば初期指導を平均3か月間,集中して実施しているような集住地域の実態が,この表からは見えてこない。しかし,全国を一覧にすると,点在地域であっても初期指導に時間をとっているなどの傾向は分かる。

【座長】 指導時数の実態が多様であることから,幅のある標準時数が提案されているということだと考える。

【委員】 地域によっては日本語指導に十分取り組めていないところもあるので,それらを含めた実態の平均から,標準授業時数を280時間と設定するのは,少し懸念がある。また,子供の日本語能力に応じた授業時間数を示すときに,「2年が過ぎれば『取り出し』指導は行わなくてもよい」というように期間だけが独り歩きして受け取られないようにしたい。

【協力者】 標準授業時数の280時間の考え方について,特別支援教育における通級指導の考え方も参考にしたと説明があったが,根拠等を詳しく教えてほしい。

【文部科学省】 280時間については,超えてはならないというものではなく,飽くまで目安を示すものである。特別支援教育における通級指導の授業時数の設定については,在籍学級に戻っていくことを前提とした制度設計である。子供の負担も考慮し,3時間を自立活動,5時間を教科の補習という内訳で,週8時間までが適当だろうと考えられている。今回の「特別の教育課程」による授業時数が週8時間までという提案も,調査で把握した実態の数字だけではなく,このような前例も参考にしている。

【協力者】 「標準としての上限」という表現が学校現場に適切に伝わるかという懸念がある。都道府県に周知する際には,目安であることを明記した方が良い。

【協力者】 例えば,学習指導要領等で「標準」とすると,かなり強い意味合いを持つ。弾力的な扱いであることをどう示すのか,丁寧に検討することが必要である。

【委員】 標準授業時数の下限が月1時間というのは,少ないのではないか。学校や自治体における必要な予算措置につながっていくと思うので,もう少し踏み込んだ時間設定の提案が必要ではないか。

【委員】 地域において指導者を配置するための予算を確保するためにも,月に1時間の指導で十分なのだと異なる解釈をされないようにしたい。一方,余りに下限を多い指導時数にすると,学校が「特別の教育課程」による指導を避ける可能性もあり,加減は難しい。また,指導時数の地域差が大きい中で,280時間は妥当だと考える。体制として「取り出し」指導が可能な地域では,週8時間で年間280時間のうち,2~3か月間程度で集中して指導を行い,時数の大半を消化する場合も考えられる。それらも含めて280時間であると思うので,運用についても示す方がよい。

【委員】 都道府県教育委員会へ周知する際の参考資料として,子供の日本語能力に応じた段階的な指導と結び付けて時数を示すと,月1時間の指導について理解されやすいのではないか。学校現場に,初期指導の段階でも月1時間の指導で大丈夫だと解釈されると困るが,ほぼ在籍学級の授業に参加できるようになった段階で,テスト前の復習や,ふだんの教科学習の補充などの指導内容であれば有効と言える。

【座長】 都道府県に通知する中では「標準」という言葉ではなく「目安」としたり,「実態に即して」とするなど,現場の中で柔軟に十分に対応できるよう,表現を工夫することにしたい。


【3】日本語指導の指導計画と学習目標について

【文部科学省】 (配付資料1 P20~29について 概要説明)

【委員】 (配付資料1 P20~29について 詳細説明)

【協力者】 資料1のP20の表は分かりやすいが,既に発行されている『外国人児童生徒受入れの手引き』の掲載内容とずれがあるので,整合性を持たせたい。

【委員】 指導期間の目安について,学校では学期ごとに指導計画を立て,指導補助者の派遣回数を決めることが多いので,学期の期間を考慮して指導時数を示した方が分かりやすいのではないか。また,「サバイバル(日本語)」という言葉は「生き残る」という意味合いが強くなじみにくいので,ほかの言葉の方がよいのではないか。

【委員】 指導期間については,確かに現場の実態を反映した提案である。一方,編入する子供たちは学期の区切りで来るとは限らないので,指導期間の目安としては,3か月や半年といった区切りで示した方が,これまで作成されている日本語指導教材とも整合するのではないか。また,「サバイバル」などの言葉については,理解されにくい言葉と定着しつつある言葉があるので,使い方を検討する必要がある。

【委員】 子供たちは随時編入してくるため,現場の教員にとって指導計画を作成するのは大変な作業である。指導計画の作成の仕方について,現場の負担をなるべく軽くするための工夫についても提案があったが,学校に「特別の教育課程」の編成について示されるまでに,十分整備されないと,受け入れられにくいだろう。

【委員】 中学校では,なるべく在籍学級での学習時間を保障するために,放課後に教員がサポートする体制をとることも多い。この指導が「特別の教育課程」の要件を満たす場合,授業時数の280時間に含むことができるだろうか。

【委員】 中学校の指導要領ではプラス35時間程度,教科設定が新たにできると理解している。その子供について申請することで対応できるのではないか。

【協力者】 指導計画については,項目は確認するが,形式は例を示すこととし,各自治体で柔軟に作成できるようにしたい。

【協力者】 言葉の使い方は,例示する上はよく吟味する必要がある。例えば「カルテ」も医療記録というイメージが強いので「個人記録」などにしたり,『外国人児童生徒受入れの手引き』で普及が図られている言葉についても,場合によっては分かりやすい表現に変えたりすることを検討する方が良い。

【座長】 指導期間の目安と言葉の表記については,座長預かりとし,示し方を整理した上で改めて提案したい。基本的には丁寧な説明を加えながら『外国人児童生徒受入れの手引き』に記載している言葉を使う方向で,検討していきたい。
個別の指導計画及び教育委員会提出用の指導計画については,項目の表現については更に検討を要するが,基本的に必要なものだという点は了承いただけていると思う。課題は,その例示の仕方であろう。現場の作成負担に配慮したいという意見も出ている。一方で,「その他の指導」も含めていくべきという意見もあったが,どうか。

【委員】 学校の管理下ということがはっきりしていれば,加えてもよいのではないか。

【委員】 中学校では在籍学級での学習をなるべく保障し,足りない部分を個人的に支える,という対応をしている。含める方が現実的ではないか。

【委員】 小学校でも,放課後に個別指導を行う場合もある。中学校に限定しないで考える必要がある。

【委員】 「特別の教育課程」を編成する際に指導計画を作成するわけだが,それ以外の指導のみ行う場合に,指導計画を作成するか否かについては,一文示すことが必要であろう。学習評価の欄は,特に中学校の場合は進路に当たり大切なので,どこかで書く必要がある。

【座長】 この点については,制度設計との整合性も考慮し,例示の仕方も含めて検討したい。

【文部科学省】 標準授業時数について,学習段階に応じて,時数の幅を持たせた方がよいか。

【委員】 指導を積み重ねることによって,徐々に授業時数を少なくすることができるなど,示し方の工夫は必要かと思う。

【協力者】 初期の指導が大切だということを示すことにして,授業時数の下限を設定せず,目安としての標準時数を示すことでよいのではないか。

【座長】 子供の実態は多様なので,例えば「初期に集中的に指導するのは効果的である」と示すのはよいと思うが,時数を決めてしまうと,かえって収拾が着かなくなるように思う。
本日の検討の中で,預からせていただいたものについては,追って連絡をするので,意見を寄せてほしい。

○最後に,今後のスケジュールについて事務局より提案がなされ,閉会。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

-- 登録:平成25年03月 --