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平成27年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(福岡県・久留米市)

平成27年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

2.具体の取組内容

[1]運営委員会・連絡協議会の実施
  • 第1回日本語指導教員連絡協議会(平成27年6月)
    • 年度当初の取組について   ・日本語指導担当教員の役割について
  • 第2回日本語指導教員連絡協議会(平成27年12月)
    • 2学期の取組について
    • 3学期に向けた取組について(来年度就学児の実態把握、中学校進学児についての情報の共有、
        高等学校進学に向けた進路指導)
    • 取組から見えてきた課題について(高等学校進学に向けた支援、保護者との連携)
  • 第3回日本語指導教員連絡協議会(平成28年2月)
    • 3学期の取組について
    • 就学前の取組について
    • 多言語による就学等の支援について
    • 進路保障の取組について(帰国生徒等特例措置、推薦入学特例措置、一般学力検査の特例措置)
    • 就職に向けた支援について ・日本語支援員の登録について
[3]日本語能力測定方法の活用

 日本語能力測定方法の活用については、日本語指導教員を対象とした以下の研修会においてその活用方法等についての講話、演習等を行った。

 日本語指導教員研修会(平成27年9月)

  • JSL児童生徒への教育・支援の必要性について ・JSL児童生徒の教育課題について
  • JSL児童生徒を受け入れる学校との行政の課題について
  • JSL児童生徒に対する統合型授業の目標設定について ・小、中、高校の具体的な事例について
  • 単元や本時の目標設定に関するグループワーク(演習)

 日本語指導教員研修会(平成27年11月)
 子どもの日本語の能力を把握し、その後の指導方針を検討するう際の参考とするものとしてDLAの紹介及び意義について説明があった。
 また、グループ協議もまとめとして指導助言者より、日本語で学習に参加するための力(学ぶ力)の育成をめざすJSLカリキュラムにおける授業の手順についての説明があった。その中で、日本語の力はどの程度で、どのような支援があれば内容理解が可能となるかを明らかにするために、子どもの実態把握の重要性について助言があった。
 これらの研修を受けて、日本語指導教員連絡協議会においても各学校の子どもたちの実態把握についての実践及びそれを生かした個に応じた指導について意見交換を行った。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

 日本語指導教員研修会(平成27年11月)
 講義「日本語指導が必要な児童生徒の現状と日本語指導教員の役割について」の中で、学校における日本語指導の流れについて説明があり、通常の教育課程による指導だけでなく、児童生徒の日本語能力の応じた特別の指導(日本語指導)が必要な場合、「特別の教育課程」を編成して指導を行うことについて説明を受けた。

 第2回日本語指導教員連絡協議会・第3回日本語指導教員連絡協議会
 12月と2月に行われた連絡協議会の中で、上記研修会で研修を受けた「特別の教育課程」について協議を行った。具体的には、取り出し指導による日本語指導と入り込みによる支援の線引きについて、取り出しによる「特別の教育課程」を編成する場合の指導体制について、年度途中に転入した児童生徒に対する支援のあり方について意見交流を行った。

[5]日本語指導ができる支援印の派遣 6児童生徒の母語がわかる支援員の派遣

 日本語の理解が困難な外国人児童生徒等が在籍している学校に対して、外国人児童等授業介助員を派遣し、学校が作成した指導計画に沿って、学習支援、学校生活適応支援、保護者との教育相談及び連絡の支援を行った。平成27年度は小学校14校、中学校6校に派遣し、必要に応じて児童生徒の学習の様子を観察し、今後どのような支援が必要かを担当の教員と打ち合わせながら進めることができた。

3.成果と課題

[1]運営協議会・連絡協議会の実施
  • 各学校の取組の交流を通して、それぞれの学校の抱える悩みや課題、子どもたちの困り感に対する支援のあり方について協議を行い、実践の改善へとつなげることができた。
  • 小学校就学前の取組や高校進学に向けた支援の取組について実践をもとに協議を行い、幼稚園、保育園との連携や高校入試における特例措置を活用した進路指導について理解を深めることができた。
  • 支援の課題であった母語による支援員の確保に向けて、市による登録制度を開始した。
  • 今年度は、日本語指導担当経験を有する教員が少なく、初めて担当した教員も多かったため、支援のあり方等での悩みも多く、年度当初の連絡協議会の必要性を感じた。
  • 支援員の確保に向けて登録制度を開始したが、支援員の掘り起こしが今後の課題である。
[3]日本語能力活用測定方法の活用
  • 日本語能力活用測定方法をはじめ、児童生徒の日本語能力を測定する方法を理解することができた。
  • 測定後の活用方法やそれを生かした効果的な支援のあり方について知ることができた。
  • 児童生徒の実態を把握し、それを生かしたJSLの授業づくり(単元構成や1単位時間の展開等)について理解することができた。
  • 日本語能力活用測定方法を用いた測定結果をどう効果的な日本語の支援に活用するかが課題である。結果によってどのような支援を行うかについては今後も研修等が必要である。
  • 児童生徒の家庭環境、日本語の習得の状況は様々であるため、個に応じた支援が必要であり、今後の情報や実践の共有を通して支援方法について研修を深める必要がある。
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施
  • 研修会において児童生徒の受入れから実態把握、「特別の教育課程」の編成、「特別の教育課程」による指導の終了判断に至るまでの流れが全体で確認できた。
  • 個別の指導計画や特別の教育課程編成・実施計画、実施報告の参考様式や作成のポイントについて具体的なイメージを持つことができ、作成の重要性や効果的な支援のポイントを理解することができた。
  • 一人一人の児童生徒の日本語の習得状況や各学校の支援体制は、一人ずつ(一校ずつ)異なるため、それぞれのケースについて協議会等で意見交流を行い、効果的な支援方法を考える必要がある。
  • 日本語指導教員が複数配置されている学校は少なく、「特別の教育課程」編成においては、担当者が一人で抱え込んでしまう状況が予想される為、専門家による助言を受ける機会等の確保が必要である。
[5]日本語指導ができる支援員の派遣・6児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 母国語を話すことができる介助員を派遣することで、日本語の初期指導や学習用語の説明などの支援を個別に行い、日本語の習得、学習に必要な日本語の理解を支援することができた。
  • 介助員が日本の生活様式や学校生活のルールやマナーなどを説明したり、周りの児童生徒に文化の違いを伝えたりすることで、生徒同士の相互理解や日常の学校生活への適応を促すことができた。
  • 外国人児童等授業介助員と母国語で様々な話しをすることで悩みを解決したり、安心感を得たりして、心の安定を図ることにつながった。
  • 外国人児童等授業介助員が日本語理解の困難な保護者等への連絡や相談を行い、準備物や行事等の案内、進路についての情報などを適切に伝えることができた。
  • 日本語指導が必要な児童生徒は分散傾向にあり、介助員を派遣した学校数は、小学校において大きく増加した。そのため、対象児童生徒の母国語等を話せる介助員の確保が難しい状況にある。
  • 日本語指導教員の配置されていない学校も多く、そういった学校への支援の充実が必要である。

4.その他(今後の取組等)

  • 介助員は、現在は各学校独自で確保する体制をとっているが、支援言語が多様化し、学校独自での確保が難しい状況である。そこで、平成27年度末より市による介助員の登録制度を開始し、登録いただいた介助員の情報を各学校からの要請に応じて提供する体制づくりを始めたところである。現在は、日本語指導担当教諭を通してこれまで支援していた介助員や地域在住の方への声かけを行い、登録を依頼している。今後は、多くの介助員に登録していただき、様々な言語への支援ができるよう、登録者を増やす取組を進めていく必要がある。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成29年02月 --