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事業実施報告書【まとめ】東京学芸大学

平成19・20年度JSLカリキュラム実践支援事業実施報告書【まとめ】

実施団体名【東京学芸大学】

2年間の取組内容及び成果と課題

1.具体の取組内容

【1】ワークショップの開催

・平成19・20年度にわたり,外国人児童生徒教育や日本語指導に関する教員研修会を計4種類,開催した。開催日時やプログラムは次の通りである。

■平成19年度■

【1】日本語指導担当教員のための外国人児童生徒教育“初任者”研修

●第1日目(5月25日)目標:日本語指導教室のイメージをつかむ
10時~15時30分<見学>日本語指導教室の見学
□見学校:新宿区立大久保小学校,北区立第三岩淵小学校

●第2日目(5月26日)目標:日本語指導教室づくりのイメージレポートを作成する
10時~12時<講義>日本語指導担当の役割と指導上の留意点
□講師外国人児童生徒教育の概略~日本語指導を中心として:大蔵守久(波多野ファミリスクール)
日本語指導担当の役割~初任者研修の実施経験から:山中文枝(茨城県神栖市立植松小学校)
日本語指導担当の役割~日本語指導教室の立ち上げ経験から:近田由紀子(浜松市教育委員会)
13時~16時<演習>日本語指導教室の運営のコツをつかむ~指導個票を手がかりに
□講師市川昭彦(群馬県大泉町立東小学校)/近田由紀子/櫻井敬子(浜松市立遠州浜小学校)/矢部澄子(北区立第三岩淵小学校)/山中文枝/小田倉直子(前茨城県神栖市立神栖第三中学校)
16時15分~17時15分<実習>日本語指導教室の経営案を作成する
□講師市川昭彦/近田由紀子/櫻井敬子/矢部澄子/山中文枝/小田倉直子

●第3日目(5月27日)目標:日本語指導案を作成する
10時~12時<参観>日本語指導の模範授業~初期の日本語指導と教科指導のさわりの部分
□講師大蔵守久
13時~15時<実習>日本語指導の指導案を作成する
□講師大蔵守久/近田由紀子/櫻井敬子/山中文枝/菅原雅枝(東京学芸大学附属大泉中学校)
15時15分~17時15分<実習>日本語指導のカリキュラムと教材を作る
□講師大蔵守久/近田由紀子/櫻井敬子/山中文枝/菅原雅枝

●第4日目(8月25日)目標:JSLカリキュラムで教科指導の方法を学ぶ
9時30分~10時45分<演習>1学期の取り組みを報告する
□講師臼井智美(東京学芸大学国際教育センター)
11時~12時<講義>JSLカリキュラムについて知る
□講師佐藤郡衛(東京学芸大学国際教育センター)/高木光太郎(東京学芸大学国際教育センター)
13時~16時<演習>JSLカリキュラムで教科指導に挑戦する
□講師金子正人(横浜市教育委員会)/近田由紀子/赤羽寿夫(東京学芸大学附属大泉中学校)/林正太(東京学芸大学附属高等学校)/佐藤郡衛/高木光太郎

●第5日目(2月2日)目標:JSL指導の授業改善の手がかりをつかむ
9時30分~11時<講義>JSL指導の授業例紹介
□授業例教科指導(国語):櫻井敬子/初期指導(集団指導):野口恵美子(新宿区立大久保小学校)
□講師臼井智美
11時10分~14時45分<演習>受講者のJSL授業の相互批評
□講師佐藤郡衛/高木光太郎/臼井智美/見世千賀子(東京学芸大学国際教育センター)
15時~16時30分<全体討議>JSL指導の授業改善のポイントを考える
□講師佐藤郡衛/高木光太郎
16時35分~17時<総括>JSL研修会のまとめ

【2】学校管理職のための外国人児童生徒教育研修

●第1日目(8月4日)目標:日本語指導担当が直面する課題を知る
9時30分~12時<講義・実習>日本語指導担当について知る
□講師加配型(小学校),センター校型:野口恵美子/加配型(中学校):高田文芳(横浜市立港中学校)/巡回指導型:高橋悦子(川崎市日本語指導等協力者,大和市外国人児童生徒教育相談員)/佐藤郡衛
13時~14時45分<講義>外国人児童生徒教育における学校管理職の役割
□講師立野健二(前・神栖町教育委員会指導主事,現・神栖市立深芝小学校教頭)
佐藤裕之(前・川崎市教育委員会指導主事,現・川崎市立殿町小学校教頭)
15時~16時30分<演習>外国人児童生徒教育における学校経営上の問題MAPの作成
□講師野口恵美子/高田文芳/高橋悦子/立野健二/佐藤裕之

●第2日目(8月5日)目標:校内体制作りに向けた学校経営計画を立てる
9時30分~11時<講義>先進地域・学校の事例に学ぶ
□講師伊藤哲也(豊田市立西保見小学校長)/髙橋和男(横浜市立港中学校長)
11時15分~15時<演習>問題解決に向けた学校経営計画案の作成
□講師伊藤哲也/髙橋和男/立野健二/佐藤裕之
15時15分~16時30分<講義>新たな課題の発見と管理職の役割の再確認
□講師浜田博文(筑波大学大学院人間総合科学研究科)

■平成20年度■

【3】「イチから学ぶ,外国人児童生徒教育と日本語指導」研修会(日本語指導担当者講座)

●第1日目(5月9日)目標:日本語指導教室づくりのイメージをつかむ
10時15分~15時30分<見学>日本語指導教室の見学
□見学校:新宿区立大久保小学校,北区立西ヶ原小学校

●第2日目(5月10日)目標:日本語指導教室づくりのイメージレポートを作成する
9時30分~12時 <講義>日本語指導担当の役割と指導上の留意点
□講師日本語指導教室の立ち上げ:近田由紀子(浜松市立瑞穂小学校)
多数在籍校での日本語指導教室の取り組み:鍋田弘美(浜松市立佐鳴台小学校)
少数在籍校での日本語指導教室の取り組み:黒須陽子(宇都宮市立清原東小学校)
センター校(巡回型)での日本語指導の取り組み:山中文枝(神栖市立植松小学校)
中学校での日本語指導教室の取り組み:米永博光(北九州市立志徳中学校)
日本語指導担当の役割と指導上の留意点:佐藤郡衛(東京学芸大学国際教育センター)
13時~16時 <演習>日本語指導教室の運営のコツをつかむ
□講師鍋田弘美/黒須陽子/山中文枝/三橋道子(北九州市立光貞小学校)
/米永博光/近田由紀子/伊藤哲也(前豊田市立西保見小学校)/佐藤裕之(川崎市総合教育センター)/佐藤郡衛/見世千賀子(東京学芸大学国際教育センター)/臼井智美(東京学芸大学国際教育センター)
16時15分~17時15分 <実習>日本語指導教室の経営カルテの作成
□講師鍋田弘美/黒須陽子/山中文枝/三橋道子/米永博光/佐藤郡衛/見世千賀子

第3日目(5月11日)目標:日本語指導の指導個票を作成する
9時30分~10時10分<講義>日本語指導の方法と留意点
□講師齋藤ひろみ(東京学芸大学教育学部)
10時15分~12時30分 <見学>授業例見学
□講師初期指導:鍋田弘美/JSL教科指導(国語):今澤悌(甲府市立琢美小学校)/JSL教科指導(算数):三橋道子/講義・質疑応答:佐藤郡衛
13時30分~15時30分 <講義・実習>日本語指導の指導個票を作成する
□講師山中文枝/近田由紀子/鍋田弘美/黒須陽子/野口恵美子(新宿区立大久保小学校)/今澤悌/三橋道子/米永博光
15時45分~16時15分 <事後課題の説明>日本語指導案と教材の作成
□講師臼井智美

●第4日目(8月4日)目標:日本語指導案と教材を改善する
9時40分~10時30分<講義>JSLカリキュラムについて知る
□講師佐藤郡衛
10時45分~15時30分<実習>日本語指導案と教材を改善する(初期指導,JSL国語)
□講師黒須陽子/山中文枝/髙橋理恵(豊島区立池袋小学校)/川村朝子(前新宿区立大久保小学校)/野口恵美子/近田由紀子/櫻井敬子(浜松市立遠州浜小学校)
/鍋田弘美/三橋道子/米永博光/佐々木稔(京都教育大学附属桃山中学校)/松本一子(愛知淑徳大学)/佐藤郡衛/臼井智美
15時45分~17時<演習>日本語指導案と教材の改善結果を発表する
□講師黒須陽子/山中文枝/髙橋理恵/川村朝子/野口恵美子/近田由紀子/櫻井敬子/鍋田弘美/三橋道子/米永博光/佐々木稔/松本一子/佐藤郡衛/臼井智美

●第5日目(8月5日)目標:JSLカリキュラムの教科指導の方法を習得する
9時40分~11時30分<講義>日本語指導の教材例を知る
□講師黒須陽子/山中文枝/近田由紀子/櫻井敬子/鍋田弘美/三橋道子/米永博光/臼井智美
11時45分~16時20分<実習>JSLカリキュラムの教科指導の方法を習得する
□講師黒須陽子/山中文枝/川村朝子/野口恵美子/近田由紀子/櫻井敬子/鍋田弘美/三橋道子/米永博光/林正太(東京学芸大学附属高等学校)/松本一子/佐藤郡衛/臼井智美

●第6日目(2月7日)目標:JSL実践の指導力をさらに磨く
9時~10時30分<講義・演習>JSL指導の授業実践例から学ぶ
□講師佐藤郡衛/臼井智美
10時45分~14時45分<演習>受講者のJSL指導の相互検討
□講師佐藤郡衛/吉谷武志(東京学芸大学国際教育センター)/見世千賀子/臼井智美
15時~16時<全体討議>JSL指導の授業改善のポイントを考える
□講師佐藤郡衛/臼井智美

【4】「イチから学ぶ,外国人児童生徒教育と日本語指導」研修会(学校管理職講座)

●第1日目(5月9日)目標:外国人児童生徒教育を進める上での学校管理職の役割を知る
10時15分~15時30分<見学>日本語指導教室の見学
□見学校:新宿区立大久保小学校,北区立西ヶ原小学校

●第2日目(5月10日)目標:日本語指導教室をめぐる経営課題を知り,対応策を検討する
9時30分~11時30分<講義>日本語指導担当の役割と指導上の留意点
□講師近田由紀子/鍋田弘美/黒須陽子/山中文枝/米永博光
11時30分~12時<講義>外国人児童生徒教育に関する学校経営上の課題
□講師臼井智美
13時~14時30分<講義>外国人児童生徒教育における学校管理職の役割
□講師伊藤哲也/近田由紀子/佐藤裕之/臼井智美
14時40分~16時<演習>日本語指導教室の運営のコツをつかむ
□講師鍋田弘美/黒須陽子/山中文枝/三橋道子/米永博光/近田由紀子/伊藤哲也/佐藤裕之/佐藤郡衛/見世千賀子/臼井智美
16時15分~17時15分<実習>外国人児童生徒教育に関する自校の学校経営課題MAPの作成
□講師伊藤哲也/近田由紀子/佐藤裕之/臼井智美

【2】成果報告書の作成

・平成19年度,20年度それぞれについて,当センターの実施したワークショップの講義録や講師配布資料などを掲載した『JSLカリキュラム実践支援事業報告書』を作成した。同報告書は,当日参加の受講者だけでなく,JSLカリキュラムや外国人児童生徒の指導に関心のある教員などが,JSLカリキュラムなどについて学習できるようにと,希望者には広く配布している。

【3】JSL実践校の視察
  • ワークショップのプログラム作りの参考とするため,ワークショップの受講者や講師の学校,JSLカリキュラム実践支援事業の指定地域の学校の中から,以下の学校を視察して,指導や授業の参観を行った。
  • 新宿区立大久保小学校・新宿区立牛込仲之小学校・北区立第三岩淵小学校
  • 北区立西ヶ原小学校・さいたま市立大久保東小学校・宇都宮市立清原東小学校
  • 浜松市立遠州浜小学校・浜松市立佐鳴台小学校・浜松市立江南中学校
  • 大垣市立荒崎小学校・大垣市立西中学校・東浦町立石浜西小学校・伊丹市立池尻小学
  • 神戸市立神戸生田中学校・姫路市立花田小学校・北九州市立小倉中央小学校
  • 北九州市立あやめが丘小学校・北九州市立光貞小学校・北九州市立菊陵中学校
  • 久留米市立日吉小学校・久留米市立金丸小学校・久留米市立荘島小学校
  • 久留米市立西国分小学校

2.成果

【1】教員研修会のモデルの提示

・平成19年度実施のワークショップの内容をさらに改良する形で,平成20年度のワークショップを企画・実施したが,受講者の反応はかなり良好であった。こうしたことから,ワークショップとして実施した計4種類の教員研修会の内容は,少なからず研修として有効であったと判断できる。よって,外国人児童生徒の指導やJSLカリキュラムに対する理解を深めるための教員研修の1つのモデルを示すことができたと考えている。

【2】成果報告書の作成

・ワークショップの記録として,平成19年度,20年度ともに,『JSLカリキュラム実践支援事業報告書』を作成した。これによって,研修会の受講者だけでなく,研修会に参加できなかった教員などにも,学習の機会・教材を提供することが可能になったと考えている。

【3】授業実践(JSLカリキュラム)映像記録集(DVD)の作成

・研修会や実践校の視察などを通して,数多くのJSL指導の授業例を参観する機会を得た。JSL指導の授業例は映像として保存されているものが少ないことから,これらの授業例を映像記録として保存することとした。JSLカリキュラムの指導事例集として,授業実践映像記録集(DVD)を作成した。

3.課題

【1】外国人児童生徒の指導や日本語指導に関する教員研修会を,数年単位で継続的に実施していくための体制作り

【2】年に数回の研修会の場だけでなく,日常的に現場の担当者などの指導改善に貢献するための,研究機関としての支援のあり方

【3】外国人児童生徒の指導や日本語指導に関する,当センターと学校現場との機能的なネットワーク作りとその活用

4.その他(今後の取組等)

【1】本事業の指定終了後,引き続き次年度以降も,当センターの独自事業として,JSLカリキュラムに関する教員研修会を実施する予定である。また,その際,学校や教育委員会などと協力しながら,東京地区以外での開催の可能性も検討している。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

-- 登録:平成22年01月 --