平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(久留米市)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

 事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

2.具体の取組内容

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

[1]運営委員会・連絡協議会の実施
  • 第1回日本語指導教員連絡協議会(平成28年6月)
    • 年度当初の取組について
    • 日本語指導担当教員の役割、課題についての交流
  • 第2回日本語指導教員連絡協議会(平成28年11月)
    • 2学期の取組について
    • 外国にルーツを持つ子どもたちの現状と課題
    • 小学校における支援と進路指導
  • 第3回日本語指導教員連絡協議会(平成29年2月)
    • 本年度の取組について
    • 進路確保・保障の取組について
    • 保護者との連携について
    • 外国の小中学校のカリキュラムについて
    • 追跡調査等について
[3]日本語能力測定方法の活用

 日本語能力測定方法の活用について講話、演習等

  • 日本語指導教員研修会(平成28年6月)
    • 日本語指導教員の役割について
    • 日本語指導教室における授業づくりについて
    • DLAの意義、活用方法について
    • 実践事例の紹介
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施
  • 日本語指導教員研修会(平成28年6月29日)
    • 日本語指導の概要
    • 「特別の教育課程」の編成、指導について
    • 実態把握について
    • 個別の指導計画について
    • 個の日本語能力に応じた指導プログラム等について
  • 日本語指導教員連絡協議会・第3回日本語指導教員連絡協議会
    11月と2月に行われた連絡協議会において、「特別の教育課程」について協議を行った。
    • 取り出し指導による日本語指導と入り込みによる支援について
    • 「特別の教育課程」を編成する場合の指導体制について
    • 年度途中に転入した児童生徒に対する支援のあり方について
[5]日本語指導ができる支援員の派遣 [6]児童生徒の母語がわかる支援員の派遣

 日本語の理解が困難な外国人児童生徒等が在籍している学校に対して、外国人児童等授業介助員を派遣し、学校が作成した指導計画に沿って、学習支援、学校生活適応支援、保護者との教育相談及び連絡の支援を行った。

  • 平成28年度の配置校数
    • 小学校13校、中学校4校

3.成果と課題

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

[1]運営協議会・連絡協議会の実施

 ○帰国・外国人児童生徒の学習及び生活への支援を図るために、各学校の取組を交流するとともに、課題を共有することにより、各学校にける指導と支援の充実につなげることができた。

 ○家庭・学校・行政のそれぞれの立場から、実践を含む意見交流や協議を行ったことにより、児童生徒の様々な局面における進路指導のあり方について理解を深め、指導に必要な支援策を模索し確認することができた。

 ●日本語指導に係る経験年数の格差や指導者不足に対応するために、効果的な指導方法等の普及及び多様な児童生徒の実態に応じた支援のあり方について、日常的に共有化を図ることができるような方途を探る必要がある。

 ●中学校においては、多様な母語に応じた生徒及び保護者への高校進学や就職に関する情報を提供できるようなシステムを構築する必要がある。

[3]日本語能力測定方法の活用

 ○日本語能力の測定方法に関する研修を通して、日本語指導の充実を図るための実態把握のあり方について、具体的に学習することができた。

 ○実態把握から個別の指導や評価までの一連の指導について具体的に協議することができた。

 ●本年度はじめて日本語指導を担当する教員もおり、今後も同様に校内で若年層の教員が新しく日本語指導を担当するケースも増えることが考えられるため、他の職員にも日本語指導や児童生徒の実態把握及び具体的支援策について広めていく必要がある。

 ●多様な言語に対応するための個別の指導計画や指導事例を市として取りまとめていき、学校と共有して指導・支援に活用できるようにする必要がある。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

 ○研修会における児童生徒の受入から実態把握、「特別の教育課程」の編成、「特別の教育課程」による指導の終了判断に至るまでの流れが全体で確認できた。

 ○日本語指導が必要である児童生徒一人一人に対して作成する個別の指導計画や特別の教育課程編成・実施計画、実施報告の参考様式や作成のポイントについて説明を受けることで、具体的なイメージを持つことができ、作成の重要性や効果的な支援のポイントを理解することができた。

 ●個々の児童生徒の日本語の習得状況や各学校での支援体制(日本語指導担当教員の有無、介助員の配置状況、支援言語の数等)が異なるため、それぞれのケースについて協議会等でも意見交流を行い、多面的な目で効果的な支援方法を考える必要がある。

 ●日本語指導教員が配置されている殆どの学校が一人配置であることから、「特別の教育課程」編成においては、担当者が一人で抱え込んでしまう状況に陥ることがあるため、協議会においては、共有は勿論であるが、専門家等による助言を受ける機会等の確保が必要である。

[5]日本語指導ができる支援員の派遣・[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

 ○対象の児童生徒が在籍する学校に、母国語を話すことができる外国人児童等授業介助員を派遣することで、日本語の初期指導や学習用語の説明などの支援を個別に行い、日本語の習得、学習に必要な日本語の理解を支援することができた。

 ○外国人児童等授業介助員が、対象の児童生徒に日本の生活様式や学校生活のルールやマナーなどを説明したり、周りの児童生徒に文化の違いを伝えたりすることで、生徒同士の相互理解や日常の学校生活への適応を促すことができた。

 ○外国人児童等授業介助員が日本語理解の困難な保護者等への連絡や相談を行い、準備物や行事等の案内、進路についての情報などを適切に伝えることができた。

 ●日本語指導が必要な児童生徒が市内の広域に渡る学校に在籍する傾向があり、今後も介助員等の学校支援が必要となる。そのため、対象児童生徒の母国語等を話せる介助員を確保するために、人材登録を促進し、学校の多様なニーズに対応できるようにしておく必要がある。

 ●日本語指導教員の配置されていない学校への支援の充実が必要である。

 ●児童生徒の中には、日本語に対する関心意欲は高いものの、学習内容の習得に課題のある子どももいることから、進路保障の観点からも今後さらに確かな学力の定着を図る必要がある。

4.その他(今後の取組等)

 ○介助員は、海外から移住された方や大学の留学生、退職教員等であるが、短期間で雇用を終えなければならない場合や言語の多様性から、学校が独自に人材を確保する際に困難なケースがある。そのため、教育委員会としても新たな人材を発掘、確保する必要があるため登録制度を開始している。今後も英語や中国語等の多様な言語に対応できるように、市の広報誌による応募や登録の周知、大学等への協力要請を図る。

 ○各連絡協議会でも、特に中学校卒業後の進路保障に関する課題があげられている。今後、市としても多様な言語に対応した進路情報提供等の支援策を学校と連携しながら検討していく。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035