平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(宇治市)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

◇帰国・外国人センター校就学相談委員会
No. 所属 役職等 備考
1 平盛小学校 校長 センター校
2 南部小学校 校長 センター校
3 南宇治中学校 校長 センター校
4 帰国・外国人児童生徒在籍校 校長  
5 宇治市教育委員会 学校教育課 係長 事務局
6 宇治市教育委員会 一貫教育課 指導主事 事務局
◇指導補助者・支援員について(適宜委嘱)

 帰国・外国人児童生徒の母語の状況により、母語を理解することのできる指導補助者・支援員を適宜委嘱し、受入校に派遣を行う。

2.具体の取組内容

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置

 入学・編入学予定の帰国・外国人児童生徒に対し、日本の学校生活への適応指導や基礎的な日本語指導が実施できるよう宇治市帰国・外国人センター校として平盛小学校、南部小学校、南宇治中学校を継続して設置し、受入に際しての支援を実施した。

[3]日本語能力測定方法の活用

 「日本語能力測定方法(DLA)」を宇治市帰国・外国人センター校(平盛小・南部小・南宇治中)へ配付し、本測定方法により把握した日本語能力を基に、個別の指導計画の作成等に活かすことができるよう、活用を促した。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

 日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた情報交流や協議、実践研究を行った。

  • 日本語指導担当者会  平成29年1月27日(金曜日)開催
[5]日本語指導ができる支援員の派遣

 編入学直後の帰国・外国人児童生徒のうち、生活言語程度の日本語能力が十分でない児童生徒に対して、日本の学校生活への適応指導や、基本的な日本語指導の充実を図るための講師を配置した。

<具体的な内容>

  • 槇島小学校に在籍する1年生児童3名について、それぞれ50時間、30時間、30時間分の講師を依頼し、学校生活を送る上で必要な最低限度の日本語の習得、簡単な文章の音読や読解、ひらがな・カタカナの読み書き、日常会話の練習等について指導を実施した。
  • 平盛小学校に在籍する1年生児童について、30時間分の講師を依頼し、学校生活を送る上で必要な最低限度の日本語の習得、簡単な文章の音読や読解、ひらがな・カタカナの読み書き、日常会話の練習等について指導を実施した。
  • 平盛小学校に平成27年度より在籍している4年生児童について、引き続き20時間分の講師を依頼し、生活指導を含めた日本語指導を実施した。
  • 平盛小学校に在籍している5年生児童について、40時間分の講師を依頼し、活指導を含めた日本語指導を実施した。
[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

 帰国・外国人児童が在籍する公立学校に、学校と外国人保護者との連絡調整等を行う際に必要となる、指導補助者・支援員等を配置した。取組内容としては、保護者の日本語能力が十分でないことから、学校と保護者との間における意思疎通が困難な状況であるため、各学校で実施される行事の詳細な説明、事務的な手続きの説明、保護者懇談等の通訳等を実施した。

  • 北槇島小学校1年生児童(英語)…1回あたり2時間の通訳を40時間分
  • 北槇島小学校1年生児童(英語)…1回あたり2時間の通訳を40時間分
  • 北槇島小学校1年生児童(英語)…1回あたり2時間の通訳を26時間分
  • 平盛小学校2年生児童(中国語)…1回あたり2時間の通訳を10時間分

3.成果と課題

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置

 宇治市帰国・外国人センター校として平盛小学校、南部小学校、南宇治中学校を継続して設置し、受入に際しての支援を実施することにより、より円滑な受入促進を図ることができた。

[3]日本語能力測定方法の活用

 「日本語能力測定方法(DLA)」を宇治市帰国・外国人センター校へ配付し、活用を促したことにより、個別の指導計画の作成等に活かすことができた。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

 日本語指導の導入において中心的な役割を担う日本語指導担当者等が一堂に集まり、各校の日本語指導に係る情報交流やネットワーク化を図ることにより、実践的な研修の機会をもつことができた。

[5]日本語指導ができる支援員の派遣

 北槇島小学校の児童については、支援員の派遣や初期指導教室等を通して、一定程度の生活言語を身につけることができ、円滑な学校生活を送ることができるようになった。また、編入学直後の環境の変化にも、きめ細やかな支援により、うまく対応することができた。
 平盛小学校の児童については、学校生活を送る上で必要な日本語の習得に向けて、きめ細やかな学習すすめることにより、円滑に学校生活に適応することができた。
 課題については、個別の支援を継続して、自己表現に慣れていくことや学力の向上を図ることができるよう、また、学齢が進むにつれて、習得しなければならない日本語の難易度も上がるため、より充実した支援を行うために指導に要する十分な時間数を確保する必要性があることをあらためて認識した。
 今後は、予算確保とともに、より有効かつ適正な配置方法を検討する必要がある。

[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

 学校運営を円滑に進めるためには、学校と保護者との間で十分な意思疎通を図ることが必要であると考える。そのためには、保護者の母語で、わかりやすく学校運営のあり方や、児童の学校での様子を伝えることが有効である。
 北槇島小学校、平盛小学校においては、児童同様、保護者の日本語能力が十分でなく、児童の日常の様子等を保護者に伝えることが困難な状況であったため、家庭訪問や個人面談の場で、母語で児童の日常の様子を保護者に伝えることができ、円滑な学校運営を図ることができた。
 今後、十分な予算を確保し、適正な配置ができるよう事業を充実していくことが必要と考える。

4.その他(今後の取組等)

 平成29年度は、平成28年度と同様に、同じ体制で継続実施していく方向であるが、支援・指導する回数や時間数については、十分に確保できるよう予算面の充実を図っていきたい。
 また、学齢が進むにつれて、指導や保護者との連絡調整に、時間を要することが認識できたため、就学相談時等に聞き取りする内容等、受入する各学校とより連携を図り、有効かつ適正な配置方法や支援方法を検討する必要がある。
 その中で、平成29年度については、一部の学校で「特別な教育課程」による日本語指導に取り組むなど、より実態に沿った支援を実施していく。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035