平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(豊田市)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

(1)外国人児童生徒教育

 豊田市教育委員会学校教育課 担当指導主事
 学校日本語指導員50人

  • ことばの教室(初期日本語指導教室)指導員7人
  • 集住校常駐指導員 13人
  • 学校巡回指導員  28人
  • 外国人児童生徒サポートセンター指導員 2人
(2)豊田市教育国際化推進連絡協議会

 教育長、企業代表3人、高等学校長2人、小中学校長7人、園代表1人
 保育課長、国際まちづくり推進課長、国際交流協会理事長、学校教育部(事務局)5人

(3)協力団体

 NPO法人2団体、愛知教育大学リソースルーム

2.具体の取組内容

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

[1]運営協議会「豊田市教育国際化推進連絡協議会」

 豊田市の教育国際化を推進するため、帰国児童生徒及び外国人児童生徒の個に応じた特色ある教育活動のあり方等について指導研究を進めた。
 年に1回の理事会では、研修・国際理解・相談・情報・調査・指導研究の各専門委員会が進める事業報告・事業計画が審議されるとともに、今年度の帰国児童生徒・外国人児童生徒教育の重点取組について協議した。

[2]初期指導教室(プレクラス)やセンター校の設置

 日本語初期指導教室(ことばの教室)市内3小学校内に設置している。来日して間もない外国人児童生徒や外国人学校から公立小中学校へ編入した児童生徒に対して、日本語指導及び学校生活適応指導を実施した。児童生徒の在籍校との連携も重視し、ことばの教室に入室した児童生徒が在籍する学級担任と連絡を取り合い、復帰前には体験学習を、また、復帰後の見守り支援も時間数を増やして対応した。今年度は3教室で102人の小中学生の指導を行った。
 外国人児童生徒の編入の著しい増加や多言語化、散在化に伴い、市内の外国人児童生徒教育の拠点として、今年度4月に「外国人児童生徒サポートセンター」を西保見小学校内に開設した。センターでは、学校からの相談に応じたり、教材の提供を行ったりした。また、翻訳や通訳派遣等を行った。

[3]日本語能力測定方法の活用

 外国人児童生徒指導者研修会において、DLAを使った測定の実際について研修を行った。また、市内の学校でDLAを実施する際には、外国人児童生徒サポートセンターの指導員や担当主事が学校へ出向き、共に判定等を行い、指導に生かすことができるよう連携して取り組んでいる。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

 日本語教育適応学級担当教員研修会において、「特別の教育課程」の意義や個別の指導計画必要性、実際の作成について研修を行った。昨年度までは、日本語教育適応学級担当教員の配置校のみを対象としていたが、今年度は、外国人児童生徒在籍校全体で実施した。また、個別カルテの内容等の検討を行った。

[5]日本語指導ができる支援員の派遣

 初期日本語指導教室(ことばの教室)では、公開授業研究をそれぞれの教室で行ったり、研修の機会を増やしたりする等、力量向上を図った。また、編入したばかりで日本語が分からないままことばの教室に通うことができない児童生徒については、外国人児童生徒サポートセンターから指導員を一定期間派遣し、ことばの教室と同じカリキュラムで初期指導が受けられるようにした。

[6]児童生徒の母語かわかる支援員の派遣

 日本語が理解できない児童生徒が在籍する学校に対して母語のわかる指導員を派遣し、各学校において、学校生活適応支援、日本語支援、学習支援、また、保護者への便り等の翻訳、各種説明会や個別懇談会等の通訳を実施した。

[8]

ア. 外国人の子どもの就学状況調査
 不就学実態調査(12月から1月)を実施。12月に調査委員会を立ち上げ、豊田市の学校日本語指導員を中心に、外国人児童生徒支援をしているNPO法人スタッフにも協力を依頼して調査を行った。2月には調査のまとめの委員会を開催し、状況の共有に努めた。不就学であることが判明した児童生徒には、就学指導を進めた。その際、NPO法人が実施している日本語教室を経由させることで日本語や学習を補う等の手立てを講じた。

イ. プレスクールの実施
 次年度小学校入学予定の外国人幼児に、簡単な日本語と学校生活のルールを学ばせ、入学後の学校生活をスムーズに送れるようにするため、NPO法人トルシーダに委託して、プレスクールを実施した。11月から3月までの月・木・土、全25回実施した。

3.成果と課題

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

成果

 [1]運営協議会

  • 豊田市教育国際化推進連絡協議会を開催するにあたり、準備会等も含め、他団体と丁寧に連絡調整を図りながら事業を進めたことで、連携を深めることができた。
  • 重点取組項目を定めて6つの専門委員会の活動を推進したことで、活動が充実して行えた。また、活動内容をまとめた報告書や作成した指導資料等を学校や関係者に配付したり、市HPに掲載したりして、周知を図ることができた。

 [2]初期指導教室(プレクラス)やセンター校の設置

  • 初期指導教室から在籍校へ戻る前に行う体験学習を増やしたり、戻った後に見守り支援を充実させたりしたことで、学校生活への適応がよりスムーズになった。特に、中学生への見守り支援を充実させることで、学習に意欲的に取り組もうとする様子が見られた。
  • 外国人児童生徒サポートセンターを開設したことで、学習相談や教材提供が充実して行えるようになった。また、各校で行っていた翻訳を一括して行い、データ整理をしたことで、効率化が図れ、その分児童生徒への支援を充実させることができた。

 [3]日本語能力測定方法の活用

  • 能力測定を行うことで、児童生徒の日本語の伸びが分かり、次の目標を設定しやすくなった。
  • 複数の担当者で評価することで、児童生徒を多面的に見ることができ、理解や支援につながった。

 [4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

  • 個別カルテの必要性が周知され、各校で作成されるようになった。
  • 個別の指導計画の内容を検討し、カルテ例を提示したことで、各校でも作成したものを見直し、より充実した内容にすることができた。

 [5]日本語指導ができる支援員の派遣

  • 児童生徒の状況に合わせて個別に日本語指導ができたことで、無理なく日本語を習得することができた。
  • 公開授業研究を行うことで、指導員の力量向上への意欲につながった。

 [6]児童生徒の母語かわかる支援員の派遣

  • 日本語指導員が翻訳や通訳をして、学校生活に関する情報を保護者に提供することで、保護者の理解が深まり、学校との信頼関係を築くことができた。
  • 中学校では進路について心配をする保護者も多いため、積極的な情報の提供に努めた。また、学習支援や児童生徒の悩み相談等にも大きく貢献することができた。

 [8]

  • ア.外国人の子どもの就学状況調査
    • 調査の結果、就学の指導・支援が必要な児童生徒は3人であることがわかり、就学について働きかけた結果、1人が公立中学校へ編入をした。
  • イ.プレスクールの実施
    • 小学校の教室を使って学習をすることで、学校の雰囲気に慣れることができた。
    • 保護者も日本の学校の様子が分かり、安心して子どもの入学を楽しみに待つようになった。
課題

 [1]豊田市教育国際化推進連絡協議会を軸にした他団体とのさらなる連携の研究

 [2]編入の増加や多国籍化に対応できる初期指導教室の運営
 外国人児童生徒サポートセンターの支援体制のさらなる充実

 [3]日本語能力測定を各校で実施できる体制の整備

 [4]個別の指導計画の作成への支援の充実

 [5]JSLカリキュラムによる指導の充実

 [6]多国籍化する母語に対応できる日本語指導員の確保と翻訳や通訳の力量向上

 [8]

  • ア.不就学調査の継続実施と就学につなげる支援、関係諸機関との連携
  • イ.学習規律の習得と未就園の子どもの親へ働きかけるためのネットワーク作り、土日の開催及び散在地区での開催の検討

4.その他(今後の取組等)

  • 日本語教育適応学級担当教員や日本語指導員の力量向上のための効果的な研修会の実施
  • よりよい進路選択のための支援の充実

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