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平成26年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(長野市)

平成26年度に実施した取組の内容及び成果と課題【実施団体 長野市教育委員会】

1事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)
(1)長野市日本語指導運営協議会委員会(25名)
大学准教授1名、大学非常勤講師1名、国際交流専門員、センター校校長2名、センター校教頭2名、指導協力者2名、県地域共生コミュニケーター1名、日本語指導教員(県費加配教員)8名、日本語指導巡回指導員代表6名、事務局:市教委担当2名 
(2)日本語指導連絡協議会(情報交換・研修会・授業参観等の実施) 
(3)信州大学教育学部、県国際化協会、市国際室、県教育委員会等との連携

 

2具体の取組内容  
(1)受入れに当たっての指導・支援の在り方を協議する運営協議会の設置・開催
○「長野市日本語指導運営協議会」を4回開催(5/16・8/1・12/18・3/6)
・外国籍等児童生徒の在籍する学校間の連携体制及び各校の支援体制の充実を図った。
センター校(芹田小と徳間小)の体制の充実→日本語指導教室設置校8校(県費加配校:芹田小・徳間小・松ヶ丘小・篠ノ井西小・柳町中・東北中・犀陵中・篠ノ井西中)の体制の充実→日本語指導教室の設置されていない学校(外国籍等児童生徒在籍校)の体制の整備

<第一回日本語指導運営協議会>  5月16日(金曜日)  会場:長野市役所
・委嘱書の交付 ・長野市の現況 ・事業概要 ・第一回日本語指導連絡協議会について
・今後の推進計画(指導力アップに向けて、外国籍等児童生徒と信大生との交流の予定、進学ガイダンスの予定) ・情報交換

<第二回日本語指導運営協議会>  8月1日(金曜日)   会場:芹田小学校
・第一回日本語指導連絡協議会の見返し 
・第二回日本語指導連絡協議会に向けて
・犀陵中学校のDLAを活用した英語学習(書くことを中心に)の計画発表
・市教委指導主事による演習(DLAを活用した日記指導、中国・韓国人学習者を中心とした間違えやすい表現について)
・第ニ回日本語指導連絡協議会の計画内容について

<第三回日本語指導運営協議会> 12月18日(木曜日) 会場:芹田小学校
・第二回・三回日本語指導連絡協議会のアンケートについて ・第四回日本語指導連絡協議会に向けて ・「とびたとう世界へ」の作成について ・情報交換

<第四回日本語指導運営協議会>  3月6日(金曜日)   会場:長野市役所
・「とびたとう世界」の概要発表 ・本年度の反省と次年度の方向について
・情報交換

(2) 域内で情報共有するための連絡協議会の開催
○「日本語指導連絡協議会」を4回開催(6/9・9/19・11/18・1/29)
・センター校を含む県費日本語指導教室設置校における支援体制の状況及び授業を公開することにより、外国籍等児童生徒が在籍する学校における教育支援の充実に努め、指導教員や巡回指導員等の指導力向上を図った。

<第一回日本語指導連絡協議会>  6月9日(月曜日) 会場:長野合同庁舎    参加者:39名
◇開会式       
・主催者挨拶:長野市教育委員会学校教育課 支援担当 係長  
◇情報提供                    
「日本語指導が必要な児童生徒を対象とした『特別の教育課程』導入の背景と制度について」         長野県教育委員会より
◇講演                               
・演題:「学校における日本語指導の実際」
・講師:松本市子ども日本語支援センター  コーディネーター         
◇研究協議・演習                        
・テーマ:「日本語教育の視点を持った授業づくりを考える」
・講師:松本市子ども日本語支援センター  コーディネーター 
◇閉会式                                      
・主催者挨拶:北信教育事務所学校教育課課長

<第二回日本語指導連絡協議会>   9月19日(金曜日)  会場:犀陵中学校
・授業公開 英語 3年「Lesson 5 Houses and Lives」
授業者 犀陵中学校日本語指導担当講師 日本語指導指導協力者
・実践発表 「日本語を母語としない生徒に対して書く力をつける英語授業の構想化と指導の在り方-DLA対話型アセスメントの結果を用いて-」
 発表者 犀陵中学校日本語指導担当講師
・DLA実践事例発表会
 発表者 日本語教室担当者(県費加配教員)7名
・指導実践発表(児童生徒の実態を踏まえた指導・支援,及び課題)
 発表者 指導協力者・巡回指導員 3名      
・全体会 信州大学教育学部准教授の講評等

<第三回日本語指導連絡協議会>  11月18日(火曜日)会場:徳間小学校
・授業公開 「チャレンジ!! なぞペ~」 ~条件を整理して,順序よく考えてみよう~
 授業者 徳間小学校日本語指導担当講師 日本語指導指導協力者
・「DLA」測定法に基づく実践発表 
 発表者 徳間小学校日本語指導担当講師
・全体会 授業や実践発表にかかわって感想等を発表し合う。

<第四回日本語指導連絡協議会>  1月29日(木曜日)  会場:芹田小学校
・授業公開 国語 3年「物語を書こう」
 授業者 芹田小学校日本語指導担当教諭 
・体験発表 「草原は心の故郷」
 発表者 国際交流専門員    
・全体会 信州大学教育学部准教授の講評等
   
○本年度も県費加配による日本語指導教室設置校を中心により機能する校内連携に努めていただいた。「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」をもとに内容の理解と活用について確認し合い、日本語指導連絡協議会においてセンター校の活用状況を発表していただいた。その他の学校の実践については、報告書「とびたとう世界へ」に概要をまとめていただいた。また、子供や家族に心を寄せた実践発表や講演会、体験発表等により関係者の意識の高揚を図ることができた。
○長野市日本語指導運営協議会について
4回の運営協議会の実施を通して各会の内容の充実とふだんの連携の強化によって精選に努めた。各委員の方々には毎回御参加いただき、共通理解を大切にしながらほぼ計画通りに運営できた。特に本年度は、「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」の活用にかかわって演習をして理解を深め、日本語指導連絡協議会における研修会や公開授業、実践発表等での活用について考え合った。
情報交換では、一人一人の考えや思い等を自由に語っていただけるよう心掛けた。今後も一人一人の立場や役割を大事にしながらより積極的・建設的に取り組んでいただけるよう努めていきたい。
○長野市日本語指導連絡協議会について
本年度も県主催の日本語指導研修会との共催2回と市独自2回の計4回を実施した。市内の全ての小中学校と隣接市町村の学校、信州大学等へも参加を呼びかけ、毎回多数の参加者があった。授業参観・授業研究会・講演会・体験発表・情報交換を盛り込み、児童生徒に生きて働く連絡協議会になることを願いながら取り組んだ。特に本年度からは、「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」の活用にかかわって、内容周知に努めるとともに、研修会や公開授業、実践発表等で理解を深め合った。各校でもDLAの活用の啓発に努めた。次年度、更に内容理解と目の前の児童生徒の実態に合った活用に努めていきたいと考えている。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
○「長野市日本語指導センター校」の設置
・言葉や文化・習慣の異なる外国籍等児童生徒が、安心して就学できる体制づくりや、一人一人の実態に応じた日本語指導の実践的研究を行うため、本年度も芹田小学校と徳間小学校の2校をセンター校に指定した。また、外国籍等児童生徒が在籍する学校は、日本語指導連絡協議会(研修会)に参加し、情報交換・研修をするとともに、センター校の調査研究成果を自校の支援体制づくりや指導方法の工夫改善に生かせるように努めた。

[3]外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAの活用
・日本語指導運営協議会や日本語指導連絡協議会において活用の方法を話し合ったり、実践発表を行ったりした。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施
・[1](2)の「域内で情報共有するための連絡協議会の開催」で記述したように、第一回日本語指導連絡協議会(6月9日)において、長野県教育委員会より「特別の教育課程導入の背景と制度について」の説明を受けて、長野市の今までの取り組みと関連づけて内容の確認し、現状と課題を明確にした。

[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
○日本語指導が必要な外国籍等児童生徒が在籍する学校へ母語話者である日本語巡回指導員を派遣し、日本語指導(生活言語及び学習言語)、適応指導等を実施。教育相談、個人懇談会等保護者への通訳が必要な場合は、学校に母語話者を派遣した。なお、県教委が長野市小学校4校、中学校4校に設置した「日本語指導教室」(センター校2校を含む)の県費加配教員との連携も大事にしながら、よりきめ細かな支援になるよう努めた。

[7]その他
(1)教育委員会等と関係機関との連携による就学支援
○市役所・市民課との連携に努めた。
・週1回発行の外国籍住民異動者リストによる就学児童生徒の確認、転入者の確認、転出者の確認をし、関係学校と連絡を取り合った。
・入学予定の児童生徒の名簿作成。名簿により、市内小・中学校ごとに居住状況を確認し、市教委への就学申請を促す。「入学通知書」の発行。
○外国籍児童生徒在籍校との連携
・家庭状況等プライバシーを考慮し、児童生徒の在留期間の確認と就学期間の適正化を図った。
○幼・保育園との連携
・該当学校を通しての就学児童の情報交換
○就学関係のガイドブック等の活用
(2)外国人の子供の就学状況調査
○週1回発行の外国籍住民異動者リストや各学校への調査等により、外国人不就学児童生徒の把握を行った。
(3)関係機関との連携
○信州大学教育学部との連携
・センター校と連携して、教材開発や各種会議に対する指導・助言をした。
・本年度11回目となる外国籍等児童生徒と学生との交流会を実施した。
○教育委員会と長野市国際室(国際交流コーナー)との連携
・外国籍等児童生徒への日本語指導の一層の充実を図るため、「学校内指導支援事業」は教育委員会が主務となり、「学校外指導支援事業」は国際室が主務となって推進した。

 

3成果と課題  
[1]日本語指導運営委員会及び日本語指導連絡協議会の実施

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施
<成果>
・計画段階では、それぞれ3回ずつを予定していたが、4回ずつにすることにより、関係者の情報交換の充実や意識の高揚につながった。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
<成果>
・センター校の実践が、日本語指導教室の教員や巡回指導員の意欲を喚起し、自分の指導・支援の在り方を改善する契機となった。

[3]外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAの活用
<成果>
・運営協議会・連絡協議会には、毎回多くの関係者の参加をいただき、学校現場に生きる授業研究や研修会(講演・実践発表・体験発表)、情報交換等に努めた。諸会議には市教委からも指導支援にかかわる資料や情報提供に努めた。
・講演会「学校における日本語指導の実際」「児童生徒のつまずきが予想される場面と教材教具の使い方」や犀陵中・徳間小のDLAにかかわる実践発表、及び体験発表「草原は心の故郷」については、多くの参加者から大変勉強になったとの感想が寄せられた。

[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
<成果>
・外国籍児童生徒への支援体制はできてきている。
・本年度も予算の関係で指導時数を昨年度より大幅に削減せざるを得ず、関係者に大変御迷惑をおかけした。しかし、関係学校からの感謝の言葉も多数いただいた。個人カルテの累積、JSLカリキュラムの活用はじめDLAの活用については、今後も大事にしていきたい。
<課題>
・多母語化傾向にある長野市においては、巡回指導員の支援が有効であるが、十分な指導時間の確保と指導力の向上、適材の確保が大きな課題である。

[6]その他
<成果>
・外国籍児童生徒の学校への受入れに当たっては、本年度も希望を持って入学・編入学できるよう学校訪問等により丁寧な対応に努めた。児童生徒が日本語を意欲的に学びながら安心して生活できるよう、各学校のより機能するきめ細かな教育支援体制づくりと関係者との連携を一層大事にしてきている。
<課題>
・小学校から中学校への進学、中学校卒業後の高校進学等の進路選択においても学習言語の確かな習得が大事なので、見通しを持って取り組めるよう進学指導の充実や進学ガイダンスへの参加も促していきたい。

 

4その他(今後の取組等)
(1)「長野市日本語指導運営協議会」と「長野市日本語指導連絡協議会」を一層充実させ、外国籍等児童生徒の指導支援に更に生きる運営に努めていきたい。そのためにもJSLカリキュラムやDLAを活用した指導法を具体的に学び合う機会を大事に位置づけていきたい。
(2)市教委の学校訪問を適時行い、関係児童生徒の様子を見て授業等についてアドバイスしたり相談に応じたりしながら、学校関係者や巡回指導員との連携を一層大事にしていきたい。
(3)信州大学教育学部、県国際化協会、市国際室、県教育委員会等との一層の連携強化に努め、市はもとより県全体の外国籍等児童生徒のために取り組んでいきたい。そのためにも関係機関との必要な情報提供や情報交換に努めていきたい。

 


 

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成27年10月 --