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平成26年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(姫路市)

平成26年度に実施した取組及び成果と課題【実施団体 姫路市教育委員会】

1事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

 

事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

 

2具体の取組内容  
[1]運営協議会・連絡協議会の実施
・大学教員及び姫路市教育委員会指導主事・姫路市内各学校の日本語指導教員・支援員等で構成する「連絡協議会」を3回開催した。
第1回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会 平成26年6月3日開催
第2回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会 平成26年11月18日開催
第3回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会 平成27年2月13日開催
 
[3]日本語能力測定方法の活用
・「日本語能力測定方法(DLA)」の活用により、日本語能力を把握し日本語指導に生かすための実践研究を2月に行った。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施(必須実施項目)
・日本語指導が必要な児童生徒の別室指導を行っている全ての学校に、日本語指導の必要な児童生徒の「特別の教育課程」編成について説明し、「特別の教育課程」を作成することを依頼した。

[5]日本語指導ができる支援員の派遣
・日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍する小学校(3校)・中学校(1校)に、日本語指導ができる支援員を派遣し、日本語指導及び教科指導の補助を行った。
 
[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
・日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍する小・中学校等に、外国語が話せるバイリンガル支援員(スタディサポーター)・バイリンガル支援員(通訳)を派遣し、日本語指導の補助や学校との連絡調整を行った。
・バイリンガル支援員(スタディサポーター)・バイリンガル支援員(通訳)を派遣し、コミュニケーションの円滑化を図ることにより、児童生徒及び保護者の心の安定を図った。

[6]外国人の子供の就学促進
・平成18年度以降実施している就学状況調査の手法を踏襲し、学校や関係機関等と連携し、外国人の子供の就学状況調査を行った。また、不就学の子供がいる外国人家庭に対して、日本の教育制度や就学についての具体的な説明や働きかけを行い、就学を促した。
(1)住民窓口センター(外国人登録窓口)より、市内に居住する就学年齢に当たる外国人児童生徒に関する情報を得た。【小・中学校の就学年齢に相応する外国人登録者594人】
(2)市立小・中・特別支援学校に、外国人児童生徒の在籍調査を依頼し、市立小・中・特別支援学校児童生徒の在籍状況を把握した。また、外国にルーツのある児童生徒の在籍についても可能な限り調査し、実態の把握に努めた。
(3)市内の西播朝鮮初中級学校の協力により,在籍児童生徒を調査した。
(4)姫路市教育委員会の学事・保健課に連携を要請し、端末によって転出転入について調査した。
(5)学校に在籍していない子供たちの家庭を訪問し、帰国又は、居所不明であることを確認し、不就学者数は0であった。

3成果と課題    
[1]運営協議会・連絡協議会の実施
○第1回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会(平成26年6月3日開催)
 【参加者】大学教員1人 各校担当者等31人  支援員5人  指導主事等7人
  【内容】 ・事業説明
           ・講演 「日本語指導の要素を取り入れた在籍学級での学習支援について」
     
○第2回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会(平成26年11月18日開催)
  【参加者】大学教員1人 各校担当者等36人  支援員5人  指導主事等6人
  【内容】 ・授業公開  4年 社会  「兵庫県の宝物を調べよう」
                  6年 理科  「大地のつくりと変化を調べよう」
            ・実践報告 「本校の取組」
          ・指導助言及び講義  「日本語指導の要素を取り入れた在籍学級での学習支援について」
    
○第3回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会(平成27年2月13日開催)
【参加者】大学教員1人 各校担当者等33人  支援員2人  指導主事等7人
【内容】   ・授業公開  1年 算数  「大きい数(かえますか?かえませんか?)」
           ・指導助言及び講義  「教科指導型日本語指導について」
   
―本取組を行って得られた成果及び課題 ―
(成果)
・第1回連絡協議会では、DLAの概要及び活用方法について説明を行った。大学教員から、日本語指導の要素を取り入れた在籍学級での学習支援について講義をしていただいた。在籍学級での学習支援を行うにあたり、「教科の目標」とは別に「日本語の目標」を設定することの必要性を話していただいた。今年度初めて、日本語指導担当になった教員や日本語指導が必要な児童生徒の担任になった教員も多く、指導・支援のポイントを数多く得ることができた。参加者からは、今後指導していく上で参考になったという感想が多数あった。
・第2回連絡協議会では、小学4年生のクラスで社会「兵庫県の宝物を調べよう」、小学校6年生のクラスで理科「大地のつくりと変化を調べよう」の授業公開を行った。指導案作成時から、日本語指導をどのように取り入れていくべきかという話合いが何度も行われた。公開授業には多くの参観者があり、授業後の参加者の感想には「学習言語を提示カードに表したり、学習過程を明示したりするなど外国人生徒が理解しやすいような手立てが仕組まれており、参考になった」や「外国人児童のみならず、低学力の児童の支援となるような授業づくりを心がけたい」などがあり、授業実践に役立つ公開授業となった。その後の大学教員による指導助言・講義では、公開授業での講評及び指導ポイントの事例等を示唆していただき、具体的な指導の在り方を学ぶことができた。
・第3回連絡協議会では、小学1年生のクラスで算数「大きい数(かえますか?かえませんか?)」の授業公開を行った。その後の大学教員による指導助言・講義では、公開授業での講評及び参加者から事前に提出された教科指導型日本語指導に関する質問を中心に答えていただいた。また、各校から事前に提出された今年度の各校の取組の成果や課題をまとめたものを印刷して配布し、各校の取組について交流する場をもつことができた。 
(課題)
・学校内での受入及び研修体制をより充実させ、担任のみならず、学校全体で日本語指導が必要な児童生徒に関わり、情報を共有する体制づくりが必要である。
・協議会等で各校担当者等の定期的な意見交換が不可欠であり、各校における悩みや課題を共有する機会を継続的に設定していきたい。
・公開授業も取り入れながら、学校間での効果的な学習教材や指導・支援方法等の情報を共有できるような連携を視野にいれ今後も年3回程度の実施を行っていきたい。
・今後も先進的な研究者による適切な助言を受ける場や公開授業を設けることにより、姫路市内の帰国・外国人児童生徒教育の充実を図っていきたい。
 
[3]日本語能力測定方法の活用
(成果)
・日本語能力測定を行うことで、客観的に対象生徒の日本語能力の現状を把握することができた。
・日本語指導に対する捉え方があやふやであったが、DLAを活用することで、より焦点化して日本語の指導の在り方を考えて対応することができた。
(課題)
・日本語能力測定を活用するに当たっては、かなりの分量であり、有効に活用していくための様々な情報などが今後必要となりそうである。
・特に中学校において、測定する時間の確保が難しいため、どのように実施していくか課題である。
・日本語能力を測定した結果を、日本語指導に有効に活用していくことが重要である。
・日本語能力測定の方法などを、多くの先生方に理解してもらうための研修などが必要である。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施(必須実施項目)
(成果)
・特別の教育課程編成、個別の指導計画とも文部科学省作成の様式及び記入例を提示したため、各校担当者とも記入例を参考に作成することができた。
・個別の指導計画を作成することで、次年度の指導計画を作成する際、大変参考になるであろう。
(課題)
・今年度初めて「特別の教育課程」の編成を依頼した。別室指導を行っている日本語指導が必要な児童生徒が多数在籍する学校では、個別の指導計画を児童生徒数分作成しなければならないため、教師の負担が大きい。

[5]日本語指導ができる支援員の派遣
・日本語指導支援員の派遣
日本語指導が必要な児童生徒に、日本語指導や教科学習の補助等を行った。
派遣校  小学校3校  中学校1校 (各学校にそれぞれ1人ずつ派遣)

―本取組を行って得られた成果及び課題 ―
(成果) 
・姫路市内で日本語指導の必要な外国人児童生徒が特に多く在籍する小中学校(4校)に、日本語指導ができる支援員を派遣した。
・かつて学校で教べんをとっていた支援員が多く、指導についてはポイントを押さえた効果的な指導ができていた。
・日本語指導及び教科指導を各学校とも1年間に28回の派遣であったが、学校の実態に応じて有効に活用していただいた。小学校では主に基礎学力の定着に向けた指導、中学校では進路保障に向けた取組を充実させることができた。日本語支援教室(取り出し指導)での学習指導では一人一人の現状を的確に把握し、個に応じて効果的な指導を行い、学習成果を上げることができた。
(課題)
・来年度更に取り出し児童生徒の人数が増える派遣校があるため、来年度の派遣回数については今年度の状況を踏まえて考えていきたい。今後の課題としては、学習言語を十分に理解させるとともに、文章問題や記述回答への対応が必要不可欠であり引き続き支援員の協力を得ながら推進していきたい。

[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
・バイリンガル支援員(スタディサポーター)対応言語
 ベトナム語  中国語   フィリピノ語  ポルトガル語  韓国・朝鮮語  イタリア語 
・バイリンガル支援員(通訳)の対応言語
 ベトナム語  中国語  フィリピノ語  スペイン語  韓国・朝鮮語

―本取組を行って得られた成果及び課題 ―
(成果)
・日本語理解が十分でない児童生徒には,教科書や参考図書を翻訳し,児童生徒が理解できる言語で学習を進めることができた。また、難しい日本語の意味を母語で説明することで、学習への意欲が持続し、日本語での理解が深まった。
・学習の習得が困難な教科については、漢字に読み仮名をふったり問題の意味をわかりやすく説明したりして、一斉授業の中でも、該当児童の理解度に合わせて学習することができた。
・渡日歴の浅い児童生徒にとって、支援員が心のより所となり、母語での会話を通して、心の安定を図ることができた。また、友達とのトラブルがあったときも母語で話を聞いてもらい、自分の思いなどをしっかりと伝えることができたので安心することができた。
・日本の歴史学習に合わせて、母国の歴史を話してくれる機会もあり、児童の母国理解へとつながった。
・学校生活での本人の願いや悩みを聞き、教師、保護者と連携し、その後の指導に役立てることができた。
・保護者に学校からの連絡がきちんと伝わり、大事な知らせがわからないということがなくなった。保護者も母語で話せる方がいるということで安心している。
・来日当初から関わっていることもあり、進路における相談においても、母国の状況と日本との違いなど丁寧に説明し生徒の支えとなった。
・母語による教育相談や進路相談を行うことで、安心して日ごろの悩みなどを相談でき、卒業後の進路について考えることができた。
(課題)
・高校進学に向けた取り組みが本格的になる中で、情報共有を図りながら本人及び保護者へどのように伝えともに考えていく体制を学校、学年、担任、保護者で作り、本人をサポートしていけるかが大きな課題である。
・学習言語を十分に理解させるとともに文章問題や記述回答への対応が必要不可欠であり、引き続きサポーターの協力を得ながら推進していきたい。
・支援児童につきっきりになってもらうことが多く、周囲の児童が多文化理解をするための時間としては生かしきれなかった。今後、児童の母国についても理解を深めながら児童同士の円滑で豊かなコミュニケーションにつなげられるようにしたい。
・日本人児童と外国人児童がよりよく共生できる学校にするため、サポーターの体験や経験を、教員や児童に語ってもらう機会を持つことが必要である。
・母語による通訳や連絡文書の翻訳及び学習支援は、外国人の児童にとって日本で生きていく力をつけ、将来の展望をもって学習していく上で重要な支援であり、外国人児童生徒が多く在籍している学校においては、渡日歴にかかわらず配置する必要がある。
・サポーターの効果的な支援方法や教科指導について研修・普及を推進していく必要がある。
・教師とサポーターの打合せの時間確保や児童生徒連絡票等の活用など、より連携体制を整備していく必要がある。
・サポーターは教師ではないので、授業のねらいや指導内容のポイント等を担任から伝えておくことが効果的な指導につながる。事前の教材研究や連絡ノートでの細かい連携が更に必要である。
・同室での支援がメインとなっているが、まだ渡日歴の短い生徒に対しては取り出し授業も必要であるため、サポーターの派遣日も含め、「特別な教育課程」を検討する必要がある。

[6]外国人の子供の就学促進
―本取組を行って得られた成果及び課題 ―
(成果) 
本取組によって、市内に居住する就学年齢に当たる外国人の実態を把握することができた。不就学の実態を把握することができた。
(課題)
今後も関係各課、外国人学校との連携及び母語の使用できる就学促進員の活用が不可欠だと考えられる。

4その他(今後の取組等)
・日本語能力測定(DLA)を行い、有効に活用していきたい。ただ、分量が多く、更に実施方法が難しいところがあるため、改善の余地がありそうである。
・各学校において、在籍学級における教科型日本語指導を推進していくために、どのような取り組みを行っていけばよいか、研修できる場を設定したい。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成27年10月 --