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実施報告書【まとめ】大阪市教育委員会

平成19・20年度JSLカリキュラム実践支援事業実施報告書【まとめ】

実施団体名【大阪市教育委員会】

2年間の取組内容及び成果と課題

1.具体の取組内容

【1】カリキュラム実践支援事業研究委員会の設置

 本市の日本語・適応教室(以下,「センター校」という)担当者や日本語指導協力者を研究委員として位置付け,平成19年5月から毎月1~2回ずつ研究委員会を開催した。平成19年度には12回開催し,平成20年度は12月までに15回開催した。これらの中で,カリキュラムについて調査・研究を行い知識を深めるとともに,教材や指導案の作成を進め研修会の企画・準備などを行った。

【2】カリキュラム研修会の開催

 日本語の初期指導から教科学習につながる段階での学校における支援のあり方や授業づくりについて基礎的な知識を深めるとともに,教員の指導力の向上を目指すことを目的に,平成19年度は計5日間の研修会を開催した。平成20年度は12月までに計4日間開催し,今後,さらに1回の研修会を予定している。これらの研修会では,まず,カリキュラムの基本的な考え方について学び,日本語指導を必要とする児童生徒の学習支援のあり方や授業づくりについて基礎的な知識を深めた。そして,その実践を目指してワークショップを採り入れ,教材や指導案の作成を進めた。とりわけ,外国人児童生徒をはじめ,支援を必要とする子どもたちのための学習支援教材としてリライト教材に注目し,その教材作成やその教材をもとにした指導案作成を行った。

【3】リライト教材の作成

 平成19年度,研究委員会を中心に,小中学校の国語科の各教科書から適当な教材を選び,児童生徒の日本語習得レベルに合わせたリライト教材を作成した。教科書の原文をリライトするだけでなく,ワークシートの作成やそれをもとにした指導案も作成し,授業に使えるものとしてその活用に向けた整備を進めた。

【4】授業実践

 平成20年度より,リライト教材をもとにした国語科の授業実践を進めている。小学校では,児童の在籍校の日本語教室で学ぶ児童を対象に,日本語指導担当者が在籍学級での授業の先行学習として実践した。対象となる児童の実態に合わせて新たなリライト教材を作成し,全9時間の指導案を作成して行った。その後,在籍学級での授業に入り込んで児童の理解の様子を観察し,リライト教材を使った先行学習の効果を見究めることなど,現在その検証を進めているところである。また,中学校では,市内4校のセンター校にそれぞれ通級する生徒を対象に,各センター校担当者が平成19年度に作成したリライト教材を用いて指導案を作成し,授業実践を進めているところである。今後もさらに授業実践を進め,その検証を図っていく予定である。

2.成果

【1】センター校担当者を中心に研究委員会を構成して調査・研究を進めたことにより,センター校での日本語指導について,教科学習につなげる日本語指導のあり方を学び深めた。また,在籍校での学習支援につなげるための連携のあり方についても研究をすすめ,その実践に向けた動きをつくることができた。

【2】カリキュラムの研究の中で,とりわけ,児童生徒への教科学習支援の方法としてリライト教材の研究をすすめた。その中で,小中学校の国語科について,教科書より選び出した教材をもとに,外国人児童生徒の日本語習得レベルごとにリライト教材を作成した。また,ワークシートや指導案も作成し,授業実践につなげることができた。

【3】研修会の実施により,日本語指導を必要とする外国人児童生徒への支援のあり方について理解を深めることができた。また,ワークショップを採り入れて,協働しながら教材や指導案づくりを行ったことで,その実践力や指導力を身につけるとともに,センター校担当者と在籍校の学級・教科担任との協力や連携の関係づくりを進めることができた。

3.課題

【1】センター校での日本語指導について,教科学習に対応できる日本語能力を身につけさせるための指導方法や内容の研究をさらに進めていく必要がある。また,在籍校での教科学習支援のあり方についても研究を深めていく。

【2】これまでに作成したリライト教材や指導案についてその充実と整備を進め,授業実践例を積み上げる。また,継続的な授業実践を行い,その効果などについて検証を進めて,より有効な教材や指導案の作成に向けて工夫や改善に努める。

4.その他(今後の取組等)

【1】リライト教材の作成について,国語科の教材だけでなく他の教科についても作成を進め,対象とする児童生徒の日本語習得レベルに応じた教材を増やすなど,その充実を図る。また,ワークシートや指導案の作成も進め,授業に使えるものとして整備し,その実践を広げていく。

【2】教科志向型のカリキュラムだけでなく,トピック型のカリキュラムの研究を進め,その実践に向けた教材や指導案の作成を進めていく。

【3】日本語指導の中で,教科学習を意識した指導をどのように展開すればよいかをさらに研究し,その研究内容を在籍校にも提示しながら,より効果的な指導法について連携を深めていく。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

-- 登録:平成22年01月 --