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平成25年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(大阪市)

平成25年度に実施した取組の内容及び成果と課題【実施主体 大阪市教育委員会】

1.事業の実施体制(運営協議会・ 連絡協議会の構成員等)
○センター校担当者会(月1回)、全体連絡会(年2回)
・ 大阪市教育委員会(指導主事、教育相談員)
・ 大阪市教育センター(指導主事、研究官)
・ 帰国した子供の教育センター校(校長、担当者)
○日本語指導協力者会
・ 大阪市教育委員会(指導主事、教育相談員)
・ 日本語指導協力者
○母語支援者(通訳者)連絡会
・ 大阪市教育委員会(指導主事、教育相談員)
・ 母語支援者(通訳者)    
                      
2.具体の取組内容
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
・ 大阪市において小学校4校、中学校4校に「帰国した子供の教育センター校」を設置し、日本語指導・適応教室を置いている。その担当者11名が毎月センター校担当者会議を行い、情報交換や指導法の研修を行う。
・ 日本語指導、教科指導等の研究活動、研修会の企画・運営
・ 各センター校の学校長も含めた全体会を5月と3月に開催。 研究報告を行う。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
・ 編入学当初に在籍校で行う適応指導(初期指導)のための母語支援者(通訳者)の派遣(1~2回上限2時間)を行う。                                                   
・ 小学校4校、中学校4校を「帰国した子供の教育センター校」に指定する。
・ 児童生徒・保護者の教育相談、教職員の相談や教職員への助言を行う。                   
・ 小学校4年生以上の児童生徒を通級させて日本語指導を行う。
・  指導用教材や図書の整備と貸し出しをする。
・ 多文化スピーチ大会(ワールドトーク)の実施。 日本語指導に関わる研究、教科指導に関わる研究を推進する。

[3]日本語能力測定方法の活用
・ 日本語指導指導者研修に参加。DLA(対話型日本語能力測定法)の研修を受け、担当者に周知した。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
・ 日本語指導が必要な小学校1年~3年までの児童が在籍する学校への日本語指導協力者を派遣する。
・ 母語支援者(通訳者)や日本語指導協力者との連絡調整、教職員への教育相談や日本語指導等に関わる指導助言を行うコーディネーター(教育相談員)を配置する。

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
・ 初期対応、懇談会、説明会、教育相談等への母語支援者(通訳者) を派遣する。
・ 編入学当初に母語支援者(通訳者) を派遣。校内オリエンテーションや学校生活や学校の決まり等を説明。学校生活にスムーズに適応できるよう支援する。                                            
                                        
3.成果と課題
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
<成果>
・ 通級児童・生徒の状況を情報交換。成果や課題を出し合い指導法に生かせた。
・ 研究委員会を設置。指導法に生かせた。
・ 文部科学省の施策を周知できた。
・ 全体会を行い、センター校の役割や成果を周知できた。       
<課題>
・  新しく担当者になる教員へ指導法の教授や申し送りができる担当者会の運営の工夫が必要である。
・ 文部科学省 の施策を研究実践するための研究会の実施が必要である。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
<成果>
・ 母語支援者(通訳者)を派遣し、初期指導を行うことで、児童生徒にとって、日本の学校制度や生活を知ることでき、就学への不安が緩和され、安心して学校生活をスタートすることができた。学級担任や教科担任にとって、児童生徒とコミュニケーションができたことで子供への理解が深まった。
・ センター校に164名の児童生徒が通級し日本語指導を受けた。児童生徒の日本語能力の習得により、よい人間関係の形成につながった。
・ 保護者、児童生徒や在籍校の教職員からの相談に対し的確に助言を行い、トフブルを解消できた。教材や資料を提供し在籍校における日本語指導や教科学習の指導の充実を図ることができた。
<課題>
・ 初期指導は、児童生徒や学校(教職員)にとって効果的な取組であるが、母語支援者(通訳者)の派遣が1回2時間と限られている。
・ センター校への通級が長期(1年以上) になる場合があり、できるだけ早く通級終了ができるための指導方法、指導教材の研究が必要である。
・ センター校が蓄積してきた日本語指導や教科指導のノウハウを、受入れ経験のない(少ない)学校への伝達と情報提供が必要である。   


[3]日本語能力測定方法の活用
<成果>
・ 研修会を行うことで、担当者は測定方法を理解することができた。 
<課題>
・ 担当者は測定方法をある程度使うことができるようになっているが、まだ十分ではない。教授できるレベルまで研修を積んでいく必要がある。
・ 文部科学省からDLA(対話型日本語能力測定法)が送られてきて、日本語指導が必要な児童・生徒の在籍する学校へ送付しているが、学校への研修はできていない。 今後、現場でも使いこなせるように、学校担当者への研修会を行っていく。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
<成果>
・ 初期の日本語指導により、友達との会話も積極的になり、学級の中での人間関係もよくなり楽しく学校生活を送ることができるようになった。児童生徒の学校生活への不安を解消できた。日本語指導に関して教職員自身の気づきや発見があり、後の取り組みに生かすことができた。
・ 日本語指導協力者対象の連絡会を実施し、指導助言を行い、指導終了後も学校での指導につなげることができた。                                                 
<課題>
・ 日本語指導協力者の派遣回数(25回)が決まっているため、習得が遅くカリキュラムが終了しない場合も派遣の延長ができない。指導方法の工夫を図る必要がある。
・ 納得して来日していない児童は、日本語の習得する意義を感じていない場合がある。 その対応を工夫する必がある。       
                                                       
[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
<成果>
・ 母語支援者(通訳者)の派遣は、日本の学校生活がどのようなものであるのかを知り、どう過ごしていくかをイメージできる良いきっかけとなった。初期指導での母語支援者(通訳者)の派遣が、児童生徒の学校生活への不安を緩和し安心感を与える大きな効果があった。
・  学習に消極的な児童は、母語支援者(通訳者)を派遣し母語で日本語指導の意義づけをすることでその後の学習を意欲的に取り組んだ。
・  母語支援者(通訳者)の派遣において、要請が集中する懇談会時や緊急の要請にも、学校の要望に応える派遣できた。課題のあるケースでは教育相談員が直接対応に入り、子供・保護者との教育相談を受け課題解決に至った。
<課題>
・ 初期指導のための母語支援者(通訳者)の派遣は効果的な取組で、在籍校からも好評であるが1回2時間という限られた派遣であるために、在籍校から回数(時間)増の要望が多い。しかし、毎年、編入児童生徒が多いため、派遣を増やすことは難しい。
・ 児童生徒を抽出して個別に初期指導にあたることがより効果的ではあるが、2時間連続で対応できる教員がいないことがある。そのため、初期指導プログラムを作成するなど、効果的な活用方法の工夫が必要である。

4.その他(今後の取組等)
・ DLA(対話型日本語能力測定法)の研修
・ 日本語指導、教科学習教材の研究と作成
・ 学校における帰国来日等の子供の教育の推進体制の構築のための情報提供、研修会
・ 日本語指導協力者の指導力向上
・ 日本語指導や学習サポート等を行う外部機関、NP0、ボランティアとの連携

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成26年10月 --